休息を取り、王国へと向かうために先を進む。どうにもこの場所の時空は捻れ曲がっているようだ。この洞の上を見上げれば、まるで昔の病み村が如く上空から僅かに光が差し込んでいる。
やって来た時はまだ真夜中だったから、やはり時空がおかしい。休んでいた時間を加味しても、まだ朝にもならんと言うのに。
隙間の洞、というくらいだからここは高所に位置しており、おまけに薄暗く道も狭い。だが病み村や大樹のうつろと違って気を許せば落下死するというような狭さではない。不死にとって一撃で死ぬ要因となる落下は、できればしたくは無い。
火が消えた燭台が所々にある。元は何か宗教的な意味があったのだろうか。まぁ別にどうでも良いが。
そういえば、火防女の家に入る前に見つけた巨大な足跡だが。先程戻って確認したが、あれはサイクロプスと呼ばれる一つ目の怪物のものだった。
どうやったらあんな怪物が生まれるのか分からないが、いつの時代にもきっとイカれた錬成者がいるのだろう。見た目は巨漢で真っ白く、一つ目でありまともな生態系ではない。腕っ節も強いし人間を捕食するらしいから恐れられているが、鈍重だから大したことはない。
だがその報酬が黄金松脂とは、シケている。
しかし本当にここは亡者に溢れている。この隙間の洞だけでも数体の亡者と出会し、その都度私が殺すハメになる。
落ちていたダガーを拾い、さくっと隣にいた亡者を刺し殺す。ふむ、一方的な殺しには少し飽きたな。
「だがサイクロプス二体同時というのもなぁ」
高台から、洞の外れにある砂浜を眺める。そこに屯うは先程倒したサイクロプス二体。まぁこの私があれしきの輩に負けるはずなど無いが、それでもショートソードとダガーだけで戦うのは骨が折れるというものだ。
ロードランで手に入れた武器防具のほぼ全ては、あの時の戦いに負けた事で消え去ってしまった。きっと心が折れて無意識的に所有権の殆どを手放してしまったんだろう。参ったものだ。せめて杖があれば良いのだが。追う者たちで瞬殺してやれるのに。
「仕方ない、今は先を急ぐとしよう……おい一つ目の不細工共、見逃してやった事に感謝しろっ!」
一人、高台から叫ぶも奴らは反応しない。耳が悪いようだ。つまらない奴らだ。言葉とは正しく人の叡智の表れ。人間性の極みだ。
まぁ急にサイクロプスから紳士的な会話をされても私としては反応に困るから殺すしかないんだが。
さて、そんなこんなで隙間の洞はあっさりと終わる。きっとここにはその内戻ってくるはずだ。道を塞いでいた石化した亡者も気になる。バジリスクでもいるのだろう。
進む毎に、段々と差し込む光が強くなる。この先で見えるは希望か、それとも絶望か。どちらも似たようなものだろうが。
そこは、まるで黄昏時のように陽の射した、海岸沿いの集落だった。
断崖にあるこの土地は、しかし今は人など殆どいないのだろう。廃墟がいくつかと集落の中央に底すら見えぬ大穴があるだけ。唯一目につく何かのモニュメントは役に立っているようには見えない。ここはもう、終わってしまった土地なのだ。
ざっと見ただけでもこんな感想だ。最初こそ、ロードランの火継ぎの祭祀場のような場所かとも思ったが……寂れ過ぎだろう、この様は。
一先ず私は篝火を探すことにした。何をするにせよ不死の拠点となる篝火は必要不可欠。そしてそれは、案外あっさりと見つかる。
集落の中央、開けた場所にポツンとあるそれは、紛れも無く篝火だが。その横に、誰かが佇んでいる。
「ふむ……」
近寄りながら、次第にその姿が鮮明になれば私の人間性が悦び始めた。フードをしているから顔は分からぬが、シルエット的にあれは女性だ。それも佇まい的に知性があると見た。うむ、あれはまともな女性だ!
