フロム厨はスケべな事しか考えないのか(偏見)
マデューラにおいてルカティエルの嫉妬の愛を全身に受けた後、再度溶鉄城の攻略に入る。
どうやら朽ちた巨人の森にいた亀のような重鉄兵は溶鉄城にて造られた存在であるらしく、溶鉄デーモンから先のエリアにおいて綺麗な状態の彼らが沢山確認された。まぁ攻撃方法なんかは変わらないので敵にはならなかったのだが。
問題はギミックのほうだ。一体どんな目的で作ったのかは知らないが、スイッチを起動すると落ちる床なんかがあるせいで戦い辛いったらありゃしない。これに関しては敵も同じであり、相手が落ちる床に乗っている時にスイッチを起動すれば敵はなす術なく溶岩へと落ちていく。まったく、傀儡とはいえ戦闘力を削るような防衛装置はやめた方が良くないか?
と、そんな風にギミックに苦戦しながら探索すればひっそりと隠されたように梯子を見つけた。ファロスの石を起動させなければ見つけられない仕様だ。
幸いあの奇妙な石はたくさん余っているから問題はない。梯子を登り切れば、見知った傀儡がそこにはいた。あのアーケンの鐘楼を守っていた鐘守だ。
「ギャハハハ!お前また来たか!一緒に鐘を守るか!?」
相変わらず煩い奴だが、永遠に終わらぬ使命を持つ彼には少しばかりの同情も覚えると言うものだ。ネズミの王とも誓約を交わした事だし、彼とも誓約を結んでも問題はないだろう。
そんなこんなで誓約を交わし、私とルカティエルは一先ず下見という形で鐘楼がある屋上地域を視察する。どうやら誓約を結んでいても他の鐘を守る不死には関係が無いようで、狂ったように襲いかかってくる。多少手強いが、二人で連携すれば相手ではない。
「見ろ、放浪騎士アルバに縁のあるベールと仮面だ」
倒した鐘守から得た戦利品をルカティエルが手に取る。ベールの方は顔が殆ど隠れるような黒紫のもので、美しい女性が身につければ妖しさマックスで惚れそうになるに違いない。仮面の方は……何だろう、どこか懐かしさとも違う郷愁を感じる。あんな仮面、見たこともないというのに。
「ほら、お前が持っておけ。こういうのはお前の方が似合う」
「おや、それは嬉しいな。なら是非とも砂魔女の衣服を受け取ってくれないかな?」
「それはやめておく。お前が調子に乗るからな」
そんなたわいも無い軽口を叩きながら、鐘楼を探索すればとある闇霊を見つけた。
基本、鐘守の姿は霊体に近い。けれどその霊体は通常の侵入者などと違ってこの鐘楼に迎え入れられたものだから、色の濃さが違うのだ。今見つけた闇霊は単なる闇霊だ。
「おかしな格好だ。だが油断するなよ」
ルカティエルが警告する。確かに雰囲気が通常の闇霊とは異なるのだ。どうにも感情がないというか、殺意以外の感情がこちらに向いてこない。普通ならば色々な感情がこちらに向くものだが……ふむ。
手にした刀はただただ殺すために。防具も必要最小限。けれど自らであることを主張している。狂戦士と言えば良いか。
私が戦う。相手はただ殺すためだけに突っ走り、刀を振るう。けれど見え透いた手だ。それをレイピアでパリィすればあっという間に隙を晒した。
致命の一撃。顔面を殴って衝撃を与え、その隙に心臓を穿つ。そうすれば狂戦士はあっさり死ぬ。なんだ、歯応えの無い……
「あ〜、それは想定していないな」
だが、それだけで終わればよかったものの。気がつけば狂戦士が二体に増え、遠くからこちらに向かってきている。何だこれ。
流石にルカティエルと共闘することにし、またしてもそいつらを討ち滅ぼせば。また狂戦士がやって来る。今度は三体……
「殺せば殺すほど増えていくのか?キリがないぞ」
「だが
「楽天的だな……」
