我妻物語   作:スピリタス3世

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第二十五話 純粋無垢な子供

  side 萌

 

 私は視界が黒くなりゆく中、

 

「「萌ちゃん!」」

 

 両親と再会した。

 

「お父さん……お母さん………久しぶりっ‼︎」

 

 大好きだった2人。ある日突然会えなくなった2人。もう二度と会えないと思ってた人たちが、目の前にいる。嬉しくて嬉しくて仕方ない!嬉しさのあまり、飛び跳ねたくなるっ!

 

「あのねあのね、私16歳になったんだよ!もう大人でしょ♪」

 

 お父さんとお母さんもきっと喜んでくれるかな…………?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「萌ちゃん…………」

「見てられなかったぞ……っ!」

 

 あれっ?なんでそんなに悲しそうなの?

 

「お父さん、お母さん、どうしたの………?」

「萌ちゃん、とりあえずお父さんたちと地獄に行こうか………」

「しっかり罪を償いましょう………」

 

 えっ…………地獄…………?

 

「なんで?萌は悪いことでもしたの?」

「人を殺しただろ。それも沢山。」

 

 確かにそうだけど…………でもそれには理由がある。

 

「それはね、お父さんとお母さんの仇を討ってくれた無惨様のためだよ!」

「あのね、萌ちゃん……………」

 

 これなら、2人も納得してくれるはず‼︎

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私とお父さんを殺したのは、無惨なの。」

 

 えっ?どういうこと?無惨様が…………私のお父さんとお母さんを殺した………?

 

 

 

 

 

  side 無惨

 

 萌の気配が消えただと⁉︎それはまずい‼︎あんな忠実な部下を失ってたまるか‼︎

 

 

 

 4年前のあの日、私は街の中を歩きながら太陽を克服する鬼作りに勤しんでいた。どいつもこいつも適性がなく、すぐに死ぬか鬼狩りに殺されてしまう。萌の両親もそうだった。私がほんの少し血を入れた途端に悶え始めた。

 

「お前を…………先に行かせてたまるか………っ!」

「萌ちゃんには………手を出させないぞ………っ!」

 

 そしてその2人は、娘のところに行かせまいと必死に抵抗してきた。煩わしい、適性がないのならとっとと死ねばいいのに。娘もこんなじゃなければいいな、と思ってると、童磨のある一言を思い出した。

 

「猗窩座殿〜、子供ってバカだから騙されやすいんだよ〜♪だから猗窩座殿も子供を勧誘すればいいのに〜。」

「うるさい、失せろ。」

「ちょっと、酷いよ猗窩座殿‼︎」

 

 子供はバカで騙されやすい。この時、私にある妙案が思い浮かんだ。私が両親の仇を討ったふりをすればいい、と。そうして私は両親をさっさと殺した後、道端にいた1人の人間を路地裏で殺して家に運び、

 

「い、い、い………嫌ぁぁぁぁぁぁ‼︎」

 

 両親の死体を見て泣き叫ぶ娘、後の萌に死体の首を持って近づいた。

 

「お前がこの2人の子供か。」

「嫌………こ、来ないで………私を殺さないで………」

 

 私の姿を見た時、思わず萌は後退りしたが、

 

「安心しなさい。私は君を殺したりはしない。」

「えっ………?ど、どうして………?」

「私は君の両親を殺していない。むしろその仇を討ってたのだ。」

「仇………?」

「そう。今私が右手に持ってる人の首こそが、お前の両親を殺した男だ。お前の両親は醜い人間の手によって殺されたのだ。お前もこの男に殺されようとしていたのだぞ?」

「そ、そうなの………?」

「ああ。」

「ありがとう………ございます……」

 

 事情を話すと、簡単に騙されてくれた。本当に童磨が言った通りだ。バカな子供は騙しやすい。特に純粋無垢そうな彼女には効果的だった。

 

「礼はまだよい。それより親を亡くして家に困っているのだろう?ならば私が救ってあげよう。」

「本当……ですか……?」

「ああ、約束しよう。」

 

 そうして私の言った適当な事をいとも簡単に信じてくれた。なんと素敵なことなのだろう。私はそれが嬉しくて嬉しくて仕方がなかった。

 

「あ、ありがとうございます‼︎」

「それでは鬼となり、私の役に立て。」

「はい!」

 

 こうして私は便利な手駒を手に入れた。

 

 

 

 その後も、萌は食欲がなかったが、

 

「人を食えば強くなれるぞ、萌。」

「無惨様………私は強くなる必要があるのですか?」

「強くなってくれると、とても助かるんだが。いつも鬼狩りが邪魔で困っていてな。」

「分かりました‼︎では頑張って食べます‼︎そして鬼狩りを倒します‼︎」

 

 それを無理矢理食べさせるのは容易だった。それ以降萌は強くなり、黒死牟の技をも身につけ、瞬く間に鬼狩りを倒していった。1000年生きてきて、ここまで役に立つ部下は初めてだった。

 

 だがそれが今失われようとしている。なんとしても助けなければ‼︎萌の中にある私の血を使って干渉しなければ‼︎

 

