日本国召喚 皇帝暗殺計画   作:文月之筆

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読者の皆様、作者の文月之筆です。

投稿が遅れてしまい、申し訳ありません。
出来るだけ早く投稿できるように尽くしますが、これからも遅れるかもしれません。

その点に関しては、予めご了承ください。


第4話

グラ・バルカス帝国 帝都ラグナ 陸軍省

 

「ジークス将軍、報告があります」

ノックの音と共にドア越しに男の声が聞こえる。執務机に向かって書類仕事をしていたジークスは顔を上げて、その声の元に返答をする。

「入れ」

「失礼します」

一人の男が入って来る。その男は最近、ジークスの部下になったランボールであった。

「ランボールか。御前会議の時は大変世話になったな」

「いえ、当然の事をしたまでです」

御前会議の時にジークスがナグアノレポートという資料を提出したが、それはランボールがジークスから相談を受けて情報局に出張し、そこで局員の一人であったナグアノと上司のバミダルから貰ったものだったのだ。

つまり、御前会議にてそれを発表できたのはランボールのお陰であった。彼無しには早期の講和はできなかったであろう事から、ジークスは彼にとても感謝していた。

「それで報告とは何があったのだ?」

ジークスは尋ねる。

「はい。ギーニ議員があなたと面会を希望しています」

「あのギーニ議員が私にだと?」

ジークスは驚くと同時に不安を感じる。ギーニ議員と言えば、帝国内でも最も過激であると有名な人物であったからだ。ただ一方で、日本に関しては和平政策をするべきと主張しているために陸軍内では不審に思っていたのだ。

当のジークスもギーニ議員に対して不安感を抱いていた一方で、強い期待もあった。日本への態度が弱い事から日本の事を正確に理解している可能性が高い。

議会において過激な派閥のトップである彼を味方にできれば、講和を邪魔するであろう勢力の勢いを削ぐことが可能かも知れない。

「ギーニ議員を今すぐ接待室に呼んでくれ。接待室の周囲には誰も近づけないでくれ」

「わかりました。……本当に大丈夫なのですか?」

流石のランボールでもこの状況を怪しく感じてはいた。彼も同じように不安と期待の両方を感じていたが、どちらかといえば不安を感じていた。

「わからない。だが、良い方向になるようには頑張ってみよう」

両手を顔の高さに挙げて、若干おどけた様子でジークスは答える。一方のランボールは呆れた表情を浮かべていた。

「そうですか……。それでは今から呼んできますので、将軍は接待室で待機してください」

「わかった。それではギーニ議員の案内は頼んだぞ」

「わかりました。それでは」

ランボールはドアを開けて足早に去っていく。足早に去っていく彼の姿はすぐに見えなくなった。

「ん、正午か」

丁度、部屋の傍にある振り子時計が正午を知らせる音を鳴らす。時計の針も正午をしっかりと指していた。ジークスは書いている途中の書類を綺麗に並べると、接待室へと向かって歩いていった。

 

・・・・・・・・・・

 

応接室にたどり着いたジークスは壁に掛かった時計の針を見る。もうすぐでギーニ議員との面会が始まる。

「(さて、吉と出るか凶と出るか……)」

ジークスの座る椅子の右側には1つの鞄が置いてあった。その中にはナグアノレポートから始まり、グラ・バルカス帝国の抱える多くの問題が書かれている資料たちが大量に入っていた。もしもギーニ議員を説得しなければならなくなった時、使う予定で置いてあったのだ。

