DJ少女達との日々   作:変わり者

5 / 7
回想終了です。ここまでが過去なので大まかに言えば過去なのでやっと本編スタートって感じですね。(笑)

それではどうぞ!


21/2/1追記、プロローグの後書きに主人公の設定を載せました。


ピーキーな思い出(後編)

 椿から指導を受けて数週間が経った。寒い冬が本格的にやってきた感じだ。冬休みに入り、かなりの時間を得ることが出来た。ジムに通っては故障、休んで、ジム通って寝る。その繰り返しを続けていたら流石の颯も少しはまともになったと思う。付きっきりで見てくれてた由香には頭があがらない。ダンサー並みの体力がついていなくても、自信がついたなら儲けものだ。

 

全身に湿布を貼った颯が身体を労りつつ陽葉学園へ登校すると、大きな黒いリムジンが校門前に泊まっているのが見えた。中からはいかにもお嬢様であろう少女が降りて来た。

 

近くにいた女子生徒の話し声が聞こえる。

 

「ねえ、見てアレ。噂の清水(しみず)家のお嬢様じゃない?」

「いいなぁ、あんなに可愛くてお金持ちなんでしょ?才能あるのに暇を持て余してるんだろうなぁ」

 

(清水のお嬢様……? 清水ってあの?)

 

清水家といえば知る人ぞ知る一家だ。時には大企業として、時にはスポンサーとして。更にはライブ会場まで貸し切っちゃう大富豪と噂だ。

 

自分には無縁な存在だなとお嬢様を眺めていると後ろから肩を叩かれた。

 

「はろー! 颯、今日もいい鍛え日和ね!」

「叩かれたとこめちゃくちゃ痛いんですけど!!!?」

「いい感じに仕上がって来てるのよ、学校まで後少し!」

「引っ張らなくてもいけますって、由香さん」

 

 気付いたら由香とかなり仲良くなっていた。颯にとっては数少ない友人になる。その友人こと由香は腕を引っ張って颯を学校まで連れて行こうをする。しかし急に止まってしまった。身体が痛い。悲鳴をあげている。

 

「なんせんすよ、颯。同じ学校で年上なんだから由香、で呼び捨てでいいのよ」

「わかったからやめて由香腕ちぎれちゃう」

 

 

由香と颯は校内に入っていき、騒がしい一日がスタートした……。

 

 

 陽葉学園、中等部。教室内は賑やかな声で溢れかえっている。

 

「そういえば日向さん、しっかり運動してくれ…た……みたいだね」

「はい……しました……」

 

今日も今日とて合同授業。授業中にあの颯が机に突っ伏しているのだ。響子はこれは無理したなと最早慰めることしか出来ない。

 

「ちょっと今日は……お願い休ませて」

「はいはい」

 

どう動いたらそうなるのか興味があった響子も弱々しい颯を前に、放っておいてあげる事を選んだ。

 

昼休みになっても変わる事はなく、響子は颯の分の昼食でも買ってきてあげることにした。

 

 

「ええと……こんなことなら颯に連絡先聞いておくんだったなぁ」

「ん?」

 

昼食を買いに行くその道中に、派手な少女が颯と日向の名前を口にしていたのを見かけた。

 

「ねえ、ちょっといいかな」

「はい?」

 

 

もしかしたら面白い話でも聞けるかも、と響子は声をかけてみることにした。

 

 

♤♡♢♧

 

 

「まだ痛い……やっぱり筋肉がまだ慣れていないんだなぁ」

 

 一人で痛みを気にしていると、携帯のバイブレーションが振動する。

 

「しのぶ?」

 

珍しくしのぶから曲以外のメッセージが来ていた。普段なら未完成のフレーズや完成した曲について嬉しそうにメッセージが来る。しかし、今日はしっかりとした文字で文章が書かれていた。

 

