GS芦蛍!絶対幸福大作戦!!! 平安大魔境   作:混沌の魔法使い

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その9

GS芦蛍外伝平安大魔境 その9

 

~くえす視点~

 

横島達が消えて2日、東京にいるブリュンヒルデやビュレト様達も集まり、高島の屋敷の周辺を調べていた。

 

「……やっぱりだな、時空の裂け目がある。こいつがどこかの霊力か魔力に反応して開いたという所か」

 

「それを開いたら横島の所へ行けますか?」

 

ビュレト様にそう尋ねるとビュレト様は首を左右に振り、私の方を見ながら後ろ親指で背後を指し示した。

 

「これは自然の時空の裂け目だ。下手に開いたらそれこそ未曾有の災害を起こしかねない」

 

「魔界や天界と繋がるくらいなら良いんですけどね……」

 

天界でも魔界でも無い場所に繋がれば何もかも終わると遠回しに言う2人に私は唇を噛み締めるしかなかった。

 

(私と何が違うと言うのか)

 

何故あの時私達は弾かれ、美神と蛍達だけが横島と姿を消したのか、私とあの2人と何が違うのか、ただ運が悪かったのか、それとも縁が弱くて弾かれたのか……。

 

「落ち着け、動揺しても何にもならないぞ」

 

「……はい」

 

自分と蛍達の何が違うのか、歯が砕けんばかりに噛み締め悔しさで胸が一杯になりながら僅かな残滓を必死で調べる。ここ2日間調べているが、ジッとしていると焦燥感ばかりが胸に募って集中も何も出来ないのだ。

 

「……共通点があるはず。横島君達に何か……縁を越える共通点があるはずなのよ」

 

「そうですわね。そうでなければ説明が付きませんものね」

 

屋敷で暮らしている間に時空の裂け目が開く前兆は無かった。ヒャクメが来た瞬間に裂け目が開いた事を考えると、ヒャクメが鍵だったのか……それとも神魔の人数?。

 

(紫は天魔の所にいますが、最悪呼んでみますか……?)

 

空間に干渉する能力を持つ紫は目の前で横島が消えたショックで意気消沈してしまい、仲良くなった天魔の所……即ち天狗の所で世話になっているが……呼び寄せて時空間を調べて貰おうかと考えていると躑躅院が戻って来た。

 

「天狗の方はどうだった?協力してくれそう?」

 

一応京都は躑躅院の領域だ、天狗も京都に住んでいる以上交渉の優位は躑躅院になる。琉璃が協力を得れそうかと尋ねるが、躑躅院は首を左右に振った。

 

「何の手掛かりも無く動きはしないと言われてしまったよ」

 

【……無駄な事を嫌いますからね】

 

【お前が交渉しても駄目か?】

 

【無理でしょう、主殿がいればまだしも、基本天狗達は必要以上に人間には干渉しませんしね】

 

信長と牛若丸も気落ちした様子で呟いた。天狗はかなり横島に対して友好的だったので、もしかしたらと思っていただけに、何の手掛かりも確証も無く動かないと言われたのは想定外だった。

 

(いえ、天狗は既に譲歩しているって事ですか)

 

もっとも神魔に狙われるであろう紫を保護している。それが天狗としての横島に対する最大の協力なのだろう、これ以上は何か手掛かりが無ければ天狗を動かすことは出来ないだろう。

 

「手掛かりなんて、私達が欲しいわよ」

 

「本当だな」

 

突然生まれた時空の裂け目……気配も何も無く生まれたそれが何が原因だったのか、何故このタイミングで、そしてどうして横島達を吸い込んだのか、何故私達を拒絶したのか、この2日間考えても答えは愚か、何の手掛かりも得ることが出来ない。

 

「天狗の助けは無理そうね」

 

「そうですわね。仕方ありませんわ」

 

