暗い魂の乙女   作:Ciels

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最近めっきり感想が減って寂しいので感想下さい(乞食)


ウーラシール、深淵歩き

 

 

 

 

 白竜シースは長年に及ぶ狂気の研究の中において、人が持つ可能性について幾度も触れていた。彼の古竜曰く、人とは闇そのものだという。そして闇とは、深淵と同意義である。人が持つ人間性こそが闇の根源。即ち深淵に飲まれたウーラシールや小ロンドとは、自らの魂によって滅びたという事になる。人は人の持つ魂に誑かされ、自らを殺めたのだ。

 対して、神には可能性など存在しない。神々の在り方とは信仰や恐れ、即ち人が齎す可能性により変幻する。始まりの火を見出し、しかし神々は遂にそこで止まってしまった。進化せず、人が持つ可能性に依存する形でしか存在できぬ。それは真、情け無い。

 

 であれば。神々という存在にとっての闇とは毒となろう。自らを形作り、しかし持ち得ない闇は光を覆い尽くす。その闇の中で確かにあるのは人という深淵の申し子。いつか火は陰り、最期に火は消える。その時こそ、人は真に自由になるのではないのだろうか。

 

 神に使役されず、誰のものでもない人間。そんな未来を夢見るのは、やはり学者を通り越して夢想家だろうか。

 

 

 

 

 

 目の前で苦しむ男がいる。人が産み出した闇に愚かにも挑み、そして飲まれかけた男が。

 

 背は高く、人では太刀打ちできぬであろうその剣技は苦難の中でも消え去ることはなく。ならばそれは、神の一族である。

 石畳に突き立てた剣で、かつてのウーラシールの民であろう異形を穿ち、それを杖代わりにして彼は俯く。息は荒く、離れていてもその吐息が伝わって来るほどに。

 その男は英雄である。私が探していた深淵歩き。若き騎士が探していた剣士。その張本人は、確かに英雄アルトリウスである。

 

 伝承にある通りの姿形。全身を鎧と深淵で包む彼の英雄に、オスカーが駆け寄ろうとして私は手で制した。最早あれは、人が救えるものではない。神々でさえも救えぬだろう。唯救えるのは闇だけなのだ。深淵こそが彼の行き着く場所なのだから。

 

 救済とは、真に酷薄である。待ち受けるのは死でしかない。

 

 

「君達が……何者かは知らない……だが、離れてくれ」

 

 

 優しい声色で、しかし苦しみが伝わる息苦しさで英雄は告げた。彼もまた、隣の上級騎士のような優男で御人好しなのだろう。英雄とはいつの世も御人好しでしか務まらない。

 オスカーはただ、困惑するように英雄を眺めることしかできなかった。それもそのはず、彼の英雄の最期が闇に飲まれて朽ちたなどと、誰が想像しようか。やはり神々は嘘吐きだ、英雄の末路でさえも捻じ曲げるなどと。そんなこと、あって良いはずが無いだろう。

 

「もうすぐ、僕は飲み込まれてしまうだろう……奴らの、あの闇に」

 

 そう言えば、彼を取り巻く闇の渦がより一層濃くなる。むしろ闇を持たぬ身でよく耐えるものだ。彼が深淵歩きであったというのはあながち嘘では無いのかもしれない。

 英雄は私達を兜の奥から見定めると、懇願する。

 

「人であるならば……君達はより純粋な闇に近いはずだ」

 

「何……?」

 

 英雄の言葉にオスカーが首を傾げる。彼は知らぬのだ。人の魂に抱く闇を。闇こそ、人が生まれし胎盤だという事を。それを愚かだとは思わない。神々はそれすらも隠していたのだから。白竜はそれを利用し、不死を封じ込める名目で攫っていたのだ。

 やはり神を許しておくことはできない。闇を持つ人間に火継をさせるくらいなのだから。何を企んでいる。

 

「頼む……お願いだ……! 深淵の拡散は防がねばならない……グゥッ」

 

 ガクッとアルトリウスは膝を突く。最早彼の身体に潜む闇の拡がりを抑えることなど出来ぬ。人ですら扱い切れぬ闇など、神に抑え込めるはずもない。

 