【しのぶ】

[そういや颯には言ってなかったけど、アタシ、ユニットを組む事になった。もしかしたら曲調とか変わるかもしんないけどさ、いつも通り的確な答えを言ってくれると助かる]

 

(しのぶがユニットを組むことになったのか……)

 

「[うん、わかった。ユニット頑張ってね]と」

 

颯はスマホで打つ言葉をそのまま声に出しながら送信した。気がつけば響子やしのぶと出会って大分時間が経ったんだと正直びっくりしている。

 

(響子もしのぶも着実に前へと進んでいる。自分だけ立ち止まってられない)

 

 

「……でも寝ることも進むために必要だよね」

 

颯はとにかく筋肉痛を治したかったので、もう少しだけ寝ることにした。やる気がまさにピーキーである。

 

 

 

 

 買い物から帰ってきた響子に起こされた颯は体を起こすと両手を上げ、手を広げた由香の笑みを見た。響子の帰りを寝ながら待っていた颯は仲良く話をしながら帰ってきた由香と響子に何が何だかわからなかった。

 

「なんで由香がここに?」

「日向さんを探してたよ。一緒にご飯食べたかったみたいだから誘って来ちゃった」

「なるほど」

 

いつの間にか響子は由香に今までの経緯を話していた。DJ活動の話だろう。

 

「だから颯がウチに来てくれんだね」

「へぇ……名前で呼んでるんだ。わたし達も名前で呼び合おうよ、颯」

 

仲が深まる感じが嬉しいのか、それとも由香と呼び合ってるのが気になったのか、名前呼びを提案する響子。特に断る理由もないので颯は二つ返事で了解する。

 

「それで由香、さっきの話だけど」

「あ、うん! 面白そう!」

「……? 何の話?」

 

颯は由香は写真が趣味だという話を聞いてすぐピンときた。響子は由香をVJとして誘うつもりだ。そういえば確かに由香は自身の筋肉も写真に撮っていた。

 

「なるほど、確かに由香が来てくれれば効率のいい体の動かし方がわかるかもしれない」

「だよね、由香がいてくれればわたし達のユニットも盛り上がる事間違いなしだ」

「筋トレのメニューと写真なら任せて!」

「ふふ、頼もしいね」

 

(……ユニット?)

 

これで万事解決……かと思いきや、響子の口からユニットと聞こえた。そんな話は初耳だ。

 

「ああ、颯に話したかったんだ。ユニットの話」

 

顔に出ていたのか、響子は颯が由香と運動している間に起こったことを話してくれた。響子はどうにか認めてもらいたくて毎日のように曲を作っていた。それこそ一曲や二曲だけではなく、ボツにしたのも含めれば両手では数えきれないだろう。断られ続けてもまだ諦めず、響子は自分で作った曲でライブをすることにした。

 

しかし、結論からいってライブは失敗。響子の曲はピーキーすぎて客が誰一人としてついてこれなかった。落ち込んでいる響子に観客の一人が話しかけたのだとか。

 

それがたまたま尊敬して憧れだった人で、響子と組んでくれることになったらしい。その後はクリスマスパーティをして打ち解け、親睦を深めたみたいだ。何故俺は呼ばれなかったのか、と一瞬でも無粋な事を考えた自分を颯は殴りたくなった。

 

「へぇ、良かったじゃないか」

「ふふ、颯のおかげだね」

「え? いや、俺は何も……協力しようとして結局体痛めてただけだし……」

 

何故自分が? と素直に疑問だった。

 

「そんなことないよ、颯が協力するって言ってくれたからわたしも諦めてられないなって思ったし、由香にも会えた」

「そうよ、颯。もっと自分に自信を持たないと! 何事にも気持ちが大事よ!」

「本当、そういう根性論の話は鍛えてる時だけにしてくれ……」

 

 最近の由香は積極的に颯が運動してくれるのが嬉しくて、筋肉の話ばかりする。これを食べた方がいい、寝る前は……などアドバイスをくれるのだ。朝昼晩よく飽きないなと颯は少しうんざりしていた。もちろん、自分のために言ってくれているのをわかっているから特に言及することはしなかった。

