「ハッハハハハハッ! お前という奴は、どこまで愉快になれば気が済むのだ! ハッハハハハ!」
ウーラシールの裏庭に男の高笑いが響く。マスクに刻まれた表情通りの軽快な笑いは、その男の言葉も相まって私を酷く苛立たせた。
亡者顔の私はプルプルと震えて血管を浮き上がらせるも何とか理性を保って怒りを抑える。ここで斧槍を振り上げるのは簡単だが、そんなものに意味は無い。今欲しいのは情報だ。
無謀にも空飛ぶ黒竜に挑み焼き殺された私は、その後何度も再戦したのだが。悲しいかな、あの黒竜は自分の武器をよく知っている。飛んでいれば人間如きでは手も足も出ない。
死んで落とした
故に、私は目の前で自分を嘲笑う……と言うよりも指を差して大爆笑する男に聞かねばならない。
「もう笑うのは良いから。あの黒竜をどうにか地べたに落とせないかしら」
疲れたように尋ねれば、素晴らしい男はスッと笑いをやめて考え出す。その仕草がまぁ態とらしい。
「そうさなぁ……無い事もないが。情報には対価が無ければなぁ」
言うと思った。守銭奴め、そんなに欲しければくれてやる。私は
チェスターは有り難くそれを手にすれば、気味悪く笑ってソウルを握り潰し、彼独自の何かに変換してみせた。握り潰した時、本来ありもしないはずの血が滲み出したのはどういう事だろうか。
「お前、鷹の目は知っているだろう?」
「四騎士の?」
鷹の目ゴー。それはアノール・ロンドの四騎士の一人。四騎士の中で唯一の巨人であり、弓の神とも比喩される伝承だ。彼はその腕を見込まれ、巨人でありながら大王グウィンの騎士となった。だが悲しいかな、蛮族として有名な巨人を信仰する人は少なかったのだろう、今では碌な記録が残っていない。
そうさ、とチェスターは言ってからアルトリウスと戦った闘技場を指差す。
「あの闘技場に鍵が掛かった塔があっただろう? 奴は今、あそこに閉じ込められている」
「閉じ込められてる?」
くつくつと笑うチェスターは、
「愚かなものさ。ちっぽけな誇りのために味方を閉じ込めるなどと。人も神も変わらぬな」
と見えぬ何かを嘲笑う。そういうものだろう、感情などというものは。
「今も弓を握れるかは知らんが……まぁ、もうそろそろその姿にも見飽きた頃合いだ。奴に助力を求めるのも良いだろうな。クックック……」
いけすかない男だが、情報は情報だ。もし仮にあの塔に鷹の目がいるのであれば……それは強力な助けになるはずだ。神も竜は好きではないはずだから。故に竜狩りを行っていた。
市街で拾った鍵はここの塔のものだったらしい。
近場の篝火で生者へと戻り、闘技場の封じられた扉を開ける。長い螺旋階段を登れば、闘技場の外壁の頂上へと辿り着いた。
深淵にさえ呑まれていなければこの風景ももっと良かったのだろう。陽は森を照らし、しかしその奥底からは抑えようもない闇が溢れているのだから。
この国の未来は変えようもない。私達が知るように、そのうち暗い森と化すだろう。だがそれは自業自得。深淵に魅入られ利用しようとしたあの姫君の父の業だ。
さて、鷹の目がいるであろう塔の扉を開ける。すると、開ける前から何かが聞こえてくる。
シャリシャリと、何かを削る音。それはいつしか外の世界で見た家具職人が気を削る際に奏る音にそっくりだ。
しかし一体どうやって巨人をこの塔に幽閉できたのだろう。どう考えても巨人が通れる広さはない。
そんな事を考え、扉を潜り梯子を登ればそれはいる。
「……ほう、訪問者とは珍しい事もあるものだ」
それは物静かに、振り返る事もせず語った。
大きな身体は巨人の現れ。しかしその手には弓はなく、代わりに木材と小ぶりなナイフが握られている。何かを掘っているようだ。
