TS転生系Vtuber、時々ダークヒーロー【第一部完結】 作:ムーンフォックス
ええと……二年前だね
背景色を変えるだけじゃなくLINEやXと言った様々な画面を再現したのは?
……二年前だね
もひとつ質問いいかな ハーメルンの機能である特殊タグ、どこに行った?
……君のようなチラシの裏から「特殊タグ練習」って検索すれば有志の方がある程度のテンプレを作ってくれていてそれを使ってお手軽に自分の好きな画面を再現できるガキは嫌いだよ
「みんはしじばんはやー!しじみ食べてるかー?」
すべてのメッセージ お3631
| 食べとるでー! |
| なにその挨拶 |
| 知らない挨拶だ… |
V..ライブ配信での最初のSuperをお祝いしましょう
| ないすぱー |
ドココで話し合った末、コラボの枠はしじみさんの方でやることになった。前回のコラボの時は俺の方のチャンネルでやってたので、今回はその逆である。
早速飛んできたスパチャ、温厚なチャット欄。俺のチャンネルのチャット欄とは根本的な違いを感じてしまう。こういう配信全体に蔓延るほんわかとした雰囲気が良さでもあるのだ。
「しじばんはやー、しじばんはー。今日は前々から告知してた通りコラボ配信や!みんなは私が誰とコラボするか知っとる?いやさすがに知らんか…」
すべてのメッセージ お3679
| 一体誰モメなんだ…? |
| 誰だろなぁ… |
| わーゼンゼンわからないナー |
| 俺バカだから良くわからないけど果喪鳴ちゃんな気がする |
「というわけでじゃーん!出ておいでカモメちゃん!」
「か、かもばんはーかもばんはー!果喪鳴でーすー!」
事前に予定していた謎のオリジナル挨拶を精一杯交わす……チャット欄が一瞬だけ加速した。俺の視聴者がなだれ込んできたのだろうか?
すべてのメッセージ お3797
| きたああああああああ |
| い つ も の |
| その挨拶の攻撃力強すぎるから禁止にしないか? |
| 可愛いいいいいいいいいいいい |
| リスナーの熱意がヤバい人じゃん |
| その挨拶流行ってるの?? |
| かもばんはああああああああ!!! |
| かもばんは!です! |
| かもばんはって何だよ |
| しじばんはに先に突っ込めよ |
ああ……平穏なオアシスに突如としてヒャッハーとした世紀末のモヒカンが乗り込んで蹂躙してきたような感覚……。だがさすがはしじみさん、何を隠そう彼女の配信にはモデレーターがいるのだ。
度を過ぎた俺の視聴者のチャットがどんどんと消され追い出されていく…ああそんな……いいぞもっとやれ。
「さすがに私のリスナーやと知らん子はおらんかな?かれこれ長い付き合いになるからなぁ」
「えへへ…恐縮どすなぁ」
「なんで京都弁?」
すべてのメッセージ お3813
| いつもと口調が変わった果喪鳴とか激レアすぎて泣いた |
| いつも出会う時は人見知りなの、好き |
| なんかいつもとチャット欄の熱意が違う…こわ〜 |
なんでそれでスパチャが飛ぶんだ…困惑するがいつもと違いカラフルなチャット欄というのは見てて飽きないものである。
「はいはいそこまでやそこまで!本日の予定や!」
「わーパチパチ」
20:30〜カモメちゃんとマシュマロを返し
ていくで!
21:00〜カモメちゃんと一緒にゲームや!
「というわけでマシュマロコーナーのお時間や!事前にアオッターで募集した質問に私とカモメちゃんが答えてくっちゅー内容! けれどもそれだけやとおもんない 違うか〜?」
「ま、まあ確かに…」
しじみさんの瞳が怪しげに光ったような気がする。アバターだからそんなこと無いはずなんだけどな…やはり幻術か…?