ふとノックの音が聞こえる。

「どうぞ、お入りください」

ジークスは大きな声で答える。それに答えるように、応接室のドアを開けてギーニが入って来た。

「ジークス将軍。お忙しい中、面会頂き感謝します」

「こちらこそよろしくお願いします。どうぞ、こちらの椅子にお掛けください」

ジークスは正面の椅子に座るように促す。ギーニもそれに従って椅子に座る。

「それでは面会を始めましょう」

ジークスが宣言する。ギーニの方も小さく頷いた。

「まず最初にですが、なぜ私に面会を希望したのでしょうか?理由をお聞かせください」

ジークスが尋ねる。彼の質問にギーニは、まるで事前に想定していたかのように答える。

「世界連合に対する降伏の件に関して、私の方から協力するために来ました」

「なんと!」

ジークスは驚きと喜びの両方の両方に満ちた声をあげる。椅子の傍に置いていた資料は必要なさそうだ。

ギーニは少し間を空けてから話し出す。

「私は帝国議会でタカ派のトップを務めていることはご存じでしょう。その私が他のタカ派議員を説得するなりすれば、12日後に行われる降伏の準備もスムーズに行われるでしょう」

ギーニは一旦区切ると、黒いスーツの懐から何枚かの紙を取り出し、その内の1枚をジークスに見せる。

「これは?」

ジークスは眉を顰める。そこには人の名前が多数書かれていた。

「タカ派議員とその取り巻き達の名簿です。現時点で半数ほどを説得することに成功しましたが、残りの半数が難航している状態です」

ギーニはペンを取り出すと、半分ほどの名前の部分に二重線を引いた。

「今ペンで二重線を引いたのが説得できた者たちです。残りが説得が難航している人物です」

ジークスは二重線が引かれていない名前をまじまじと見つめる。

「なるほど。この者たちが一番の懸念材料となりえますね」

素直な感想を話す。その感想にギーニは頷く。

「そうなります。一応、全力を尽くして説得を行いますので最終的にはタカ派議員の数自体は減るでしょう」

ですが、と一言断りを入れてからギーニは低い声で話し出す。

「もしも、この中に怪しい行動を行う人物が出てくる可能性があります。そのため以下の人物で怪しい行動を行う者が出た場合は、貴方やしかるべき機関に報告したいと思います」

「ご協力、感謝します」

ジークスは深く頭を下げる。一方のギーニは彼が顔を上げた時に1枚の紙を出して彼に渡す。

「いえ、こちらこそ。この国の未来の為には貴方たちの協力が不可欠です。ですので、こちらからもどうかよろしくお願い致します」

その紙にはギーニの電話番号と住所が載っていた。ジークスはその紙を受け取ると自分の懐にしまう。

「私に連絡があれば、その紙を参考にしてください」

「わかりました」

「それでは、今日はこの辺で失礼します」

ギーニは席を立つ。ジークスも席を立ち、応接室のドアを開ける。

「ありがとうございます」

そう言うとギーニは応接室から去っていく。彼は曲がり角の辺りで待機していたランボールに連れられて陸軍省を後にする。

「思わぬ幸運が舞い降りて来たな……」

ジークスは小さな声でつぶやく。議会においてタカ派議員のトップであったギーニ議員がこちら側についてくれるとは実に運が良かった。

嬉しさに心が満たされる一方で、少しばかり心に引っかかる部分があった。

「(ギーニ議員の言っていた残りの半数が問題か……)」

懐からタカ派議員らの名前が書かれた紙を取り出す。その引っかかる点とは説得が難航しているタカ派議員の事であった。

恐らく彼らは帝国が降伏する事に反対するだろう。彼らの一部が降伏を妨害する事に対して何かしらの妨害工作をとることも容易に想像できた。

「(それを防ぐためにも、この紙は重要だな)」

その妨害工作を行いそうな人物のリストが手元にある。彼はこのリストを注意深く懐にしまうと、ジークスはある場所に向かった。

 

・・・・・・・・・・

 

グラ・バルカス帝国 帝都郊外 オルダイカの別荘

 