 

(ユニットか……しのぶもそんなこと言ってたな……)

 

「よし、とにかくこれでわたしたちのユニットは4人になったわけだね」

「何が4人?」

 

颯は左手で人の数を、右手で今いる人を指差して数える。

 

「響子、由香、誘った人」

「あと颯」

「俺ぇ!?」

「え、まさかあれだけ付き合ってくれたのにいざ組むとなったら断るつもり?」

「そりゃ嫌ではないけど驚きはするよ」

「からかっただけだよ」

 

にやけた顔が止まらない響子。ユニットを組めたからか、自信がついたからか。響子自身に気持ちの余裕が出来たのだ。

 

「ひどいわ、颯。私たち一緒に熱い夜を過ごしたじゃない……」

「えっ……颯?」

「いや! 確かにランニングって意味では過ごしたけど!!?」

 

響子の悪ノリのせいで由香までノッてきた。これは自分の立ち位置がツッコミになるのかと颯はこれからが心配になる。ノるのはフロアだけにしてほしい。

 

賑やかな昼は学年一真面目な男、最近話題のDJ、筋肉質のハーフという謎すぎる組み合わせで過ぎてった。なんだこの組み合わせは。

 

 

♤♡♢♧

 

 

「え、えええええええっ!!!?」

「はぁああああああっっ!!!?」

「紹介するね、この人は犬寄しのぶっていうんだ」

 

 授業と授業の間の少ない休み時間。颯は響子に呼ばれて、響子が頼み込んだユニットのメンバーに会う。あまりに少ない時間のために由香は呼んでいない。また放課後に集合して、初のユニットミーティングをやる事になっていた。由香もそこで合流する。

 

「いやいや俺らこんな大声出してんじゃん!? 明らかに何かあるじゃん!? 何普通に紹介しようとしてんの!?」

「てか颯お前か!? 響子にアタシのこと紹介したの!」

「はぁ!? 知らないって! いや正確には知ってはいたけどしのぶだと思ってなかったんだよ!」

「なんだ、二人とも知り合いなんだ。それにしても颯は凄いね。DJしのびんとも知り合いだったなんて」

 

背の低いしのぶに胸ぐらを掴まれて、膝を折り曲げた格好をした颯に、その颯を感心する響子。奇妙な巡り合わせをしている三人は仲が良いといえば聞こえは良いが、側から見たらただの変人達である。

 

「というか響子もしのぶも落ち着いてくれ! 俺は聞きたいことがあるんだよ!」

 

必死の思いで伝えると、しのぶは手を離し、響子はパーカーのポケットに手を入れた。紫色のネクタイを整えながら颯は話し始める。

 

「陽葉のDJユニットってことは、結構本格的になるだろう。適当に上級生のパフォーマンスを見てきたんだ。中等部はそうでもないが高等部は遊びではなかったな。曲、衣装、演出、踊り、歌。どれをとってもレベルが高い」

「颯は研究熱心だよね。それでどうだった?」

 

颯もただ単に遊んでいたわけではない。歌と体力作り、DJについての研究を両立していたのだ。その話に相槌をうつ響子。しのぶはじっと颯を見つめて黙っている。

 

「まぁ……そんな面白くなかったな」

「へえ、どうして?」

「しのぶの曲の方が何千倍も好きだからなんか物足りないんだよな」

「ああー、それわかる」

「な、なんだよ颯も響子も二人して……!」

 

顔を赤くするしのぶを可愛い可愛いとイジりたい気持ちでいっぱいだが、それよりも先に確かめたい事があった。

 

「ところで響子、しのぶ。お前らは衣装とか作れるか?」

「うん、無理」

「出来ると思う?」

「だよねぇ……」

 

そういう面でも颯は新メンバーに賭けていた。しかししのぶだとは思わなかった。しのぶは良い意味でも悪い意味でもDJ特化なのだ。

 

