我妻物語   作:スピリタス3世

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第十二話 次期柱候補の実力

  side 萌

 

 横浜の中華料理店で、私と八咫河の戦いは始まった。まずは隣の店とかにも被害を及ぼさないために、人通りのない場所に誘導しなければ………

 

「さっき散々啖呵を切ったくせに、おめおめと逃げるのか⁉︎」

「なんかちょっと怖くなっちゃいまして‼︎」

「そうか‼︎」

 

 無論本当に怖くなどなってない。心の中にあるのは怒りだけだ。

 

「炎の呼吸 壱の型 不知火」

 

 相手は炎の呼吸使い。壱の型で一直線に…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ってそっちの方向は一般人が逃げた方向じゃないか⁉︎この殺人鬼め、私より先に一般人を殺そうとしてくるなんて…………なんて最低な奴なんだ‼︎

 

「月の呼吸 玖の型 降り月・連面」

「くっ…………‼︎」

 

 とりあえず遠距離の型を当てて足止めしたが………今までの鬼狩りとは勝手が違いすぎる‼︎

 

「自分のエサを俺に殺されるのがそんなに不満か、このクソ鬼‼︎」

「違いますよ‼︎私はただ関係ない一般人を巻き込みたくないだけです‼︎」

「そんな高尚な考えを示したフリして、正義の味方にでもなったつもりか⁉︎」

「そんなつもりはありません‼︎ただ私は鬼である命の恩人のために、鬼狩りを狩るだけです‼︎」

「そうか。それはたいそうご立派な考え方だなあ‼︎」

 

 この男はすぐ目を離すと他の人を殺そうとする。炎の呼吸には壱の型・不知火や玖の型・煉獄みたいに一気に距離を詰める技があるためなかなか目が離せない。となると普段の遠距離戦法はなるべく避けなければいけない。だから私は距離を縮めて、

 

「月の呼吸 参の型 厭忌月・銷り」

「炎の呼吸 弐の型 昇り炎天」

 

 二連撃を放つ‼︎相手は刀を下から上に向けて振るう弐の型で対応してきた。ならば私は背を縮めて、

 

「月の呼吸 肆の型 年災月殃」

 

 下から上へと斬撃を放つ‼︎これで相手の身体を一気に…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「風の呼吸 伍の型 木枯らし颪」

 

 えっ、風の呼吸だと⁉︎こいつ、複数の型が使えるのか………って考えてる場合ではない‼︎まずは上から来る攻撃を迎撃‼︎そして軽い鍔迫り合いに持ち込んだら、

 

「月の呼吸 伍の型 月魄災禍」

 

 伍の型だ‼︎

 

「岩の呼吸 参の型 岩軀の膚」

 

 って岩の呼吸まで⁉︎確か参の型は迎撃用の技‼︎刀を振り回して私の斬撃を防ぎ切りやがった‼︎コイツ、風柱ほどじゃないがかなり強いな………次期柱候補というのも、強ち間違いではないだろう‼︎

 

「何種類もの呼吸を使えるんですね………」

「ああ。なんせ基本の5種類は全て習得したからな‼︎」

 

 5種類全部かよ‼︎ふざけんなよ‼︎通りで強いわけだ‼︎

 

「お前こそ鬼のくせに一丁前に呼吸なんか使いやがって‼︎呼吸は鬼を殺すための技だぞ‼︎」

「別にいいじゃないですか。」

 

 自分たちを殺すための技を逆に習得することで、相手のこともより分かるからな。

 

 

 

 それよりコイツには聞きたいことがあるんだった。

 

「それより貴方こそ鬼狩りのくせに、守るべき人を何故傷つけるんです?」

「守るべき()だとぉ⁉︎あの人間は鬼化が進んでいたから殺そうとしたってのに、そいつを俺が守るのはおかしいだろう⁉︎」

「別に鬼化なんて進んでませんでしたよねえ⁉︎貴方がそういうことにしたかっただけじゃないですか⁉︎」

「うるせえ‼︎鬼狩りの言う事を聞かない人間なんて、鬼と疑われてもおかしくないだろ⁉︎」

「一般人は鬼狩りのことを知らないんですよ‼︎」

「自分たちを助けてくれる組織が非公開だなんて、ちゃんちゃらおかしいだろう⁉︎」

 

 確かにコイツの言うことは合ってる。一般人に鬼と、それと戦う鬼狩りの存在を公表すればお互いにとって利益になるのは目に見えている。それを頑なにしない事に不満を持つのは当然だろう。だが私が気になったのは、そこじゃない‼︎

 

「確かにそうですね。でも何故貴方は殺せると分かった時、楽しそうな表情をしたんです?まるでおもちゃを与えられた子供みたいに‼︎」

「そんなの別にどうだっていいだろ。なんせ俺たちは鬼を殺せればいいんだからなぁ。その過程で何があろうが何を思おうが、どうでもいいんだよ‼︎」

「例え鬼を殺す事に快感を覚えても、ですか?」

「ああ、そうだ‼︎俺は鬼を殺すのが好きだ‼︎だからお前も死ね‼︎」

 