かと思うと彼女のアバターの口がニヤリと悪役みたいに形を作る。これは幻術では無いと思う……長年の付き合いになるから断言できるが、こういう顔をする時のしじみさんは必ず何かを企んでいる。
しかし見せたのは顔だけ、変化が一瞬だったからかチャット欄も彼女の顔に気づいた人はいないようだった。配信はあくまでも普通の進行の体を保っているように見える。
すべてのメッセージ お3791
| 緊張しまくりで可愛い |
| アオッターじゃなくてマックスやで今はもう |
| いつもと違うカモメちゃん可愛すぎます! |
| しじみとのコラボ配信はいつもと違うカモメが見れて幸せ |
「あー確かに 鳴ちゃんってこういう企画って全然するイメージ沸かんわ マシュマロとか読んでるの見たことないし」
「えっ、あっ、いや、だってなんか募集するの恥ずかしいし…上手い返事考えられないし…ゲームやってる方が楽しいし…」
「もー!鳴ちゃんったら可愛すぎるんやからー! さあ!一つ目のマシュマロは、こいつやー!」
「ウチらがVtuberになったきっかけか…鳴ちゃんはなんでVtuberになろうと思ったん?」
ニヤリ、投げかけられた疑問についつい表情が綻んでしまう。こちとら前世の頃からVtuberをしってる玄人の猛者やぞ? そんな俺に語らせちゃっていいわけ?
「フフ〜ンそれ聞いちゃいますか?大丈夫ですか?長くなっちゃいますよ私が語ると?」
ニヤリ、今度に笑ったのは向こうの方だ。
「ここでトラップカードオープンや!」
「えっ」
カチリ、彼女がスライドを移動させたような音が僅かに聞こえたと思うと、ノートページのような何かが配信画面に現れた。
「じじみさん…これは一体…?」
「だから今回の企画はこれや! 『三行で余すことなく語ったれ! マシュマロ返し〜!』」
すべてのメッセージ お3787
| うおおおおお |
| ノートページ結構凝ってて笑う |
| 今北産業 |
| 今北産業やんけ |
| この発達しきったインターネット時代に今北産業を!? |
| 今北産業ってなんですか? |
えっ何それ聞いてない。用意周到なしじみさんにしては珍しいサプライズに思わず面食らう。
それよりなんてこった。こんな三行程度のノートじゃとても俺のハンカチ無しには見れない喜びと怒りと哀しみと楽しさに満ちたエピソードをまとめることができない。追い打ちかのようにしじみさんが叫ぶ。
「制限時間は60秒や!」
「えっ」
「ほんなら…タイマースタート!」
カチリ、再び響くキーボードのEnterを叩いた音。配信画面の上部にまるで時限爆弾のモニターのような表示が現れる。
おいおい時間制限まであるんですか…? あたふた自分を尻目にやはり企画を知っているからというか…主催者のしじみさんはスラスラとタブペンで質問への答えを書いていく。
すべてのメッセージ お3787
| 得意気になった出鼻をくじいていくスタイル |
| これもしかしてカモメがひたすら苦しむコーナーか? |
| カモ虐いいぞ〜 |
| ねぇ今北産業ってなんですか? |
| 三行で語るなんてカップラーメンも作れんやんけ! |
「さあ早速ウチは完成や! ウチの三行では収められへんこの思い! 特と味わいやぁ!」
配信画面に早速デカデカとしじみさんの回答が表示された。そういえば俺も彼女がなぜVtuberになろうと思ったのか聞いたことが無いのを思い出し、チラリと配信画面を見た。
「え…ぶん殴ったって…」
え、なにその衝撃の過去は? 慌てて弁解するようにしじみさんが喋りだした。
「いやちゃうんやで? ウチもぶん殴ろうとは思わんかったや。でもその時中の良かったウチの同僚をバカにされてな…それでついつい……さすがにあれはアカンかったわ……。も、もちろん鳴ちゃんにはそんなことせぇへんからな?むしろウチとしては愛でたいというかなんというか──」
「それで好きなことで生きるというのは?」
あこれ話脱線し始めてるな。割り込むように話を本題へ切り替える。
すべてのメッセージ お3765
| いや最初! |
| ワイの上司もムカつく奴だからぶん殴ってくれ |
| 過去重そうでこえー |
| 答えチラ見しようとしたら余りの回答にビビリちらかしてて笑う |
「それよりウチのことばかり気にしててええんか? 時間ももう残り少ないで〜?」
「えっ?」
慌てて配信画面のタイマーを確認する。
次に自分が書いていたノートを見る。
そこには無が在った。
つまり……
何も無いよ(笑)
(笑)じゃねえ!
