TS転生系Vtuber、時々ダークヒーロー【第一部完結】 作:ムーンフォックス
※特殊タグがあります。見づらいかも知れません。注意してください。
十年前、私のおばあちゃんが死んだ。年だった。私は悲しくて泣いた。それを慰めてくれたのは母だった。
二年前、私の母が殺された。怪人によってだった。私は悲しかったが泣かなかった。慰めてくれた母はもういないからだった。
何故彼女が生き残ったのかは明白で、ヒーローに助けられたからだ。ピンチに駆けつけ助けてくれたその姿、まさしくヒーロー。
だからこそ、彼女もヒーローになろうと思った。先ずは体を鍛えた。次に体術を覚え、最後に怪人の情報を読み漁った。
幸いにも、葵には才能があった。数々の経験を完璧に記憶し直ぐ様 実践するストイックさに優れた状況判断力。彼女がヒーローになるのは時間の問題だった。
『ブルーネヴィル』としてヒーロー活動を続け、葵は各地の怪人を倒し続けた。休む暇などない、その間にも死に逝く者がいるからだった。
怪人と戦うときも、一人のときも、葵は泣かなかった。そんなことをすれば彼女を助けてくれた「あのヒーロー」に顔向けができないからだ。それを信じ続け、ブルーネヴィルは戦い続けた。
そう、ブルーネヴィルはそれを信じて、戦い続けていたのだ。ずっと一人で。
晴れた空は二人の争いを照らす。崩壊した大通りで向かい合う二人の姿。ヴァントガゼルとブルーネヴィル。
「はああァッッ!!」
ブルーネヴィルが一瞬でヴァントガゼルに肉薄し。鞘に納められた刀を横に引き抜いた。
抜刀一閃。
音を立て迫るその凶刃はしかし、ヴァントガゼルが体を逸らしたことで避けられてしまう。
だがそれはブルーネヴィルも想定済みだったらしい、抜刀時に発生した推進エネルギーを利用し大きく回転、蹴りを胴へ叩きこんだ。
「ッ!?」
予測不足が祟る、ヴァントガゼルの体勢がほんの一瞬、わずかだが乱れた。
だがヒーローは、その僅かな隙間を逃さない。
怜悧な声が鳴り響く。その声は
相手が放つ必殺技には、必殺技でのみ対抗ができる。毅然とした、そして淡白な声が発せられる。
ヴァントガゼルは鎌から、ブルーネヴィルは刀から、黒と青に塗れた光が互いに交差し、臨界点を突破しようとした。
「死黒暗澹」
解放された奔流する蒼閃と漆黒の衝突に大気が震え、辺りに衝撃を撒き散らす。爆風は吹き荒れ、ガラスが甲高く弾き飛んで行く。
だが見とれてはならない、ブルーネヴィルがヴァントガゼルの喉元に飛び込む。刀をその首に突き立てようと上段から振り下ろした。
奔るは光の如き一閃、最初からあの大振りな攻撃が命中するなどと考えていない。自らを驕ってはならない。全てはこの一瞬の一撃のために、持てる限りを尽くす。
でなければ、ヴァントガゼルなる巨悪を打ち倒すなどと。
(永かった……だがこれでッ!!)
──自らを驕ってはいけない。でなければ、ヴァントガゼルなる巨悪を打ち倒すなどと、夢のまた夢。そう識っていたというのに。
如何なる攻撃とて防がれる。其れこそ、ヴァントガゼルの恐ろしさだと、識っていたというのに。
「ッ!?」
だが血は流れない。火花すら散らない。ヴァントガゼルの周囲が黒霧に覆われ、その姿を掻き消す。渾身の一閃は届くこと叶わず、無情にも霧を裂くのみ。
二つに切断された霧は集合して一つとなり、ブルーネヴィルの背後へと移動する。霧が晴れ、ヴァントガゼルが姿を現した。
その体には傷一つ、付いてるようには、見えなかった。
「……余裕綽々、って感じ?」
忌々しげにブルーネヴィルが言葉を発した、直後。足元の地面に罅が入る。脚に力を込めた衝撃に耐えきれず弾けたのだ。
加速の勢いを利用した飛び蹴り、しかし後方に飛ばれ回避される。衝撃の反発力をバネとし再び接近、今度は蹴りではない、刀だ。納刀からの抜刀。絶刀の一撃がヴァントガゼルを襲う。
これはさしものヴァントガゼルでさえ予知できなかった。咄嗟に横に逸れるが、その斬撃は確かにヴァントガゼルの肩を切りつけた。血は微かに滲み、漆黒のアーマーは仄かな赤色へと変化する。
「今のが……私の……全力よ……!」
戦闘中だというのに膝を着き、肩で息をしながらブルーネヴィルは答える。先ほどの戦いで負傷しているというのに引き出されるこのポテンシャルは、間違いなくヴァントガゼルに対する憎しみによる物だった。
「酷いものでしょう……これだけ頑張って、貴方につけられた傷は肩だけなんて、悔しいわァ……」
血走った目に宿る殺意。意識が朦朧としてくる。だが殺気は失われてはいない。
「……その力があれば、