 やはりコイツはただの快楽殺人鬼だ‼︎他の生物ではなく鬼だけをを殺す感覚が特別快感になるわけがない‼︎ったく、こんな奴に殺されてたまるか‼︎私は無惨様のために、もっと長く生きるんだ‼︎

 

「嫌です‼︎月の呼吸 弐の型 珠華ノ弄月」

「水の呼吸 壱の型 水面斬り」

「月の呼吸 陸の型 常世孤月・無間」

「炎の呼吸 参の型 気炎万象」

「月の呼吸 拾壱の型 宵の上弦」

「風の呼吸 玖の型 韋駄天台風」

「月の呼吸 伍の型 月魄災禍」

「雷の呼吸 参の型 聚蚊成雷」

 

 技の応酬が続く。次は雷の呼吸の参の型。確か攻撃対象の周りを飛び回りながら攻撃してくるヤツだから、これはこの型で対応する‼︎

 

「月の呼吸 拾参の型 闇夜(やみよ)ノ円舞・月輪(がちりん)

 

 刀を持ちながら一回転し、自分周囲に斬撃を放つ技。周りをちょこまかと動いてくる敵には、これで対応だ‼︎

 

「おらよっ‼︎」

 

 ただし相手には上手く避けられてしまった。やはりコイツは一筋縄ではいかないな…………

 

「流石は次期柱候補、かなり強いですね。」

「テメェだって強えじゃねえか‼︎頼むから死んでくれ‼︎」

「それは嫌ですよ‼︎」

「黙れ‼︎水の呼吸 捌の型 滝壺」

 

 上から来る攻撃を下から迎撃してもよいが、ここは戦法を変えてみる‼︎それは、避けて…………

 

「月の呼吸 壱の型 闇月・宵の宮」

 

 着地狩り‼︎

 

「くそっ‼︎」

 

 よしっ、相手はなんとか食らってくれた‼︎

 

「風の呼吸 参の型 晴嵐風樹」

 

 って迎撃が速い‼︎風の参の型は確か………

 

「く…………っ‼︎」

 

 って食らってしまった‼︎くそっ、型が多すぎるんだよ‼︎しかも相手はかなり速い‼︎だから頭で考えてる暇なんてない‼︎己の感覚で攻防を続けろ‼︎

 

「岩の呼吸 肆の型 流紋岩・速征」

「月の呼吸 拾参の型 闇夜ノ円舞・月輪」

「炎の呼吸 肆の型 盛炎のうねり」

「月の呼吸 陸の型 常世孤月・無間」

「花の呼吸 肆の型 紅花衣」

「く………っ‼︎」

 

 くそっ‼︎基本だけじゃなくて派生も使えるのか‼︎確かに基本の呼吸は全て日の呼吸の派生だから使えてもおかしくはないけど‼︎もしや日の呼吸も使えたりは…………すると仮定した方がいい‼︎相手を過大評価して戦う分には、何の問題もないはずだ‼︎

 

「おいおい、抵抗なんてしないでさぁ…………早く俺に殺されてくれよ‼︎」

「貴方こそさっさと死んでくださいよ‼︎その方が世のためです‼︎」

「まさか()()である鬼に()()()()()であるこの俺が説教されるとはなあ‼︎」

 

 正義の味方………だと?

 

「ふざけないで下さい‼︎何が正義の味方ですか⁉︎自分の独りよがりで人を殺す貴方が、それを名乗る資格はありません‼︎」

「おお、これが鬼の戯言かぁ‼︎まるで自分が正義の味方と言わんばかりの‼︎」

「別に私は自分自身を正義の味方だとは思ってません‼︎貴方達人間からすれば、私が悪役なのは当然です‼︎」

 

 なにせ鬼は人間を食べる生き物だからな。そりゃ人間にとって自分たちを食べる怪物は間違いなく悪役だろう。

 

「そうだ、その通りだ‼︎だから悪役を裁くための正義の味方として、この俺がいる‼︎」

「違う‼︎お前は私たちと同じ悪役だ‼︎自分が正しいだなんて思うなよ‼︎」

「おいおい、先輩には敬語を使うんじゃなかったのかぁ⁉︎」

 

 他の人間にとっては、己の快楽のために勝手に鬼認定された挙句殺してくる化け物。お前だって私たちとはそう変わらないんだよ‼︎それなのに何故ここまで自分が正しいと思えるのか…………そして何故他人の人生をここまで踏みにじれるのか…………その行為が、私は絶対に許せない‼︎

 

「おいおい、なんかほっぺに月の模様が出てきたぞ?女の子らしく、一丁前におしゃれでもしようってかぁ⁉︎」

 

 怒りで体温と心拍数が上がるのを感じる…………そしてそれにより、私にも痣が発現した。強くなった。だから私はここでこの化け物を倒す‼︎




 ということで、八咫河戦開幕からの萌の痣発現に至るまで、でした。複数の呼吸を戦闘で使うキャラって原作だと炭治郎しかいなかったので、ここまで何種類も使うキャラは新鮮だったのではないでしょうか?まあ呼吸は一種類しか適性がない人が大半だからなかなか居なくて当然なんですけどね。例外は縁壱ぐらいでしょうか。

 さて、次回は萌に痣が発現し、死闘が加速します。お楽しみに!

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