 英雄はまるで呆けてしまったように、末期の老人の様に空を見上げて救いを求める。頂点に居る神々が縋るものなど、あるはずもなかろうに。

 

「ああ……シフ、そこにいるのか?」

 

 空虚に闇に侵された左手を捧げる。何かを触るように。

 

「すまない、みんな。僕は、何も成し遂げられなかった……!」

 

 その言葉を最期に、英雄アルトリウスが叫ぶ。絶望と苦悶の雄叫び。それは闇に侵され切った証。小刻みに震え内から溢れ出す闇を放出させる彼は、最早英雄などではない。

 ただの、闇に囚われた囚人だ。

 

 オスカーは信じられぬといった様子でわなわなと震えていた。今まさに敵となる者を前に、震えることしかできぬ男の肩を後ろへ押しやる。

 見たくないものもある。観てはいけないものもある。彼が憧れていた伝説とは、所詮その程度のものだったのだと。私はただ、右手の斧槍を強く握りしめ英雄だった者と対峙した。

 

「リリィ……君は、何も思わないのか?」

 

 人こそ闇であったのだなどと。だが、そんなものどうでも良い。私は私で、それ以上でもそれ以下でもない。ただリリィという元聖職者の不死、それだけでしかない。

 

「何もできないなら、見ていなさい」

 

 突き放すように彼に言葉の針を向ける。だが、これで良い。こんなもので心折れるようでは火は継げぬ。それくらいの絶望は、乗り越えなければならない。

 むしろ、彼は戦うべきなのだ。彼の英雄を弔うために。信じる欺瞞のために戦った英雄を、戦いの中で散らすために。

 騎士は、戦いの中で死する事こそ誉れなのだろう?流浪の身である私にはとんと理解できぬが。

 

「神に列する者よ。私にその(ソウル)を寄越せ」

 

 だから私は、私でしかない。英雄にもなれず、火も継げず。ただ(ソウル)を欲する不死なのだから。

 ぎょろりと英雄はこちらへ振り返る。その様は最早優雅さも気高さも感じられない。ただの獣、闇に墜ちた英雄の末路だ。

 

 

「グゥウウウ、グアアアアアアアッ!!!!!!

 

 

 獣のような咆哮が耳を揺さぶる。英雄は闇に墜ちても尚、その闘志を失うことはない。突き刺した剣を石畳から引き抜けば、勢い良くこちらに振るった。届かぬ剣はしかし、穿っていた異形の骸を飛ばす。牽制だ。

 

 まるで軽石のように飛んでくる異形の骸を躱せば、すぐにアルトリウスは跳躍した。異常なほどの跳躍力は、やはり人ではない。彼は私目掛けて剣を振り下ろす。

 あまりにも速い。ロードランを持ち前の機動力で生き抜いてきた私でさえも、間一髪だった。ローリングで回避した途端に、私がつい先程まで立っていた石畳が割れる。

 まともに喰らえば私が(ソウル)を献上することになるだろう。

 

 転がり立ち上がる私を、英雄は更に追撃する。大剣を彼の真後ろに引き、構える。予想はできる、あれは突きの構えだ。

 まるで瞬間移動するかのように、アルトリウスが目の前まで迫った。咄嗟に草紋の盾を目の前に構えれば、次の瞬間に私の身体を衝撃が遅い吹き飛ばす。

 

 ただの突きだ。だが侮ってはならない。あの躯体が生み出す衝撃力は、元の剣技と相まって異常な火力を誇っているのだ。防ぎ切れない一撃だ。牛頭のデーモンくらいならば一撃で首を斬り落とせるくらいの。

 

「ちっ……!」

 

 腐っても英雄だ。闇に飲まれようとも剣技は冴えているなど、厄介以外の何者でもない。

 だがここでようやくオスカーが決意をした。丁度アルトリウスの側面にいた彼は、クロスボウを取り出せば英雄に撃ち込む。もちろんあんな華奢な武器では傷一つつけることなどできない。あっさりとアルトリウスはクロスボウの矢を斬り払うと、その注意を上級騎士に向けたのだ。

 

