でも王はティシーちゃんです。ちいかわガールでプレイした私をゆるして
溜まりの谷。そこに最早人の住める場所などなく、泥と水の代わりにどう言う訳か谷のあちらこちらに毒が流れ込んでいる。
一度足を入れればその毒は皮膚にこびり着き、念入りに洗い流さなければ体内にも入り込んでしまう。厄介な事だ、ロードランにあった病み村もまた毒に満ちていたが、あれは人間性由来の毒である。純粋に人を殺すために用いられる毒とはまた違うのだ。
そんな不死人泣かせな溜まりの谷に、溜息しか出ないと思っていたのだが。
「アンタ、旅の人?」
見晴らしの良い場所に、この谷に削ぐわない程に美しい女性が一人岩場に座っている。
長い黒髪を一つに束ね、黒いドレスに身を包む若い女性は、同じく不死。けれど幸い死んだ事が無いのだろう、その身に溜まる呪いの薄さと人間性の濃さを覗き見れば不死になって間もないようだ。或いは、その美貌で上手く世渡りをしてきたのか。
大きく開けた胸元に目線が釘付けになりながらも、心のオアシスと化している彼女と会話を試みる。いかんいかん、どうにも彼女の身体は魅惑的過ぎる。緑衣の巡礼もこれくらいの露出度の高い服を着てくれないだろうか。きっと彼女のスタイルならば似合うはずだ。
「そんな所だ。君は?」
よく見れば彼女が手にしているのは何かの骨のようだ。人の手だろうか。そこから微かに漏れる
故郷の郷愁に駆られる不死ほど、案外呆気なく亡者と化すものだ。二度と戻れぬのなら、叶うはずもない。目的もまた、夢の中。だから絶望する。
私からすれば、あの火防女がそうなのだろうか。
「アタシは、クロアーナ。鉱石なんかを扱う商売をしてるわ」
「ほう、鉱石か。丁度欲していたんだ」
そう言うと、彼女はまん丸お目目をパチクリさせた。
「なに、石の良さが分かるの?」
「その石欲しさに色んな場所を旅したものだ」
楔石の原盤と塊集めは大変だった。あの頃は黒騎士の斧槍と黄金の残光を使っていたから必要なかったはずなのに、それでも集めた武器を使いもしないで強化したがるものだから……私のような不死人の悪い癖だ。それから少し、彼女と世間話をする。どうやらヴォルゲンの出身らしい。レニガッツと同郷か、似ても似つかぬが。
私はチラチラと胸に視線が移るのを抑えつつ、彼女の話を隣で聞いていた。案外初心らしく、それとなく隣に座って近づいても気にしない様子だった。可愛すぎか。
「ドラングレイグか……何でこんな所に来ちゃったのかな……なんか……思い出せないんだよね」
記憶は、どうやら消耗しているようだ。それも仕方ないかもしれない。何かに執着し、忘れないようにしなければ不死は全てを忘れる。何かに縋りつき過ぎれば、それ以外のことは全て忘れる。そんなものだ。私は幸運なのだ、きっと。
そっと、彼女の肩に手を回す。
「なら、その意味を今からでも見出していけば良い。この出会いもまた、その意味となり得る」
「なにそれ?アハハ、口説いてるつもり?」
冗談だと思われているようだ。まぁ出会ってすぐにこれは流石にやり過ぎたか。自分でも反省している。
けれど、私の下心に気づいていないのか、笑った彼女はそのまま私の肩に頭を預けた。急な温もりに私の心臓が跳ね上がる。え、どこでフラグを立てたんだ私は?フラグってなんだ?
