TS転生系Vtuber、時々ダークヒーロー【第一部完結】 作:ムーンフォックス
特殊タグとかないんか?
ああ、ハーメルンの機能である特殊タグを使うことで文字の色や背景色を変えるだけじゃなくLINEやXと言った様々な画面を再現できまうからな
アイツがチラシの裏から「特殊タグ練習」って検索すれば有志の方がある程度のテンプレを作ってくれてそれを使ってお手軽に自分の好きな画面を再現しちまったからな
8月21日──
「調査、ですか……?」
いずれにせよその事実は彼女に責任感を与え、彼女の精神をヒーローたらしめている。
故に、彼女が困惑したのはそれが前代未聞の出来事であったからだった。
眼前に佇む政府からの使者──確か佐藤と言う筈──はそんな彼女の困惑を意に介さず、かけてあった眼鏡をクイ、とあげた。
「はい、赤羽彩月さん。貴方には都立鶯寧高等学校に転学してもらい、そこである任務を行ってもらいます」
「はあ……ところで
「青藍
「あ、はいすみません」
パチリ、佐藤が室内の電気を消しプロジェクターを映し出した。
(24個もあるの……?)
「ご存知だと思われますが──怪人が発生する際、その怪人は『怪人粒子』と呼ばれるものを発します」
「そして不思議なことですが──ヒーローもまた変身する際にその怪人粒子を発生させるのです」
「そして今回我々の調べにより──6月21日に都立鶯寧高校にてその怪人粒子の発生が確認されました」
『6月21日』、それは少なくとも、赤羽彩月にとっては忘れられない大事な日であった。
だって、その日は──
「6月21日って……まさか……」
「はい。その日ヒーローに変身したのは
パチリ、明かりを点け、佐藤は断言する。
「ヴァントガゼルは、都立鶯寧高等学校にいる可能性が高い」
9月1日──
(って、意気込んでここに入ってきたまでは良いけどさ──)
走馬灯かのように、私はその日のことを振り返った。走馬灯、というのは死ぬ寸前の人が見るもので、私が言うのは少し違うだろうか。いやおかしくはないとはっきりと言える。
目の前には人がいる。一人二人三人四人五人……とにかく両手の指じゃとても数え切れないほどの、少なくとも廊下にまだまだ人が並ぶほどの莫大な人たち。
時は学校転入初日、昼休み、冷やかしの人と興味がある人と私に命を救われた人の──そのすべてが私の前でひしめいている。
「あ、あぅ……えーと……」
捌ききれない人員。慣れない初めての環境。固まってしまう思考。そして、勝手に動いていた脚。
「ご、ごめんなさ〜〜い!!」
後ろから私への様々な声が聞こえている。こ、今度はもっと少ない人でお願いします……。
気づくと澄みきった空──確か天色と形容するのか──を見て、一呼吸をしていた。
ここは屋上か。人は私だけ、だろうか? 校庭を見下ろす、私と同じ歳の人が沢山遊び回って、サッカーをしたり、或いは鬼ごっこをしていたり。
平穏な日常、ありふれた青春。
「私は、ヒーローとして日常を守れているのかな……」
この高校の全校生徒は445名。
──三人は、怪人によって殺された。今は442名だ。親友を失い、それで泣いた子だっているかも知れない。そんな人を増やさないために、私がいる。
「もっと、頑張らないと」
『ずっと昔から疑問に思ってるんですよね。なんでホラーゲームってこんなに画面暗いんだろうって 明るい方が絶対良いじゃないですか』
「ふふ、私ったらまたあの人の幻聴が聞こえる」
決意を改たにする私の耳に、私がこの世で一番尊敬し敬愛し愛してる人の言葉が入ってくる。高揚すると良く彼女の──
……違う、幻聴じゃない。これは昨日の『これが夏休み最後の闇道配信』での彼女のセリフ。
声がした方向を見る。女子生徒がいた、私の前に座っていた子だ。そのスマホの画面に映るのは──。
それを私の頭が理解する前に、気づくと声をかけてた。
「あーっ! それカモメちゃんだよね!!」