周辺には彼が掘ったであろう何かと、そして得物の大弓が放置されていた。仮面は既に誰かの手により目の部分を塞がれており、それが巨人を妬む者達がしたであろうことは想像に難くない。
「貴方が、鷹の目ゴー?」
生者らしい、少しハスキーな地声が彼の耳に入れば、ゴーはほぅ、と何かに納得したように言う。
「もしやアルトリウスを解放してくれた御仁かな?」
その言葉から教養を感じる。巨人とは、その大きさに反比例して愚鈍であるというのが常だ。職人としては右に出る者はいないが、しかし碌な言葉も話せない愚か者であると。
けれど目の前の巨人は高い知能を持った特異例なのだろう。故にグウィンは彼を騎士として迎え入れた。
「どうかしら。殺す事と解放する事、それは同一で無いように思えるけれど」
皮肉混じりに答えれば、彼は静かに笑う。
「フフフ……それでもだ。闇にずっと囚われるよりは良かろうて。古い友の誇りを守ってくれた事、礼を言わねばなるまい。貴公に感謝する」
物静かな隠居人。それが彼に抱いた印象だった。しかしその鍛え抜かれた身体はいつでも敵となるものを叩き潰せるのだと物語っている。敵に回さない方が良いだろう。きっとセンの古城にいた巨人などとは比べ物にならないはずだ。
「そう。有り難く御礼を受け取るわ」
「だが……私は最早物も見えず、隠居の身。残念ながら役立たずであろうが……出来ることは、これをくれてやるくらいだ」
そう言って鷹の目ゴーは積み上げられた木彫りの何かを指差す。よく見ればそれはウーラシール市街でオスカーが拾っていた人面だ。
現代アートのような表情のその人面は、しかし豊かな貌をしている。こんにちわ、ありがとう、助けてくれ。彼が何を思ってこれを掘ったのかは知らないが。
ふと、その時だった。遠くであの忌々しい黒竜が飛ぶのを目にする。相も変わらず自由に飛ぶものだ。しかし……鷹の目が物を見えないと言うのであれば、どうしたものか。撃ち落としてくれる事を期待したのだが。
目の見えぬ鷹の目の耳に黒竜の鳴き声が入ったのだろう。彼もまた、黒竜の方へ首を向けた。
「ふぅむ……今日は一段と活発だな」
「本当、忌々しいわ」
何度殺された事か。焼き殺された時の痛みをまだ覚えている。それで心折れるほどヤワじゃないが。
「……貴公、もしやあの黒竜に難儀しているのではないか?」
不意に、ゴーが私の言葉に苛つきを感じたのか質問してくる。
「……そうね。何度も痛い目に遭わされているわ」
「うむ、やはりそうか」
鷹の目は飛び去る黒竜を指差せば、言う。
「あれの名はカラミット。かつてアノール・ロンドですら見逃した恐ろしい竜だ」
「身をもって思い知ったわ」
「人の身で挑むとは……計り知れる物ではないが……」
ふむ、と言って彼は一度自らの大弓を眺めた。目には見えぬも、しかしそれはそこにある。
「だが貴公、諦めるつもりはないのだろう?」
その問いに、当たり前と即答した。やられっぱなしは性に合わない。それにあの強大な
私の意気込みに、しかし彼は感心したように笑った。
「……ふはは。よい、よい。だがそれを確かに勇と言うのだろう、気に入った」
言うや否や、彼は立ち上がった。やはり巨人は大きい。太陽を遮る彼は覚束ない足取りで大弓まで歩けば、それを手に取る。
「アルトリウスの礼もある。貴公に、ゴーの竜狩りを見せてやろう」
「大丈夫なの?」
置かれている矢を手探りで取る彼に投げかける。だが不思議と不安は無かった。彼ならばやってくれるという安心感があるのだ。
彼は笑い、むぅううん、と大きく弓を引く。人なら引く事もできぬほどに強大な弓は、ギリギリと音を発ててその時を待つ。あぁ、これが神の時代。なんと勇しく、恐ろしいものか。
しかしそんな者達も恐れた人間性とは、闇とは、一体何なのだ。