「この話は放課後由香にも聞いておくよ、そろそろ良い時間だし解散しておこう」

「うん、そうだね」

「りょーかいー」

 

その場で唸ってても仕方ないと判断した颯達は、一旦解散して放課後会うことにした。響子は今までのこともあって颯といつでも連絡を取れるようにしておいた。

 

 

 時が過ぎるのは早いもので、もう放課後だ。下校する生徒や部活に打ち込む者。DJの練習室へ移動する生徒も見えた。颯はキングオブ真面目人間なので休憩していた分の板書をひたすらノートに写していた。響子達は先に行くと言っていたので颯一人だけだった。

 

「ん……やばい熱中してた、遅くならないうちに行かないと。えーっと、響子が送ってきた場所はAMEZA?」

 

AMEZAにあるハンバーガー屋。ここで会議をするのかと思うと急にお腹が空いてきた。

 

由香の前で食べたら怒られるかなぁなんて考えながら颯は階段を降り、昇降口を出る。

 

「ん?……人の声、下か?」

 

陽葉学園は広く、2階の方からでも帰れるようになっている。しかし颯は立ち止まって下を見た。何故なら今は中庭に人の声などしないはずだからだ。

 

「お嬢様ってなんなのっ!? どう演じたらいいの!? もう……わからない……! みんな勝手に期待して、失敗したら失望される。清水の一人娘だから!? 私がろくでなしだから!?」

 

 清水絵空(しみずえそら)はひたすら怒鳴り続ける。行き場のないストレスが彼女を苦しめていた。暗闇のスペースに隠れるように確かに何かに怒っていた。

 

「ああ、わかるぜその気持ち。今の世の中に怒ってるんだろう。うんうん」

「っ!? 誰! 通報しますよ!?」

「待って待って俺生徒! 普通の生徒ですから!!!」

「……今の聞いてました?」

 

颯はこの耳で聞いた。清水の一人娘、と。今朝見た少女と同じ清水絵空だろう。

 

「聞く気はなかったんだけど……」

「〜〜〜ッ! ど、どうするんですか?」

「え?」

「私をどうするつもりなんですか!?」

 

何このエ○同人みたいな展開。彼女はなかなか魅力的ではあるが、さすがに弱みを握ったぜへっへっへ……と颯はそんな外道ではない。絵空は日々誰かと交渉していくうちに、こんなにも用心深い性格になってしまったのだ。

 

「いやいやどうもしないよ!? 清水絵空さんだよね。ごきげんよう、日向颯です」

「ご、ごきげんよう……どうしてお嬢様みたいな挨拶……?」

「君にとってはこっちが主流じゃないの?」

 

この人は天然なのかと絵空は調子が狂いそうになる。清水家の娘である私の弱みなんてたくさんの人が欲しがるだろう。だからそんな事が起きないようにバレないよう完璧に演じてきた。絵空はたくさんの人に狙われる絶好の鴨なのだ。

 

「あ、あはは……」

「元気ないね、出会ったのも何かの縁だし俺で良ければ話を聞くよ」

「別にいいです、どうせ私が清水の人間だからでしょう」

「俺は清水じゃなくて絵空に話しているんだけどね。そうだなぁ……あっ! 突然だけど、俺には兄貴がいる」

「え……?」

「数年前、D4FESっていうDJの……凄いイベントがあったのを知ってるかな、兄貴はそれに出たんだ。兄貴は才能ある人だったからいつも比較されていたなー。大変だったよ」

 

ここまでの天然を絵空は見たことがなかった。それともこれも計算されているのか。突然自分の家族の話を、会ったばかりの人間にするだろうか。

 

「…………」

「俺にも君のどうしようもできない環境はわかる。理解できる。共感もできる」

 

ああ、やっとわかった。絵空は理解した。この人はとてつもなく優しいのだ。嘘偽りない気持ちのいい言葉。こんなに嬉しい言葉はいつぶりだろうか。

 

