我妻物語   作:スピリタス3世

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 無一郎の過去は原作と同じです。もし間違ってる部分があったら、その時は言ってください。


第十九話 家族

  side 無惨

 

 私は今、影人の様子を見ている。

 

「血鬼術 光殺霧」

 

 以前と比べて、黒い霧が出せる範囲が広がってきた。特に最近は、顕著にその範囲が広がってる気がする。

 

「随分と広くなったな。」

「はいっ♪貴方様のことを考えてたら、どんどんおっきくなっちゃいますぅ〜♪」

「そうか。それは良いことだ。是非その調子で日本全土を覆ってくれ。」

「はいっ、分かりました♪」

 

 コイツといい、萌といい、最近は忠誠心が高い部下が増えてきた。良いことだ。私も裏切りに気兼ねせず過ごすことが出来る。他の鬼も、もっと見習って欲しいものだ。

 

「それにしても、今日はいつもよりも綺麗ですねぇ……///」ハァ、ハァ

 

 ただ、コイツは正直気持ち悪い。他の鬼もコイツの変態性だけは見習わないで欲しい。

 

 

 

 

  side 無一郎

 

 僕は家族仲良く暮らしていた。父さんと、母さんとも。

 

 だがある日、母さんが病気で亡くなった。そして父さんは薬草を探しに嵐の中山の中に入り、行方不明になった。そして僕は兄さんと2人暮らしをする事になった。

 

 2人暮らしになってからは、兄さんは以前と比べてかなり冷酷で現実的な性格になった。他人の為に何かしても意味が無い、と言ったり、僕らを訪れてきたあまね様を何か企んでる、と言って追い返したり。その度に僕は兄さんを咎めた。それに対して兄さんは、

 

「無一郎の無は無能の無。こんな会話、意味が無い。結局過去は変わらない。無一郎の無は無意味の無。」

 

 僕を罵倒してきた。それに僕は何も言い返せ無かった。そして段々と口をきかなくなっていった。

 

 

 

 そしてある日、鬼がやってきた。その鬼が兄さんを殺した時のセリフを、今でも覚えている。

 

「居ても居なくても変わらないような、つまらない命なんだからよ‼︎」

 

 それを聞いた時、頭の中が怒りで溢れて収拾がつかなくなった。気がついたら僕は鬼の頭を潰していた。鬼は当然それでは死ななかったけど、日光が出るまで石で動けずに、そのまま死んだ。

 

 その後、僕は兄さんのところに向かった。するとどうだろうか。

 

「どうか弟だけは助けて下さい………。悪いのは俺だけです………。バチを当てるなら俺だけにして下さい………。無一郎の無は無限の無なんだ…………」

 

 兄さんが、僕のことをよく言ってくれてたのだ。そして僕は兄さんが持つ本来の優しい姿を、再び見ることが出来た。

 

 だがその後、兄さんは自分の身体に蛆がたかって腐りながら死んだはず。僕はそれをその目でハッキリと見ている。なのに何故、兄さんは目の前に居る?

 

「兄さん、どうして…………?生きてたの…………?」

「えっ………?」

「どうやって…………生きてたの?」

「………………」

「ねえ、何か言ってよ…………」

「………………」

 

 今確かに兄さんは人間の眼と歯をしている。でもさっきの人間に化ける下弦の陸はそこもきちんと擬態出来ていた。だからもし兄さんが鬼になって似たような血鬼術を習得していたとしたら…………腐ってた身体が治ってるのに納得がいく。でもそれなら何故鬼殺隊に?親方様は、何か知ってたの?ねえ、何か言ってよ‼︎

 

「血鬼術 人間擬態・擬態変化」

 

 鬼⁉︎じゃあやっぱり兄さんは鬼になって……………ってこの金髪チビ女、さっきの下弦の陸じゃないか‼︎コイツが兄さんに化けてたのか‼︎許せない‼︎

 

「くっ…………よくも………よくもお前なんかが兄さんに‼︎ふざけるな‼︎鬼のくせに‼︎兄さんを侮辱しようってのか⁉︎あ゛⁉︎」

 

 殺してやる‼︎殺してやる‼︎あの時の鬼みたく、ぐちゃぐちゃにしてやる‼︎

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「すいません…………」

「えっ…………?」

 

 その鬼は、意外にも素直に謝った。思わず僕も呆気に取られてしまった。

 

「私は貴方()()に化けて水面に潜り、水面に写った貴方の像のフリをし、奇襲するつもりでした…………。貴方にそっくりなお兄さんが居たとは知らずに…………」

「……………」

「私は貴方の家族を侮辱するつもりはありません…………。ただ貴方がそう感じてしまったのなら、謝ります。申し訳ございませんでした。」

 

 作戦を説明しながら、素直に謝る鬼。本当に、なんなんだコイツは?鬼なのに、なんで謝るんだ⁉︎兄さんを殺したあの鬼みたいに、鬼は残酷な生き物なんじゃないのか⁉︎どういうことだよ⁉︎

 

「ねえ、君は何なの?鬼なのに⁉︎」

「へっ?」

「なんで謝ったの⁉︎素直に僕を煽ればいいのに‼︎僕が取り乱した隙を狙えば良かったのに‼︎」

「謝るのが、そんなに変なことなのですか?」

「ああ、変だよ‼︎だって鬼って残虐な生き物なんだろ⁉︎」

「それは違います。」

 

 えっ?

