TS転生系Vtuber、時々ダークヒーロー【第一部完結】 作:ムーンフォックス
チラシの裏から「特殊タグ練習」って検索すれば有志の方がある程度のテンプレを作ってくれているからそれを使ってお手軽に自分の好きな画面を再現もいいぞ!
うめ うめ
『……ヴァントガゼル、怪人が出た』
草木も眠る丑三つ時、お化けはいないが『こいつ』はいる。懐中時計からの声に少しばかりの嫌気が指し、次に仮にもヒーローとしての責務が湧いて来た。
「りょーかい。場所はどこ?」
『 区の だ。詳しい位置は移動中に教える』
「…… 区? 警報聞こえないけど?」
区は自分のいる区のすぐ隣にある。であるならば警報が聞こえてもおかしくはない筈なのだ。
だが、耳をすましても聞こえるのは静寂のみ。それに違和感を覚え聞き返す。
『これまでとは異なるタイプの怪人粒子が発生している。だから警報器もそれを認識できていない』
「そんなことこれまであったっけ……?」
『いや、これは過去2年間から見ても初めての出来事だ』
急いでパジャマを脱ぎ捨て動きやすい服に着替える。スヤスヤと眠る妹に気づかれないようそーっと慎重に外に出て、懐中時計のスイッチを押す。
「
黒い夜空に溶けるように姿が変わる。ダークヒーローヴァントガゼルのお出ましだ。
『……これは言うべきか判断に迷ったが、この座標地点には覚えがある』
「何?」
『この座標は、つい先程までコラボしていた配信者が住む住所と合致している』
!!!!!!!!!!
!なんでそれを早く!
!!言わねぇんだ!!
!!!このゴミ!!!
!!!!!!!!!!
体の負担を一切気にすることなく技を発動し爆速で駆け抜ける。
『こいつ』への憤りの感情は今そこに無い。
しじみさんのことがただ心配でしかなかった。
抜かりは無かった。
怪人粒子の発生には対策をした、監視カメラに自分の姿は写さなかった、あの配信者に通報をさせる隙は与えなかった。ヴァントガゼルは彼女の住所を知らなかった。
だからありえない筈なのだ。助けての一言からたった一分で、ヴァントガゼルがここに来れる等という事態は。
「なんで来れるかなぁ……ヴァントガゼル!」
苛立ちを覚えながらも、セラストの思考は冷静に逃げの一手を選択する。ここで戦闘になり他のヒーローまで来られる──そんな状況は避けなければならない。
窓の外へ跳ぼうとした脚が切断され、駆けようと伸ばした腕が無くなったのに気づいたのは、それから一瞬のことである。
「なッ……!」
だが次の瞬間に、動けない筈の体は夜空を舞っていた、照明は淡い月に変わり、逃れえぬ重力がセラストを支配し、浮遊感を味あわせた。
何が起きた? 混乱を続けその答えを導こうとする。
目の前に理由が現れた、ヴァントガゼルだ。なんてことは無い、彼女がセラストの首を掴みここまで投擲した、それだけのことだ。
「ふざけ──!」
「影己断立」
セラストの眼はヴァントガゼルの体が二つあるかのように錯覚した。だがそれは錯覚ではない、彼女は今確かに二つへと分身しその姿を保っている。
互いに持つ思いは同じ──こいつを殺す、ただそれだけ。
最大限の憎悪を以て、この奥義を使う。
今まで誰にもこの技は見せなかった、見せれなかった。あまりにも危険で、あまりにもおぞましいからだ。
「しじみさんッ!」
もはや肉片すら見えなくなったあの怪人のことはどうでも良かった。今危惧するべきはしじみさんの安否だ。割れた窓を後で弁償しなければと思いつつ、真っ先に彼女の脈を確認する。
首元に痣こそ残り呼吸こそ浅くはあるが──それ以外に何かをされたような跡があるようには見えない。
「良かった……無事だ……」
「……ヴァントガゼル……いや、カモメちゃんか……」
「えっ? なんでそのこと……じゃなくて救急車……!」
絶え絶えとなりながらも返された返答に動揺を隠せない。変身中はボイスチェンジャーを使っている、少なくとも声でバレることは無い筈なのだ。
「その反応……やっぱりそうやったんか……あの怪人が……言うとったわ……」
「そのことは後で詳しく話します。とにかく今は安静にして──」
『──ヴァントガゼル、新たな怪人粒子を検出した』
救急車を呼ぼうとした瞬間に、脳に『こいつ』の声が響く。だが今はそれよりも救急車を呼ぶ方が先だ。すぐにこっちを済ませ──。
ジリリリリリリリリ!!!