憎々しいと言わんばかりに、ブルーネヴィルは発する。その言葉は僅かながら動揺を誘ったのだろう、一瞬だけ、ヴァントガゼルの体が揺れた。
「覚えてるかしら……私は忘れてないわよ、二年前、
何故彼女が生き残ったのかは明白で、ヒーローに助けられたからだ。ピンチに駆けつけ助けてくれたその姿、まさしくヒーロー。
怪人と戦うときも、一人のときも、葵は泣かなかった。そんなことをすれば彼女を助けてくれた「あのヒーロー」に顔向けができないからだ。それを信じ続け、ブルーネヴィルは戦い続けた。
だが矛盾がある。ヒーローが登場したのは一年半前の話、しかし葵がヒーローに助けられたのは二年前の話。
当時の映像が監視カメラに映っている。
そこには確かに、ヒーローが映っていた。
ダークヒーロー、ヴァントガゼルの姿が。
青藍葵の目指したヒーローが、崩れ去った瞬間だった。
紺碧の両目が仇敵を見据える、地獄の閻魔ですら裸足で逃げだす、憤激の瞳。マリアナ海峡より深く青く、エベレストよりも高く広く、漆黒よりも淀み暗く、憎い。
激昂し、叫ぶ。
「……なんで、答えてくれないのよッッ!!!」
力及ばずと知って、それを握りしめ、届かずと知るが、それを振り抜く。
その拳が当然、無意味と知りながら。
───ヴァントガゼルからの返答は、未だ無い。いや、反応はある。それは鎌を振り上げるという動作、つまりは逃げの一手。
眼の前の
「逃げるの?」
その余裕な姿勢が、ブルーネヴィルを苛立たせる。
「私はまだ……負けて……!」
「負けた」
そこで初めて、ヴァントガゼルが言葉を発した。バイザーを通し伝わる変声の言葉。そこに侮蔑の感情も、諌める感情も何一つとて存在しない。
眼の前の勝者が述べたのはただそこにある敗北の事実。ブルーネヴィルの変身が解かれ、青藍葵はその血だらけな肉体を晒す。
「負けてない……負けなんて認めない……」
ヴァントガゼルが、鎌を下ろす。朦朧とした意識の中、言った言葉はきっと、青藍葵本人も意識していなかった。絶対の怒り。
「殺してやる」
土煙が周囲を覆ったその時、青藍葵の意識は途切れた。
やあ (´・ω・`)
ようこそ、TS転生系Vtuber、時々ダークヒーローへ。
このテキーラはサービスだから、まず飲んで落ち着いて欲しい。
うん、シリアス展開は終わりなんだ。済まない。
"時々"ダークヒーローって書いてあるしね、謝って許してもらおうとも思っていない。
でも、このシリアス展開を見たとき、君は、きっと言葉では言い表せない
「VtuberとかTSとか目当てで観にきたのになんかずっとダークヒーロー要素ばっかしかないな」みたいなものを感じてくれたと思う。
殺伐とした世の中で、そういう気持ちを忘れないで欲しい
そう思って、この展開にしたんだ。
じゃあ、注文を聞こうか。
とっととVtuberやれ? しょうがないにゃあ……。
……とは言うものの実は今配信がピンチに陥ってる。同時接続者数、つまるは同接がここ最近めっきりがっつりもっちりさっくり減少の一途を辿っているのだ。
その理由はもう明白で、間違いなくこのゲームである。
超高難易度即死ゲームと名高いこのゲームには熱狂的なファンが多く、配信すればまあかなりの人が視聴してくれる。
高難易度ゲーム? 大したこと無いっスね。大丈夫自分転生っていうもっと高難易度なことやったから。
やめとけ? ま、大したことないっしょ。
軽い気持ちでゲームを購入し早速配信、てなわけで初日の同時接続者数とチャット欄がこんな感じだ。
「ハーイということでね この……なんて読むんだ? ブラッドソウル ファイアーズダイツウィスをね やっていこうかねって」
. 所詮私の相手では無いブラッドソウル実況 Part1
チャンネル登録者数 6.4万人
すべてのメッセージ お3583
| twiceのことツウィスって言ってる奴初めて見た |
| ツウィス……? |
| とうとうこのゲームを初めてしまうか…地獄の始まりやね |
| 何時間ルートかなぁ |
| 「地獄の始まりやね……」おおお |
同接3500人!? 初めての記録に目玉が飛び出て大笑いしそうになる欲求を抑える。やはりこのゲームには人が集まる。同時にこれは大きなチャンス! ここで私が面白い配信をできるということを証明しさらなる同接アップを目指すのだ。
「まっ自分の手にかかればね このジャンルのゲームやるの初めてだけど大したことないっしょ えっ二回攻撃食らっただけで死んだんだが……?」
あれなんかボス強いな ん? ボス強くね?
え? こいつで最初のボス?
えっ?