これは……もしかしなくてもヤバいな?
もしこれで制限時間以内に答えられないなんてことになったらここにいる約3800の視聴者が黙っていない……それだけはなんとか回避せねば……!
ぎゃー! そんなこと言ってる間にもう4秒経ってる! ヤバいヤバい!
「さーん!」
もはや形振りは構ってられない。無我夢中で俺の思いをノートに書き込む。
「にーい!」
いやそもそも三秒で三行埋めるなんてことが無理なんじゃないのか?
「いーち!」
な、なんとななれーーっ!!
「ぜろー! 終了やーっ!」
「さあ堪忍せい鳴ちゃん! その答えを見せるんや!」
すべてのメッセージ お3731
| これで何も書いてなかったら笑う |
| 一分もかけたしさぞ立派な出来なんやろなぁ… |
| 実質カモメの直筆サインかこれ? |
しじみさんが俺の書いたノートが映し出される。
そこにあったのは…。
「……おお?」
すべてのメッセージ お3687
| おお |
| おおじゃねえよ |
| おーーーー |
| おお |
| おお |
| 三行だからセーフですね |
映された三文字でチャット欄はヒートアップ。
ああこれは……やらかしましたな。また私なんかやっちゃいましたか?の騒ぎどころでは無い。こうなったら腹を斬ってお詫びするしか……。
「……ええやん!」
えっ。しじみさんのアバターの目が心なしか光り輝いてる気がする。ただその声色に嘘があるようには聞こえなかった。
「果喪鳴ちゃんらしくてウチは大好きやで!まさにVtuberになるのに理由なんか無いっていう気持ちが表れてて清々しくなるわ!」
そうかな…?チャット欄に目をやる。
すべてのメッセージ お3592
| 本当にそうか? |
| ま…まあアンタほどの実力者がそう言うのなら… |
| そうかな…そうかも… |
| それは本当です? |
| ソカモナ! |
| なんだ今のスパチャ!? |
| ナイス…ナイスパ? |
ぎゃあああなんか俺の視聴者が暴れ散らかしてる! さしものしじみさんもこれには困惑の表情を隠せないらしい。
「な、なんかやけに熱意のあるスパチャが来たけど…まま、次のお題行こか」
「あ、アハハ…」
「お次の話題は…こいつや!」
画面が切り替わり新たなマシュマロが画面に写った。
──瞬間俺は確かに聞いたのだ。
「……ッ」
いつもならば発する筈の無いしじみさんの動揺した声色を。
マズい、何かとは言わないがここはサポートしなければいけないという長年の配信によって鍛えられた第六感が告げている。
「あーと…そのぉ…」
「あーっと! 私は悲しい時はやっぱり配信ですね! 配信だとゲームとかに集中して悲しくなってる暇なんて無いですから! ね!?」
「え? あ、ああせやな…」
「それでふとチャット欄を見ると、私を応援してくれる人たちがいっぱいいて なんだか一人で勝手に落ち込んでる自分がバカバカしくなっちゃってきて…気づくといつもの調子が戻ってきてるんです…しじみさんはどうですか?」
しじみさんのアバターの目線が動く。どうやらチャット欄を見たようだ、彼女の、淡水しじみのチャット欄を。
すべてのメッセージ お3550
| なんかめっちゃ良い娘で困惑と感動が一気に襲ってきた |
| やべぇしじみちゃんオレこの娘好きになっちゃう |
| 次はお前やぞ |
| くっ…しじみから言ってればこんなこには… |
| なんだいまの |
| 怪文書残すのやめて |
| おお |
| おおじゃねえよ |
チャット欄にいる人人人。いずれもが、しじみさんの配信を楽しみにしている人たちだ。それに気づいたらしい、しじみさんが喋り出す。
「……せやな! ウチも配信してヤなこと辛いことぜーんぶ発散するんが一番ショウに合っとるわ! そういやこの前ウチがなんかめちゃくちゃ疲れながら配信してた時あったやろ? あれなー……」
やはり、眼の前にいたのはいつも通りのしじみさんだ。とてもここには記せないようなとんでもない話にチャット欄が盛り上がる。
ピロリ、スマホに通知が来た。良くないこととはわかってるが内容を確認する。
ねぇ、しにたいよ。ありえないよ。わたし。せつないよ……
でも…そこから見える…しあわせがあるのかもしれないね…
ロック解除
◁ ○ □
その後、無事に質問タイムを終え、対戦ゲームで二人がバチバチに戦いあったなどの紆余曲折はあったが、ともかく無事にコラボ配信は終わりを迎えることができた。