まるで私の温もりを確かめるように彼女は密着する。心音を聞かれていないか心配だ。
「緊張し過ぎだよアンタ。もしかしてそっちの気があるの?」
「……どうだろうね」
正直に答えられない。ありますなんて喰い気味に言ったらそれこそ引かれそうだ。
「……まぁ、良いけどね。アンタの肩……なんか、落ち着くし」
「そう、なの?」
初めて言われて素直に疑問を抱く。そんな風に言ってくれるのは有り難いのだが。ならルカティエルにもこうしてやった方が良いのだろうか。あの子も案外寂しがり屋だからなぁ。
スッと、次の瞬間には彼女は離れた。名残惜しい気もするが、このままずっと寄り添われていたら手を出しかねない。ていうか、多分昔の私なら手を出している。絶対そうだ。ああムズムズする。何か別の事で発散できないだろうか。せめてこの谷がこの世の終わりみたいな場所でなければ……
前言撤回する。この谷はこの世の終わりなどではない。むしろ天国だ。
ボロ切れみたいな亡者と傀儡の巨人や僅かばかりのスケルトン(ついでにたまたま見つけたガヴァラン)は置いておくとして、ここには砂の魔術師という素敵な女性達がいる。
最早まともな会話もできず
敵であろうと関係が無い。それに、むしろ敵であるのなら遠慮はしない。そちらが悪いのだ。相手を間違えたのだ。私は少女に貪欲な白百合。貪られるのは自業自得。
亡者共の死体が並ぶ谷を、砂魔女の呪術を避けながら闊歩する。
彼女に近付けば近づく程に後退りされるも、砂魔女の背後は土壁だ。逃げる事は叶わない。
「さぁ、怖がらないで……私と一緒に闇へ堕ちよう」
クロアーナにお預けを食らって悶々としている私は最早獣。恐れをなしたか理性など無いはずの砂の魔術師は怯えているようにも見えた。
両手を広げて近付く私を目の前に、だが何を思ったのか砂の呪術師が組みついてきた。女性ならではの柔らかさと、亡者特有の力加減の効かなさが愛い。露出した胸は見た目通りの柔らかさとハリを感じさせ、私の胸とぶつかり合う。
そして、まさかの口付け。
そう、キスされた。向こうから私を受け入れてきたのだ。
「ん、む!……ふふ、んむ」
と思ったが、どうやらそれは一種の吸精のようだ。身体から力が抜けていきそうになり、けれど殺されるほど私は弱く無い。逆に私から舌を絡めて蹂躙する。これぞ玄人。百合の玄人。
まさかやり返されるとは思っていなかったのか苦しそうな呻き声をあげる砂魔女。そんな君も可愛いぞ。
唇を離せば淫靡で透明な橋が私達の間に掛かる。ルカティエルとの接吻も心を豊かにしてくれたが、魔女との口付けも猛々しく良いものだ。
「ぷはぁ……ふふ、恥ずかしがっちゃって、かーわい!」
満面の笑み(相手からは凶悪に見える)でそう呟けば、砂魔女が白目を剥いていた。あれ、あまりの気持ちよさに失神してしまったのか。或いは知らぬ百合に魂が溶け合ったか。……死んでる。
死んでしまったのなら仕方が無い。彼女の豊満な身体をもっと楽しみたかったが、死体を犯す趣味は無い。そんな冒涜、私の白百合としての思想が許さない。
「……まぁ、装備は貰っていこうか」
そう言いながら未練たらたらな私は砂の魔術師の衣装を剥ぐ。うむ、いつか絶対ルカティエルか緑衣の巡礼に着させてやる。
かつて、鉄の古王と呼ばれる偉大な王の妃がいた。誰もが認める美女であった彼女は、しかし古王の愛が自分以外の誰かに向けられていることを知ると狂ったのだという。
美しさは毒である。その毒を用いて、美しさを追い求めた妃は狂い果て、自らの傀儡を用いて人々を攫うなどをしたと。だが悲しいかな、その妃は狂気と毒故に異形と化したらしい。けれど、その美しさは保ったまま。