そうして、私たちは数刻の間狂戦士達と戦い続ける。レイピアが刃毀れしたのであればメイスに。それすらも欠ければ魔術とショートソードで。ルカティエルの剣は丈夫なようで何とも無かったが。羨ましい。
数十体屠ってようやく狂戦士は消え去った。その頃には奴らの防具や刀をわんさか手に入れていたが、刀以外は使い道がなさそうだ。
「そいつらいつの間にか勝手に住み着いた!ギャハハハ皆殺しにしたか!お前らやるな!もっとぶっ殺せ!ギャハハ!バラバラにしろ!」
割と満身創痍の私達を前に相変わらずのテンションでそう言う鐘守。報酬はまさかの楔石の原盤や魔術のスクロールだから割と良いものだ。
「まぁ、
「ミラでの戦いを思い出したぞ……」
げっそりとするルカティエル。確かにあんなにもたくさんの闇霊と戦う機会などそうそうないだろう。私も初めてで良い経験になった。
拾った狂戦士の刀剣はそのうち鍛えるとして、今は鉄の古王討伐のために先を目指す。
まぁ何というかこの城は他人に厳しいな。客人が来たら確実に死ぬぞ。見学ツアーなんて開こうものならば溶岩に落ちるし。
愚痴の一つも溢しながらも城を進めば、かなり開けた場所へと出た。どうやら内部は抜けられたらしい。だが濃霧のかかったゲートがあるに、鉄の古王か強敵が居るようだ。
「また化け物でなければ良いが」
「偉業を成し得た者らの姿など、大概はおかしいものだ」
神然り。どうして
濃霧を潜れば、そこは広場で誰もいない。けれど痺れるような強い力を感じる。どこかに強敵が居るはずだ。
警戒しながら周囲を探索すれば、それは突然現れる。遠くの溶岩から、何か巨大なものが姿を現したのだ。
「なんだ!?デーモンか!」
ルカティエルが驚く。まるで水泳でもしているかのように、その巨大な何かは上半身だけを溶岩から出している。
身体は溶鉄デーモンよりも遥かに大きく、頭部は機械的ではない。それは牛頭のデーモンのように角が生えている。だがイザリスのデーモン達とも
「いや。あれが古王だ」
かつて鉄を操り、莫大な富と
けれど、少しばかりの神性がどうにも引っ掛かる。もしかすれば、あの古王は何かに引っ張られたのかもしれない。深く眠る、王達の残滓に。
ゆっくりと鉄の古王が向かってくる。まるで子供が海辺で親に寄ってくるように。けれど向けて来るのは殺意だけだ。あの巨体だ、下手すればこちらの床ごと打ち砕いてくるぞ。
「まずいな、剣じゃ攻撃できんぞ」
「なら先手で魔術を使う」
遠距離にも対応できる魔術、それは
杖を振るい、迫る巨体へと
「ふむ、ちょっとばかり苦戦するだろうか」
もっと近付いてくれないと剣も振るえない。剣が有効となるかは分からぬが、死ぬまで斬りつければ良いだけだ。それにもっと近付けば闇の飛沫で腕くらいは消し飛ばせる。
と、そう思考を練っていると鉄の古王が溶岩にダイブする。マズイ、きっとこちらの真下から突撃してくるに違いない。
「離れろ!奴が来る!」
ルカティエルと走り、距離を取る。刹那、フロアの一画……私たちが立っていた断崖が真上に吹き飛び溶岩と共に鉄の古王が姿を現した。咆哮と共にまるで力を鼓舞するようにマッスルポーズを決める古王はどこかシュールだ。アピールしているのかあれは。
「だがこれで近づける!」
ルカティエルがそう言い、ポーズを決める鉄の古王へと駆ける。今の古王の上半身は床に接している。剣でもギリギリ斬りつけられそうだ。
だが流石にそれをわかっていたのか、鉄の古王が半歩下がる。巨体に似合わず案外みみっちい奴だな。完全に剣の射程外へと逃れ、ルカティエルが足を止めたのを見てどこかほくそ笑んだ気がした。小さいなこいつ。
反撃とばかりに鉄の古王は片腕を振り上げる。流石にあの巨拳に叩き潰されたら誰であろうと一撃で死んでしまう。