──怪人発生を表す警報がこの区に住む全員の耳に聞こえるように大きく鳴り響いた。どこからだと思い、次にふと気づいたのは苦しそうに呻くしじみさんと、その首元にある痣であった。
「うがっ、ああああああっっっ!?」
「ッ!? 大丈夫ですか!? しじみさ───」
痣に隠れるようにして紋章らしき物がある。それが、燃えるように光っている。
疑問に答えるように、『こいつ』の声が脳に響いた。
『粒子が検出された座標は──ちょうど今、ここだ』
は? などと俺が言い終わる間も無く───
それは異様な光景だった。
紋章が光り、しじみさんが形容できない叫び声をあげる。その全身を覆うように、靄がかった黒い煙のようなナニカがしじみさんを覆いかぶさらんと集合していく。
体に当たらないように鎌を振るう、だがその一撃は虚しくも煙の間をすり抜けていく。風──ダメ元で鎌で仰いでみたが、影響があるようには見えない。
「たっ、助けてッ! カモメちゃ──」
やがて煙が口を覆い、声すらも聴こえなくなる。煙でもはや彼女の全身すら視認できなくなった。
「…………」
「し、しじみさん?」
やがて
だがやがて煙が溶けるように消えていく。
現れたのは、一匹の怪人。
首元にある紋章が、眩しく光っていた。
夜更かしに良いことは無い。脳が休まらない、勉強に身が入らない、何より愛すべき人のために時間を割けない。
だから赤羽彩月は夜更かしをしない。深夜に怪人が発生することは珍しいことでは無いが、その場合対処に当たっていたのは大抵は青藍葵か、もう一人のヒーローの筈だった。それは二人が率先してそれを望んでいたからこその上が下した判断でもある。
しかし今は状況が違う。一人は病院、もう一人は──まあともかく、今怪人の対処に当たれるのは彼女しかいないのが現状であった。
何よりも次の金曜日、彼女には外せない大事な予定がある。それこそ、入念な準備と十全の対策を重ねなければいけないほどの予定であった。
だからこそ彼女は欠伸を堪え、全速力で怪人粒子が検出されたであろう地点に向かっているのだ。
「どうか間に合って……!」
決死の思いでマンションに辿りつき跳躍、ヒーローともなれば目標の階へ着くのにエレベーターは必要無い。
一室についたレッドガランは目撃した。怪人と、ダークヒーローの姿を。
「んなっ……!? ヴァントガゼル……?」
怪人粒子が検出されずにどうやってここへ──少しだけ浮かんだ疑問はしかし、彼女の異様な様子によって打ち消された。
これまでのレッドガランにとってヴァントガゼルは冷徹な認められぬ英雄、遭遇した怪人は皆殺しにし、後には何も残すことは無い。
だが今の彼女は鎌を振るうことも無く、怪人に攻撃を加えようとも、増して殺そうという気配すら無かった。必死で怪人を抑えようとしているのは、これまでの彼女からは想像すらできなかった光景であった。
違和感が拭えないような光景であったが、今は怪人を倒すことが優先である。
「ハァッ!」
握る拳に巨大な十字の極光が宿り、激しい明滅を繰り返す。現在の彼女にできる精一杯の必殺技。白く燃えあがる火は熱く、周囲の物をチリチリと焦がしてしまうほどである。
それを纏わせ、構え、怪人に放つ──。
「なっ……!?」
「…………」
光る拳を漆黒の壁が阻む、しかしどうやらそれでは足りなかったらしい。拳が壁を貫き、その衝撃でヴァントガゼルが吹き飛ばされた。
初めてのことだった。レッドガランが押し勝つなどということは。
だが予断を許さぬ状況であったのを怪人が認識したのであろう。割れた窓から飛び立ち、翼を展開し去ろうとする。
「させな──ッ!?」
飛び去る怪人を墜落させんと構えるレッドガランを一振りの斬撃が襲う。咄嗟に姿勢を低くしそれを躱す、出どころなど探る必要が無い、ヴァントガゼルのものだ。
怪人が、もはや夜の闇に溶け込み消えていく。逃がしてしまったのだ。目の前のダークヒーローに。
いや
「……何故なんですッ! ヴァントガゼルッ!!」
怪人に、だろうか。
「…………」
返答は無い、期待もしていない。鎌を振り下ろす、逃げる際の動作──!
一歩踏み出し懐に入り、降ろされた鎌を根元から握り、それを阻止する。
「逃がすと思ったんですか?」
「……あの怪人は、人から出来ている」
「は……?」
変声した声から告げられる衝撃の事実は、レッドガランの動揺を誘うには十分な材料であった。そしてその晒す隙は、決して相手に許してはいけない物であるということに気づくのには、少しばかり遅かった。
「待っ……!」
ヴァントガゼルが黒い霧へ沈んでいく。
レッドガランが手を伸ばす。それは空を切った。
霧が晴れ、部屋には何も残らない。
「……まだ何も、話せていないのに……」
ただ一人、苦悩する少女を除いて。
「そういえばなんで俺が変身した時に怪人粒子は出なかったんだ?」
『先ほど検出されたセラストの怪人粒子を解析し、こちら側で独自の検知されない怪人粒子を作り出した。これ以降はどこで変身してもその出どころが特定されることは無いだろう』
「なにその技術力……」
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今回使用した特殊タグは自作のものとなります。
テンプレ表には無いですがここから他の特殊タグを自由に使用することが可能です。他にも様々な特殊タグを作成していますので、興味があれば積極的に使っていだけると嬉しいです。
また本文中のようつべの特殊タグはアネモネ様の「特殊タグ詰め合わせ」を参考にさせていただきました。
アネモネ様にこの場を借りてお礼申し上げます。本当にありがとうございます。
今話にて良かった思った特殊タグをお答えください
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なんでそれを早く言わねぇんだ!
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紋章
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レッドガラン必殺技演出(紅蓮天照)