帝都から北に大きく離れた場所にある山岳部にて一軒の別荘が建っていた。その別荘はそこそこ大きいものの、雄大な緑のお陰でそこまでは目立ってはいなかった。

その別荘の所有者はオルダイカであった。カルスライン社からの賄賂によって建てられたこの別荘は、オルダイカの気分転換や特別な時によく使われているのだった。

オルダイカの別荘へと続く道に2台の自動車が走る。人気のない未舗装の道路を走るその車は別荘の敷地で停車した後、中から2人づつの計4人が降りて来た。

「ここがオルダイカ様の別荘か。とても広いな」

男達の内の一人が呟き、残りの三人も全員が同意する。その時、一人の男が別荘の傍から現れた。

「皆、よく来てくれたな」

その男はオルダイカであった。4人は彼の方へ向かって歩いていく。

「オルダイカ様、お招きいただき光栄です」

先頭に立っていた一人が深く頭を下げる

「エヴィン議員よ、私の方からも感謝する。それでは他の者たちも一緒に上がりたまえ」

そう言うとオルダイカは彼らと共に別荘へと上がっていく。

「(すばらしい別荘だな……)」

招かれた4人の内の一人である外交官のゲスタがふと思う。タカ派議員のエヴィンの誘いを聞き、オルダイカのクーデター計画に協力する為にやって来たのだ。

他にも同じくタカ派議員であったベームとソムの二人がいた。彼らもエヴィンの誘いによりクーデター計画に参加する事にしたのだ。

エヴィンを中心とした4人はオルダイカの案内を経て応接室と言える様な部屋に到着する。高級そうな机と幅広なソファーが置かれた部屋に到着した彼らは、オルダイカと共に近くのソファーに座った。

「それでは始めよう」

そういうとオルダイカは姿勢を崩して4人に向かって話す。

「エヴィン議員から聞いたとは思うが、あと12日ほどで我が帝国は降伏する事となる。それを防ぐために私はクーデターの計画を立てる事にした」

全員が頷く。これらの事はエヴィンから事前に聞かされていた。

「現在、クーデターの協力者として高級将校3人が参加してくれている。主に彼らが主役になるだろうが、少しでも協力者は多い方が良いし彼らの支援の為に君たちにも手を貸してほしいのだ」

オルダイカがそう言うと、ゲスタが手を挙げる。

「その支援として私たちは何をすれば良いのでしょうか?」

「うむ、それは各自の役職などで決める。お主の場合は外務省に努めているから、降伏の準備が進められるはずだ。それを可能な限り妨害してくれ」

「わかりました」

次にオルダイカは3人のタカ派議員の方に向く。

「お主らには議会内の様子の報告と妨害をしてほしい。クーデターの時期を見極める為にも、お主らの協力が必要だからな」

「なるほど。……実は私たちから、それ以外にも協力できる事があります」

「それはどういう事だ?」

エヴィンの発言にオルダイカは尋ねる。

「実は私の元に退役軍人を中心とした退役軍人会があります。その退役軍人会に頼み込めば、おそらく協力してくれるでしょう」

選挙の際にエヴィンの元には組織票を入れてくれる退役軍人会がいた。その退役軍人会に頼み込む事により、即席の私兵部隊になるという事であった。

「ふむ。エヴィンよ、その退役軍人会は信用できるか?」

「はい。その退役軍人会の人間は私たちと同じように過激な考えの人間らが多いですから、恐らくは大丈夫でしょう」

実際に例の退役軍人会は過激であると現地では評判であった。極端な民族主義的な思想を有する者たちを中心に構成されており、パガンダ島でのハイラス特別顧問の処刑以降は、この世界の他国と人々に対して民族浄化を主張する事もしばしば見受けられた事もあった。

そのためエヴィンは例の退役軍人会を信頼できると考え、その事をオルダイカに伝える。

「なるほどな。それではその退役軍人会をこちら側に取り込んでくれ」

「わかりました」

オルダイカは口元に不気味な笑みを浮かべる。その表情はまるで悪魔と形容できる様相であった。

グラ・バルカス帝国を覆すクーデター計画の会議はその後も続いたのであった。




いかがでしたでしょうか?

今後の更新に関してですが、
作者の事情により、投稿頻度が大きく落ちるかもしれません。
(その点に関しては、予めご了承ください)

投稿頻度は落ちるかもしれませんが
完結できるように頑張りますますので、どうか暖かい目で見守っていてください。

もしよろしければ評価やコメントの方もよろしくお願いします。
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