我妻物語   作:スピリタス3世

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第二十六話 死乞い

  side 萌

 

 なんで私は生き返ったの?死ぬべきなのに?死んで地獄に行くべきなのに?もしかして善逸が上手く首を斬れてなかった?

 

 とにかく死なないと!私の日輪刀は…………甘露寺さんの手元に回収されている。ならば首を斬ってもらうしかない。

 

「あ、あの…………」

「何?今の自分の状況分かってんのかな?」

 

 しのぶさんが怒りながら返事をする。怖いけど、言うべきことは言わなくちゃ………

 

「私を………殺してください………」

「言われなくてもそうするよ‼︎」

「と、とりあえず次は私がやってみるね!」

「「お願いします!」」

「ありがとうございます…………」

 

 次は甘露寺さんが私の首を斬ってくれるみたい。でも彼女としのぶさんは大怪我してる。私のせいで。威力は心配だが、首さえ斬れたら大丈夫。

 

「えいっ!」ザクッ

 

 こうして再び私の首が斬られ、視界が暗くなってゆく…………。そして再び明るくなった。果たして、ここは地獄かな…………?

 

「えっ…………?」

「嘘でしょぉぉぉぉぉぉ⁉︎」

「やっぱり首の弱点を克服してますね………」

「どうしよう〜?」

 

 地獄じゃなかった。さっきと全く同じ光景だった。首を斬っても死なない。いっそ人間に戻れたら楽に死ねたのに、それすら出来ない。外的損傷では、私は死ぬことができない…………

 

「くそっ!死にたいなら首を回復すんなよ‼︎」

「えっと………これは違くて………その………勝手に回復しちゃって………」

「だったら私の毒で殺す‼︎」グサッ

 

 そうか、藤の花の毒があるのか。ならばそれで死ねる。お父さんとお母さんに会うことが出来る。身体が痺れて、やがて視界が奪わ…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

れない?嘘でしょ?私は毒でも死なないの?

 

「な、なんで…………?」

「毒でも死なないのぉぉぉぉぉぉ⁉︎」

「だから回復すんなって‼︎」

「えっと………その………身体が勝手に………」

「しのぶちゃん、調合を変えてみたら?」

「分かりました。では今度はこれで‼︎」グサッ

 

 再び身体が痺れる。でもそれもすぐに収まって、普段の状態に戻ってしまう。

 

「な、なんで………なんで私は死なないの………?」

「こっちが‼︎」グサッ

「これで………ダメです………」

「聞きたいよ‼︎」グサッ

「これでもダメです………」

「あぁもう‼︎」グサッ

「これもダメです………」

「一体何なら効くのよ⁉︎」グサッ

「さあ……………」

 

 何度繰り返しても、何度調合を変えても死なない。それどころか段々と勝手に藤の花に耐性がついてしまう。私は望んでないのに‼︎

 

「な、なんでっ………なんで私はっ………死ねないんですか………っ⁉︎」

「はぁっ………知らないよ、そんなこと………」

 

 他に死ぬ方法は…………太陽は影人を倒さない限り出ない。首斬りと藤の花はダメ。だったら………あれしかない‼︎

 

「き、鬼舞辻無惨‼︎」

 

 無惨の名前を叫べば、死ねるはず……………っ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれっ?なんで?なんで何も起こらないの?無惨の呪いが解けちゃったの?

 

「そんなぁ…………なんで…………なんでぇ…………?」

「本当に死ぬ気あんの?」

「本当です‼︎本当です‼︎自分のしてきた過ちにようやく気付いたんです‼︎今すぐ地獄に行きたいんです‼︎本当なんです‼︎」

「嘘くさいのよ‼︎どうせまた仲間になったフリして殺すつもりでしょ⁉︎」

「違います‼︎違います‼︎違います‼︎私はもう鬼舞辻無惨との繋がりを断ちました‼︎」

「嘘つけ‼︎カナヲを殺した分際でよくもまあ命乞いなんて………っ‼︎」

 

 会話の中に無惨の名前を入れて叫んでも死なない‼︎なんでだよ………なんでこうなっちゃったんだよ………

 

「ごめんなさい、お父さん、お母さん、殺した皆さん‼︎ごめんなさい、ごめんなさい‼︎」

「あ〜あ、嘘くさい。鬼の言うことなんて私が信じると思う?」

「信じなくていいです!だから殺して下さい!」

「私だって殺したいよ‼︎お前のことを‼︎」

 

 現状死ぬ手段が無い………沢山の人の命を奪っておいて、生きる資格なんて無いはずなのに…………生きるべき善人が死んで、私のような死ぬべき悪人が生きてしまう………なんで、なんでなの………?

