ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミン 常怠常勝の智将と戦場の幽霊(ゴースト) 作:naosi
それから1年ほど旭日連隊(グラ・メストエリ)の駐屯地で過ごした。父さんは実の息子の様に接してくれるし、イクタもレイ兄と読んで慕ってくれている。
ユーカさんも僕の身の上話を聞いて母親になると言って、父さんと同じ、実の息子として接してくれた。
その時間は、かつての傭兵団と過ごした日々と同じに感じほど幸せだった。イクタのイタズラに付き合ったり、アナライ博士と一緒に様々な物を作ったり、実験したり、シバおじさんやリカンおじさんに戦術を教えたり、チェスをしたりした。
イクタが鍛錬をしていたのを見て、剣術習いたいたいと言ってきたので、防御とカウンターに優れた小太刀術と体格差があまり出ない柔術を教えた。すると何処からか聞いたのか、一部の兵士たちが教えてほしいと言ったので、ナイフによる近接格闘術と古武術を教えた。
それを聞いた兵士たちが更に来て、ほぼ全員が来たので、父さんから教官として週何回か教える事になり、それに伴い、少尉の階級も貰った。それから兵士たちの間では師匠や少尉と呼ばれたりした。
でも、そんな日々は突如終わりを迎えた。父さんが命令違反を侵したとして、投獄された。
旭日連隊(グラ・メストエリ)は解体となると言う話が聞えてきた。その話を聞く前に父さんが投獄された監獄に急いで向かった。
見張りの兵を潜り抜けて父さんの牢屋の前に着いた。
「父さん!」
「その声・・レイ!?」
備え付けのベッドで横になっていた父さんが飛び起きて、鉄格子に近付いてきた。
「お前どうやってここ来た?」
「バイクでここまで飛ばしてきてから見張りにバレない様に潜り込んで来た。ここから出よう?父さんはこの国必要な人だよ?」
「残念ながらそれは出来無い。俺がここから逃げれば、ユーカやイクタに危害が及んでしまう」
「それなら大丈夫!前持ってソルヴェナレスさんに匿ってもらえる様に頼んできたから!」
「お前いつの間に!?」
父さんの顔が珍しく驚きに染まる。
「ヤトリと別れる際に無線機を渡しておいたんだ。急いで連絡を取って匿ってもらえる様に手配した」
「本当にいつもぶっ飛んだ事をしやがる。でどうやって出るんだ」
「それなら心配ないよ?ネズミを始末したから父さんの服をそういつに着せて焼身自殺した様に見せかけるから」
「サラッとエグい事やるな」
父さんが出発する数日前から不審な気配がしていたから調べてみるといかにも表の人間では無い人物がいたので、捕まえて自白剤で情報を取ってから始末してここに運んで来た。
「で、どうやってここから出るんだ?」
「この服に着替えて」
「これはここの兵士の服か」
「煙で大まかにしか顔を見ない筈だからその間にここを出ていく。シンプルで簡単な作戦」
死体に父さんが着ていた服を着せて、うつ伏せに寝かせ、その下にテルミットを仕込んでから灯油をかけた毛布を上から掛けて火を着けた。それと液体発煙弾を数個床に投げて煙幕を起こして叫んだ。
「火事だ!火事だ!」
「バダ・サンクレイの牢から出火だ!!」
その声と煙で警備兵が集まって来た。
「急いで水持ってこい!」
「水の精霊持ってる奴はすぐにこい!」
「窓を開けろ!」
その隙に2人で警備兵に紛れ込んで、監獄を出て隠してあったバイクまで向かった。
父さんを後ろに乗せ、走り出した。
「レイここから何処に向うつもりだ?」
「前もって作っておいた秘密基地に行ってもらうよ?一部の信頼できる人達はすでに集まっているから」
「いつの間にそんなもんを!?」
半年程経ってから海岸近くの入り江を改造して、崖の様にドックへのハッチを取り付け、中には潜水艦が4隻入るれる様に作ってある。それ以外に工作室や医務室、食堂に訓練所等を作ってある。さらにこの基地周辺には自然物に偽装された監視カメラや動態感知機をあちらこちらに設置してあるので、この基地を攻撃しようとしても基地の入り口を探している間に脱出でき、その際に基地は跡形も無くふき飛ぶ位の爆薬を用意している。
