我妻物語   作:スピリタス3世

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第五章 混戦
第二十一話 桜餅色の髪の毛


  side 萌

 

 私が初めての休暇をもらって、私服で街をふらついてると、

 

「すいませ〜ん!おまんじゅう100個下さい‼︎」

 

 桜餅の髪色をした食いしん坊な女がそこには居た。桃色の着物を着ており、見た目と声はとても可愛らしい方である。それにしても頼む量がおかしいが。

 

「そ、そんなに買えるわけないだろ⁉︎第一食えんのか⁉︎」

「お金もお(なか)も余裕です!はい、どうぞ!」

「あぁ、そうかい………。確かに丁度受け取ったよ………」

 

 それにしても随分とお金持ちだな。まんじゅう100個って相当だぞ。それに、100個も食い切れるのか?仮に食えたとして、1個1個はとても美味しそうだけど、100個も食ってたら飽きないか?なんとも変わった女だ。店の人も思わず引いてるし。

 

 

 

 その女は近くにあった長椅子に座った後、まんじゅうを食べ始めた。

 

「ん^〜、美味しい^〜♪」

「そうかい。そりゃ良かったよ!」

 

 それにしても、美味そうに食うな。店の人もさっきまでとは打って変わって笑顔になってる。そして私まで食べたくなってきちゃった。だけど私は金を持ってない。仕方ない。ここは諦めるか…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あの〜、もしかしてお嬢ちゃんもおまんじゅうを食べたいの?」

 

 そうして私は去ろうとしたが、その女の人に話しかけられた。

 

「えっと、その…………」

「食べたそうにこっちを見てたけど?」

「いや、その………」

 

 本当のことを言えば食べたい。でもお金がないし、諦めるしかない。まあ鬼だからまんじゅうを食べなくても生きていけるしな。

 

「お金がないんで、遠慮しておきます。」

「お金なら私が払うよ〜!」

 

 流石にそれは申し訳ない。ここは断るか…………

 

「いや、そんなの悪いです!」

「遠慮しなくて大丈夫だよ!」

「で、でも………私なんかにお金を使わなくても………」

「う〜ん………よし、分かった!それじゃあ私はお嬢ちゃんと一緒に食べたいな〜♪」

 

 嘘………でしょ………?なんて優しい人なんだろう………見ず知らずの私にまんじゅうを奢ってくれるなんて………でも私は人喰い鬼………お姉さんは鬼なんて知らないと思うけど、それでも言わなきゃ………お姉さんのために…………私は貴方の敵です、と。

 

「あ、あの、人喰い鬼って知ってますか?」

「えっ、急にどうしたの?まあ知ってはいるけど……」

 

 鬼を知ってるのか。なら話が早い。

 

「あの、その、私がそうなんです。」

「えっ…………?」

「だから貴方は、私に奢らなくて大丈夫です!」

 

 そうして私は眼と歯と爪を鬼のものに戻し、その姿をお姉さんに確認させる時間をとった後、私はすぐさま路地裏に逃げた。やっぱり鬼は人間にとっては化け物。だから貴方みたいな優しい人は、私みたいな化け物とは関わらずに過ごしてほしい。

 

 

 

 

 そんなことを考えながら、私は路地裏を抜けて、人の居ない荒地へとやってきた。やっぱり休暇は無限城で修行でもしよう。八咫河の時みたく、優しい人間に余計な恩を抱かせないために。そんなことを思ってたのに、

 

「待って、お嬢ちゃん!」ハァ、ハァ

 

 そのお姉さんは、息を荒げながら私を追ってきてくれた。

 

「なっ、なんでついて来たんです⁉︎」

「だって、お嬢ちゃんに用があるから………」

「私のそばに居ると、貴女は食べられるかもしれないんですよ⁉︎鬼について知ってるなら分かりますよねぇ⁉︎なのになんで近づくんです⁉︎」

「だって私…………」

 

 なんで自分の敵だと分かっていながら、私を助けてくれるんだろう?人がよすぎるよ!そんな貴女には、私なんかと関わらずに生きて欲しい…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鬼殺隊の柱だから。」

 

 えっ……………?鬼狩りの………柱?