 

 

 

 

 

  side 萌

 

 私はお父さんとお母さんから真実を聞かされた。無惨様が2人を殺した。

 

「そ、そんな……………っ!」

「本当よ。」

「お前は今まで騙され続けていたんだ。」

「………………っ!」

 

 信じていた人が敵だった。それはあまりにも残酷な事実だった。そしてそれと同時に、敵に騙されて、敵に貢献しようと生き、沢山の人を殺し、沢山の罪を重ねてきた。しかもその姿をお父さんとお母さんにずっと見せながら。あぁ、なんて事を私はしてしまったのだろう…………

 

「ごめんなさい、お父さん、お母さん‼︎私は悪い事をしました‼︎いっぱい人を殺しました‼︎ごめんなさい‼︎」

「分かってるさ、そんな事くらい。それに、」

「あんな男に負けたお母さんたちも悪いの。」

 

 そして2人は私の罪を背負ってくれようとしている。なんて優しいのだろう。自分たちは何も悪くないのに、こんな不出来で犯罪者の娘について来てくれるだなんて………。私は泣きそうで泣きそうで仕方なかった。この2人が地獄に行くのはおかしい。地獄に行くのは、私だけでいい‼︎

 

「お父さんとお母さんは悪くないよ‼︎悪いのは私だけ‼︎だか地獄なんかに行っちゃダメ‼︎」

「萌ちゃんは優しいんだねぇ。」

「こんな優しい子を持てて、お母さんたちは幸せだよ。」

「私は優しくない‼︎人殺しの私が優しいわけない‼︎」

「よしよし。」

「それじゃあ、一緒に行こうか!」

 

 お父さん、お母さん、私を優しいだなんて………なんていい人なのだろう…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「萌、それは人間共が生み出したまやかしだ。危ないからこっちに来なさい。」

 

 無惨…………?なんで今、ここに…………?

 

「どうして?」

「お前の両親なら、仇を討った私を敵扱いするはずが無いだろう?」

 

 そう、なのかな…………?

 

「おいお前‼︎うちの娘をこれ以上誑かすな‼︎」

「アンタこそまやかしでしょ⁉︎」

「ふざけるな‼︎私はまやかしなんかじゃない‼︎」

「人間が貴様ら鬼みたいな幻術を使えるはずないだろうが⁉︎」

 

 やっぱりお父さんとお母さんの方が正しいよね。無惨の方が間違ってるよね、だからちゃんと言わないと!私はお父さんとお母さんについて行く、って‼︎

 

「……それは貴様らが知らないだけだろうが⁉︎……」

「……また萌ちゃんを騙そうとしてるのか、この下衆男‼︎……」

「……アンタも地獄に落ちるんだよ!それも私たちより深いところに‼︎……」

「……私が悪いわけないだろ‼︎私が言ったことは全て正しい‼︎間違ってるのは貴様らだ‼︎……」

 

 あれ?お父さんとお母さんと無惨の姿が小さくなってく………あれ、なんで?なんか周りに木が見えてきたし………?あれ、何が起こってるの………?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うわぁぁぁぁぁ⁉︎嘘でしょ、嘘でしょぉぉぉ⁉︎なんか首が再生したんですけどぉぉぉぉぉぉ⁉︎こんな事ってあるんですかぁ、しのぶさん、蜜璃さん⁉︎」

「善逸君、落ち着いて‼︎何度でも殺せばいいだけ‼︎だから今すぐ私が殺してやる‼︎」

「しのぶちゃんも落ち着いて!」

 

 ってあれ?善逸?しのぶさん?甘露寺さん?それにここはさっきの森?というか首が再生って………?気になったので自分の首を確認すると…………

 

 確かに私の頭と胴体は首で繋がっていた。なんで?なんで私は生き返ったの?死ななきゃいけないのに?地獄に行かなきゃいけないのに?

 

 

 

 

 

  side 善逸

 

 鬼が首の弱点を克服することってあるのぉぉぉぉ⁉︎これはマズいよ‼︎しのぶさんも蜜璃さんも重症‼︎俺は疲れが取れて万全の萌ちゃんには勝てない‼︎さらには相手は死なない‼︎絶体絶命だよぉぉぉぉ‼︎

 

 でも萌ちゃんが首と頭を再生してから、何故か鬼の禍々しい音が消えている。彼女から聞こえるのは、鬼には不自然である()()優しい音だけだ。




 ということで、萌の両親の死に関する真実が明らかになりました。思いつきで萌を騙した無惨様はやはり屑でしたね。あの人が命の恩人とか、そんな都合のいい話はありませんでした。それと、読者の皆さんも萌の両親と境遇が似てる恋雪さんの気持ちが分かったでしょう。

 さて、萌は罪を自覚して死にたいのに、首の弱点が克服されてしまいました。無惨様と萌の両親が揉めた結果、無惨様からは解放されたけど首の弱点が無くなってしまったという展開です。そして善逸と生きていた女の柱2人。今後どうなるかは、次回のお楽しみに!

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