「大体さ、君自身が敬えって言ってるならわかるんだけどお嬢様だからこうするべき。こうあるべきなんて固定概念は捨て去るべきだ」

「ありのままの自分でいてもいいってこと……?」

「うん、そんなの狭い世界に自分を閉じ込めるだけ。だから日向が清水に話してるんじゃないんだよ、颯は絵空に話しかけてる。この意味、わかってもらえないかな……?」

 

不思議な人。絵空の印象は変わらない。だが決して悪い人間じゃない。人を騙したりする人種じゃないんだ。

 

「今ちょうど君みたいなラブリーな人を探していたしね」

「え? らぶ……?」

「ラブリーだろ?可愛く堂々としてればいい。だからもう俺相手に猫をかぶらなくていい。達観するにしても気を抜ける仲間が必要なんだ」

「ふふ、ラブリーってもう……あなたは言葉のチョイスがいちいち面白いです♪」

 

やっと笑ってくれた。そんな絵空の笑顔に颯はドキリとしてしまう。

 

 

「そうそう。どんな人生でも、どんな境遇だろうと、仲間と元気に笑ってりゃなんとかなるものさ」

「わ、私は……」

「絵空、これは君が受け入れてくれる前提で話すね。俺はここらで一発大きく出る。DJユニットさ。人生楽しまないと! な?」

「あ、あの……こんな私でも連れて行ってくれるんですか? 思いっきり楽しんでも良いんですか?」

「もちろん」

 

絵空の心は迷っていた。何度雪をすくっても降り注いで積もっていくみたいに。

 

(不安でしかない、きっと両親は許してくれない。一人なら。でも私も自分で動いてみたい! この人の力になりたい! なんでも楽しまなきゃ……絵空じゃない!)

 

この時、絵空の心の中に一生消えない決意の力が湧き出てきた。まるで自分自身の殻を破ったかのよう。

 

「じゃあ……私、入りたい……! ハヤテの心を知ってみたいかも……!」

「うん。……え? 俺?」

 

 

♤♡♢♧

 

「わぁ〜私ハンバーガー屋さん初めてかもぉ♪」

「あの……絵空さん」

「んー? なぁに?」

「なんで先程からずっと俺らは腕を組んでいるんでしょうか?」

「うふふ、さぁ、なんででしょ〜う」

 

 颯はあの後学校からAMEZAまでずっと絵空に半分抱きつかれるような形で腕を組まれている。その頃にはもう絵空は元気いっぱいという感じで颯としては複雑な気分だった。

 

「いらっしゃいませ〜」

 

「あれ、あの子颯の彼女?」

「はっ!? 颯に女がいるなんて聞いてない!?」

「え? ああ! あの子、絵空ちゃんだよ。ほらいつも学校の!」

「ああ、リムジンの子」

 

自動ドアが開き、店員の声に反応した三人組が三者三様の反応をした。響子、しのぶ、由香の順に反応した。

 

「あの子達?」

「そう、ああ! 絵空、もういい加減腕組みやめない?」

「い〜やぁ」

 

颯が腕を振り、絵空ごと振り解こうとしても、絵空はその度ガッチリとくっつき直す。

 

「響子! しのぶ! 由香! 誰でもいいから助けてくれ!!!」

「キョーコにしのぶに由香ね! バッチリ!」

「嘘つけ!」

 

明らかに響子達以外の視線も集めてしまって、羞恥心で死んでしまいそうだった。

 

「また凄い子連れてきたね……」

「颯の友人だしみんな凄いだろ、色んな意味で」

「でもあの子って親しみやすいのね、気が合いそうかも」

 

今更だけど颯は何も言わずに絵空を連れてきたことを少し後悔していたが、絵空が馴染めそうで自分まで嬉しくなった。

 

 

♤♡♢♧

 

 

