ニコ・ロビン。俺ことサー・クロコダイルは
確かにそう口にこぼしたッ。そして彼女もまた
、その身体的特徴からニコ・ロビン本人である
ことは間違いなかったッ。
「ッ!! どうして私の名をッ?」
警戒心を露にするッ。彼女、ニコ・ロビンの
目付きが冷たいものに変わったッ。無理もない
ッ。彼女は現在進行形で指名手配中なのだッ。
その金額、まさに7900万ベリー。それを
目をすれば誰もが目を皿にするだろうッ。庶民
ではまずお目にかかれない高額すぎる高額であ
るッ。
彼女は遠い地から遥々このアラバスタ王国に
逃げてきたのだッ。彼女の顔は一度全国に見ら
れてはいるものの、話題になったのは随分昔ッ
。遠いこの地にて、彼女の顔を見てその名を言
い当てられる者は滅多にいないに違いないッ。
その警戒心を大きく高めるのもまた当然であ
ったッ。
「……そう、そういうことね」
ニコ・ロビンは言ったッ。なにやら答えを導
いたようだッ。
「まさか、もうここまで追っ手が来てるなん
て。私も随分嫌われたものね」
「な、なにぃ?」
「悪いけど、私はまだ捕まるつもりはないわ
」
俺ことサー・クロコダイルは慌てたッ。
「ま、まて。俺ぁ別にアンタを捕まえるなん
てーー」
「ないとでも? 私の正体を暴いておいて、
それでも捕まえる気はないだなんて、貴方
は嘘が下手ね」
冷たい皮肉ッ。俺ことサー・クロコダイルは
困惑したッ。彼女ことニコ・ロビンの言ってい
ることが何一つ理解できなかったからだッ。突
然のことに頭が回らないッ。
しかしこれだけは分かるッ。俺ことサー・ク
ロコダイルと彼女の間に明らかな誤解があると
ッ。
なんとかしなければッ。俺ことサー・クロコ
ダイルは慌てたッ。とりあえずはと、待ったを
かけるッ。
「ま、まてっ。とりあえず落ち着」
「触らないでッ」
警戒心を剥き出しにガタリッと椅子を蹴倒す
ようにして彼女ことニコ・ロビンは立ち上がる
ッ。
「ドス・マーノ(二本樹)ーー」
そして構えたッ。二本の腕が俺ことサー・ク
ロコダイルの両肩から生え伸びるッ。それらは
俺の顎を捉えると在らぬ方向へと曲げようとし
ていたッ。
これは首の関節技ッ。
知っているッ。俺ことサー・クロコダイルは
転生者故に知っているッ。彼女ことニコ・ロビ
ンは能力者だッ。
パラミシア(超人)系の悪魔の実ッ。種名、【
ハナハナの実】。その能力の実態は自らの身体
の一部をあらゆる場所を問わずに咲かすことが
出来ることッ。
この技もまた、その応用であったッ。
彼女ことニコ・ロビンの関節技が決まるッ。
「ーークラッチッ!!」
Paaaassssyaaaaaaaaaaaaa
aaaaaaaaaaannnnnnnnn!!!!!
「…………えっ!?」
細やかな砂が多量に飛び散ったッ。彼女こと
ニコ・ロビンはその光景に驚くッ。きっと想定
していなかったのだろうッ。無理もなかったッ
。本来、能力者など滅多に会うものではないの
だからッ。
砂煙が周囲に舞うッ。俺ことサー・クロコダ
イルの首から上、俺の頭部はそこになく、代わ
りに剥き出しとなった首の断面から砂がサラサ
ラと流れるだけであったッ。
本来であれば首が伸展可動域を越えて、血を
吐くような関節技が決まったに違いないッ。
しかし現実、それはないッ。
当然だッ。
俺ことサー・クロコダイルもまた悪魔の実の
能力者である。
ロギア(自然)系、【スナスナの実】。
「悪いが効かねぇな。 ……俺ぁ砂人間なもの
でね」
これはとある能力者の仮初めの物語
悪魔の実には相性がある。……格がある。パ
ラミシアがロギアに叶う道理はない。
サー・クロコダイル