TS転生系Vtuber、時々ダークヒーロー【第一部完結】 作:ムーンフォックス
今回から試験的に特殊タグを導入しており、見辛いかも知れません。
最後の方に特殊タグに関してのアンケートを設置しているため、お答えいただけると幸いです。
横浜の産婦人科に響く元気な赤ん坊の産声。
さて、そんなわけで今生で受けた名は
そう、
Vtuber『
前世の俺は声が低く、いくらボイチェンを使おうとも声が女になることはなかった。この声のせいか或いはこんな性格のせいかモテることがなかった。
しかし今は違う。目の前の鏡に写る全身セクハラ美少女ちゃんは誰ですかァ?
誰だと思う?
そう
今の俺は圧倒的な美少女!
聞きたまえ 地球の裏に届かんばかりの美しきソプラノヴォイスを!
見たまえ この全世界を魅力する美しきビューティフルフェイスを!
今の俺にかかれば、全世界を
となれば話は早い。俺はVtuber『果喪鳴』として活動を開始した。
撮影機材、モデル依頼、個人がやるには高すぎる出費、「これもしかしてVtuberになる必要はないのではないのか? だって俺可愛いし」なーんて考えたこともあったが無事に成し遂げた。Vtuberとはロマンなのだ。
俺は長女だから我慢できたが、次男だったら我慢できずに爆散していたことだろう。
そんなわけで気長にゲームをやっている俺ではあるのだが……
「強かったよ……Suns…だがお前の命運もここまでだァ」
『とっとと殺せ』
『なげぇんだよ馬鹿』
『「お前の命運もここまでだァ」←かっけぇ……』
「私の勝ちだァァアアアッ!!!!」
GAME
OVER
諦めるな……
カモメ! ケツを力に変えるのだ……
『あ』
『あーあ』
『お前の命運もここまでだァ笑笑笑』
『ゴミ』
『引退しろ』
Vtuber『
企業には属していない、スーパーチャットを開放していない等の異質な部分が数多くある。
中でも異質なのが以下のルールだ。
一つ「私のチャンネルを見る奴は暇人である」
二つ「私が失敗したら蔑め、私が成功したら誉めちぎれ」
三つ「ゲームを楽しめる時にやれ」
四つ「守れなかったら誰であろうとこのチャンネルから去れ」
五つ「草に草生やしたら死刑」
六つ「ただし、謝れば誰だろうと許せ」
本人曰く、「失敗してかけられる上っ面の慰めなんかより罵詈雑言の方がマシ」らしい。
そして
昼休み。私は屋上で ある動画を見ていた。
イヤホンで音が聞こえないため、端から見るとオペラでも聞いてるように見えるだろう。しかしその実は―――
『「ケツを力に変えろ」って言ってるからこっちはケツ
「ハハハ」
果喪鳴の配信を目的としたものだった。午前11時から
「『一つ、私のチャンネルを見る奴は暇人である』、か……本当に暇人しかいないな……」
私が果喪鳴を知ったのはただの偶然だった。Utubeのおすすめ機能が偶然見せてくれた彼女の雑談配信の切り抜き、暇だった私はただそれを見ただけのこと。
そして、どっぷりと沼にハマった。女性とは思えない喋る内容の過激さ、初めて見る民度の低いチャンネルというもの。様々な刺激的な体験を経て、今や立派なファンの一人だ。
『俺も力み過ぎて屁以上の何かが出そう』
『お前の部屋臭すぎてテロ発生してるぞ』
『女の子は屁なんて出さないからネカマだな、騙しやがって』
『さっきも同じこと言ってたよな? これタイムシフト?』
相も変わらないチャット欄の民度が素晴らしい。カモメの叫びをBGM代わりに、私は自作の弁当箱を広げ――
ブツリ。
「まだそんな人聞いてるんですかぁ? 彩月ちゃぁ~ん」
不意に、イヤホンの音声が途切れた。それと同時に耳に響く間の抜けた声色。
私は振り返り、その姿を見た。
茶髪に青のメッシュがかかったロング、同じ制服を来ている(胸のサイズは随分と違う、何故だ)。
おっとりとした笑顔が素晴らしいが、その手には私から外したイヤホンがあった。
「……趣味は個人の自由ですよ、
「そうでしたねぇ~、でもそんな
「『六つ、謝ったら誰だろうと許す』。
いいですよ、趣味が悪いのは自覚しています。それより、青藍先輩は何故ここに?」
ついでに、青藍先輩は果喪鳴の過激な発言が好きではなく、ことあるごとに私にカモメちゃんの配信を見せないようにしている。
「一緒に弁当を摘まもうとぉ、ヴァントガゼルについても話したいしぃ」
そして何より、青藍先輩は私と同じ、怪人と戦うヒーローの一員なのだ。
ヒーロー名は『ブルーネヴィル』。私より先にヒーローになった人で、多くの場数を踏んでいる、当然だが私よりも強い。
ヒーローチームのリーダーは私だが、実は青藍さんが辞退しただけで、本来は青藍先輩がヒーローのリーダーになるはずだったのだ。
いつか私も青藍さんのように強く、みんなを守れるようになりたい。そう、誰しもが言う『ヒーロー』に……。
「……ヴァントガゼルですか」
「そっ、彩月ちゃんあの時ヴァントガゼルを見逃したでしょ? それで上の方から色々言われててさぁ~~」