黒竜がまたやってくる。知りもしないだろう。外敵も居らず、まさか自分が狩られる対象であるなどと、思ってもいないだろう。
慢心は身を滅ぼす。久しぶりにその事を思い出させてくれたあの竜は、身を以て知ることになる。
「おあああッ!!!!!!」
ゴーの雄叫びが響き、次の瞬間。矢が放たれた。矢とは思えぬ轟音を響かせ、寸分違わずあの黒龍へと飛んでいく。それは正しく鷹の目。目が見えずとも、それが何だと言うのか。彼はただ心眼で狙うだけ。
そして太矢は竜の翼を折る。翼を射抜かれ痛みと驚愕で驚く黒竜は、そのまま姿勢を保てず地に落ちていく。
私はその光景に唖然としていた。正直当てにはしていなかった。ちょっと有利になれば、それくらいにしか思っていなかったのだ。
だが彼はその名に相応しい竜狩りを見せてくれた。確かな手応えを感じ、少し興奮気味な鷹の目は振り返れば、グッと拳を握り喜ぶ。
「ふはっ、見たか! 見事命中だ!」
だがその興奮もすぐに冷め、ゆっくりと弓を置けば、彼はまた座り込んでナイフと木彫りの人面を手にする。
「いかにあれとて暫くは飛べぬだろう。あとは貴公の武勇次第、良い知らせを待っておるぞ」
そう言うと彼は人面を彫り出す。最早この巨人の役目は終わったのだと、その静けさは物語っていた。
私は頷き、ようやく掴んだ一筋の光を逃すまいと走り出す。そんな私を見送るように、彼は呟いた。
「竜に挑むは、騎士の誉よな……フフ……」
竜狩りの気持ちが少しは分かったかもしれない。狩人は獲物が居てこそ狩人なのだ。神々は古竜を嫌ったかもしれないが、騎士達は違ったのだろう。
それは確かに、自分達の存在する理由だったのだから。
翼を穿たれた黒い竜は、怒りに満ちていた。
彼は痛む翼から矢を抜き取ろうとするも、返しのついた矢は抜こうとするほどに傷を付ける。だがそれでも、自らを狩ろうとする神々の軍勢がいるのだからそうも言っていられない。
赤く光る単眼に涙が溜まる。どうして自分がこんな目に。火の無い時代であったならばこの身体が傷つくことなど無かったのに。どれもこれも、あの王達と裏切り者の白竜が悪い。
強引に矢を引き抜けば、そこから暗い血が噴き出る。おかしいな、血を流すのは久しぶりだったがこんなにもドス黒いものだったか。最近は無謀にも挑んでくる人間共を食していたからそれが影響しているのかもしれない。
そういえば、あの何度も挑んでは自慢の炎に焼き殺されていた小娘が来なくなった。久しぶりの挑戦者だから少し心を躍らせていたが、きっと死に過ぎて心が折れたに違いない。ならば今は、自身の翼を穿った神の軍勢から姿を隠さなければ。ここは何やら良からぬものがあるから、神の軍勢もおいそれと手を出せなかったのに……
不意に、それは現れた。
灰のような髪。黒ずんだショールを羽織り、手にするは背丈に似合わぬ斧槍と短刀。
それは深淵の主すら屠った不死の乙女。だがカラミットは知らぬ。その乙女を単なる人間としか思っていない。だからこそ、彼は慢心したのだろう。
狩る者とは、時に狩られる者であると忘れているのだ。
黒竜は大きく咆哮すると赤い単眼をこちらに向けた。
鷹の目が穿った翼を見れば分かる、あれでは長くは飛べまい。少なくとも前のように一方的に飛んで炎を撒き散らされる事は無いはずだ。あの炎は、自らも蝕む暗い炎。で、あるならば懐に潜り込むのは弱い人としての闘い方。
私は一気に走り、こちらに向け炎を伸ばそうとしている黒竜の足元に入り込んだ。そしてすれ違いざまに黄金の残光で足を斬りつける。
カラミットは炎を吐き終えると、背後に回り込んだ私に振り返った。鬱陶しいと言うような視線と共に尻尾が振り上がる。その様はまるで虫を振り払う人間が如く。