 

「しのぶさん、蜜璃さん、どうします?」

「私たちじゃ無理そうだね、しのぶちゃん………」

「とりあえずコイツを拘束して運びます。そして臨時の柱合会議を開きましょう。」

「分かったわ!」

「それじゃあ怪我してない俺が運びます!隠の人たちに任せるのも危険なんで!」

「お願い、善逸君!」

 

 とりあえず私はどこかに運ばれることになった。多分柱たちで何か裁判をするのだろう。それか柱全員で殺してくれるのかも。他の柱なら、私を殺せるのかな?

 

 

 

 

 

  side 善逸

 

 萌ちゃんの音が変わった。優しい音だけが残った。だから最初は人間に戻ったのかと思ったが、眼と歯と爪は鬼のものだったから意味が分からなかった。

 

 だが次第に色々と分かってきた。首を斬っても死なず、無惨に平気で敵対する。そして藤の花の毒も効かない。それは無惨の支配から逃れたのか、それとも何か別の生き物になったのか?それは正直よく分からない。

 

 ただ一つだけ言えるのは、今までとは全く異なる態度を取ってること。今まではなんとか生きようともがいてた人が、今はなんとか死のうともがいている。泣きそうになりながら命乞いならぬ(しに)乞いをする様は、まるで悪いことをして親に必死に謝る子供みたいだった。そして彼女からは嘘をついてる音がしない。全てが彼女の本心なのだろう。俺の音について言ったところで、しのぶさんと蜜璃さんには信じてもらえないだろうけど。

 

 そんなことを思いながら、俺は拘束された萌ちゃんを運んだ。

 

 

 

 

 

  side 萌

 

 しばらくすると、何人かが集まってるところに私は運ばれた。いかにも強そうな人たちだった。その中には先日戦った風柱も居た。恐らくこの人たちが柱の集まりなのだろう。

 

「とりあえず、ここに萌ちゃん………この鬼を置いとけばいいですか?」

「うん、それでいいよ。ありがとう、善逸君。」

「どういたしまして、しのぶさん。」

 

 そして私は柱と思われる人たちの前に縄で拘束されたまま置かれた。

 

「大丈夫か、甘露寺?」

「怪我はしちゃったけど、大丈夫よ、伊黒さん!」

 

 甘露寺さんの恋人であろうと思われる人もいる。首に蛇を巻きつけていて、白と黒の縞々模様の羽織を着ている。私はあの人の大切な人を傷つけてしまったんだ。更に罪の意識が高まる。

 

「よぅ、久しぶりだなァ、クソ鬼ィ‼︎時透も殺したらしいなァ⁉︎」ザクッ

 

 そして風柱が私に近づいてきて、私の首を斬る。

 

「無駄ですよ、不死川さん。」

「マジみてえだなァ胡蝶、首斬っても死なねえの。」

「はい…………」

「自分で分かってんなら、大人しく死ねよォ⁉︎」

「ごめんなさい………何故か出来ないんです………」

「さっきからそんな感じなんです、不死川さん。困りますよね?」

「本当に困った鬼だぜェ………」

 

 当然私は死ななかった。そしてそんな私に、

 

「俺は女があまり得意ではない。それと鬼は嫌いだ。だから女の鬼はとても嫌いだ。そして貴様は甘露寺を傷つけた。だから貴様は世界一嫌いだ。死にたいと言ってるのに何故死なない?それは貴様が生に執着してるからだろ‼︎」グサッ

 

 伊黒さんが近づいて首を斬る。でも私は死なない。

 

「ごめん………なさい………」

「表面だけ謝っても、俺は絶対に認めない。」

 

 表面だけ謝ってるわけじゃないけれど、私がこの人に認められないのは当然のことだろう。自分の恋人を傷つけられたら、誰だってそうなる。

 

