ごくありふれたお話   作:よよよーよ・だーだだ

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1、回りオチ

 二人の人物が映画の感想を語り合っている。

 二人が観たのは人気シリーズの続編で、どうやら不満だったらしい。

 互いに「クソだった」「ガッカリした」と不満を言い合っているうちにエスカレートしてゆき、

「クソすぎて吐き気がした」

「実際に劇場で吐いた」

「退屈すぎて眠気がした」

「あまりのつまらなさに開始五秒で意識を失った」

「幻滅のあまり、怒りで頭が沸騰しそうだった」

「劇場でつい『クソがッ』と大声で罵倒しちゃった」

「肯定的な意見を言ってるような馬鹿な信者を論破してやった」

「馬鹿な信者共のコミュニティを荒らして叩き潰してやった」

「あまりの酷さに体調が悪くなった」

「ショックで救急車を呼んだ」

「一時カウンセリングに通ってた、というか今も通ってる」

「素晴らしい、それでこそ本当のファンだ!」

という塩梅で、「自分がどれだけ酷いと感じたか」を競い合い始める。

 

 それを傍から見ていた三人目が「そこまで言う? それほど酷くなかったじゃん」と顔を顰めて言うと、二人は「俺たちは正当に感想を言い合い、不満を共有しているだけだ。それともなにか、おまえは出されたものに一切不満を言わないんだな??」と言い返す。

 三人目、何も言えずにその場を去る。

 

 

 

 

 場所を変えた三人目は、四人目の人物と映画の感想を語り合い始める。

 三人目と四人目は楽しんだらしく「面白かったねー」「あの場面よかったよねー」と言い合っていたのだが、やがてこちらもエスカレートし始めて、

「素晴らしすぎて涙が出たよ」

「実際に劇場で号泣しちゃった」

「衝撃のラストで意識を失いそうになった」

「開始三秒で意識を失った」

「制作会社にファンレターを送った」

「わたしなんかひたすら送りまくってたら、公式サイトがダウンしちゃったよ」

「あの傑作の良さがわからないなんてアンチどもは不幸で可哀想だ」

「可哀想なアンチどもに良さを布教してやろうとしたら出禁になっちゃった」

「あの感動をもう二度と味わえないと思うと胸が苦しい」

「わたしなんかカウンセリングに通い始めたよ、というか今も通ってる」

「素晴らしい、それでこそ本当のファンだ!!」

という塩梅で、「自分がどれだけ感動したか」を競い合い始める。

 

 それを傍から見ていた五人目の人物が「そこまで言う? それほど良くもなかったじゃん」と顔を顰めて言うと、二人は「俺たちは正当に感想を言い合い、楽しみを共有しているだけだ。それともなにか、楽しい感想を言い合うことを禁止する権限がおまえにあるのか??」と言い返す。

 

 五人目、何も言えずにその場を去った。

 

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