side 萌
私の磔が終わった時、
「待たせてすまなかったね、私の子供たち。」
「「「「「お館様‼︎」」」」」
鬼狩りの長であるお館様が現れた。確か無惨の親戚だっけ。無惨とは違って、なんか安心するような、人を眠らせるような声をしているな。まあ私はこれからこの人の命令で、何かされるんだろうけど。柱の方々もこの人が現れた瞬間一斉に跪いて頭を下げた。善逸も最初混乱してたけどすぐに適応した。
「お館様におかれましてもご壮健で何よりです。益々のご多幸を切にお祈り申し上げます。」
そして風柱の不死川さんが挨拶する。この人前も思ったけど、おっかない見た目の割に礼儀正しいよね。あと甘露寺さんが何か言いたそうにしてたのは気のせいか?
「ありがとう、実弥。さて、今日は皆にこの鬼について話があるんだ。」
「それは処分方法ですか?」
そしてお館様が言葉を返した後、今回の話題について触れる。まあ当然しのぶさんの言った通り、私の処刑方法についてだよな。
「処分………というか今後の扱い方だね。」
「現状殺せない敵をどう拘束するか、どう処分するか、どんな目に遭わせるか、という話だな。」*1
「ならばここは派手に拘束して動けなくしてやろう。もう派手派手だ!」*2
「それなんだけど……………」
まあ考えられるのは今やってるみたいに磔にして外に晒すことだろう。それか鬼でも破れない強力な檻に閉じ込めるとか。後は海に沈めることなども考えられる。いずれも罪人である私に相応しい末路だな…………
「私はこの子を鬼殺隊士にしようと思う。」
って何を言ってるんだこの人は⁉︎正気か⁉︎
「お館様、お気を確かに!この悪鬼は沢山の仲間を殺したんですよ‼︎カナヲだってコイツに殺されたと言うのに………っ‼︎」
「胡蝶の言う通りです!人間ならまだしも鬼は駄目です‼︎」
「信用しない信用しない。そもそも鬼は大嫌いだ。」
「尊敬するお館様であるが、理解出来ないお考えだ‼︎‼︎全力で反対する‼︎‼︎」
「例えお館様の意見であっても、承知しかねる………」
「俺も派手に反対する。」
「………俺も。」
柱たちはどうやら正気なようだ。さっきまで全く喋らなかった半々羽織の柱でさえ反対している。無惨時代はこうやって反対した奴は軒並み殺されてたが、鬼狩りでは普通に反対していいのだな。鬼よりも全然こちらの方が組織として健全じゃないか!なんで私はあんな組織で無惨に忠誠を誓ってしまったのだろう…………死ねばいいのに………
「私は、お館様に従います!」
「は、柱じゃないけど俺も………」
いや、待って!甘露寺さんに善逸、どう考えてもそれはダメでしょ!というか善逸は私に殺されかけたよね⁉︎それに、なんでお館様はこんな事を言ったんだ⁉︎
「これは私の勘なんだけどね、この子は鬼舞辻を倒す鍵になる。」
いや、勘って‼︎そんなもん駄目に決まってるでしょ‼︎
「確かにお館様の勘は派手に当たるが、こればかりはもっと派手な理由が無いと厳しいな。」
「宇髄さんの言う通りです。仲間殺しの鬼を入れるとはそういうことです!まあコイツに理由なんて見当たらないと思いますが。」
「それに理由は他にもあるよ。」
宇髄さんとしのぶさんは当然反対する。この人の勘って結構当たるんだ。ただ他にも理由があるようだけど、しのぶさんの言う通りそんなの無いと思うな。
「まずは彼女の実力。下弦の壱まで上り詰め、柱2人を相手に戦える強さを持っている。」
「それは………そうですが………」
「テメェ、そんなに強くなってたのかァ⁉︎」
「…………前会った時に比べれば…………」
ただ、正直上弦は相手にできる気がしない。
「それに、彼女は呼吸が使える上様々な人間に化ける血鬼術が使える。」