思わず顔に笑みが浮かぶ。あの憎たらしい薪の王に敗れてからと言うものの、数百年も亡者として各地を転々としていたせいでろくに少女達と戯れていないのだ。せいぜい町娘達を遠くから見ているだけだった。
だが今の私は違う。あの頃のように美しく、闇に咲く白百合が如く。見よ、この美貌を。いや美貌とか自分で言うのもおかしいが、それでも私はそんじょそこらの女よりは綺麗だと思うぞ。でなければあの薪の王も私に惚れなかったはずだ。
「……貴女は、継ぐ者ですか?」
「はい?」
話し掛ける寸前、逆に彼女から声を掛けられた。こちらを向く彼女は未だフードを被っているが、見える限りでは顔立ちが良く、少し目元がつり上がっており強気なイメージがある。滅茶苦茶美人じゃないか!
「それとも……ただ運命に流されるだけの……?」
「あの、ちょっと?」
美人でも変わり者なのだろうか。それともこちらの話を聞かないだけか。なぁに、ロードランにはよく居たよ。それにちょっとくらい癖が強い方が一緒に居て楽しいじゃないか。
「呪いを纏う方。私は貴女の側にいます。その小さな希望が折れてしまうまで……」
「なに!?それは本当か!?」
希望が折れてしまうまで一緒にいてくれると言われ、思わず喜ぶ。だって私は基本的に心は折れないから、即ちずっと彼女は私といてくれると言うことだ。こんな見ず知らずの不死を口説きにくるとは……この子は相当な物好きだな。それとも私の美貌にやられたのだろうか。
ぐいぐい迫る私に、しかし彼女は顔を背けた上に手で私を押し返した。むぅ、少し気が早かったか。
「あの……何か、勘違いされているのでは」
「……なんだと?」
真面目に首を傾げる私に、彼女は懐から一本の瓶を取り出した。それは、懐かしい死の補充。エスト瓶だった。
彼女はそれを私に手渡す。温もりが、伝わる。篝火から齎された死の温もりと。火防女が齎す不死への優しさ。このどちらもが、私の脳を刺激した。
「……君は火防女か」
側にいるとは、そう言うことか。あの、なんだ、パートナーとしてずっと一緒にいるとかそういうあれじゃ無くて……飛んだ早とちりじゃないか。物凄く恥ずかしいんだが。これじゃあ思春期の少年みたいだ。
だが彼女から火防女らしい気配がしない。普通なら分かるはずだ。不死と篝火は互いに繋がる。そして篝火を護る火防女とも、自ずと繋がるようになる。だから
彼女が普通の人では無いとは分かってはいた。その
「これをお持ちなさい。貴女の旅の助けになるでしょう」
「女性からはもっと愛のあるプレゼントが欲しいが。まぁ良い、貴公のエスト、貰い受けよう……」
彼女のエスト、というのは何とも意味深だが。
「呪いを纏う方。力を得て、王に会いなさい。かつてこのドラングレイグを興し、
私の魂が強張る。王。その言葉の持つ意味を、私は知っている。かつて王への道を歩もうとし、そして為せなかった女である故。
嗚呼、ここでも私は王に纏わる何かを為さねばならないのか。それが報われぬと知って。だがそれも良い。どうせやる事も無いのだ。不死の暇つぶしとしては良いかもしれない。
だが、聞くところによればここドラングレイグは既に亡国なのではなかったのか。
「ボンクラだかなんだか知らんが……暇を潰せるのであれば良いさ。どうせ先は長い、ロードラン以上に暴れてやる」
「……ロードラン?」
緑衣の彼女が首を傾げる。まぁ分からなくても仕方が無い。今やあの時代の出来事や神々に至るまで、殆ど記録が残っていないのだから。なんと無情な事か。あれ程までに策を練り、人を追いやり不死を蔑み。そうして得たものが何も無いなどと。
まぁ神々なんてそんなものだ。さっさと死ねば良いのだ。
「気にするな、知る必要はないさ。さて……王を求めるのであれば、どこへ行けば良いかな?」
彼女の横に置かれた岩に座る。この地は初めて故に王へと至る為にどう進めば良いかなど分かるはずもない。
火防女……と呼んでいいのか分からぬが、緑衣の彼女はそんな私をブラウンの瞳で見据えて語り出す。