「首を斬っても死なないのであれば、どうするべきだろうか‼︎⁉︎とりあえず胡蝶の毒は効くのか‼︎⁉︎」

「いえ、効きませんでした。」

「そうか‼︎‼︎それは大変なことだな‼︎‼︎」

 

 髪の毛が橙色の柱がぎょろぎょろとした目玉で私を見てきた。恐らくこの人は炎柱で有名な煉獄家の方だろう。

 

「ならば俺が派手に殺して………と言いたいところだが地味に厳しいだろう。ならばここは派手に悲鳴嶼さんにお願いするべきじゃねえか?」

「宇髄の言う通りだァ。悲鳴嶼さんなら殺れるかもしれねェ。」

「うむ‼︎‼︎では任せるとしよう‼︎‼︎」

 

 宝石などの装飾品をつけた宇髄さんという人が悲鳴嶼さんという人に私を殺すのを依頼した。恐らく口ぶりからその人が鬼殺隊最強なのだろう。それとさっきから1人ぽつんと離れて全く喋らない人がいる。よく分からない半々羽織を着ているな。あの人も柱か?

 

 

 

 

 そしてしばらくすると、私の後ろから、

 

「悲鳴嶼さん、お願いします。」

「ああ。」

 

 白目を剥きながら泣いている巨大な男がやってきた。手には数珠を持っており、お寺の関係者と思われる羽織*1を着ている。見ただけで分かる、他の柱とは比べものにならないほど強い、と。恐らくは猗窩座並みだろう。この人なら私を殺してくれるはず!

 

「哀れな子供よ、哀れな鬼よ、そしてとても哀れな子供の鬼よ、私がこの手で葬り去ってやろう。」

「お願いします………………」

「岩の呼吸 肆の型 流紋岩・速征」ドゴォ

 

 そして悲鳴嶼さんは鉄球と斧が鎖で結ばれてる禍々しい武器を私に向かって投げた。これなら死ねるはず……………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えっ…………?」

「なんと、これでも死なないか………」

 

 そう思った私の望みは叶わず、またしても首から上が再生してしまった。

 

「嘘だろォ⁉︎」

「地味に厄介な女だな………」

「地味どころじゃないだろ宇髄。この女はとても厄介だ。現状胡蝶の毒でも駄目なのだろう?」

「はい。」

「ならば拘束して、太陽が出るまで外に張り付けとけば良いではないか‼︎⁉︎」

 

 まあそうなるよな…………。でも鬼たちは知らない。太陽が待ってるだけでは出ないという事実を。

 

「それは…………その…………」

「あァ、なんか文句あんのかァ⁉︎」

「太陽は………ある鬼を倒さないと一生出て来ません………」

「「「「「なんだと⁉︎」」」」」

 

 柱全員とその場にいる善逸が驚愕する。それはそうだろう。自然現象は普通鬼でも覆せないのだから。

 

「これは影人という鬼の血鬼術で、黒い霧で空を覆うことにより太陽光を遮断しています。そのためその鬼を倒さない限り、夜は明けません。気になるのなら私を(はりつけ)にして外に放置し、確かめてみて下さい。」

「とりあえず派手に磔にするのは確定として、その鬼の派手な特徴を教えてくれ。」

「はい。その鬼は陰陽師風の服装をしており、顔は隠れています。また鬼舞辻無惨に常に欲情しており、彼の話題を振るととても早口で話し始めます。」

「随分と気持ち悪い鬼だなァ。」

「ちなみにその鬼の居場所は分かるか‼︎⁉︎」

「無限城と呼ばれる、地下にある鬼の本拠地です。場所は時々変わるのですが、私が最後にいた時は品川駅のそばでした。」

「品川…………か。とりあえずはこの鬼を磔にして、それから鬼側の情報を聞き出そう。」ジャリ、ジャリ

「「「「「御意。」」」」」

 

 こうして私は影人の情報を伝え終わった後、悲鳴嶼さんの命令で磔にされた。そして磔が終わった時、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「待たせてすまなかったね、私の子供たち。」

「「「「「お館様‼︎」」」」」

 

 鬼狩りの長であるお館様が現れた。

*1
原作通りの服装




 ということで、萌が頑張っても死ねなくなった話でした。首を斬っても死なない珠世さん状態、といえば分かりやすいでしょうか?

 そしていよいよ次回は臨時の柱合会議です。お楽しみに!

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