 

「な、何を言ってるの、君は…………?」

「私の両親は、ある人間に殺されました。そしてその人間は、私も殺そうとしたそうです。でもそこで私は鬼に救われました。その鬼は両親の仇を討ち、私を守ってくれたのです。」

「鬼が…………人を守った………?」

 

 あり得ない。人間は鬼にとっての食べ物だろ?それなのに、鬼が人を守る…………?どういうことだ?

 

「私はただ、その鬼に幸せに生きて欲しい。だから鬼になり、こうして鬼狩りを狩ってます。」

 

 なんだよそれ…………鬼が仲間のために動く………?

 

「そ、そんなはずがない‼︎僕の兄さんを殺した鬼が、侮辱しながら殺した鬼が、鬼という種族が、鬼舞辻無惨が生み出した奴らが、そんな情に厚いはずがない‼︎第一、鬼舞辻無惨自体が大悪人じゃないか‼︎なぁ、嘘なんだろ⁉︎お前はどうせ、嘘をついてるんだろ⁉︎」

「くっ……………‼︎」

 

 奴は下唇を噛む。どうやらやっぱり嘘のようだ……………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「嘘なわけないでしょう⁉︎私の話が⁉︎貴方こそふざけないでくださいよ‼︎勝手に知った口を聞いて‼︎」

 

 お、怒っただと…………?

 

「じゃあなんですか⁉︎私の両親は鬼に殺されてたとでも言うんですが⁉︎命の恩人であるあのお方に、殺されたとも言うんですか⁉︎あの人のこと何も知らないくせに…………。あの人が私を助けてくれたことを知らないくせに…………っ!人の恩人を勝手に侮辱しやがって‼︎貴方だって私とやってることは変わらないでしょう⁉︎」

「……………」

 

 そう…………なのかな?ものすごい剣幕で(まく)し立てるほどのこと………なのかな?

 

「鬼だって人間と同じように、色んな性格の人が居るんです‼︎それを勝手に同じだと決めつけやがって‼︎ふざけるのも大概にして下さいよ‼︎なに、また私に貴方のお兄さんを侮辱して欲しいんですか⁉︎」

 

 なんだと…………っ⁉︎

 

「それはやめろ‼︎」

「ならさっきの発言を取り消して下さい!謝って下さい‼︎」

 

 本当に、訳わかんない鬼だ。いい奴なのか悪い奴なのか、よく分かんない。でもこの鬼が鬼舞辻に抱いてる感情は、僕が兄さんに抱くそれと似ているだろう。でなければここまで怒ることはないはず。ならば、この鬼の言うことに従うか…………

 

「分かった。鬼は情に厚い奴もいる。それは認めるよ。」

「………ありがとうございます。」

 

 でも柱として、鬼殺隊の役目は果たす‼︎

 

「でも鬼は人間にとっての害だ。」

「それは分かります。そしてそれと同じく、貴方たち鬼狩りは私たち鬼にとっての害です。」

「だろうね。」

「だから私は貴方を殺します。貴方が鬼狩りを辞めない限り。」

「僕も君を殺すよ。君が鬼じゃなくなる限り。」

 

 僕は刀を構え、集中する。絶対にここで、この鬼、下弦の陸を倒すんだ!

 

 

 

 

  side 萌

 

 無一郎は自分に顔がそっくりの兄を鬼に殺された。それと同じ種族の生き物が、その姿で目の前に現れる。それがどれだけ嫌なことか………それは人間に両親を殺された私がよく分かってる。だから謝った。

 

 そしたら今度は鬼、ひいては無惨様をバカにされた。それだけは許せない。思わず頭に血が上ってしまった。

 

 ただ謝ってくれた。だから無一郎は悪い人では無いのだと思う。ただし彼は鬼狩り。それを辞めない以上、あのお方のためにも、彼を殺さざるを得ない‼︎

 

 私と無一郎までは距離がある。今は間合いを読んで、相手の出方を伺う。じっくりと相手の様子を見て、次に何をしようとするのかを伺う…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ってこれは何だ?相手の身体が透けて見える。筋肉も、骨も、その全てが…………。気のせいか、流れる風も、上で飛び回る銀子という鴉も、全てが遅く見える。もしやこれが、黒死牟様の言っていた、透き通る世界なのか?




 ということで、萌が透き通る世界に到達しました。無一郎と萌はどちらも大好きな家族を失った子供同士という、意外と境遇が似てる部分があるんですよね。炭治郎の時もそうでしたけど。

 さて、次回で第四章は終わります。どういう結末を迎えるのか、お楽しみに!

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