我妻物語   作:スピリタス3世

2 / 60
第二話 もう戻らない過去

  side 萌

 

 幸せというものは、何の前触れもなく、突如として壊れてしまうものだ。

 

 私は12歳の頃まで街の中で両親と共に暮らしていた。

 

「お父さん、お母さん、雪だるま作ったよ〜!」

「あら〜、可愛い雪だるまねぇ、萌ちゃん♪」

「まるで萌ちゃんみたいだなぁ。」

「ホント⁉︎やった〜、嬉し〜♪」

 

 家族仲は良好で、近所でも仲良し親子だと噂されていた。私自身もお父さんとお母さんがとても好きだった。珍しく他に兄妹は居なかったものの、両親さえいれば幸せだった。こんな日々がいつまでも続けばいいのに、と思ってた。だけど残念なことに、そんな日々は長くは続かなかった。

 

 

 

 

 ある日の夜、私は寝室で寝ていたのだが、居間の方から物音がして飛び起きた。すると、いつもは隣で寝ている両親が何故かいなかった。こんな夜に何をしているんだろう、と疑問に思った私は物音がした居間の方に向かった。すると……………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

信じられぬものを見た。むごたらしく血を流して倒れている両親がそこには居た。

 

「えっ…………?お父さん、お母さん………?なんで…………?」

 

 最初は何が起こっているか理解出来なかった。目の前で血を流し、何も言わずに倒れている両親。しかしだんだんと状況が嫌でも頭の中に入っていた。返事をしない2人。そう、私の両親は何者かに殺されていたのだ。

 

「い、い、い………嫌ぁぁぁぁぁぁ‼︎」

 

 大好きな人の、あまりにも突然過ぎる死。その事実を認識した途端、叫ばずにはいられなかった。受け入れたくなくても、頭の中を無理矢理分け入って受け入れさせようとしてくるむごたらしい事実。それに私が泣き喚いていると、一人の男がやってきた。

 

「お前がこの2人の子供か。」

 

 その人は左手に別の誰かの首を持っていた。後の無惨様である。今となっては私の恩人なのだが、その時はそのあまりの恐ろしさに、

 

「嫌………こ、来ないで………私を殺さないで………」

 

 思わず私は後退りしてしまった。だがそんな私を見て無惨様は、

 

「安心しなさい。私は君を殺したりはしない。」

 

 意外な言葉を発した。

 

「えっ………?ど、どうして………?」

「私は君の両親を殺していない。むしろその仇を討ってたのだ。」

「仇………?」

「そう。今私が右手に持ってる人の首こそが、お前の両親を殺した男だ。お前の両親は醜い人間の手によって殺されたのだ。お前もこの男に殺されようとしていたのだぞ?」

「そ、そうなの………?」

「ああ。」

 

 私は大きな勘違いをしていた。目の前の男は私の敵だと思ってた。でも違った。私の事を助けてくれた恩人だったのだ。しかも私の両親の仇まで討ってくれた。その事が分かったとき、私の口からは自然と、

 

「ありがとう………ございます……」

 

 感謝の言葉が溢れ出していた。そしてそれを聞いた無惨様は、

 

「礼はまだよい。それより親を亡くして家に困っているのだろう?ならば私が救ってあげよう。」

「本当……ですか……?」

「ああ、約束しよう。」

 

 礼を軽く流すどころか、親を失った私の面倒を見てくれると言ってくれた。なんと素敵なことなのだろう。私はそれが嬉しくて嬉しくて仕方がなかった。

 

「あ、ありがとうございます‼︎」

「それでは鬼となり、私の役に立て。」

「はい!」

 

 そして私は命の恩人に恩返しをするため、無惨様の血を受け取り、人間から鬼へとなった。

 

 

 

 

 最初は同族だった人間を殺したり食べたりするのはかなり気が引けた。ただ命の恩人である無惨様の命を狙う連中がいることと、人を食べればより強くなって無惨様の役に立てることを、無惨様や十二鬼月の方々に教えてもらった。だから私は人………とりわけ無惨様の害となる存在である鬼狩りを殺し、食べまくった。

 

 またこの頃、

 