溜まりの谷に毒が流れ込んでいる原因が、今私がいるこの塔にある。
「それはそうと、これを着てくれないか」
「お前……イカれてるんじゃないか」
たまたま土の塔で再会したルカティエルに砂の魔術師の衣装を見せる。だがやはり彼女は仮面の下の表情を歪めて私を蔑んだ。やっぱりダメか……
ならばと
「どうだ?可愛いか?」
「……思った以上に似合っていて腹が立つ」
「またまた〜、好きなくせに」
ずいっとルカティエルに寄り私の胸を押し付ける。一瞬、その行為にルカティエルの心臓が跳ね上がった気がした。彼女と密着した肌が、服越しでもその鼓動を感じたのだ。これはもしかすると、もしかするのではないだろうか。
うっ、とルカティエルがたじろぎ、しかし理性を保って私を引き剥がす。最近は筋力にも
「バカも休み休みにしろ……まったく」
「フフ……まぁ、良い気休めになったろう?」
衣装を元に戻し、いつものように立ちながら壁に寄り掛かる彼女の横に座る。
彼女はまたしても何かに悩んでいたようだ。だからこうして、彼女の心を和ませた。九割は私欲のためだが。
「さて、悩みを聞こうか」
そう尋ねれば、ルカティエルは俯いて口を開く。
「何でもお見通しだな、お前は……だが、悪い気はしない」
そっと、彼女の脚に頭を傾ける。そんな私の頭を優しく撫でてくれる。
「何だか、頭がはっきりしないんだ。お前がここに来る前も、自分がなぜここに居たのか思い出せなかった」
想像以上に、彼女の亡者化は進んでいた。これは早急に何か手を打たなければならないかもしれない。
「呪いとは、何なのだろうな……最近はそればかりを考えている。最も、すぐに忘れてしまうのだが」
撫でてくれる彼女の手を取る。私の温もりを、少しでも彼女に与える。
「私は、失う事を恐れている。記憶を、私自身を。もし、お前を殺せばこの呪いが解けると言うのなら……」
「殺す?」
彼女は、ゆっくりと頷いた。それを見て、私は立ち上がり彼女と対面する。そしてじっと、彼女の仮面の奥に潜む暗くて孤独な瞳を見据えた。
「なら、殺すが良い。君の呪いが解けるまで、いくらでも殺されてやろう」
誰もが皆、生まれながらに呪われている。否、それこそ人の本質。呪われ、不死となり、亡者となる事こそが本質なのだ。神は、それを歪めた。故に悲劇が重なった。
けれどそれを言った所で、どうなると言うのだ。彼女の呪いは晴れず、何も救われない。少しでも気が晴れるのであれば、私は何度だって死んでやろう。死んだ所で亡者にはならん。私には野望もあるし欲求もある。死如きでどうにかなるものではない。どうにかなってしまうのなら、あの時、あの火の炉で、私は亡者になっていた。
彼女の腕を誘導し、剣を握らせる。
「さぁ、殺してみせよ。君がそれを望むのならば本望だ。さぁ殺せ。その覚悟もあるのだろう?」
「……」
ルカティエルはゆっくりと、剣を振り上げる。愛する百合に死ねるのならばそれで良い。私は少女達の為に生かされたのだ。
だが結局、剣は振り下ろされない。そっと、ルカティエルが腕を下げ、その場にへたり込み。剣を放してその両手で顔を覆った。
「すまない、リリィ。すまない、私は……なんて」
不死に涙は流せない。けれど、きっと泣いている。私は彼女の身体を抱き締める。抱きしめて、彼女の仮面を取る。
そこにはまるで子供のように顔を歪めた無垢な少女がいるのだ。嗚呼、不死に慣れるなんて、それこそあるはずがないのだ。私のように、全てを諦め捨ててしまったのでなければ。
「いいの、いいの。貴女は美しいわ。こうやって、剣を手放せるじゃない」
私は、手放せなかった。あの子のために、全てを喰らい尽くそうとして、握ったまま死んだのだから。彼女の純真な心のなんと美しいことか。