. 所詮私の相手では無いブラッドソウル実況 Part1
チャンネル登録者数 6.4万人
「……これホントに最初のボス? なんか強くない?」
すべてのメッセージ お2438
| えぇ…… |
| 早速洗礼受けてんねぇ |
| そのボスに一時間半ぐらいかけてる奴世界でお前だけだよ |
| もっとフィールド広く見たら? |
| 「大したことないっしょ」←これなんだったの?「大したことないっしょ」←これなんだったの?「大したことないっしょ」←これなんだったの?「大したことないっしょ」←これなんだったの? |
| 頑張ってください!応援してます! |
おかしい、おかしい……なんで勝てないんだ……。同接画面をチラリと見る。約2500人、あんなにいた視聴者、その内1000人がもう見切りをつけたというわけだ。いや、それは仕方ないことなのはわかってる。わかってるけどさぁ↑!?
まあ気に病むことは無い。結果的にスーパープレイを見せれば視聴者は自然とついてきてくれるのだ。友情・努力・勝利! 男の子ってこういうのが好きなんでしょ?
見とけよ見とけよ、同接爆伸びは近いぞ。
. 所詮私の相手では無いブラッドソウル実況 Part1
チャンネル登録者数 6.4万人
「ホアアアアアアアッッッア゛ア゛ア゛ア゛ア゛アアア゛ア゛アア゛ア゛アアアアアアアアアッッッッッッッッッ!!!!!!!!」
すべてのメッセージ お1273
| 抜け道あるぞ抜け道あるぞ抜け道あるぞ抜け道あるぞ抜け道あるぞ抜け道あるぞ抜け道あるぞ抜け道あるぞ抜け道あるぞ抜け道あるぞ抜け道あるぞ抜け道あるぞ抜け道 |
| コメント見てコメント見てコメント見てコメント見てコメント見てコメント見てコメント見てコメント見てコメント見てコメント見てコメント見てコメント見てコメント見て |
| なんか逆に感動してきた |
| 視野「せっま!w」視野「せっま!w」視野「せっま!w」視野「せっま!w」視野「せっま!w」視野「せっま!w」視野「せっま!w」視野「せっま!w」視野「せっま!w」視野「せっま!w」視野「せっま!w」視野「せっま!w」視野「せっま!w」視野「せっま!w」 |
| 訓練から帰ってきたらまだやってました!ありがとうございます!絶対倒せます! |
| フィールドの横に道があってそこから逃げることに10時間も気づかないの世界でお前だけだよ |
| 初見です!今五番目のボスくらいですか! |
ウキャキャ! ウキ! ウホ! ウギャー! キャインキャイン! ウホホッホホホーホウホホウホッホーホホボボボボボボババババババババッッッ!!! ァーホホ ホッホーウホホ!!!!
「……ハッ私は何を」
……猿となった言語野を急いで日本語に戻す。時間は……13時間経過!? そんなに経過してたの!?
なに? 現代のゲームってこんなに難しいの?
まずい、これは非常にまずい。チャット欄と同接を確認。これは……酷いですな(もろちん二つの意味で)。ひとまずカチカチと荒らしのブロックとかあれこれを行う。
一段落がつき、次に襲ってきたのは物凄い眠気であった。
時刻をチェック……深夜二時。明日は学校もあるし、さすがに寝なければマズい。
「……寝ます! もう寝る! 明日こそこのボス倒す!」
すべてのメッセージ お1229
| は? |
| コメント見ろよ |
| こーれ明日はまた別のゲームやってるパターンですw |
| なんか横に道あるらしいですよ! |
「『横に道あるらしいですよ!』……道? 横に?」
一つ、コメントが目に止まる。いやいやこれは高難易度ゲーなのだ……愚直にボスに挑むことこそが正攻法でしょ? まさかね……?
靄がかった壁を通過しボスに挑む。本来なら開幕にしてくるスタンプ攻撃を前ロリで回避するが今回はそれを無視、とにかく逃げに徹し狭いフィールド内を探索していく。ま、まさかね……?
扉なんかあるわけ……あれなんかこの壁だけ色が違うぞ?
「なんかここだけ色違うな?……いやでも流石にこれじゃないで──」
そこに近づくと表示が出た。
「…………」
コントローラーの✕ボタンを押す。
壁に埋められた扉が開いた。急いで扉の中へと入る。敵はいない、一旦は安全地帯のようだ。
すべてのメッセージ お2160
| wwwwww |
| 13時間これに気付けなかったやつがいるってマ? |
| なお本来のチュートリアルはここから先の模様 |
| 一歩前進ですね! |
…………配信終了ボタンを押した。
このライヴストリームは
終了しました
…………は
「はああァァァ↑↑ァァァああぁぁああ↓↓ァァァBAあああああBA!?!?!?!?」
「うるせぇバカ姉貴!!」
妹に怒られた。グスン
| ←このアイコンは赤羽彩月/レッドガランのコメントだと考えてください |
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また今回使用した特殊タグであるYoutubeチャット欄は自作のものとなります。
ここから自由に使用することが可能です。他にも様々な特殊タグを作成していますので、興味があれば積極的に使っていだけると嬉しいです。
今話にて良かった思った特殊タグをお答えください
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青嵐水波VS死黒暗澹
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ヴァントガゼルの技エフェクト
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やあ (´・ω・`)
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BLOOD SOULSのゲーム画面
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配信チャット欄
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