ルカティエルがバックステップで距離を取れば、彼女の目の前に拳が降りおりた。同時に拳に溜まっていた溶岩が周囲に撒き散らされる。
「熱っぅ!」
盾で防ぐもその熱は防げない。ルカティエルは下がりながら焼け爛れた左腕を力無く垂れさせる。
「回復しろ!隙は稼ぐ!」
よくもやってくれたなこいつめ。私の可愛いルカティエルに手を出しやがって。
咄嗟に黄金松脂をレイピアに塗り未だ打ち付けられたままの拳へと駆ければ刀剣の切っ先を突き刺す。肌はやはり硬いが、黄金松脂の効果もあってしっかりとレイピアの刃が通っている。これは殺せるはずだ。
動きが遅いせいで古王が反撃するまでに数回レイピアを突き刺せた。痛がっているのか、古王が無闇に拳を振るうもそれをすべて回避する。こいつめ、王であって戦士ではないな。
鉄の古王が両腕を上げて咆哮する。どうやら無理にでも叩き潰すようだ。下がってもあのリーチだ、叩き潰されてしまう。ならば前へと進むのみだ。
あえて私は両拳の前、つまりは古王の身体と拳の間へと割って入った。背後の床に重厚な拳が打ち落ち、振動が伝わる。それがなんだというのだ。
「闇の飛沫」
目の前のムキムキな身体に闇術を振る舞う。放たれる闇の球の数々がその胸筋に当たり、流石の古王も苦しんでいるようだ。穿てはしなかったが、かなりの血が噴き出ている。
そのまま攻撃を続けたかったが、鉄の古王が苦しみながらも掌をぶつけてこようとしたので下がる。背後を見ればルカティエルも回復したようだ。
「随分とタフだな。お前の闇術を喰らってもまだ死なぬとは」
彼女の言う通り、かなりのタフさだ。どうするか悩んでいると、古王が咆哮と共に口から炎を吐き出す。逃げるように私たちは背後の建物の壁に隠れる。焼死は苦しいからしたくはない。
炎が止み、壁から顔を出してみれば鉄の古王は手のひらをこちらに向けていた。何か来る。
「うわ、なんだ!」
何も言わずにルカティエルを抱き寄せ床に転がれば、すぐ真上を熱線が駆け抜けた。こう言う時、勘というものは当てになるものだ。しかしこうも厄介な攻撃ばかりされてはたまらん。
起き上がり、ルカティエルに指示を飛ばす。
「左腕を頼む、私は右腕を潰す」
両腕が朽ちれば流石の古王もタダでは済まないだろう。熱線がまたしても私を狙うが、それをローリングで間一髪躱して右腕へと急ぐ。
利き腕は右のようで、熱線も先程から右手で放っている。そんなに右が好きなら右手から殺してやるよ。
狂戦士の刀剣を両手に握る。先程山のように手に入れたから問題はない。刀の振り方はあまり知らぬが、打刀で散々侵入した身だ、扱いには困らない。
踊るようにして突き出た右腕を斬りつければ、面白いくらいに血が噴き出る。出血という状態だ。本来ならばこの武器に出血の機能は無いらしいが、それは扱い次第だろう?何度もこんな鋭利な物で斬っていれば血の一滴も滴ろうよ。
手からドバドバ流れる血に驚いたのか、鉄の古王が右腕を引っ込めた。だがその隙にルカティエルが左腕を切り裂いていく。
こりゃたまらんと思ったのか、またしても両腕を掲げてこちらをまとめて押し潰そうとする。だがその攻撃は一度見たものだ。不死に二度と同じ攻撃は通用しない。
離れるルカティエルと近付く私。その間に、両拳が打ちつけられる。私は咄嗟にバックステップして跳躍すると握られた両拳を回転しながら刀剣で斬りつける。すると右指が相当痛んでいたのか、人差し指だけ斬り落とせたではないか。
指が落ちて唖然とする鉄の古王。痛みに叫ぶ前に、私は拳の上で跳躍し、敵の眼前へと迫る。左手を杖に持ち替えて。
「
目と鼻の先で放たれた結晶槍が脳天を穿ちかける。最早指の痛みよりも痛烈な頭部のダメージが、鉄の古王をダウンさせた。