「人はいつか死ぬ。そしてそれは、不死だって似たようなもの。でも人の短い一生に、確かに光を放てるわ。不死もまた、誰かの想い出として残り続ける」
「想い出……」
「貴女の兄がどうなってしまったのかは分からないけれど。でも、その想い出は貴女に継承されている。そして貴女の想い出もまた、私に流れ着いている。そうして人は巡っていく。自然の摂理のように。変わる事はなく」
神は、変わる。信仰によって容易に解釈を歪めていく。けれど人は変わらぬ。自ら変わらぬ限り。それこそ人間性の本質。可能性の遺志。いつだって、私達はそうやって生きてきた。
「ねぇ、ルカティエル。忘れてしまうことを止める事はできないかもしれない。でも、私は絶対忘れないわ。だって貴女を愛しているもの」
全ての少女を愛するということは、一人の少女を愛すること。故に彼女も愛そう。私の愛は普遍だ。
「……私は愚かだな。前にも、愛してくれると言っていたのに」
私の抱擁に心の底から身を沈めてくれている。私と彼女の
「暖かいでしょう、人の温もりは。百合の白さは」
「ああ……そう、だな」
ずっと、こうしていたのだろう。まるで母の胸で眠るように黙り身を委ねる。
しばらく、そうしていた。私はずっと、彼女と温もりを共有していた。暗くて、暖かい、私の魂を。
「……眠っていた訳では無い。けれど、夢を見た」
不意にルカティエルが呟く。
「もっともっと幼くて、ずっと何かと戦っているお前がいたんだ」
その共鳴はあまりにも深すぎたのだろう。私も気がつかなかった。
嗚呼、君は見てしまったんだね。在りし日の私を。けれど、まぁ、何というか。別に良いさ。今の私は違うのだから。あの時の弱過ぎる私とは。今は、そう、後悔こそあれど道は明るい。
「その中で、お前は……泣いていたぞ。なぜ泣いていたのかまでは分からないが……きっと、私と同じなのだろうな」
「……そうだな」
泣いていた。そうだろう。きっと、その後悔は消える事はない。
ルカティエルが私の抱擁から離れる。名残惜しいが、旅立ちというのも必要な過程だ。少女はそうして女性となる。それこそ、美しい。
「……ありがとう、リリィ。その、ん……」
何か言い淀んで仮面を被るルカティエル。
「……わ、んん……私も、お前を、愛したいと思った」
「ひゃ!?本当に!?」
思わず変な声が出てしまった。すぐに立ち上がり彼女に駆け寄る。
「ああ、もう!そんなに近寄るな!……今の私は、きっと見るに耐えん」
「どうして?」
わかってはいるが、聞いてしまう。
「……意地悪め」
「ふ、ふふふ、ふふふふぅぅうう!!!!!!」
気持ち悪い笑い声が出てしまう。けれど仕方ないだろう?こんな美しい少女に見染められたのだ、喜ばないやつは人ではない。
嬉しすぎてニヤケ面が止まらぬ。嗚呼、神に感謝する奴らの気持ちがわかったかもしれない。これぞ祝福。心が清々しい。
「それで、説明してもらおうかリリィ」
からの、説教。目の前には濃霧を背に仁王立ちするルカティエル。背後には衣服を脱がされた砂の魔術師の死体。
実を言えば、ルカティエルと再開する前にボス前の敵はもう蹂躙している。それで、その、砂の魔術師が居たので、堪えられなくて……色々……ね?
それを小声で正座しながら伝えると、ルカティエルは呆れたように溜息を吐いた。愛想尽かされたかな……
「まったくお前という奴は……」
「ごめんなさい……」
しょうがないじゃないか。砂の魔術師がエロいのがいけないんだ!君だってそうじゃないか!どう見ても君は着痩せするタイプだからえろそうだろう!?まともなのは私だけか!?