「ハンバーガー屋のチョイスよ、ラブリーだろ?」

「ええ、とってもラブリー!」

「何いってんのコイツら……」

 

 絵空に楽しく生きることを教えるために、常にハイテンションでいたら、いつの間にか海外の通販番組みたいになっていた。

 

「いいね! 響子! この店選ぶとは流石わかってるぅ!」

「あ、ありがと?……ここチェーン店だけどね」

「流石はしのぶだ! 可愛い! 100ラブリーポイントを差し上げちゃう!」

「うわぁ……」

「由香! お前はなんでも似合うな! ハンバーガーも本場のに見えるぞ!」

「ふふ、もっとほめて〜!」

 

今日のミーティングはなかなかノッてきたなとドヤ顔を決めて立ち尽くす颯。

 

「あの……お客様、大変申し訳ありませんが他のお客様の迷惑になりますのでお静かに願えますか?」

「あ、ハイ……」

 

しょんぼり座る颯、迷惑そうに帰る店員。マイナス50ラブリーポイント……。

 

「……ッ……ふ、ふふっ……あははははっ!」

 

爆笑する絵空に一同にも笑みが溢れる。そんなこんなでそろそろ閉店だし帰る準備でもしようと自然に手が動いた時、全員が同時に思った。

 

今日、ふざけてしかいねえと。急に焦った颯の顔を絵空が覗き込むと察した絵空はこういい放った。

 

「あー、大丈夫大丈夫! その辺はぜ〜んぶ私がなんとかするから!」

「絵空、凄いね」

「じゃあどーっんと任せちゃうね!」

 

颯はこの人には叶わないなと思った。自分はとんでもない人を連れてきてしまったのでは……。

 

「もう帰りたい……颯のせいで疲れた」

 

第一回ユニットミーティング、ではなく親睦会はこのような結果で幕を閉じた。響子と由香はノリノリだったが、しのぶは今すぐ帰りたいと思っていた。しかし、五人にとってこれが大事な思い出になったのは言うまでもないだろう。

 

 

 颯は帰宅後、スマホの画面を覗いていた。ピーキーな人達のグループで会話しながらベッドで寝そべっていた。

 

 

【由香】

[そういえばリーダーとか決めてるの?]

【しのぶ】

[昨日今日決まったユニットだしいないだろ]

【絵空】

[改めて、よろしくお願いしますね]

                    【颯】

             [もっと気楽で良い]

【絵空】

[やーん♡ハヤテ優しいぃ〜]

【しのぶ】

[なんで颯だけそんな砕けた口調なんだ……]

【響子】

[それにしてもリーダーどうしようね]

                    【颯】

         [みんなは誰がいいと思う?]

 

[それはもちろん___]

 

 

 

 数年後、山手響子をリーダーとしたPeakyP-keyは陽葉学園人気No.1のユニットになっていた。そのユニットの後ろでどんな人物がいるか多くは語られてはいないが、一人の少年が奮闘した噂が、陽葉学園では流れていた……。

 

「響子、なんだよその帽子。というか、全体的にみんなアクセサリー増やした?」

「清水プロデュースだよぉ〜」

「イケてるね〜このサングラス」

「そろそろ時間だぞ」

「よし、行くよ! Peaky P-key(ピーキーピーキー)!」

 




皆様いかがお過ごしでしょうか。現在、グルミクはモンハンコラボが終わりそうですね。作者は全然引けませんでした。引けませんでしたよ!!!愛って…………なんなんでしょうね。まあそんな事はさておき、次回もよろしくお願いします!

☆10 たく丸様 ちぇーろ様 でっひーー様 KasuZakoYowai様 かみせん様


☆9 蛇にゃん様 アーヴェスト様 とっかず様 
むら₂₄_‎(๑˃̵ᴗ˂̵)و♥♥♥様 オルバック様 ゆゆん様

☆6 わけみたま様

評価ありがとうございます!お気に入りや感想も励みにさせていただいてます。本当にありがとうございます!

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。