第十話 痣
side 萌
無惨様から有難い事に血を頂いた。さて、次は黒死牟様との修行だ。
「お忙しいところ失礼します、黒死牟様。私に痣や透き通る世界を教えていただけますか?」
「かなり難しいが…………大丈夫か?」
「はい‼︎」
この間の柱との戦いで自分の弱さを知った。それと同時に柱の強さも知った。あんなのが9人も居て無惨様の生きる邪魔をしてくるとか、正気の沙汰ではない。私がこのままでは無惨様の快適な生活は叶わない。毎回無惨様が鬼狩り供に心を疲弊させられてる姿を、もう私は見たくない。命の恩人に少しでも嫌な思いはして欲しくない。だから自分の血鬼術と併せて鬼狩り狩りになる事を決めたのに。ここで足踏みなどしていられるか‼︎
「ではまず………痣について教える………」
「はい‼︎」
「透き通る世界は………その後で………だ……」
「分かりました‼︎」
ということで、まずは痣について教えてもらう事になった。
「痣を発現すると………身体能力が大幅に向上する……」
「力が強くなったり速くなったりとかですか?」
「その………通りだ………」
「なるほど………」
これはかなり便利だな。今より速く動けるのなら、柱の動きにもついていけるようになる。そして力負けする事も無くなる。
「発動条件は………体温が39度以上で………心拍数が200以上となること………」
「なるほど………」
流石に強力な技とあって発動条件がかなり難しいな………。体温と心拍数を自分で上手く調整しなきゃいけないのか………
「更には日の呼吸の者から共鳴するように発現するが………これは私から間接的に発現すれば問題ないだろう………」
「なるほど………」
継國縁壱から黒死牟様へ、そして黒死牟様から私へ、みたいな感じか。なんかある種の感染症みたいだな。となると一つ気になる事がある。
「すいません、一つ質問なのですが。」
「どうした………?」
「痣を発現する事による欠点や代償などはあるのですか?」
「…………人間なら寿命が25までになるが………鬼なら関係ない。」
やはり寿命に欠点があったのか。そりゃあの心拍数と体温を人間のままやったら死にかけるからな。
「なるほど、それなら使い得ですね‼︎」
「その………通りだ………」
「分かりました‼︎それでは早速ご指南お願いします‼︎」
「ああ…………」
ということで、私は痣を発現させるための修行を行なった。
修行の内容は、黒死牟様との剣の稽古を通して心拍数と体温を上げるというもの。激しく動き回る事により、条件を満たしやすくするのだ。
「まずは………私の攻撃を………避ける………ところからだ……」
「はい‼︎」
そうして始まった黒死牟様との修行は………まさに過酷だった。自分とは同じはずの斬撃なのに、精度の違いや範囲の違い、そして不規則な三日月の斬撃など、自分とは比べものにならないほど練り上げられた技に驚かされた。自分がある程度強くなったからこそ、逆に相手の強さも分かってしまう。そして強くなったからこそ、弱さを認識する。力量の差に絶望し、何度も斬り刻まれながら、私は体温と心拍数を上げる事を意識した。一つだけ幸いだったのは、黒死牟様に比べれば風柱は弱いと分かった事だ。それでもまあ私よりは遥かに格上だが。
そうして私はしばらく修行を続けていたが、
「まあ………そう簡単には………出ないか………」
「すいません………」
私はなかなか痣を発現させる事が出来なかった。
「体温と心拍数を意図的に操るのは難しいですね………」
「そうだな………でもそれが出来ないと………強くはなれない………」
「はい………とりあえずもう少し続けてみます。」
「承知した………」
そうはいってもやはり出来なかった。その後も鬼なので数日間ぶっ通しで修行をしたのだが、それでも痣の発現には至らなかった。
「すいません………」
「そんなに………簡単ではないからな………」
「もしかしたら鬼狩りをもっと食べて基礎的な力を上げてからの方が良かったりしますかね?」
「それは………その通りだ………」
