side 善逸
萌ちゃんからずっと聞こえてた優しい音の理由が全て分かった。善人だと思ってた人が悪人だったなんて、あまりにも悲惨過ぎる。だからここは俺が、萌ちゃんの事を後押しするか!
「柱でもない一般隊士ですが、失礼を承知で意見してもよろしいでしょうか?」
「構わないよ、善逸。」
「信じられないかもしれませんが、俺には人の感情や発言の嘘真実が音となって聞こえる能力があります。」
「「「なんだと⁉︎」」」
まあこの反応は当然だろう。本題はここからだ!
「お館様は萌ちゃんのことを認めて欲しいと思ってる。しのぶさん、伊黒さん、不死川さん、悲鳴嶼さんは怒っている。蜜璃さんは萌ちゃんの優しさに感動している。」
「そんなもの会話を聞けば当然分かるだろう。能力でもなんでもない。」
「宇髄さんは割と納得していて………えっと名前が分からないのですが、橙色髪の方は信用と懐疑が半々。半々羽織の方は懐疑が大半だけど信用も少しある。こんなところでしょうか?」
「なるほど………俺のは分かりにくいと思ったが、派手に当たってるな。」
「まさか見抜かれてしまうとは‼︎‼︎よもやよもやだ‼︎‼︎」
「………その通りだ。」
「嘘だろォ…………」
「にわかには信じがたい話だが………まずはその鬼について聞こう。」
能力について話したところで、次は萌ちゃんについてだ。
「そして萌ちