そのうちRー18版も書きます
追記
5/11
職場でコロナ疑いが出たため今週の更新はお休みさせていただきます。申し訳ない。
5/14
ダークソウル2の前にステータス書きました
残る偉大な
緑衣の巡礼によれば、虚ろの影の森、という場所が中継地点となっているらしい。何やらおかしな異形や亡霊たちが蠢くいやらしい場所となっているとのこと。小ロンド遺跡とどちらが厄介だろうか。
聞けば、その森は王城ドラングレイグへと繋がる道にもなっているらしい。と言う事はどちらにせよ二回は通る事になると。
「しかし案外すぐに集まるものだな」
「王の
隣を歩くルカティエルが頷く。確かにロードランの時よりもよっぽど進み具合が良い。そもそもあの時は私も弱く、黒騎士の斧槍を手に入れるまでは何度も死んで時間を潰した。同じく試練のために奔走していたはずの奴は死なずに力を蓄えていったらしいが。
だが、それもそうだろう。あの時代はまだ神の力が残っていた時代。故にその時代に生きたものは須らく強かった。スケルトンにしろドラングレイグの比ではない。その時代の生き証人である私からすれば、今の所対している敵は皆少し弱い気もする。
「慢心は良くないな。それは私とルカティエルがずっと行動を共にしているからだ。他世界で足掻く他の不死たちは皆、孤独なものだよ」
そう彼女の高まる自信を抑えれば、ルカティエルは渋るように唸る。まぁ実際彼女も初めて会った時に比べたら強くなっているのは確かだ。そもそも私と会うまで
さて、そんな会話も早々に先へと進めば。何やら小規模な遺跡に辿り着く。そしてその外には、まともな不死が一人。
何やら途方に暮れる中年の男の騎士は、目立つ藍緑色のガラスのような大剣を肩に掛けながら言う。
「某に何用か!?」
私達の存在に気がつきやや驚いている騎士は、テンション高めにそう言う。
「いや、特に無いぞ」
「この先は通れぬぞ!面妖な石像が道を塞いでおるからな!」
人の話を聞け。だが彼が言ったように、扉の開いた遺跡を除けば奥の扉が閉まっている。そしてその扉を開けるためのレバーと言えば、女性の石像が握りしめているようで動く事はないのだろう。なるほど、あの石像のせいで扉が開かぬと。
「はた迷惑な……このような場所に放り出すとは!某もほとほと、困り果てているところよ!」
人が聞いてもいないのに語り出す騎士。そんな人の話を聞かずに喋り出す感じが、どうにもあの玉葱の騎士と被る。鎧も異なれば、その得物も違う。何もかもが違うと言うのに。長く生きれば、デジャブも起きるというものか。
と、私の隣にいたルカティエルが騎士の前に出る。何やら思う事があるようだ。
「貴公、ウーゴの騎士と見受ける」
そう尋ねれば、騎士はほうっ、と感心したような顔をしてルカティエルを見た。
「いかにも。そういう貴公はミラの騎士か……このような辺境の地で名高い騎士団の猛者に会うとはな!」
国のことに無知であるわけではないが、今を生きる彼女達ほどではない。故にこういった話には入り辛い。だって長い時を生きた私からすれば、国の興亡など一瞬の事。ロードラン時代ならばそれなりに地理に詳しかったんだがな……
何やら騎士同士話が合うようで、お互いの獲物や武勲について盛り上がっている。まぁルカティエルもそういった話が好きなんだろう。私相手ではそんな話もできぬのだから、良いガス抜きだ。この隙にあの石像を調べよう。
遺跡に入ればそこは円形の部屋である。周囲には小部屋があり、木造の安っぽいで仕切られているのだが、どうにもその中には亡者が閉じ込められているらしい。何だか嫌な予感がする。
それはともかくとして、石像を調べる。必死にレバーを引こうとしている石像……これがもし誰かの彫刻だとしたらその造形力に反比例するセンスに難を示したが、どうにもこの石像はただの像ではないらしい。
これ、人が石像にされたものだ。呪いを向けられ、逃げようとしたが叶わなかった。そんな所だろう。
ならばやる事は一つだ。私はポーチから懐かしい香木を取り出す。前に忘却の牢で解呪した時と同じように、その匂いを触れさせる。
するとどうだろうか。見る見るうちに石化は解け、肌に血の通った女性が再誕したではないか!
レバーを引こうとしていた女性はその体勢のまま、後ろへとすっ転ぶと痛っ、と可愛らしい声をあげる。成人した褐色肌の女性だった。見た目のワイルドさ(服がボロボロになっているだけかもしれない)に反して、その仕草が可愛いじゃないか。額に何か紋章を入れているところを見るに、何かの呪術を扱っていたのかも知れぬ。
「けほっ、けほっ」
座って咳き込む彼女に駆け寄り、解放するように道中拾った女神の祝福を与える。どうせ飲まないのならこう言った時に使ってしまえ。
割と豊満な身体で私を魅惑する女性は、見た目よりも若いらしい、少し幼い声で感謝を述べてくる。
「あ、ありがとうございます……ごほっ、ごほっ、ずっと、石になっていたせいで……うまく喋れなくて……」
「落ち着いて。ほら、ゆっくりでいいからね」
服が破れてやや剥き出しの背中を優しく摩る。彼女も呼吸が整うし私も柔肌を触れるし誰も損しない。嗚呼、ルカティエルの筋肉質な身体も良いものだが、こういう女性らしい身体というのも良い。実に良い。下品だが、身体だけで見て仕舞えばあの砂の魔術師にも劣らない。ドキドキしてきた。
「も、もう大丈夫みたいで……げふ!」
本当、可愛いなこの子。緑衣の巡礼が彼女みたいに年頃の少女のような性格だったら絶対惚れ込んでいただろう。いやあの冷たい感じも好きなのだが。
呼吸と喉も落ち着いた頃、ようやく彼女が名乗る。
「もう、大丈夫です。あの、私はロザベナと言います。助けていただいてありがとうございます……ふー」
大きく呼吸をするロザベナ。呼吸をするたびに上下する胸に釘付けになりそうだが、グッと堪えて爽やかな笑みを向ける。
「あの、旅の方ですよね?」
「うむ、リリィだ。君の言う通り旅をしている」
かっこよく、かっこよく。絶対この子も百合に堕としてやる。いかんいかん、そう思えば思う程に私は積極的になりすぎる。
「助けていただいて、何かお礼がしたいんです!ぜひ!」
「なに!?それは本当か!?」
しまった、食い気味に聞いてしまった。だがお礼か〜そうだなぁ、お礼ならば、仕方あるまいなぁ。涎が垂れそうになって彼女の身体をずらりと視線で舐め回す。だが案外彼女は初心なようで、私の視線に首を傾げていた。ドラングレイグは生娘ばかりで楽しいなぁ!ありがとうヴァンクラッド王!
「その、私、呪術なら得意なので!」
「そっちかぁ〜!」
一人がっくりと項垂れる。おい少しは自重しなさい。
「あの、呪術はお嫌いでしょうか……」
「あ、いや。違うんだ。私も呪術師の端くれだからね」
考えを切り替える。呪術は良い。あの憎き薪の王に破れたせいで呪術の火まで持って行かれてしまったからな。今は隠れ港で見つけたしょぼい火だけだ。それならば魔術の方がよっぽど使い勝手が良いから、この地に来てからは魔術と闇術しか使っていなかった。
呪術の師とは、魔女の火とは師を女性にしてこそのものだ。もし彼女が呪術の火を成長する術を持つのであれば、丁度良いかもしれない。道化のトーマスでこの地における呪術の有用性は実証されているし。
「是非、君から呪術を学びたいな」
精一杯イケメンを演じる。イメージするのはあの憎き薪の王。私も最初こそ惚れ掛けたからな。あいつみたいに振る舞うのが良いんだろう。なんだか腹が立ってきた。
するとどうにも効果があったのか、ロザベナは惚けたように私を見つめる。これはもしかすると、もしかするかもしれないぞ。彼女からすれば、私は呪いを解いた王子様。百合塗れだが、それを知らぬ彼女からすれば印象は良い。頼むルカティエル、もう少しそこで話に興じていてくれ……!
「あ、す、すみません。それで御礼になるなら……あっ!」
と、突然彼女が自分の見窄らしい服装を見て両手で身体を隠すように抱いた。確かに見てくれは悪いかもしれないが、露出は良いから私はそのままで良いと思うぞ。
「この格好、恥ずかしい……」
恥ずかしがる君も可愛いよ。そのまま抱いてあげようか。……どうしたんだ私は。
だが確かに、こんな乙女にはもう少しまともな服を着てほしくもある。きっと着飾ったら可愛いんだろうなぁ。健康的な褐色の肌を露出させてさァ……
「あの……助けていただいた上にこんな事を言うのは……図々しいと思うのですが……」
「言ってみなさい?なんでも叶えてあげよう」
乙女にとことんデレデレな私。
「その、何でも良いんです。何か服を……譲っていただけませんか?」
即座に私はインベントリーから集めていた装備や服を取り出す。そして私による彼女のプロデュースが始まるのだ。
「しかし良い剣だ。一見すると薄く、脆くも見えるが実用に耐えるように造られているし、手入れもしっかりとされている」
「ほう!貴公にも蒼月の大剣の価値が分かるか!如何にもこの剣は一族伝来、魔を祓う月光の力が宿ったもの。しかし貴公の剣も良い、純粋に己が技量を試せる実技の剣よ」
騎士達の話は想像以上に盛り上がっていた。月光を宿した剣を持つと言う騎士、ウーゴのバンホルトは剣を褒められ高笑いし、またミラの伝統ある剣を称賛されたルカティエルもまた機嫌が良い。
だが私はあの蒼月の大剣を見た瞬間、その本質を理解していた。だからこそ珍しく綺麗な剣に何も反応しなかった。まぁそれは良い。問題はここからだ。
「あれ、リリィ?」
不意に、ルカティエルの隣に私が居ない事に気がつく。キョロキョロと見渡せば、探していた百合の戦乙女は遺跡の中にいた。
どこからともなく現れた褐色肌の乙女に、異常な興味を示し服を提供し忙しなく動く百合の乙女が。
それを見た瞬間、ルカティエルの仮面の下の血相が変わる。
「おおぉい何してるこのド変態がッ!」
ルカティエルの咆哮が響き、バンホルトが大層驚く。だが次の瞬間にはルカティエルは乙女達に駆け寄っていた。
「これも可愛いよ〜!どうかなどうかな!?」
ロザベナに色々な服を着せる。それこそ亡者が着ていたボロ布みたいなものも着せれば、彼女はやや困惑していたが、次第に服を着る事の楽しみを覚えたのかノリノリでポーズを取っていた。
今彼女が着ているのはトーマスも着ていた奇術師の服装。あのピエロ装備だ。頭部装備を着けなければ案外派手で可愛い。ピッタリした素材だからボディラインも際立つ。上から触りたい。ただ彼女の良さである褐色の肌が出ないのはマイナスだなぁ。
となればやはりこれだろうか。私の手にあるのは砂魔女装備一式。禁断の果実たり得るこの装備は、とにかくエロい。直球すぎるが仕方ないじゃないか、エロいんだもの。あまりにも好み過ぎて砂魔女を狩りすぎていなくなってしまったくらいだ。おかげでいっぱい手に入った。
「おおぉい何してるこのド変態がッ!」
不意に聞き馴染んだ叫び声が響く。二人して驚いてそちらを見れば、ルカティエルがきっと鬼の形相でこちらへとダッシュしてきていた。めちゃくちゃ怖い。
「ル、ルカティエル!」
「貴様目の前で堂々と浮気かッ!他の女に手を出すなら一言言えとあれだけ言っただろうッ!」
「ご、誤解だ!彼女は石化してて、色々アレがアレで……」
その後、激怒するルカティエルに何とか二人で事情を説明すると、彼女の溜飲は少しだけ治まった。やはり嫉妬に駆られたミラの騎士は怖い。
結局ロザベナはピエロの格好でマデューラへと帰っていった。その際、緑衣の巡礼が二度見していたと言う事は知る由も無い。
呪術の火を鍛えてもらい、プンスコ怒るルカティエルと目的地が同じであるバンホルトの三人で虚ろの影の森を攻略する。まずはロザベナが押さえていたレバーを引こう。
「そんなに怒らないでくれよ」
「怒ってない」
怒ってるじゃないか……だがそれだけ彼女は私を愛してくれているのだ。騎士として隣にいる時こそ強情だが、一人の乙女として私と閨を共にする時は何ともまぁ私にメロメロな可愛らしい子猫と化す。そのギャップが堪らないから彼女はやめられない。
バンホルトは新しい世界を見たとばかりに、ほ〜、と背後で呆けている。ていうか何なんだコイツは。
レバーを引けば、何やら仕掛けが動いた音が響いた。だが扉は動かぬまま。
「ああ、やっぱりそういう仕組みか」
代わりに、小部屋にいた亡者達が勢い良く飛び出てくる。やっぱり罠か。ロザベナを帰しておいて良かった。
「むっ!罠とは卑怯な!」
蒼月の大剣を担ぎ迫る亡者に対するバンホルト。ルカティエルも同じく剣を構える。これだけ敵の数が多いのだ、アレが使えるかもしれん。
私は左手に懐かしい火を宿し、警告する。
「二人とも、動くなよ!」
そして燃え盛る左手を地面に突き立てた。
「混沌の嵐」
刹那、私と他の二人を避けて禍々しい溶岩の火柱が室内に迸る。それは亡者達だけを効率良く焼き、溶かしていく。かつての混沌、その娘から教わりし秘技。どう言うわけかトーマスは使っていたが。
たったそれだけで複数いた亡者は消え去る。あまりにもオーバーパワー。けれど呪術とは、そういうものだ。特に混沌の呪術とは。
「貴公、呪術師か!」
驚くように目を見開くバンホルト。
「……戦いになると本当に頼もしいな、お前は」
やや呆れるルカティエル。でしょう?私はやる時はやる乙女だ。そして百合を育むためにも全力を尽くす。たまにやらかす。
亡者達を屠り、ようやく扉が開く。あれが鍵にもなっていたようだ。
だが開いた扉から悍ましい何かが飛び出してくる。それはトカゲのようで、蛙のような何か。瞳にも似た器官が私達を凝視するような錯覚に陥る。
バジリスク。ロードランにおいて、数々の亡者を石に変えてきた死の化け物が、そこにいた。
「ふんっ!」
見た瞬間、メイスをバジリスクの頭にかち込んでしまった。反射的に、しかしそれは正しい。奴らは見つけ次第殺さねばならぬ。マジで。
頭を潰され息絶えるバジリスクに、二人は驚く。
「なんだコイツは……」
「面妖な生き物よ……しかし些か殺意が高過ぎるぞ、白百合の戦士よ」
返り血を浴びて真っ赤になる私の背後で二人が言う。仕方あるまい、かの地で生き延びた不死であるならば誰しもがこうするものだ。
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