最高同接は4000人にまで到達した。俺の普段の同接が約2500人で、しじみさんが約1200人であることを考えれば、このコラボ配信は充分に成果を出したと言えるだろう。
◁ ○ □
「な、納得いかへん…!あそこでウチのコマンドさえミスらなければ勝てたんに…!」
「あの時すごかったですねぇ。あの時言った台詞なんでしたっけ? 『それでも…勝ちたい試合があるんやああああ!!』でしたっけ?」
「イヤッ!イヤッ!イヤや!言わんといてそれ!恥ずくて顔が赤くなってまう!」
「明らかに勝ち確だったのに技入力ミスったんだから、こっちが逆に驚いちゃいましたよ」
「いやああぁぁぁ……!」
そして配信後にこうした通話を交わすのは、もはや俺達の中では恒例行事だ。初めは配信を振り返ってお互いの良かった所悪かった所を発見していくという真面目な物だったハズだが、今となっては単なる駄弁り会場と化している。
「うぅ…癒やしてやカモメちゃん…ウチのこのブロークンハートを治しとくれ…」
「……もしかしてしじみさん。お酒とか飲んだりしてます?」
「うっさい!酒にでも手ぇ出さんとやってられへんわ!そもそもウチらがビールやワインなんちゅう酒に手を出さんといけんようになったのはこの社会の──」
「あー眠くなってきちゃったなー通話切っちゃおーかなー」
「ちょっ!?ごめんて!ワシを一人にせぇへんといて!」
こんな大人には成りたくねぇなと内心思いながら、やはり無理をしているのでは無いかと勘繰ってしまう自分がいた。理由はやはり──あのやめないでというマシュマロを返す時のしじみさんの反応だろう。
アーカイブを見返してない今でも理解できる──あのしじみさんは明らかにおかしかった。視聴者の質問に動揺するなどという姿は、少なくともこれまでに見たことがなかったのだ。
「その……しじみさん。さっきのマシュマロなんですけど……」
「ああ……あん時のやつか」
何か悩んでいるようならばせめて力になりたい。その一心で覚悟を決め、彼女に問いかける。彼女もそんな俺の意を汲み取ったのだろう。先程までのコミカルな口調とは一変し、声色が重くなる。
「……せやな、ホントは言っちゃダメなんやけど、カモメちゃんだけには話しとこか」
「えっ? ダメってどういう──」
「ウチな、Vtuber辞めるんや」
俺の問いかけを遮る形で、その返答がマイク越しに伝わり、その重さをその時俺はようやく理解したのだ。
──淡水しじみが、引退するという事実に。
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今回使用した特殊タグであるYoutubeチャット欄、スーパーチャット及び何も無いよ(笑)は自作のものとなります。
ここから自由に使用することが可能です。他にも様々な特殊タグを作成していますので、興味があれば積極的に使っていだけると嬉しいです。
また本文中のようつべの特殊タグ及びマシュマロの特殊タグはアネモネ様の「特殊タグ詰め合わせ」を、
マシュマロ返しの特殊タグは山石 悠様の「特殊タグのテンプレ置き場」を参考にさせていただきました。
アネモネ様及び山石 悠様にこの場を借りてお礼申し上げます。本当にありがとうございます。
今話にて良かった思った特殊タグをお答えください
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スパチャ画面
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予定表
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マシュマロ
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3行で答えよ!マシュマロ返し!
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時間制限タイマー
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何も無いよ(笑)
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ドココード通話画面