轟音と共に尻尾が地面に振り下ろされれば、しかし私には当たるはずもない。慢心しきり、空を飛びすぎて振り方を忘れかけた鈍重な尻尾など。お返しとばかりに斧槍の縦切りを尻尾の根元目掛けて振るう。
黒竜の咆哮は、最早悲鳴とでも言えば良いか。
光る楔石という規格外の素材により鍛え上げられた神々の兵士の斧槍。それは最早、断ち切れぬ物など無い。故に大木のような尻尾でさえも容易に断ち切ってみせたのだ。
あの時の白竜のように、やはり古竜の身体は武器となり得る神秘を帯びている。千切れた尻尾はしばらくのたうち回ると大剣へと形を変えた。
痛みに震える黒竜は、やはり私を睨んでいる。そして徐ろに後ろ足で立ち上がってみせた。
最初は炎が来るのかと身構えたが。繰り出されたのは赤い瞳の呪い。その瞳に魅入られた私の身体が宙を浮けば、私の魂に呪いをかけてみせたのだ。
黒竜カラミットが災厄と言われる所以。それはこの呪いにある。相手の存在を歪ませ、物理すらも歪めるそれは受けた傷を増大させるのだ。
「このッ……」
だがそんなもの何も問題にはならない。重武装の騎士ならばいざ知らず、私は機動力に特化した存在。ならば当たらなければどうと言うことは無いのだから。
宙に浮かされた私はそのまま近づいてきた黒竜の頭に斧槍の刃先の返しを引っ掛け、そのまま引っ張る。すると私の軽い身体は容易く空中で跳躍し、黒竜の後頭部に乗っかった。鉤爪でもあればもっと楽にできたかもしれないが。
黒竜が驚いたように咆哮をあげた。暴れる前に、私は黄金の残光をその皮膚に突き立てる。突き刺しには特化していないその曲剣は肉に達したところで止まってしまったが、それで良い。
滑り台のような背を、曲剣を突き立てながら駆け降りる。するとどうだろう。黒竜の背中がばっくりと裂かれるのだ。曲剣に引き裂かれた皮膚からは黒い血が噴き出て堪らず黒竜は地に伏した。
着地した私は、素早く黄金の残光を背負うと斧槍を両手で構える。運よく仰反る形で倒れた黒竜の頭が、背後の私の目の前にあるのだ。
「散々馬鹿にした罰よ」
斧槍を脇に構え、突進する。黒竜に余力は最早残されていない。ぐでっと力なく倒れたその頭に、斧槍の刃がまるごと突き刺さった。
鼓膜が破れるかと思う程の断末魔。それに屈せず斧槍を捻り、更なる致命傷を与える。
竜の脳というものがどういう構造になっているかは知らぬが、それでも斧槍の刃がまるごと頭蓋に突き刺さっているのだ。その激痛は想像を絶するものだろう。
強引に斧槍を引き抜き、痛みでのたうち回る黒竜からローリングで距離を取る。
黒竜は暴れ回り、痛みをかき消すように空へと炎を吐き捨てた。吐き捨てて、そのまま事切れて地面へと倒れ込むのだ。
如何に生命力に長けようとも頭蓋をかち割られれば死ぬ。それは生き物であるならば当然の事。
故に黒竜は
完全にカラミットの亡骸が消え去れば、私に掛けられていた呪いが解かれる。私は大きく息を吐き出すと、その場に座り込んだ。
「はぁ〜……ようやくね」
格好良い事を羅列して見せたが、ようやく心がスカッとした。あれだけおちょくるように人を焼き殺していた奴を殺したのだ。誉とか竜狩りとか高尚な事を言う前に、スッキリしたと言うのが本音だろう。
おまけに尻尾からは大剣を見出せたから、莫大な
オスカーあたりに渡したら喜ぶかもしれない。何やら力に飢えていたようだし。一先ず元の時代に戻ろうか。
そこまで考えて、とりあえずはあの鷹の目に報告をしようと考える。彼もまた、竜狩りに生きた巨人である。ならば私の戦果を喜んでくれるはずだ。
太陽の戦士。それは世界の垣根を超えた勇猛な戦士達のことである。
彼らは友誼を結んだ者達を助けるためには助力を惜しまない。故にどんな絶望的な状況であろうとも、彼らは友のために剣を振るい続ける。そして役目が終わればお決まりのポーズと共にメダルを渡し去って行くのだ。