「おお。萌は人に化ける血鬼術が使えるようになったか。」

「そうみたいですね。」

 

 私は血鬼術を習得した。鬼の特徴である眼や歯を人間と同じものに変化させることの出来る血鬼術。それは人間に化けて襲うにはもってこいの術だった。この瞬間、私のなすべきことが全て分かった。

 

「無惨様、私はこれを使いこなして鬼狩りの中にに紛れ込み、鬼狩りを殺そうと思います。」

「そうか。ならば黒死牟に鬼狩りのことについて聞くとよい。」

「はい!」

 

 無惨様は私の提案を快く引き受けて下さった。それはとてもありがたかった。こうして私は上弦の壱であり、元鬼狩りだった黒死牟様に弟子入りすることになった。

 

 

 

 

 黒死牟様の元に赴くと、

 

「鬼狩りに化ける………か。ならば呼吸を覚えると良い………」

「呼吸………ですか?」

 

 そこで私は呼吸というものの存在を知った。

 

「身体強化法の一つだ…………。肺に酸素を大量に取り込み………全身に一気に巡らせて………身体の動きを強化する………」

「なるほど………」

「種類はいくつかあるが………お前には私が使ってる………月の呼吸を………伝授しよう………」

「あ、ありがとうございます‼︎」

 

 鬼殺隊の人だけが使ってる身体強化法。これを使えばよりその人たちを欺けるだろう。また相手の手のうちも知る事が出来る。そうすれば相手の弱点もわかりやすくなり、より戦いやすくなるだろう。私はすぐさま月の呼吸の習得を行なった。

 

 

 

 

 黒死牟様の修行はかなりキツかった。鬼になったことにより身体能力が上がっていた私だが、それでもただの素人が習得するにはかなり難易度が高かった。特に身体を自分の意のままに動かす事がかなり難しかった。

 

「もっと肺を使わないと………意味が無い………」

「はい‼︎」

 

 結局習得にはそれなりの時間がかかってしまった。その度に無惨様や黒死牟様から叱咤激励をいただき、再び修行に励んだ。ただこれを会得してからは、かなり鬼狩り狩りがやりやすくなった。殺した隊士の日輪刀を奪い、それを使って月の呼吸を繰り出す。また黒死牟様には他の呼吸の特徴も教えてもらった。

 

「雷の呼吸は………脚が重要だ………」

「なるほど………ならば脚を潰せば良いんですね?」

「その通りだ………」

 

 これにより格段に鬼狩り狩りがやりやすくなった。先日の善逸相手にも的確に弱点を潰して倒すことが出来た。また他の呼吸の使い手相手にも弱点を上手く利用する事が出来た。そして私が鬼狩りを倒すたび、

 

「お前は本当に役に立つな。素晴らしい。」

「あ、ありがとうございます‼︎」

 

 無惨様が褒めてくれた。それがとても嬉しくて、自分のやる気がどんどん上がっていった。そしてまた鬼狩りを狩り、無惨様に褒められる。この循環がとても心地良かった。そしてそんな日々を3年*1続けた。そして今日に至る。

 

 

 

 

 

 それにしても、善逸はかなりの逸材だった。本人の言ってる事が正しければ、一つの型だけでかなりの鬼を倒す事が出来るという。だからこそ食くことによって、自分自身の強化が見込めた。それがただ崖から突き落として脚を怪我させるだけで終わってしまったのは、本当に残念だ。

 

 まあ終わった事をあれこれ考えても仕方ない。それよりも、次に殺す鬼狩りの事を考えねば‼︎

*1
呼吸の習得に時間がかかったため、4年ではなく3年になっている




 ということで、萌の過去でした。そして次回からはいよいよ鬼殺隊士とのバトルが始まります。最初の相手は一体誰なのか、それは次回のお楽しみに!

 また、萌の両親の設定は次の通りです。


我妻 権兵衛 CV.藤原啓治
享年35歳 萌の優しいお父さん

我妻 チエ  CV.井上喜久子
享年35歳 萌の優しいお母さん



 最後に、評価・感想をお願いします。あと感想を書いて下さった方、僕が自分のコメントを訂正しようとして、間違えて消してしまいました。本当にすいません‼︎以後気をつけます‼︎
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。