やけに寂れた小屋だ。あの子……緑衣の巡礼よりこれからなすべき事をざっくりと抽象的に言われ、ひとまずはこのマデューラを探索しようとしたのだが。
すぐ側に小屋があったから来てみれば、扉は開いておらず、近くにガタイの良い亡者らしい不死がいるだけ。どうやらまだ理性はあるようだが。
「貴公は……鍛冶屋か」
そのガタイにエプロンといい、料理人には見えぬ。そも、不死とは食事を摂らぬもの。摂ろうと思えば摂れるのだろうが、不死になる前にあったはずの欲求はとうに消えている。
私の問い掛けに彼は顔を上げて、しかしまた質問で返される。
「何だお前は?」
「私が聞いてるんだよ」
ドラングレイグも大概人の話を聞かない者しかいないな。慣れっこだが。
「誰でも構わんわ、ここの扉を開けてくれ」
「何だ、貴公の店じゃないのか?」
ショボくれる彼の横に腰掛け、そう尋ねれば彼は首を横に振った。
「空き家と思い、商売道具を一式置いておったのだが……知らぬ間に誰かが鍵など掛けていきおって」
「空き家と言えど他人の家を使っていた者が言う言葉では無いな。まぁ良いさ、どれ、一丁試してみようか」
呆れながらも私は立ち上がり、腰のポーチから針金と薄い鉄の棒を取り出す。そういえば、ロードランでもこうして手先の器用さを利用して道を開いたんだったか。懐かしい思い出だ。
不思議そうに見守る不死の鍛冶屋の視線を受けながら、私は二つの道具を器用に使って解錠に掛かる。うむ、あまり難しい鍵ではないようだ。
しばらく勘を取り戻すかのように弄り回すと、突然鍵が開いた。あら、思ったよりも簡単だったようだ。
「オラァ!開いたぞ」
扉が渋いせいで蹴り開ければ、鍛冶屋に声を掛ける。すると深緑の亡者顔をした鍛冶屋は満足そうに、
「よしよし、よくやった。これで仕事を始められるわい。ワシは準備にかかる。後でまた来い」
「感謝は無しか。まぁ不死らしいが」
むしろ感謝される事自体少ないのだが。
防具屋、というボロい看板を見つけて足を運ぶ。それは中央の大穴を挟んで反対側にあった。
どうにも辛気臭いが、人はいるようだ。よくもまぁこんな場所で商売などできるものだ。ロードランよりも人通りが少ないだろうに。
「頼もう!」
そんな場所が少し気になった。久しぶりの生身ライフ、私はいつも以上に元気良く入店する。そうすれば、中で何かの作業をしていた青年の不死が私を見て窶れた顔を笑みに染めた。
「え、あ、あの!ようこそ防具屋マフミュランへ!ぼ、防具は如何ですか!?」
どうにもその青年は商売に慣れていないようだった。まぁそれは良い。何事も初々しいのは見ていて微笑ましいではないか。
うむ、と私は言って壁に掛けられた防具の数々を品定めする。一級品とは言えぬが、それなりに腕は立つらしい。長く放浪した私の目から見ただけでも、魂が感じられる作品が多いようだ。
「す、すみません、良かったら見ていってください……あの、お願いですから、助けると思って……何か買ってくれませんか?」
私は笑いながら彼を見ずに品物を見続け、諭す。
「仮にも職人だろう、もっと堂々としたらどうだ。それとも自分の作品に自信が無いのか?」
「い、いえ、そんな事は」
「……冗談だ。だが商売人であるならば態度は重要だ。覚えておくと良い」
まるで老人の説教だ。いつから私はこんな説教臭くなったのだろうか。それもまた人であるから仕方は無い。人は変わる生き物なのだから。
さて、そうこう言いながらも私は防具を見定める。今まであまり防具に頓着は無かった。今でもアナスタシアから貰ったフードは大切に
思えばここに来るまでの長旅で今着ている服もボロボロだ。異邦の服は擦り切れ、だが私が着るとそれはそれでオシャレ。できればデザインと実用性を両立させたものが欲しいんだが。
と、そんな私の目に入って来たのはハードレザーブーツ。うむ、これならばタイツのようで私の美脚が活かせるし、膝当てがあるから高所から落下してもそれなりに衝撃を殺せる。というか生身になってから私昔話と自分の美貌しか自慢してないな。
「これをいただこうか」