 

「嘘………ですよね?」

「ホントホント!日輪刀もちゃんとあるし!」

 

 な、なんでこんな良い人なんかが、鬼狩りをやってるんだ…………。た、確かに鬼狩りは人間を守る仕事だけれども…………。鬼狩りって、鬼への復讐目的の人ばっかりだと思ってたのに…………

 

「そう、ですか…………」

「お嬢ちゃん、下弦の壱だよね?相当人を食べたんでしょ?」

「はい。今まで沢山の鬼狩りを食べてきました………。我妻萌、といえば分かりますか?」

「なるほど、貴女が人間に化ける鬼の1人ね!*1

 

 私は優しい貴女を殺さなければいけないの……………?そんなの、嫌だよ………で、でも無惨様のためには、ちゃんと殺さなきゃいけないし…………

 

「貴女は鬼にしては優しい子だってのは分かる。でも貴女は沢山の鬼狩りを殺してきた。だから私は貴女を倒さなきゃいけないの。ごめんね。」

「こちらこそ………ごめんなさい………」

 

 そう言って、私は泣きそうになりながら痣を出し、刀を抜いた。

 

「月の呼吸 壱の型 闇月・宵の宮」

 

 横薙ぎの一閃。なんなくかわされる。流石は無一郎と同じ、柱。迷ってる暇はない!泣きそうになってる暇なんてない‼︎私は今から、この人を殺すんだ‼︎

 

「恋の呼吸 壱の型 初恋のわななき」

 

 ってなんだあの刀は⁉︎めちゃくちゃしなってるんだけど⁉︎というか金属ってあんな曲がり方するか⁉︎それに恋の呼吸って、聞いたことないぞ⁉︎賽子男みたいに、自分で編み出した類のものか⁉︎

 

「くっ………⁉︎」

 

 そして斬撃が速い‼︎痣を出してないのに、痣有り無一郎と同じくらいの速さだ‼︎ここは透き通る世界にまず入る‼︎

 

 さてと、着物の下にある筋肉と骨を見て…………ってなんだこれは?筋繊維の密度が明らかにおかしい。普通の人の8倍くらいある。この人普通の人間なの⁉︎

 

「恋の呼吸 参の型 恋猫しぐれ」

 

 透き通る世界は元々相手の筋肉や骨の動きから攻撃を先読みするもの。だからこの人は筋肉の動きは読めるんだけど、刀の動きの方が不規則すぎて読めない!刀のしなり方に慣れない‼︎だから避けたつもりが、上手く避けきれてない‼︎

 

「くっ…………!」

「まだまだいくよ‼︎」

 

 防戦一方では厳しい‼︎だからここは攻撃していく‼︎

 

「月の呼吸 参の型 厭忌月・銷り」

「なっ、さっきより速くなった⁉︎」

 

 横薙ぎの二連撃。さっきは迷ってたから遅くなったけど、今はもう迷わない!

 

「月の呼吸 陸の型 常世孤月・無間」

「恋の呼吸 陸の型 猫足恋風」

 

 相手も攻撃してきたか。上に飛びながら自分の身体に刀を巻きつけて螺旋状の斬撃を起こす技。あんなことやって、自分自身に刀が当たったりしないのか⁉︎

 

 まあとにかく、上に飛んだ相手には、

 

「月の呼吸 肆の型 年災月殃」

 

 下から上に攻撃するこの技で‼︎

 

「恋の呼吸 弐の型 懊悩巡る恋」

 

 私の周りを螺旋状に降りながら攻撃してくるのなら‼︎

 

「月の呼吸 拾参の型 闇夜ノ円舞・月輪」

 

 こちらも一回転して攻撃‼︎

 

「くっ………!貴女、結構強いじゃない‼︎」

「ありがとうございます。」

 

 お姉さんは避けるのに関してはあまり上手くないようで、かなり攻撃を受けている。でもさっき見た高過ぎる筋繊維の密度のせいで、単純に防御力が高い!それでいてこの人、身体が異様に柔らかい‼︎柔と剛を兼ね備えたとは、まさにこのことか‼︎

 

「でも私、負けないから!」

「私だって負けません‼︎」

 

 ただ攻撃を避けるのが苦手ってことは………恐らくあの戦法が使えるはず‼︎

 

「月の呼吸 拾伍の型 月槍・陰牙突」

「えっ⁉︎」

 

 まずは突き技を相手とは逆方向に使い、相手と一気に距離を取る。そして相手から見えなくなった場所で、

 

「血鬼術 人間擬態・擬態変化」

 

 姿を別人に変える!元の姿から茶髪で背がいつもより高め*2のに変える‼︎そして後は相手に一気に近づき……………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私の継子を………カナヲを殺したのは、お前だな⁉︎」

 

 って新手だと⁉︎私の前に蝶の羽織と髪飾りをした女が現れた。

*1
萌が毎回名前を変えてるお陰で、鬼殺隊側には人に化ける鬼が複数いると思われてる。

*2
158cmくらい。ちなみにいつもは146cm。




 ということで、蜜璃ちゃんの優しさに触れた回でした。思わず萌も殺すのを躊躇ってしまいましたね。そしてその後の戦闘は、蜜璃ちゃんのトリッキーさに苦戦することとなりました。割と鬼にとって蜜璃ちゃんは初見殺しの塊みたいな人ですからね。

 そして蜜璃ちゃんだけでなく、カナヲを殺されてブチギレてるしのぶさんまでやってきました。柱2人相手に萌がどう立ち回るのか、それは次回のお楽しみに!

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