やはりその話になるか、私は目を伏せた。ヴァントガゼルを国は立派に『怪人28号』として登録している。私はその『怪人』を見過ごしたのだ。当然、許されるべき行為ではない。
「……ごめんなさい」
「いいのいいの、あの時ヴァントガゼルが助けに来なければ彩月ちゃんは死んでた、それについては私も感謝してる……それでぇ?」
「……
前述した通り、私は青藍先輩を
尤も、
「気づいたこと、少しだけでもいいの、クセは? 鎌を軽々と扱うのは単純に筋力によるもの? それとも技術? 空手か柔術をしてるように見えた? ヤツを倒せるほどの力が私たちにあると思う?」
「……落ち着いてください、私はただ助けられただけで――」
「知ってる、でも何もただ『助けられた』ってことはないでしょう? 隙とかはあった?」
「……あるようには見えませんでした。というより、彼女は私を助けてくれた、何も倒す必要は」
「あるわ、だって彼女は――怪人だもの」
青藍葵、ポテチ 俳優 TV番組 漫画 ついでにVtuber、すべての趣味が私と合わない。それは『ヴァントガゼルに対する認識』も同じように、だ。
青藍先輩はヴァントガゼルを怪人として認識している。そして異常な程にヴァントガゼルを憎んでいる。どうしてかは知らない。無粋なことだ、いつかは聞こうと思う。
「……」
「気を悪くさせてしまったかしら? ごめんなさい。でも忘れないで欲しいの、怪人との戦いで多くの建物が被害を受けちゃって、それで家を失う人がいるの」
私は返答ができなかった。重い空気の中、話題を入れ換えようと青藍先輩が口を開こうとすると――
ジリリリリリリリリ!!!
「ッ!! これって……!」
「怪人出現ね、行きましょう。彩月ちゃん」
「はいっ!」
幸いにも発生場所はそんなに近くない。私と青藍先輩は現場に向かって走り始めた。
『ん? ……ちょっと都合が悪いけど一先ずはここまで! 残りは夜に! それじゃあ!』
『借金取りでも来たか?』
『逃げるな卑怯者、煉獄さんは逃げなかったぞ』
『逃亡者は銃殺される』
『実はお前に告白しようと思ってたんだ。愛してる。結婚してくれ』
『↑""本物""もいるねぇ』
『↑↑頭お花畑の民も見てます』
『↑↑↑それを配信内で言う精神だけは認めてやる』
このライヴストリームは
終了しました
ジリリリリリリリリ!!!
地獄と形容するに相応しい。ここは。
天色、阿鼻叫喚、早い話が地獄絵図。怪人の出現で大衆は逃げていく。
その中で転ぶ一人の少女がいた。何の力もない少女だった。少女には両親がいた。掛け値なしで尊敬できる素晴らしい両親だった。何よりも少女の身を案じてくれた。
故に怪人の攻撃を真っ先に庇ったのもまた、その両親だった。
両親にまだ上半身があった時、母が何かを言ってた気がしたが、五歳の少女にそれを理解するほどの知能はなかった。
バタンと転び、立ち上がろうとしたその少女の前に、怪人がいた。腕が四本もある屈強な怪人で、全ての手に巨大な斧が握られてた。怪人は斧を少女へ振り下ろし――
ガキン! とその斧は防がれた。少女はそれを止めた者を見て、名を呼ぶ。
「……レッドガラン」
「大丈夫だった? お母さんは?」
レッドガランの問いかけに、少女は一つの死体を指差した。それを見て、レッドガランの表情は陰っていく。
「……ネヴィルさん!!」
「りょうかぁ~い」
間の抜けた声が空から降ってきた。少女は見上げると、そこにヒーローがもう一人。
「……ブルーネヴィル」
「正かぁ~い」
腕時計からの電子音と共に、武具が形成される。
形状は日本刀。刀身は仄かに青に煌めいている。違和感は一つ。その刀身が『水』で作られていること。それをブルーネヴィルは鞘に納め、構える。素人でも分かる。
抜刀一閃。
四本ある腕の内、一本が切り落とされた。怪人は悲鳴をあげ、後ろへ飛ぶ。優雅にブルーネヴィルは着地した。
あ
あ
あ
「――ブルーネヴィル、行きます」
納刀する姿はまさしく、ヒーローに相応しい。
大通りに二人は到着した、目の前に怪人がいる。一人は屈強、筋肉の線が太く浮いており、三本の腕すべてに斧が握られてる。
そして
「……新手、ねぇ」
ブルーネヴィルの言う通り、もう一人の怪人が現れた。全身は緑色で、胴体は細く足にローラーがある、見るからに『スピードタイプ』と呼べる相手だ。
しかしその緑の怪人は何をするわけではなく、ローラーが勢いよく回転しだし、遠くへと逃げていった。
「……二手に別れさせる気ね、乗っちゃだめよ。ひとまずはこの怪人を撃破して――」
「待てッ! 怪人ッ!! 逃がさんぞ!!」
「ちょっとぉッ!?」
その怪人を追う者一人、レッドガラン。ブルーネヴィルの言葉を無視し走って行く光景に、彼女は「はぁ~~」とため息を吐くしかない。
「……まぁ、いいわぁ」
ブルーネヴィルは刀を構え
「どっちみち、直ぐにケリをつけるつもりだったからぁ」
走った。
「先ずは一手」
一迅の風が吹く。
スパァンッ!!