天狗の知恵があればと思いはしたが、今の状況では何の進展もない可能性が高い。そう思えば仕方ないと割り切って、また別のアプローチが出来ると前向きに考えるべきだと私は思った。

 

「やっと来たか」

 

「随分遅かったですね……おや?誰か一緒ですね?」

 

ビュレト様達の声に顔を上げると小竜姫が飛んでくる姿が見えたが、その後ろに白い陰陽服に身を包んだ男性の姿があった。

 

「ッ!」

 

「これは……凄い」

 

姿を確認するだけでびりっと霊力が全身に走った。小竜姫と同格……もしくはそれに匹敵する神魔であることは明らかだった。

 

「すいません、遅れました。でも頼りになる助っ人が来てくれました。なんでも今回の事件についてご存知だそうです」

 

小竜姫が笑いながら告げると、小竜姫から少し遅れて着地した男が頭を下げた。

 

【失礼、それがし大宰府天満宮に祀られている神。菅原道真と申す、此度はかつての戦いについて語りに参った】

 

菅原道真……怨霊であり、学問の神であり雷神……確かにこの霊格、桁外れの神魔であることは間違いない。

 

「かつての戦いとはなんだ?」

 

【平安時代にそれがしは、アスモデウスの手によって怨霊へと成り果てた。その呪縛から解き放ってくれたのは横島殿達なのでな。その時の恩返しに参った】

 

平安時代に今横島達はいるようだが、まさかそこにアスモデウスがいるなんて想定外だ。

 

「横島さん達はご無事なのですか?」

 

【……今の所は無事じゃろう、しかし狂神石によって狂わされた長尾景虎と源頼光との戦いはこれからの筈。終わっておれば……美神殿は

一度この時代に戻ってくる筈じゃからな】

 

「な、長尾景虎ッ!?」

 

「それに源頼光ですか……」

 

日本では抜群の知名度を誇る武将が2人……しかもそれが狂神石によって狂わされている。そんな相手と横島達が戦っていると聞いても、私達はそれを助けにも行けない、ただ無事に戻ってくる事を祈るしかない事に私は強く唇を噛み締めた。

 

(どうしていつもこんなことになるのですか……)

 

守る事も、助ける事も出来ない場所に横島はいつも行ってしまう……自分だけが置いて行かれる事が辛くて、何故私では駄目だったのか、私と蛍の何が違うのか……1度考えないようにしていたのに、再び脳裏を過ぎった考えが繰り返し繰り返し私の頭の中を流れ続けるのだった……。

 

 

 

 

~横島視点~

 

 

満月が昇った頃合で叩きつけるような霊力が屋敷に向かって放たれた。言うまでも無くそれは挑発、私はここにいると、俺にだけ霊力を向けているのが良く判る。

 

「……行くしかないよな?」

 

【罠と判っていてもな】

 

陰陽服からGジャン、Gパンに着替え、服の内側に陰陽札とお守り代わりの精霊石を入れて最後に額に心眼を巻いた。

 

「みむう……」

 

「ぷぎゅ……」

 

「輝夜ちゃんともこちゃんを頼むな」

 

俺が動き出した事に気づいて起きてきたチビとうりぼーに2人を守ってやってくれなと頼み、机の上の金色の眼魂に手を伸ばす。

 

「戦える?」

 

【……全快とまでは言わないが、それでも行けるぜ】

 

本当はもう少し金時の霊力を回復させたかったんだけど……あの戦いから2日。2日の猶予が与えられただけでも十分と思うしかないだろう。

 

(グレイト、牛若丸、ノッブちゃん、金時……か)

 

急に時空の境目に吸い込まれたので手持ちの眼魂は決して多くない、もしもなら物理に強いシズク眼魂とかがあればまだ何か変わったかもしれないなと思いながらも、ない物強請りは出来ないので準備を終えてスニーカーを履いている屋敷を出ると背後から声を掛けられた。

 

「どこへ行く?」

 

西郷さんの声に俺は振り返ること無く返事を返した。

 