「──それで、それでね! そこで普通の配信者なら降参を選ぶのが当たり前だと思うんだけどカモメちゃんは諦めなかったの! モンスターを出しても少ないHPだから一発でやられるのは必然! でもここでカモメちゃんはそのモンスターがやられることを見越して絶対におふざけで入れたであろう技を発動したの! その技はそのターン中にやられたらその相手も強制的に倒すことができる奪命対価! 相手はめんくらったのかな? 技を選択するのを躊躇ったの、当たり前だよね環境でそんなモンスターを見かけることなんて一回も無いんだから! だっておふざけで入れた一匹なんだから! 切り抜きでも散々バカにされたゴミモンスターだったんだから! 全部が紙一重で神がかってた。チャット欄のみんなが手に汗を握ってカモメちゃんの勝利を祝っていたと思うもちろん私を含めてね、初めて訓練をサボってこっぴどく後で怒られたけど私はそれに後悔は無いしむしろ誇りに思う。だってこの試合で勝てば全国ランキング100位以内に到達して名前が載るの、ランキング100位以内のプレイヤーは運営からの特別な報酬も貰えて公式マックス(旧アオッター)でも直々に名前が記載される。これがどういう意味かわかる!? カモメちゃんの実力が世に拡がるんだよ!? そんなのを拒む人はいないだろうから絶対にみんな祈ってたよ! でもそこには懸念事項が一つ、本当に致命的で絶望的な事項が一つだけカモメちゃんのそのモンスターにはあったの、それはそのモンスターの俊敏さ、知っての通りあのゲームのモンスターには色んなステータスのパラメータがあるんだけど、中でも俊敏さは高ければ高いほど良いの、だって俊敏さが高いと先に行動できるから。カモメちゃんのくだんのモンスターは奪命対価を覚えられる代わりに俊敏さが死ぬほど低い、だからこのままだと負けることは必然、でも違った。それを知ってて尚もカモメちゃんは諦めなかった。なぜならカモメちゃんはそのモンスターにとあるアイテムを装備させてたの、それは一定の確率でモンスターの持つ俊敏さに関係なく発動すれば必ず初手に行動できるという雷の爪。これを装備してたのは本当に偶然、その一つ前の枠でなんか強そうっていう理由でカモメちゃんがつけた偶然の装備、でもそれに今は懸けるしか無い、その起死回生の一手に祈るしか無いの。一秒、二秒、三秒、カモメちゃん含むみんな、もちろん私を含んでるよ、とにかくみんなが祈っていたのは確か、そしてそれは……発動したの。確率は1/8、それを引き当てたの! チャット欄は歓喜に満ちた! そして私も天に向かって叫んだの! 奪命対価が発動! カモメちゃんの目論見通りにそのモンスターは倒れた! そして相手を道連れにしたの! これで圧倒的な不利な状況からようやくカモメちゃんとその対戦相手の実力がイーブンになったの……まあ結局相手が害悪戦法使ってきて負けちゃったんだけどね。でも私はあの配信から大切なことを教わったの。それは如何なる時にも諦めない心、そして如何なる時も相手を驚かせる一手を用意しておくこと。それはヒーローにとって必要な物だって、私は思ったんだ」
「……か、カモメちゃんが好きなんだね」
「うん! カモメちゃんが、私に生きる意味を与えてくれたから」
わたし超々美少女Vtuber果喪鳴の中の人の
……なーんて思考放棄してる場合じゃ無いぞ俺。状況を冷静に振り返ってみよう。このダチョウのように明晰な自分の頭脳を駆使してね。
屋上、突如として赤羽彩月に好きな切り抜きを聞かれた自分は頭が真っ白になり、一番記憶に残ってた『Sunsに啖呵切って盛大に負けた時』*と答えたところ、涙を突然流し出し、果喪鳴の素晴らしさについて説かされていた。
日本を救うヒーローがこんな木端なVtuber見てるなんてもう
いやいや待て待てなーんにも分かってなかったじゃん頼むぜ俺。これはチャンスなのでは? もしもここで「実は果喪鳴って私なんだよねクソワロタンバリンシャンシャンwwwコラボしてちょ、ちょ、ちょんまげwwww」とか言ったらあっさりコラボしてくれるのでは? 全国の老若男女が知ってるであろうヒーロー赤羽彩月とのコラボ配信……同接はきっと全ストリーマーでも前人未到の50万人を越すのは確かだろう。
「ところで、さっきからその声……カモメちゃんと98%くらい似てるね……」
「エッアッイヤッアノッ」
「もしかして……」
ま、マズイ……バレてしまったか……? この可愛さに免じて幻滅だけはしないでね……。
「……必死に特訓して声帯をカモメちゃんの物に近づけたんでしょ〜! この界隈だとよく見かけるよね、そういう人」
「は? あっいや……ハイソウデス」
「やっぱり!? 私も頑張ってるんだけど地声なのかな〜? 中々難しくてさぁー、今度コツ教えてくれない?」
都合が良くてそういう理由にしてしまったけどウチの界隈そんな奴蔓延ってるの!? コワ……。
戦々慄々することしかできない自分にその元凶である目の前の彼女が更に会話をしようと迫る……時であった。
ジリリリリリリリリ!!!