「お前……なぜそこで怒鳴る。……まぁ仕方ない。今回ばかりは許してやろう。お前の愛とやらは、色々と問題があるようだからな」
女神ルカティエル。ちょろい。
「だが私はお前しか愛さない。その意味をよく噛み締めておけ」
「ルカちゃん〜!」
彼女の懐の広さを噛み締める。自分で言っておいて彼女は恥ずかしくなったのか、さっさと霧の向こうへと行ってしまった。私もすぐに追いかける。先程までの導き手らしさはどこへやら。
そうして、なんか醜い化け物と出会う。
「なんだこいつは……」
丸々と太り醜いそれを見て、ルカティエルが呟いた。多分、魔物の一種だろう。どうやって生み出されたのかは知らないが、人はこう呼ぶ。貪欲に肉を貪る……貪りデーモンと。
開幕、ルカティエルが走り出す。貪りデーモンは私達を見ても手元の亡者を食べるのに必死らしく、興味を示さなかったのだ。
待てと言っても彼女の荒々しさが剣を止められない。正統騎士団の大剣がブヨブヨとしたデーモンの肉を刻む。けれどあまりにも厚い脂肪は斬撃を通し難いのだろう、あまり深手になっていないようだ。
「この、なんだこの感触は!気持ちが悪い!」
嫌悪感を示すルカティエル。確かにブヨブヨした皮膚と肉は気持ち悪い。遠距離から触らず倒そうか。
だが斬られた事で怒ったのか、貪りデーモンがその腕を振り上げる。
「離れろ!質量的に打ち負けるぞ!」
追尾する
放たれた結晶塊がデーモンの肉にめり込む。さすがに魔術は効くらしい。貪りデーモンは痛みのせいで暴れまくっている。
「今のうちに……」
暴れる貪りデーモンに、死角から攻撃しようとするルカティエル。けれど、突然貪りデーモンが振り向き彼女の身体を両手で掴んだ。あれはまずい。
「やめろ!離せ!」
「ルカティエル!あっ!」
デーモンの大口がルカティエルを飲み込む。それはダメだ、あんな大きな化け物に飲み込まれたらいくら不死でも胃酸で死ぬ。
プッツンと怒りで頭の血管が切れる。考える前にメイスを握り、左手に杖を握って走り出す。そして奴の背後から跳躍した。
「
本音が出てしまった。私も彼女を唾液でドロドロにしたい。
霧散したデーモンの身体から、生きているルカティエルだけが飛び出してくる。胃酸に溶かされたり噛み砕かれたりはしていないようだが……失神しているようだ。
「……なんでそうなるんだ」
なぜかスッポンポンのルカティエルがそこにはいた。服も一緒に投げ出されている。恥ずかしい場所も丸見え……むむ!いかん、抑えなければ……
「……とりあえず、マデューラに戻ろう」
彼女の身体に気休め程度に服を掛け、そのまま抱き抱えて篝火へと向かう。そうだ、これは介抱だ。腕に感じる乙女の柔らかさは、そう、仕方のない事なのだ。スケベな訳じゃない。
ルカティエル。おお、ルカティエルよ。引き締まった君の身体は、とても美しく、そして暖かい。
マデューラの隠れ家。相変わらず地下ではケイルが地図描きに勤しんでいるが、そんな事はどうでも良い。
今、目の前のベッド(マフミュラン製)でシーツに包まり寝ている乙女と同衾している。いつも身に纏う上質な衣服と仮面は今は無く、生まれたままの姿の彼女が健やかな寝息を発てている。呪われ亡者と化している顔の半分など、気にするものか。嗚呼、こんな日を夢に見ていた。なんと美しい……
ちなみに私も裸である。同衾とは、そういうものだ。手は出していない。けれど、それくらいは許してほしい。理由は分からぬが。
「スゥ〜ッ」
彼女に抱き着き匂いを嗅ぐ。乙女の匂いは良いものだ。代謝の無くなった不死ならば老廃物の心配も無い。嗚呼、彼女が寝ている間にもっと匂いだけでも楽しまなくては……
「……いつから、起きていた」
ふと、瞼が上がっている彼女と目が合う。恐ろしい。
ルカティエルは少しだけ頬をむくませながら、呟く。
「お前が裸で潜り込んで、私に抱き着いた辺りから」
「……最初からって、言ってほしいかな」
終わりです。これは嫌われる。失神している間に愛する少女にこんな尊厳を奪われるようなことをされかけたら……私なら嬉しいかな。きっと彼女は怒るだろうけど!
けれど、予想していた怒号や罵倒は無く。代わりに、頬を赤らめてシーツに顔を半分埋もれさせるだけの可愛い女の子がいるだけだ。
「……初めてだぞ」
「へ?」
「……優しくしないと、怒るからな」
理性が弾け飛ぶ。
聞いたこともない声で。発したこともない愛を叫び。私達は結ばれる。この呪われた地で。
ちなみにその後緑衣の巡礼からの視線がより一層痛いものとなった。さては私の事が好きだな?
ルカティエル√完
百合ばかりの番外編を
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見たい。百合こそ人類の宝、ダークソウル
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いやぁそうでもないっすよ