ブーツを手に取りそう告げれば、彼は喜びに声が震えた。
「ええ!ええ!ありがとうございます!」
安過ぎる値段だが、まぁ彼としては別に良いのだろう。売れた事に意味があるのだ。職人とは、認められる事が生き甲斐故に。
もう一軒、入れる建物がある。本当なら防具屋の隣にある大きな家も探索したかったが、どうにも鍵が無いと扉が開かないようだ。自慢の器用さもあれだけ複雑な鍵では歯が立たない。まぁ二階のテラスまでよじ登れば入れない事も無いのだが、それは人間性がやめろと警告してくるのでやらん。
小さいけれど保存状態の良い建物に入る。すると、そこには人は居らず。居たのは毛並みの良い猫だけだ。昔出会ったアルヴィナとは違って、何というかこう、上品な猫ちゃんだ。
「あらあら、猫ちゃんこんにちは」
不死である私もモフモフな可愛い動物には弱い。机の上にちょこんと座る猫ちゃんが可愛らしくて、私は両手でその猫を抱き抱えようとするが。
「あらあら、不死に抱き抱えられちゃうわ。うふふ」
目の前の猫が言葉を発した。久しぶりに喋る猫を見て、私の腕が止まる。もしやまた暗い森で狩猟団でもやらされるのか私は。嫌いでは無かったが。
「……貴公、只の猫では無いようだ」
「ウフフ、おかしな人ね。猫に只も何もあるのかしら。ウフフ……」
「それに……とても魅力的な女性だ」
そう。この猫が発する声は女性そのものだ。とても気品に溢れていて、塞ぎ込みがちな不死には無い余裕がある。可愛くて声も美しくて惚れそうだ。でも猫は対象外ではあるのだが……
私は彼女の前に置かれた椅子に座ると、不敵な笑みを崩さぬままに彼女と会話する。
「でも、貴女良い匂いね。好きよ、そういう匂い……フフ……」
「それは光栄だ。私も貴公のような得体の知れぬ猫もどきの女性は大好きだよ。ああ、皮肉ではないぞ。事実私は半竜の女性と愛を深めた事もあるんだ」
「あらあら……口説かれちゃったわ。
こういうミステリアスな女性と話すのは嫌いじゃない。それに、やっぱりこの猫は少しおかしい。人語を話す時点で色々おかしいのだが、そうじゃなく、
けれど、攻撃的な色はない。むしろ、歓迎されているようだ。
しばらく彼女と談笑し、取引をする。色々と珍しい指輪を売っているようだが、いかんせん貨幣の代わりとなる
「あら貴女、あいつらに会いに行くの?」
「あいつら?」
会話の流れで、彼女は言う。
「ずっとずっと古い、四つのもの」
それは緑衣の巡礼から齎された私の新たな使命。猫であるはずの彼女は、まるでその四つの偉大な
「カビの生えた退屈な連中よ。だって誰も名前すら覚えてないのよ?おかしいじゃない、フフフ……」
四つのもの。きっと彼女が言っているのは今私が課せられている使命による四人では無いのだろう。今、私が打ち倒すべき四つの偉大な者達。それは緑衣の巡礼が語ってくれたように名は伝わっている。
忘れられた罪人、腐れと呼ばれる何か、ジェルドラ公、そして鉄の古王。それが狩るべき相手。
彼女は、知っているのだろう。それらの下地になっている、もっと古い何者かを。そしてそれは、私も知っている。出会っている。
「名や姿ならば覚えている」
「あら、そう?でもどっちにせよ貴女とは大違いね。だってそうじゃない?貴女のことはずっと覚えられているもの……ウフフ」
どうにもミステリアスな猫ちゃんだ、このシャラゴアという女性は。
海岸沿いの石碑に、とある男が腰を据えている。最初に見た時はかつて火継ぎの祭祀場で燻っていたあの不死にも見えたが、奴と違って彼……ソダンという不死は礼儀だけは正しかった。話せば話すほど奴のようにネガティブではあるが。
どうやら彼もまた、不死の呪いを解く為にこの地へ来たようだが、何も成せぬまま絶望しているようだ。
知りもせず、見もせず聞きもせず。けれど勝手に絶望する様は見ていて気分の良いものではない。人とは学び成長するものであると言うのに。不死にはそれしか無いと言うのに。
「全部嘘っぱちなんですよ……」
「そうか。まぁ精々そこで私が偉業をなすのを見ているが良い」