「今まで何度か出現した姿形の異なる鬼狩りに化ける鬼は、全て私の仕業です。ちなみに男にも化けられます。」
「確かに、それは派手な撹乱戦術が使えるな。」
「呼吸が使えるから、鬼も倒せる…………と。」
自分で言うのもなんだが、確かにこれは使える。一応補足もしといた。宇髄さんと悲鳴嶼さんが納得するのも分かる。悲鳴嶼さんは認めたくなさそうだけど。
「更に現状彼女は殺しようがない。それに関連する事で私の勘なのだけど、月が消えたのは何か理由があるよね。」
「さっきこの鬼から聞いた通り、別の鬼の血鬼術だとのこと‼︎‼︎どうやら太陽も黒い霧に隠されてしまうらしい‼︎‼︎だから磔にして外に晒し、それが正しいかを確かめ中だ‼︎‼︎」
「もしそれで死ななかったとして、これだけの実力があり、更には敵の内情を知ってる子を拘束するだけなのは勿体ないよ。」
これも正直理解出来る。けれど、根本的なところで私は鬼狩りになる資格なんか無い。人を守る組織に、人殺しが居ていい理由なんて無い‼︎
「そして最後に、この子は民間人には手を出さないどころか彼らを守った。私の子供たちの中に人間の殺人鬼が紛れてたのを気づかなかった私のせいでもあるが*3、これは彼女が立派な鬼殺隊士としての素質があると言えよう。」
「「「「「「⁉︎」」」」」」
八咫河の件か…………。なんで知らなかったのかはともかく、確かに私は民間人を助けた。でもそれとこれとは話が違う‼︎
「それは………鬼と鬼狩りの戦いに関係無い民間人を巻き込みたくなかったからで………仲間になるには、私はあまりにも仲間を殺し過ぎてます………」
「民間人を守る意思があるのなら、なんで鬼殺隊士は殺すんだよ………なんでカナヲを殺したんだよ⁉︎」
しのぶさんの言う通り。一応理由は話すけど、それが受け入れてもらえるのにはならないだろう。というか私を受け入れる必要なんてないし。
「私は無惨を命の恩人兼両親の仇を討ってくれた人だとずっと勘違いしてました………。その時の私はただ彼に幸せで居て欲しかったので、彼の邪魔になる鬼狩りを殺そうと思いました………。それが民間人を襲わず、鬼狩りだけを襲った理由です。」
「民間人を殺さないで生きてこれた理由は何かい?」
「私は他の鬼と違って、人間を食べたいという欲求がありません。だけど人を食えば強くなれると無惨から教わりました。だから私は狩った鬼狩りだけを食べてました。一度そちらの我妻善逸に首を斬られてから地獄の入り口で両親に会い、真実を知り無惨の呪いが解けた次第です。何故か意図せず復活してしまいましたが…………。まあ殺人鬼の戯言なんで、信用しない方がいいでしょう。」
まあ何を言ったって、私の罪が軽くなるわけじゃないしな。それに、両親との再会は信憑性が無さすぎるし。
side 善逸
そういうことか………全て繋がった。萌ちゃんから優しい音がしていた理由も、鬼となって鬼殺隊士を殺してた理由も。ただ大切な人に幸せになって欲しかったから、だったんだね。もちろん萌ちゃんの言ってることに嘘偽りはない。ならばここは、俺が後押しするか!
ということで、柱合会議でした。原作とは異なり、カナヲを殺されたしのぶが終始キレまくってましたね。まあ仕方のない事ですが。あと冨岡さんのセリフがめちゃくちゃ少ないのは、本人の性格故です。
さて、次回は第五章最終話です。善逸がかなり活躍します。お楽しみに!
それと、評価・感想をお願いします。
最後に活動方向にもある通り、4月から社会人になるので一気に更新ペースが落ちます(頑張って週一を目指します)。よろしくお願いします。ただ絶対に完結までは書きます。そこだけは守ります。