「ここで貴方を殺すことが、僕ができる最善なら!」

 

 クレイモアを背中の鞘から引き抜き、オスカーは対峙するアルトリウスへと突貫していく。数多の異形と戦い生き抜いてきた彼は、アルトリウスの横薙ぎをしゃがんで躱せば自らの大剣を英雄の胴へと打ちつけた。

 鎧を貫き、その肉すらも裂く刀身が黒く染まる。それは英雄の、闇に飲まれた血。なんと禍々しい事だろうか。

 

 私も緑花草を口にかき込んで加勢に入る。いくらオスカーでも、初手の一撃を入れた後は英雄の剣技に苦戦していた。真後ろへと周り身体ごと斧槍を回転させ背中を斬りつける。

 鎧と肉を斬り裂く感触。しかし英雄は怯まない。彼はまるで蠅を振り払うように、垂らした左腕を私に振るった。

 

 ビシャっと、彼の血、最早闇の飛沫と化した液体が私を襲う。

 

「ぐっ!」

 

 まるで皮膚が溶けるような感触。堪らず私は飛び退き体勢を立て直す。

 

「気をつけろ!」

 

 オスカーが忠告した途端、アルトリウスが飛んだ。飛んで、縦に回転し出した。

 まるで縦に回転する駒のように、彼は大剣で私の身体を真っ二つにするために迫る。

 

 負傷したまま、私は横へ転がる。ガチン! と英雄の大剣は石畳を吹き飛ばした。私が喰らっていれば死んでいた、それ程までに高威力の恐るべき技。

 それはかつて、彼が得意とした剣技。後の世に狼の剣技として残るものだ。そして単発では終わらないのが恐ろしい。物理を無視してアルトリウスはまた跳躍すれば、向きを変えて私を執拗に狙う。

 爛れる皮膚を無視して今度は苦し紛れにステップで回避する。そしてまた、アルトリウスは飛ぶ。

 

「見飽きたぞ、英雄!」

 

 人とは可能性の生き物。そして可能性とは進化にある。二度の狼の剣技を見た私には、同じ手は通用しない。跳躍しながら回転するアルトリウスの真下をスライディングで潜り抜けると、立ち上がり様に斧槍の縦切りで彼の兜を斬りつけた。

 姿勢のせいであまり威力はないが、カウンターには丁度良い。オスカーが私を守るように立ちはだかったのを感じ、体勢を崩して転げ回るアルトリウスを横目に急いでエスト瓶を飲み回復する。

 

 だが、闇とは人に宿るもの。そして可能性を齎すのも闇の特権だとすれば、それは闇に侵された神にも当て嵌まる。

 フラフラと立ち上がったアルトリウスはまたしても咆哮を上げる。唸り、そして更なる闇に飲まれた彼の身体から濃厚な深淵が溢れ出た。最早彼は神に非らず。ただの哀れな敗北者だ。

 

グゥアアアアア!!!!!!

 

 雄叫びをあげてアルトリウスは迫る。突進横薙ぎ、先程の突きの派生であろう。数多のデーモンや神に仇なす者達を両断してきた死の一撃。

 

 だが如何に英雄が剣技に優れ神速を誇ろうとも、私達二人には最早見慣れた速さだった。速さならば竜狩りオーンスタインと同程度。彼を破ったならば、その速さに劣るはずもなし。

 潜り抜けるように二人で水平に振われる剣の真下を転がり、すれ違いざまに立ち上がり振り返る。

 

 古い神々が眠るロードラン。その地で死にながらも確かに戦い抜いてきた不死達は、各々の武器を振るう。

 

 私の斧槍は英雄の足を薙ぐ。斬り落とせずとも最早闇に侵された彼に立ち上がることはできず。騎士の大剣はぶらりと垂れ下がる左腕を重みで斬り裂く。残るは剣を持つ右手のみ。如何に伝説の剣士とて、片腕だけで相手にできるほど私達は脆弱ではない。

 

 私に合わせるようにオスカーが振り抜いたばかりの剣を突き上げる。その切先は確かにアルトリウスの胸を穿ち、あまりの衝撃と傷に英雄は項垂れた。

 