鬼は人間を食べると筋力や体力や速度などを底上げする事が出来る。この基礎能力の底上げも、強くなる上では欠かせないものだ。黒死牟様からも賛同を得られたので、やる事は一つだ。
「分かりました。それでは一旦そこそこの鬼狩りを数人食べてから、また修行に戻ってきます。」
「承知した………」
ということで、私は修行を一旦中止し、狩るための鬼狩りをいつものように探す事にした。またこの前風柱が生き残って私の情報を共有している事を考慮し*1、普段の姿ではなく黒髪長髪高身長の姿にしておいた。
狙うのはこの間の臭い男や禰豆子より強く、風柱よりは弱い相手だ。といってもなかなか鬼狩りを見た目で判断するのは難しい。この前の風柱みたいな強者の威圧感が出ていれば容易いのだが、そんな人はそうそう居ないだろう。
そんな事を考えながら、私は横浜に着いた。ここは港街で多くの人で賑わっている。それこそ浅草以上だ。沢山の船や店が集まるこの場所には当然、鬼も出没しやすい。そして鬼が居るということは、必然的に鬼狩りも居るということだ。
ただあまりにも都会すぎて…………
「ここは……どこだ?」
私は迷ってしまった。元々横浜には来た事が無かった上に、この都会っぷり。沢山並んでいる豪華絢爛な建物たちが全部同じに見えてしまい、進んでるのか戻ってるのか分からなくなってしまった。なんだよここは?本当に同じ大正時代なのか⁉︎百年後とかの間違いじゃないのか⁉︎とにかく、田舎生まれの私にとって横浜はまだ早かったようだ。
途方に暮れながら適当に歩いていると、
「Oh, She is very cute‼︎」*2
「I want to eat dinner with her‼︎」*3
「Me too‼︎Hey, are you free?」*4
訳の分からない言葉を話す金髪の男2人に絡まれた。何だコイツらは?人間の形をした別の生物か?それとも鬼か?いや、無惨様の口からこのような人種は聞いた事がないが………
「えっと………貴方達は鬼ですか?」
「Oni? Well………I don't know that.」*5
「Oni………onion? I don't like onion.」*6
「Me too………」*7
何を言ってるかは分からなかったが、首をかしげてる様子から、どうやら鬼じゃないことだけは分かった。だから私は、
「なるほど、質問に答えてくださりありがとうございます。それでは失礼します。」
「「?」」
そう言って男たちの元を離れた。離れる私を見て男たちが大声で何かを叫んでいた。多分さようなら、という意味だろう。*8
私はしばらく歩くと………
「
「なんだと村田?もしかして俺に逆らうというのか?」
「当たり前だ‼︎」
「そうか。だとすると………」
八咫河というざんぎり頭の男の鬼狩りと、村田という艶々の髪をした鬼狩りを発見した。なるほど、今日の相手は2人か………これは実力次第では厳しいから、2人が離れるのを待った方がいいな。
それにしても、この2人は何を揉めてるのだろう……………
「お前は鬼化が進んでいるな。」
「はぁ⁉︎そんなわけ………」
「だからお前が人を殺す前に、俺がお前の首を斬ってあげよう。」
「はぁ⁉︎お前………何………言って………」
って八咫河が村田の首を斬っただと⁉︎しかもニヤリと笑いながら。もしかして2人のうちどっちかは私と同じ鬼狩り狩りなのか⁉︎でもそのような存在は無惨様から聞かされていないが………
とにかく事実を確かめなければいけない。村田は恐らく死んでしまったので、八咫河に聞くとするか………
ということで、痣修得のための修行を挟み、いよいよ横浜編がスタートです。鬼滅の刃でまさかの英語が出てきましたが、大正時代の横浜なら外国人がいてもおかしくないと思い、こうなりました。もちろん萌は英語を知りませんが。
そして皆大好き村田さんが八咫河という男に殺されてしまいました。彼は一体何者なのでしょう?それは次回からのお楽しみに!
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