オスカーもまた、太陽の戦士として様々な世界の同胞に手を貸していた。
迫るダークレイスに大剣を振るう。見た目以上に長いリーチは、転がって回避する闇霊の背中を斬り裂いてみせた。
カウンターを狙いに来るダークレイスに回転斬りを見舞う。本来ならばこの剣にそのような剣技は存在しないが、オスカーは実際にこの剣の伝承の基となった英雄と戦い、その剣技を盗んでいる。
素早く薙ぐように回るオスカーの刃は、ダークレイスの胴を両断してみせた。
遠くから魔術を放つダークレイスには剣は届かない。しかしながら、信仰に長けた彼はタリスマンを取り出すとそれを掲げ、新たに得た力を振るうのだ。
奇跡、雷の槍。かつてグウィン王が竜狩りに際し用いた伝説の一撃。それは太陽を信仰する騎士達に語り継がれ、いつしか太陽の戦士達の武器となった。
ソラールから伝授されたその奇跡は、オスカーのタリスマンに槍として宿る。それを勢い良く投げれば、寸分違わず魔術師の胸を貫き蒸発させた。
太陽の戦士として誓約を結んだオスカーは、その勇猛さを他世界でも遺憾無く発揮していた。
彼は強い。今までの特定の相手が相性が悪かっただけで、その実力はダークレイスと呼ばれる魂喰らい共を相手にするだけならば負け無しと言える程のものだ。
「助かったよ、ありがとう」
この世界の同志が、黄金に輝く霊体のオスカーに感謝を述べる。霊体は喋れないので、上級騎士は太陽の戦士特有のYの字ポーズで返答すればメダルを分け与えた。
こんな事を、もう数十回繰り返している。全ては力を得る為に。その過程で人助けができるのであれば、それはとても良いことではないか。
故にオスカーは戦い続ける。ダークレイスから奪った
「貴公、あの竜を討ち滅ぼしたか」
相変わらず木彫りの人面を作り続ける鷹の目は、しかしその声色を少し高くして語った。
「貴方が撃ち落としてくれたおかげよ。礼を言うわ」
サンキュー、と人面を転がし人面に代理で礼を言わせる。すると彼は老人のように笑ってみせた。
「それは良かった。貴公程の腕前、アノール・ロンドでも稀有だったろう……そうだ」
彼はその巨体を起き上がらせれば、近くに立てかけられている大弓へと足を運ぶ。そしてそれを手にすれば、何だか思い詰めたように弓を撫で眺めた。
しばらくそんな光景を見た後、鷹の目は
「竜なき今……もう、私には必要のないものだ」
鷹の目より、大弓を授かる。私はそれを受け取れば、試しとばかりに弓を引いてみせた。かなり重いが、ギリギリ引ける。そっと弦を戻せば、彼に問う。
「良いのかしら? 貰えるものは有り難く貰うけれど」
「うむ。世捨て人よりも戦士に使ってもらった方が弓も喜ぶに違いない」
そう、とだけ私は答えてゴーの大弓を
彼からの贈り物を貰い、私はとうとうこの世界から去る事を決意する。あの素晴らしい男には挨拶などいらないだろう。キノコ人にも、別れは済ませておいた。過去を去り、今に生きる時が来たのだ。
それ以来、鷹の目の姿を見た者はいないのだという。それもそのはず、ウーラシールは深淵に飲まれてしまったのだから。その場にいた彼の運命も想像に難くない。
だが、その遺志は確かに継承したのだ。この大弓という形で。戦士というのは、真それで良い。散っていった者の遺志を継ぐ事こそ、誉も生きるのだ。
DLC編終了。次から本編に戻ります。
百合ばかりの番外編を
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見たい。百合こそ人類の宝、ダークソウル
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いやぁそうでもないっすよ