 私は跳躍し、騎士と英雄を飛び越えれば背後に回る。そして着地の直前に全体重を乗せた斧槍の斬撃を背中に叩き込んだ。

 叫ぶ英雄アルトリウス。オスカーが剣を引き抜くと、その勢いで仰反る。それを見逃さない。

 

「そのソウル……貰い受けた」

 

 今度は斧槍を背中に突き刺せば、先端が胸から突き出る。如何に神に名を連ねる者と言えども、心臓を穿たれ生きていられる者はいない。

 あれだけ咆哮をあげ苦しんでいたアルトリウスは、胸を貫かれるや否やあっさりとその動きを止め大人しくなった。まるで憑き物が取れたような、そんな感覚。あれだけ纏わり付いていた深淵もどこへ行ったのか晴れ渡っている。

 

 彼の魂が救われた瞬間だった。

 

 

━━Victory Achieved━━

 

 

「ああ。シフ。君は……」

 

 

 言葉を最後まで言い終えることはなく、彼の身体は(ソウル)の霧へと形を変えた。輝かしい、しかし闇に侵された(ソウル)は私とオスカーに流れ込む。

 (ソウル)とは形を変えるものである。時に力となり、形となり、そして記憶ともなる(ソウル)は、私達に英雄の記憶の断片を見せることになる。

 

 記憶の奥底に眠る、彼の感情。大切な友、小さな白狼を気遣う優しい心。私達も戦った竜狩りや、知らぬ騎士達との友情。

 

 

 そして、とある少女に抱いた淡い恋心。それは、神である彼と人である少女の間では決して成就されぬ悲恋。

 秘匿されるべき、しかし心の片隅に残る僅かな思い出。第三者の私達が見て良いものではなかったのだ。

 

 

「……ッ、もう良い」

 

 

 きっと、その少女はオスカーも知る人だったのだ。だから、言ったじゃないか。否、思ったじゃないか。不死が恋心を抱くべきじゃないと。言っておくべきだった。言ってしまったらきっと、私の微かな希望でさえも消え去ってしまうから。

 

 私は、汚い人間だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 大切な友の墓石に、彼女は花を捧げた。

 

 王のために、平和のために剣を握り続けた英雄の、しかし誰にも知られぬ見窄らしい石の塊のような墓石。偉大であるはずの彼の墓がこんなものとは、何と報われない事か。

 

 

 どこまでも愚直で鈍感で、優しくて憧れた一人の男のために。深淵に囚われた彼の魂が、せめて死の後くらいは安らかに逝けるようにと、祈りを込めて。

 

 

 青い衣装は風に靡き、花とともに青空を映す。白磁の仮面は不敵に笑うがその本心を知る事は能わず。されども彼女は嘆くと同時に安堵していた。きっと、彼女やその仲間では友を葬れなかったのだろうから。

 

 あの竜狩りは、きっと言うのだろう。奴は優し過ぎた、だから闇を狩取れなかった、これは奴の甘さが招いた結末だと、いつものように厳しく頑固に言うのだろう。

 きっとその心に空虚を抱えたまま、誰にも弱音を吐くことなく。

 

 あの鷹の目の巨人は、きっと偲ぶのだろう。思慮深く、そして豪快な彼は死した友の良き理解者だった。だからきっと、いつまでも彼は弔ってくれるはずだ。その魂が続く限り。

 

 あの犬っころは、きっと諦めぬだろう。友であり主である騎士を想い続け、語り継ぐのだろう。執念、執着。或いは怨念にも似た心は、あの無垢な白狼を変えてしまうだろう。彼女にはどうすることもできない。

 

 彼女は、きっともう剣を握る事は無いだろう。元より汚れ仕事を生業としていたが、その根源にあったのは友が作ろうとしていたより良い未来のため。その友が斃れた今となっては、執着などしない。火も闇も、興味に値しない。

 この仮面も、残光も残滅も、その全ては王から賜った信頼の証。だが結局、そんなもの彼女の心を救うものではないのだ。きっと、友と在り続けたかったからそう演じていただけ。それだけなのだ。

 