「……戦いに行きます」

 

「1人でどうこうなると? 増援を呼ぶ、1人で死地へ行くな」

 

「ありがとうございます。心配してくれて、でも俺に任せてください」

 

陰陽師では英霊には勝てない、俺だって本当なら勝てない。だけど俺には眼魂と金時がいる……それだけが俺の勝算で、そのどちらも通用しなければ俺は死ぬだろう。

 

(絶対に死なないけどな)

 

絶対に現代に戻って見せると誓い、必死に俺を呼び止める西郷さんの声も無視して、俺は源頼光が待つ場所へと向かうのだった。

 

【ああ、やっと来てくれましたね。母はとても嬉しいです】

 

刀も鎧も身に付けていない着物姿の頼光は俺の姿を見るなり、その顔を嬉しそうに緩ませ俺に向かって蕩けるような甘い声で囁いてきた。その声自身が俺自身を蝕んでくるような気がした。いや、事実そうだったのだろう……心眼の気をつけろという声が無ければ呼ばれたら無防備で近づいていたかもしれない、首を左右に振って頬を叩いて気合を入れる。

 

【頼光の大将。俺ッチはあんたを倒すぜ】

 

【……黙れ、お前の顔を見ると頭が痛くなる、私の前から消えうせろッ!】

 

さっきの甘い声から一転して周囲を揺さぶるような激しい一喝。そしてそれと共に頼光の姿は着物姿から鎧武者姿へと変わり、その目が真紅に輝いた。

 

【こいつを殺したら、貴方を連れて帰りますからね? 私の愛しい子】

 

狂気と愛情が見え隠れしている、これが狂神石によって狂わされた英霊の末路なのか……。俺は強く拳を握り締め、グレイト眼魂を握り締める。

 

「俺達はあんたを止めるぜ、絶対な」

 

これ以上あの人に人を殺させない、絶対にここで止めてみせる。グレイト魂のボタンを押し、ベルトに押し込む。

 

【アーイ!ガッチリミナー!ガッチリミナーッ!】

 

ゴーストドライバーから飛び出した黒を基調にしつつ、金色の兜を被ったようなパーカーが俺の周りを踊る。

 

【ふふふ、いいですよ、母が遊んであげましょうね】

 

にこにこと笑っているが頼光の全身から溢れる殺気に背中に冷たい汗が流れた。これほどまでに怖いと思ったはマタドールと対峙した時か、ガープと戦った時以来無い。つまり頼光がマタドールとガープと同等の強さを秘めていると言う事が嫌でも判ってしまった。

 

【俺ッチもいる、2人なら何とかなるさ】

 

「ああ。頼りにしてる」

 

きっと俺1人では、この場に立つことも出来なかっただろう。歴史に名を刻まれた怪異殺し……GSの大先輩とも言える相手が狂神石によって狂わされ、俺の前に立ち塞がる。そんな悪夢のような光景……だがこれはこれから何度も何度も起きるかもしれない出来事だ。

 

(……覚悟を決めろ、俺!)

 

倒すしかないのだ、そうしなければあの人は解放出来ない。望んでも無い殺戮を強要され、英霊としての尊厳を穢される。ガープが生きている以上、これから何度だって、何十回だって起きるかもしれない事だ。だからこんな所で心が折れている場合ではないのだ。

 

「変身ッ!」

 

レバーを強く引くと同時に、ベルトから飛び出した15色の光の輪を潜りながらグレイトパーカーが急降下してくる。

 

【カイガン!グレイト!15の英雄!結集!ゴ・ゴ・ゴ・ゴースト!!】

 

「しゃあッ!行くぜ金時ッ!!」

 

【おうよッ!!】

 

【うふふふ……遊びましょう?遊び終わったら、貴方の手足を切り落としましょうね?あはっ!あははははははッ!!!あーッはははははははっッ!!!】

 