バイクでしばらく走り続けて海に面している崖までやって来た。その一角にバイクを止めて、無線機を取り出し合図を送ると地面の一部が沈んだ。その場所に入って行った。
「ここがレイの言っていた基地か?」
「うん。父さんを慕う退役軍人や怪我や病気で退役した兵士とスラムの子供達を中心に各国の情報収集を主に行っているんだ。破壊工作は人員の関係で行えてないげとね」
「それでも十分すぎる」
バイクを止めて父さんを会議室に連れて言ってとあるお願いをした。それが終わったらここの隊長に父さんを任して、とある場所に向かった。
貴族や将校の住宅地となっている区画にやってきて、1つのの屋敷に忍び込み、目的の人物を探した。
数分探し、何やら書類を見ている後ろの窓に近づくと
「誰だ!」
椅子からすぐさま立上り、近くに置いてあったサーベルをこちらに向けて来た。
父さんと同い年位の赤髪の人だった。
「夜遅くに失礼します。ソルヴェナレス・イグセム陸軍元帥ですね?バダ・サンクレイ大将のメッセージを届けにきました」
部屋に入れてもらい、持ってきたタブレットを取り出して父さんのメッセージを流した。
『ソル久しぶりだな?これを聞いてる頃には俺はこの世にいないだろう。お前にどうしても頼みたい事があってこのメッセージを残す。ユウカとイクタ、そこのレイの事を頼む。状況は少し前にヤトリちゃんから聞いたと思う。こんな事になって申し訳無く思うがこんな事を頼めるのはお前かテル位だ。それじゃあなソル。楽しかったぜ!』
数分程のメッセージが終わるとソルヴェナレス元帥はサーベルを下げてこう聞いてきた。
「あいつは、バカだ、本当のバカだ!何かやらかすなら少しは相談しろ!」
うつむくソルヴェナレス元帥の肩は少し震えていた。
「それでは、私は失礼します。他にも伝えないと聞けないので」
「ありがとう。バダのメッセージを届けてくれて。ユウカ達の事は任せてくれ」
僕の方に背を向けたままだったがお礼を言ってきた。その声ははじめと比べるとたいぶ優しく聞こえた。
再び目的の屋敷を探し、同じ様に目的の屋敷を見つけてメッセージを届ける人物を探した。
先程の様にならないように窓をノックした。
こちらを見た人物は少し驚いていたが警戒しながら窓の鍵を開けた。
「だ、誰だ!?」
「夜遅くに失礼します。テルシンハ・レミオン陸軍大将ですね?バダ・サンクレイ大将からのメッセージを伝えにきました。こちらをご覧下さい」
ソルヴェナレス元帥に見せた。
『ようテル。久しぶり、これを見ている頃には俺はこの世にいないだろう。ソルにも伝えたがユウカ達の事を頼む。それと旭日連隊(グラ・メストエリ)の面倒を見てくれると助かる。レイとアナライ博士のせいで他の部隊より試作の兵器をわんさか装備しているからそれは、自由に使ってくれ。それじゃあな、テルとソルの時間はいい思い出だ。あとは任せた』
父さんからのメッセージを見たレミオン大将は人目を気にせずに涙を流していた。
「ありがとう。戦友のメッセージを届けてくれて、旭日連隊(グラ・メストエリ)の事は任せてくれ。私の名誉にかけてなんとかする」
その言葉を聞いてから来たときと同じように窓から出て、イクタ達の元へ向かった。
その後、無事にイクタと母さんを暗殺者から守り抜き、ソルヴェナレス元帥が到着したのを確認してから別れた。
イクタと母さんは名前を変えて、ソルヴェナレス元帥の助けを受けながら生活を始めた。イクタは僕が教えた小太刀術と柔術の特訓のためにソルヴェナレス元帥の屋敷で一緒になって訓練を受けている。
母さんには何かしたいことは無いか聞くと医術を学びたいといったので、秘密基地に案内して現代医療を学んでいる。
僕は、ソルヴェナレス元帥とテルシンハ大将の元、帝国国内、キヨカ共和国などの情報収集を行うために動いている。一応軍での階級は中尉となっている。本部所属なので下手な士官よりも命令権がある。
国内、国外を忙しく動いているので家族に会えるのは数年に数回しか無いが会えないよりはいいのでがんばれている。
次回から原作に入って行きます。内容が変わって行くのでよろしくお願いします。