「ッ!?」
突如として学校のスピーカーがけたたましい音を鳴らす。街の至るところに怪人発生を知らせる表示が現れる。途端に赤羽彩月がさっきまで果喪鳴について熱狂的に語っていたのが信じられないほど、ヒーロー然とした表情に変化した。
「怪人……! 夜花ちゃんは急いで地下のシェルターに避難して! また後でカモメちゃんの話しようね!」
「えっ赤羽さんは──」
自分が言い終わるよりも早く、なんと彼女は屋上から──飛び降りた。
唖然とする中、彼女の手につけられた腕時計が光る。
瞬間、彼女の周辺が赤色に染まり──そのまま地面に激突する。
死んだ? ──否、むしろ、生まれ変わったのだ。
真紅のヒーロー、レッドガランへと。
レッドガランが一歩を踏み出す。一瞬で俺の視界から消えてしまった。
……彼女がいなくなってから一分、三分、五分。アラームの音がけたたましく辺りを包む。ポツリ、俺が漏らす言葉は独り言のようで、他者へと向けた言葉。
「……赤羽さんは逃げろって言ってたけどさぁ、死地に向かう友人を止めるのって、むしろ友人っぽい行動じゃね?」
『私もそう思う。力ある者がその責任を負わないのは逃げと同義だ』
俺はポケットからそれを取り出す──黒い懐中時計。こう言っちゃなんだが趣味の悪い──そんな物を。普段使いにはどう見ても適さないし、内蔵されてるらしい『こいつ』はたまに話しかけてくるウザい奴。でもゴミ箱にポイしないのには理由がある。燃えないゴミの回収は二日後だから、なんていう理由じゃあ無くてね。
これが無ければ、俺の変身ができない。
『変身するのか、ならばいつものように身代わりを置いておくぞ』
「あいよろしく──
『……なんども言うがトランスチェンジと言え、識別が不可能だ』
「なんども言うけどいい加減アプデで変身認識音声を自由に変更させてくれよ……
背後の影が伸びる。それがやがて俺の全身を覆う。
どういう理屈かは知らないけど、とにかくその影が無くなると、俺の見た目は完全に変化している。
『怪人28号』
DARK-HERO
ダークヒーロー、ヴァントガゼルその者へと。
『対象の場所は共有済だ』
「頼りになるゥー」
さっきレッドガランがしていたのと同じように屋上から飛び降りる──違いは、落下の途中に校舎の壁を蹴ったことだ。
壁に罅をつけることを代価に得た衝撃は一瞬で目的地への距離を詰めさせた。後はこのスピードを維持できれば、五分で辿り着けるだろう。
しかし二年前より怪人退治は続けてはいるが、一向に怪人が減る様子は無い。そろそろ敵幹部みたいな奴は出てきていいんじゃないの? なんならこれが特撮なら二回くらい敵組織変わってるよこれ。
まあこんな力を望んだこっちにも原因はあるが、ここまで変化が無ければ恐怖すら覚える。
もしかして俺が大学生になっても社会人になってもおばさんになってもおばあちゃんになっても怪人と戦うことになっちゃうのか? 嫌だねぇ。
そのようなことを思考しているウチに現場に到着……が、怪人らしき死骸が見える。どうやらとっくに戦闘は終わったようだ。
「……骨折り損?」
『──いや、違う』
腰につけた懐中時計が俺の言葉に異議を唱える。もう一人怪人でもいるのかな?
俺がそう思考したのと、レッドガランが猛スピードでこちらに激突してきたのは同じタイミングだと思う。咄嗟の出来事すぎて対応ができなかった。二人で仲良く崩れた壁に衝突する。
「ば、ヴァントガゼル!? なんで……じゃなかった! 早く逃げてくださいッ!」
あまり動いてくれない脳味噌に彼女の声がガンガン響いてくる。でもそれとはもう一つ、強化された耳がある音を捉えた。それは歩行の音。
一人、こちらに歩いてくる者がいる。
「うん? やっと少しは強そうな奴が出てきたじゃん?」
一般人──否、人なら逃げるか殺されてる。レッドガランの警告が、尚も耳に入ってくる。
「あの怪人は……強すぎます!」
「うん、あんな下級怪人と一緒にしないでね──僕の名前はセラスト──セラスト・ペスシクル。対人殺機関、その三幹部の一人さ」
なんか幹部らしい奴出てきたな?
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今回使用した特殊タグは自作のものとなります。
テンプレ表には無いですがここから他の特殊タグを自由に使用することが可能です。他にも様々な特殊タグを作成していますので、興味があれば積極的に使っていだけると嬉しいです。
今話にて良かったと思った特殊タグをお答えください
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プロジェクターのスライド
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終
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怪人警報(怪人が現れました)
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レッドガランのヒーロー演出
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セラストの怪人演出