話すだけ無駄だ。言い返してこない段階で、あの不死よりもタチが悪い。あいつは最後は挑んで見せたというのに。こうも口先であーだこーだと。
さて、私が知らぬ間に篝火というものは進化を遂げているようだ。
王の器の効力などとっくに切れているというのにも関わらず、篝火同士のパスが開かれているようで一度篝った場所であれば転送ができるのだ。これは良い、マデューラに帰る為に徒歩で移動する無駄が省ける。
更にある程度時間を巻き戻す効力でもあるのだろうか、篝火で休めば武器の耐久も復活する。逆に言えば、篝火が無ければ前のように自力で修理しなくてはならんが。修理の光粉もあの薪の王に取られてしまった。あいつ私の事好き過ぎだろう。
メラメラと燃える篝火に、奪った
「……あれ、強化できないぞ。どうなっている」
篝火で強化できない。もしや長い年月で進化を遂げた代わりに退化したのだろうか。それは困る。まぁ今のままでもあの頃とキレは変わっていないから苦労はするだろうが何とかなるだろう。仕方ない。
「……楽しみが一つ減ったな」
不死にとって楽しみが減るというのは大問題だ。特にロードラン時代はこの強化が私の生き甲斐の一つだったのに。
と、そんな時。不意に緑衣の巡礼が篝火の傍までやって来る。そしてボソボソと何かを言い出した。
「……
「うん」
でしたら、と彼女は言い、私の隣に立って何かを取り出す。それは古びた羽のようだ。一体何の羽なのかは分からぬが、見た所では何かの力を帯びているように見える。
「私の内に触れて下さい。
なんと。まさかこの地では火防女が強化を担うのだろうか。だとすればそれはそれで面白い。人と話しながら強化する面を考えるなど、まるで商売のようだ。
まぁ各地の篝火から強化できないからそれはそれで面倒だが……美人と話せるならば良いか。
「では、失礼して」
「ちょ、ちょっと」
ん?と、私は首を傾げる。もしや何かおかしかったろうか。内に触れて下さいと言ったのは彼女だろう。
「あの……下腹部を触られるのは、ちょっと……」
「……違かったか」
クールビューティな彼女が赤面する。間違えたとはいえ、それが見れたという事は中々……良いじゃないか。一瞬ムラッとしたぞ。
彼女が差し出す手を、こちらも祈るように取る。最早聖職者のカケラすらない私だが、祈る様はそれなりに映えるだろう?今の職業は浪人だが。それは職業か?
彼女が何かを唱える。すると私の内側が開かれるような錯覚に陥り、彼女の
「邪念を捨てて下さい」
「はい」
注意され、強化したい部分を想う。前までは少女に拘り過ぎていたから、ここは筋力でも鍛えるか。今の私はワイルドさに溢れているし。十分強い方だが。
だが、いくら時間が経とうとも強化されず。緑衣の巡礼は可愛らしく首を傾げた。どうしたというのだ。
「……
「え?」
ふと、考える。
腹立つ薪の王に敗れて全てを失った後に得た
火防女の手を離し、ちょっとだけ私は不満足そうな顔をした。決して彼女に向けたものではない。
「……貴女の強化の為にも、偉大な者を倒すのです」
「そうなるな。まったく、薪の王め……」
悪態を吐きながらも、とりあえずは進むしかないようだ。道は長い。とりあえず手当たり次第に進んでみようか。道中の亡者や異形共を狩り取れば少しは足しになるか。
「まずは、朽ちた巨人の森と呼ばれるかつての砦へ向かうべきでしょう……王が残した物が、何かあるやもしれません」
ふむ。ここの歴史はよく分からぬが、そういえばドラングレイグは海を渡った巨人と戦った歴史があるようだ。もし巨人の生き残りがいればそれなりに
巨人か。そういえば、アノール・ロンドの巨人鍛冶屋は元気にしているだろうか。もう随分と昔の話だが。
百合ばかりの番外編を
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見たい。百合こそ人類の宝、ダークソウル
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いやぁそうでもないっすよ