 薄情だと、言うだろうか。お前は王の刃なのだから、死ぬまで務めを果たせと言うだろうか。もう分からない。友が一体何を言うのか。彼はもう、死んでしまったのだから。

 

 

「貴公、人か」

 

 

 その訪問者もまた、同じように報われぬ恋を抱いているのだろうか。白百合のように真っ白で、しかしどこか燻んだ灰のような少女は、顔に陰りを見せながら彼女の背後に佇んでいた。

 

「まぁ、良い。これは私の友の弔いなのだ。少し、一人にしてくれないか……」

 

 だが、それが何だと言う。彼女は今、友の死を偲ぶ一人の乙女。故にそれ以外気にする事など無い。

 

「ままならないものね、神も人も」

 

 その少女はそれでも、語りかけた。儚げで、しかし強かさもあるような、そんな声色。少しだけ興味を持って振り返れば、その少女から奇妙な懐かしさを感じた。厳密に言えば、彼女の持つ大きな(ソウル)に魅入られた。

 

「貴公……それは」

 

 少女の持つある魂について問いかけようとし、その前に少女は(ソウル)を差し出してきた。

 それは確かに彼女が慕った男の(ソウル)。闇に飲まれ、変化しようとも確かに分かる。これは大切な友の生き様、その全て。

 

 青黒く陰るその(ソウル)を、彼女は震える手で受け取った。

 

「眠りくらい、大切な者とありたいものね。例えそれが神であろうとも」

 

 神に不信を抱いている不届き者である事は、この時理解できた。だがそれを咎める資格など今の彼女には無い。故に、ただそれを受け取る。そして声色だけは、しっかりと保ち感謝を述べた。

 

「ありがとう。友として貴公に感謝する」

 

「いいえ。不要だもの。それに神の僕からされる感謝は無いわ」

 

 どこまでもふてぶてしく、ぶっきらぼうな生き方をしてきたのだろう。だが変に同情されるよりはマシだった。

 

「……これは、せめてもの礼だ。最早私には不要なものだからな……」

 

 そう言って、王の刃は己の獲物を差し出す。それは二振りの曲剣。王より騎士に叙勲された際に賜ったもの。

 少女は何も言わずそれを受け取れば、クルリと器用に二振りを回して手に馴染ませる。腕が立つようで、本来高い技量を要求するその曲剣を容易く扱ってみせる。少女はそれを(ソウル)へと収めると、踵を返して市街への道へ進んでいく。

 

「貴公に王の導きが在らんことを」

 

 少女の背に、王の刃は語り掛けた。

 

「いつだって導くのは自分自身よ、王の刃」

 

 どうやら自らの事を知っていたらしい少女は、しかしかつては確かに聖職者だった。

 何も言わず、悟らせず。それでも世の中に何かの怒りを抱く少女は先へと進む。王の刃と称された女は、しばらくその場で友を偲ぶと闘技場から姿を消した。以来、彼女を見たものはいない。きっと、それで良いのだろう。仕えるべき王など、彼女にとって最早形だけの存在なのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 暗銀の残滅

 グウィン王の四騎士の一人、王の刃キアランの用いた暗い銀の短刀。その刃には凄まじい猛毒が仕込まれており、舞うような黄金の残像が目標の目を奪えば、その影で確実にそれを仕留めるだろう。

 

 しかし彼女は、ある時を境に表舞台から姿を消す。きっと、彼女は気付いたのだろう。本当は誰のために剣を振るっていたのかを。そしてそれは、真に秘する彼女の淡い心だったはずだ。

 

 

 黄金の残光

 グウィン王の四騎士の一人、王の刃キアランの用いた黄金の曲剣。彼女の剣技はいっそ舞踏のようで、暗闇に不吉な金の残像を描き出す。

 

 晩年、彼女は神々の物語から忽然と姿を消した。だがある時を境に、残光はとある闇霊が齎した恐怖と共に不死の記憶に染み付く事となる。

 きっと、君がそうなのだろう?

 

 

 

 




アルトリウスの台詞は没ボイスのものです

百合ばかりの番外編を

  • 見たい。百合こそ人類の宝、ダークソウル
  • いやぁそうでもないっすよ
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