満月の光が俺達を照らし、頼光の狂った笑い声が合図となり、俺達の戦いが幕を開けるのだった……。

 

 

 

~金時視点~

 

雷のような音が響き、俺ッチと横島が吹き飛ばされ地面を転がる。

 

「くそっ!前より全然早いッ!!」

 

【ありゃあ頼光の大将の全盛期だッ!前とは比べ物にならねえッ!!】

 

羽を思わせる頭飾りと全身の具足。しかも前回は刀を主武装にしていたが、今回は刀と弓矢をほぼ同時に使ってきている。

 

【がっ!?】

 

「金時ッ!?【ふふ、余所見は駄目ですよ?】ぐあっ!?」

 

俺ッチの肩に弓矢が突き刺さり吹き飛ばされるのを見て、横島が俺ッチの名を呼んだが、その瞬間に頼光の大将が横島の前に移動して大太刀を振るう。火花を散らして吹き飛んできた横島を受け止めるが凄まじい衝撃に俺ッチも地面を再び転がる。

 

【大丈夫かッ!?】

 

「な、なんとか!ウィスプだったらやばかったッ!」

 

黒い姿だから耐えれたという事なのだろうか、とりあえず耐えれたのは良かったが英霊である俺と違って生身なのであまり無茶はしないで欲しいと思う。

 

【支援とか出来るか?】

 

横島を死なせる訳にも行かない、なら俺が前衛を張り横島に支援をしてもらうのが最善策だ。

 

「火縄銃と弓矢なら使えるぞッ!!」

 

【うっし、得意な方で頼む!】

 

黄金喰を手にして頼光の大将へと走る。霊力も何もかも万全じゃない状態で、全盛期の頼光の大将と何処まで打ち合えるかわからねえが……

 

(ぐだぐだ考えてる場合じゃねえッ!)

 

考えている時間があるなら突っ込め、あの赤黒い霊力を振り払えば正気に戻るかもしれない。それにこれ以上人を殺させる訳には行かない、刺し違えてでもここで大将を止めるッ!!

 

【ウオラアアッ!!】

 

【邪魔】

 

渾身の力をこめて振り下ろした一撃も虫でも払うような腕の一振りで弾かれる。がら空きの胴に刀の一閃が叩き込まれる前に背後から放たれた矢が刀の切っ先を僅かに逸らした。

 

【ぐうっ!?】

 

斬られたわき腹を押さえ、地面を蹴って間合いを離す。俺の知っている頼光の大将よりも遥かに力が強い……これが狂神石の力。

 

(神魔と英霊を狂わせる……そりゃ頼光の大将には耐えれないわな)

 

俺は知っている頼光の大将の中に眠る魔を、それが狂神石によって目覚めかけている……俺はそれを本能的に感じ取っていた。

 

【良いですね、良くこの切っ先を弾きました】

 

俺に対しては何の興味も移していないが、横島に対しては一挙手一投足を1つも見逃すかと言わんばかりに注視している。

 

(……頼光の大将)

 

将であれと言われ、世継ぎを作れといわれた、そのどちらもやろうとした大将。どこまでも真面目でそして融通が聞かないところもあったけれど……鬼子と言われた俺を育ててくれたのはあの人だ。だから俺は何としても大将を止めるッ!血反吐を拭いながら大将を睨みつけていると大将は思い出したように手を叩いた。

 

【うふふ……ああ、そうですそうです。瓢箪を抱えた鬼がいましたね】

 

【!?】

 

大将の口から語られた言葉に走り出そうとした足が止まった。大将はそんな俺を見てくすくすと笑った。

 

【私の方が化け物だと言って、もう1人の鬼を逃がして最後まで笑っていたので首を刎ねましたよ、なんで思い出したんですかね?】

 

ギリッと歯を噛み締めた。間違いない、酒呑だ……俺ッチだけじゃなくて、大将を止める為に呼び出された英霊は他にも居たんだ。ほかの四天王の武器を持っているのもカウンターとして召喚されたが、止める事が叶わず打ち倒され宝具を奪われたのかもしれない。