次の瞬間、怪人の腕が斬られていた、腕全部が消えている。いつの間に抜刀したというのか、わけもわからず、怪人は悲鳴をあげ、残った脚で攻撃を繰り出す。
回避し、
「お次に二手」
再び風が吹いた。今度は足だった。二本の屈強な足が切断されていた。目にも止まらぬ抜刀術。それがブルーネヴィルの持つ技術だった。
腕と足がなくなり、残るのは頭と胴体のみ、ブルーネヴィルは近づき刀を振り上げる。
「これで三手」
そしてその刀を振り下ろそうと――できなかった。突然怪人が爆散し、四方八方に散らばっていく。
「なっ!? 分裂!?」
100? 1000? とにかく多い。その怪人の成れの果てが次々とブルーネヴィルを襲いかかる。
即座に抜刀し斬るが、手応えがない。猛攻を防ぐだけで精一杯だった。拮抗していた状況はやがて崩壊する。
「ぐっふぁぇッッ!?」
怪人の一撃が命中した。大きく吹き飛ばされ、背後のビルがブルーネヴィルを巻き込み崩壊していく。
分裂した怪人は集合し、再び屈強な怪人の姿になる。その切断されたはずの腕と脚は再生していた。
土煙が収まると、そこには変身が解除されたブルーネヴィルの姿があった。至るところに擦り傷があるが、それだけで済んだのが奇跡と言えるだろう。
再び変身しようとブルーネヴィルは腕時計に手を伸ばそうとするが、体中が悲鳴をあげてるこの状態でそれが叶うことはなかった。
余裕の現れだろうか、ゆったりと迫る怪人から逃げるため、思考を巡らし――放棄した。
「……慢心したのが運のつきかしらねぇ」
どうしようもない。結論は、死だ。
怪人によってヒーローが殺されるのは珍しいことではない。死ぬ時は死ぬし、生きる時は生きる。それは彼女自身よく知っている。知っているはずだったのに。
ヒーロースーツを着用してない状態で攻撃を受けるのは初めてのことだ。上半身が消えた被害者をちらりと見た。
きっと凄く痛いのだろう。いや、果たして『痛い』で済むのだろうか?
目の前に屈強な怪人がいる。不敵な笑みをした下劣な怪人だった。斧が振り上げられるのを確認し、青藍葵は目を閉じた。
――そして、痛みは一向に来ない。
疑問を感じ、瞳をあける。
「ま、さか……?」
斧が切断されていた。
漆黒の戦士が駆ける、一瞬のうちに怪人が下半身と上半身に切断された。怪人は分裂しようと体に力を込めるが、その首は鎌によって上半身から分離され細切れに斬られている。その残骸は地面に落ちて、動くことはなかった。
その
気づけば体中が憎悪していた。気づけば体中に満ちていたはずの痛みが無くなってる。
容赦なく青藍葵は腕時計のボタンを押した。幽鬼のごとき佇まい、悪鬼のごとき瞳をブルーネヴィルは向ける。
狂喜する。再び巡り会えたことを。
「久しぶりねぇ、ダークヒーロー」
刀を、そして向ける。それは明確な『
「感謝はした、恨みはない。だけれど、容赦はしないわ─────ヴァントガゼルッッ!!!」
『怪人28号』
DARK-HERO
天色に浮かぶ太陽が、燦々と漆黒のヴァントガゼルを際だたせる。質問に何も答える様子はなかった―――
(ウッヒョぉぉぉぉぉッ!!!! ブルーネヴィルちゃんと遭遇! 遭遇しちゃったよ! 後で視聴者に自慢してやろ!!)
─────ただし、中の人は視聴者の質問に答える様子らしいが。
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今話にて良かった思った特殊タグをお答えください
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Sunsの死亡表示画面
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チャンネルのルール
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このライヴストリームは終了しました
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ブルーネヴィルのヒーロー表示
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ヴァントガゼルのヒーロー表示