私が床へと着地するや否や、ルカティエルが走る。とどめは譲ろう。君になら許す。
「おおおおおお!!!!!!」
叫び、項垂れ床に着く頭部の上を駆けるルカティエル。しっかりと私の動きを学んでいるようだ。
駆け登りながら剣で首元まで切り裂けば、一気に跳躍した。
「ミラの剣技に曇りなし。その全てが、貴様を殺す」
跳躍回転斬り。重く大きな大剣が鉄の古王の頸椎を断ち斬る。一瞬、大きく鉄の古王が震え、そしてルカティエルが床へと着地すると同時に
ルカティエルは床を転がり、そして立ち上がるとその大剣に着いた血を払ってから納刀する。良いよ、決まってるよルカティエル。きっと仮面の下は誇らしげなんだろうなぁ。
レイピアを納刀し、未だ余韻が冷め切らぬルカティエルへと拍手を贈る。
「良い、凄く良い。まさに戦乙女、戦場に咲く一輪の百合よ」
「……その表現はちょっと分からないぞ」
莫大な
それにルカティエルと共に手を翳せば、炎が迸る。溶岩のように暑苦しくなく、不死を癒す死の炎。郷愁の匂い。ようやく溶鉄城も終わったようだ。できればもう来たくはない。
だがあるのは篝火だけではない。黒渓谷、腐れの戦いの後に見た何かの祭壇もある。形状は殆ど変わらないが、うんともすんとも言わぬ所を見るに条件を満たしていないのだろう。
まぁ良い。今は一先ずマデューラへと戻り、緑衣の巡礼にこの件を報告しよう。
残る偉大な
一人、マデューラの篝火で手に入れた
ルカティエルは隠れ家で休息しており、今この場にいるのは私だけだ。クロアーナも何やら鍛冶屋に用があるとの事なのでこの場にはいないし、緑衣の巡礼も姿が見えない。
鉄の古王の
だが、もう一つ手に入れた物がある。共同で奴を倒したルカティエルの手には行かなかったものだ。まるで私を選んだかのように、その
それは古き王の
既に名すらも残らぬ、哀れで見栄っ張りな王の
死んでも尚、その大きな
「燃やされ、殺されても尚縋り付くとは。やはり殺しておいて正解だったな」
その
できれば、知りたかったのだが。この
「でも、それって本当に憎しみなのかしらね」
不意に。私の横に白猫が現れる。綺麗な毛並みが篝火を反射させ、さも輝いているかのように見える。
愛しのシャラゴア。得体の知れぬ……否、本当は知っている。少なくともただの猫ではない。彼女は私に寄り添うとその可愛らしい顔で私を見上げた。
「分からない。それを証明するには、もう時が遠すぎる」
私にも、もう分からない。自分がどう思ったのか、分からないのだ。
「あら。そうかしら、案外分からないフリをしているだけじゃないの?ウフフ……」
「……見透かしたつもりか?」
妖しい笑みを浮かべ、彼女は私を眺める。そんな彼女を、私は抱き抱えて精一杯モフモフしてみせた。
「ウフフフフ!ウフ、あふ、ふ、ちょっと。私猫よ」
気が付けば、彼女の顔を舐めている。
「姿に意味は無い。君も、人の心を持つ乙女だろう?」
「あらあら、私百合好きの女の子に襲われちゃうの?ウフフフ……でも残念、私そういうの趣味じゃないの」
そう言うとシャラゴアは私の手からするりと抜けていく。まるでいつか、私の手から全ての望みが抜けて消えてしまったかのように。
「人に素直になれなんて言うのなら、まずは貴女が素直になった方が良いんじゃ無いかしら?ウフフ……じゃあね」
猫はどこまでも気紛れで、どこまでも人を化かす。けれど、核心をつく事だってある。きっと彼女は、悩む私を後押ししようとしているのだろうが。
私の心はもう決まっている。火など、継ぐはずもないだろうに。王の
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