 

【小僧の事も忘れた牛女って言われましたけど、ふふふ……小僧って誰の事なんですかね?】

 

挑発だとわかっていても額に青筋が浮かぶのがわかる。これでよーっく判った。姿形は大将でも、もう大将じゃねえ。元に戻すなんて考えていたが、それがどれだけ甘い考えかが良く判った。

 

「もう良い喋るな」

 

【まぁ酷い、母に向かってなんて口を利くのですか】

 

横島が俺の手に何かを握らせた、それは小さな丸い球体……手の中で霊力を放出する球体。身体に活力が満ちていくのが判り、困惑していると横島が小声で声を掛けてきた。

 

(言っとくけど、回復した訳じゃないからな、誤魔化しだから効果が切れると一気に身体が重くなるから気をつけてくれ)

 

短時間でも身体の事を気にしないで戦えるのはありがたい、だが横島が前に出てくるのは不味い。

 

(下がってもいいんだぜ?)

 

(冗談、前に出ても、後ろにいても結局は同じ。それなら前に出るぜ俺は)

 

この思い切りの良さ……嫌いじゃねえな、横島が手にしている剣に黄金喰を打ち付ける。人間だから守らなければならないと思ったが、横島は背中を預けて戦うのに相応しい相手だった。

 

【うっし、行くぜッ!!】

 

「おうッ!!!」

 

俺と横島は同時に地面を蹴り、頼光の大将に向かって駆け出すのだった……。

 

 

 

~頼光視点~

 

愛しい子と金髪の大男が同時に駆け出してくるのが見える。それは確かに普通の人間で考えれば、十分に驚異となる速度なのでしょうが……。

 

【遅いですよ】

 

愛しい子の剣を素手で受け止め、大男の斧を刀の腹で受け止める。左右からの挟撃だが、この程度恐れる事は勿論警戒するまでもない。

 

「マジか!?素手で受け止めるか!?」

 

【馬鹿ッ!うろたえるんじゃねえ!踏み込んで押し切れッ!!!】

 

斧から感じる圧力が増したのを感じ、刀を振り上げ斧を上に向かって弾き飛ばしがら空きの胴に前蹴りを叩き込んだ。

 

【げぼっ!?】

 

「■■ッ!」

 

くぐもった声を上げ鞠のように飛んでいく男を見て愛しい子がその名を呼んだ筈だ……だけど私の耳はその名前を認識する事が出来なかった。

 

(そう言えばあの鬼も……なんであんなに執着したんでしょうね?)

 

「ぬっ!くぬうっ!!」

 

愛しい子が必死で剣を振るうのを見つめながらも、頭の中はべつのことを考えていた。何故あんなにも徹底してあの鬼を切り刻んだのか……今思うとその理由が判らない。

 

「変身ッ!!」

 

【カイガン武蔵ッ!決闘!ズバット!超剣豪ッ!】

 

赤い衣服を着込んだ瞬間動きが格段に鋭くなり、考え事を中断させられる。

 

【踏み込みがまだまだ、もっと思い切り踏み込まなければ駄目ですよ】

 

「あぐっ!?なろおッ!」

 

突っ込んできたタイミングで足を蹴りつけ動きを止める。それでも愛しい子は動きを止めず、両手の剣を即座に振るってくる。

 

【まだまだですね】

 

剣筋は鋭くなっている、だがそれは明らかに付け焼刃。自分の物として昇華されていない技術など恐れるまでもない。

 

【少し大人しくしていてくださいね】

 

腹に拳を叩き込み殴り飛ばすと同時に抜刀し魔力刃を飛ばす。

 

「うっくくう……うわあッ!?」

 

剣で魔力刃を受け止めようとしていた愛しい子ですが、耐え切れなくなったのか苦悶の声を上げて吹き飛んだ。

 

【さぁ、手足を落としましょうね、大丈夫ですよ。母がずっと愛してあげますからね】

 

動けないようにして連れて帰ろう、そして誰にも邪魔をされない場所でずっと暮らそう。

 

(ああ、それは何と素晴らしいことのなのでしょうか)

 

私がいなければ動く事もできない我が子と長い時間を過ごす、その素晴らしさを考えながら一歩踏み出そうとした瞬間、私は反射的に腕を振り上げていた。

 

【オラァッ!】

 

【邪魔ですッ!】

 

後ろから斧を振り下ろしてきた一撃を受け止め、そのまま背負い投げの要領で愛しい子の方へ投げつける。

 

「■■ッ!うおっ!?」

 

【がっ!すま……あぶねえッ!】

 

2人が話している隙を突いて男の顔面に矢を放つが、私の矢は男の髪を僅かに消し飛ばすだけに留まった。

 

「これでもくらえッ!」

 

【おや、これは面白い。でも無意味です】

 

剣の先から霊波が飛んでくるのは面白かったですが、面白いだけで警戒する必要も恐れるもない。避けると同時に手にした弓を引いた。

 

【あぶねえッ!】

 

男が愛しい子を庇い、流血する。愛しい子を狙った訳ではないが……なるほど、あの男が邪魔をするならばここで愛しい子を狙う振りをして消し飛ばしてしまったほうが早いですね。

 

【牛王招雷・天網恢々】

 

【やべえ宝具だッ!!】

 

「嘘だろッ!くそったれ間に合えッ!!」

 

男の方が気付き、愛しい子が障壁を作り出すのを見てほくそえむ。愛しい子を殺すつもりは無い、障壁で動きを制限したのならばそれは私にとって好都合。私の分身が放った矢が一撃で障壁を打ち砕く。

 

【俺の後ろにッ!がッ!?】

 

大男に斧の大上段の一撃が叩き込まれ、その身体に深い切り傷を残す。

 

「■■! だい……【横島!後ろだッ!】がっ!?」

 

愛しい子に燃える刀の一撃が叩き込まれるが、峰を返しているのでその身体が引き裂かされる事は無い。そして氷を纏った槍から放たれた冷気が2人の姿をその場に縫い止める。

 

【───ふふ……あははははっ! 矮小十把塵芥になるがいい!】

 

雷電が宿った魔力刃を大男目掛け振るう、愛しい子も巻き込まれるがこの一撃で間違いなく抵抗することは出来なくなる、その後に手足をもいで連れて帰ろう。爆発で起きた砂煙を見つめていると突如砂煙が内側から吹き飛んだ。

 

【カイガンッ!金時!雷光!正義!ゴールデン・スパークッ!】

 

【……なんですか。その姿は】

 

煙の中から姿を見せたのは愛しい子のはず……だがその姿からは大男と同じ気配がしていて思わず眉が寄った。

 

【「あんたを止める事が出来るのは俺達だッ!!」】

 

愛しい子の声に重なるように聞こえる大男の声に激しく苛立つのと同時に、思わず後ずさりかけるほどに威圧感に唇を噛み締め刀を強く握る。

 

【私の愛しい子から離れろッ!亡霊風情がッ!!】

 

愛しい子に憑依している男に激しい怒りを覚えた、何故こんなにも腹立たしいのか、何故こんなにも怒っているのかも判らず、私は激情に飲まれたまま駆け出すのだった。

 

 

GS芦蛍外伝平安大魔境 その10へ続く

 

 




久しぶりに新眼魂「金時魂」の登場で今回は終わりにしたいと思います。次回はライトニングママ戦決着と美神達の戦闘開始までを書いて行こうと思います。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします。


PSオルタニキチャレンジで20連

金演出 バーサーカー タマモキャット
バチバチ演出バーサーカー タマモキャット
演出無しの金カードのバーサーカー タマモキャット

3タマモキャットでした。
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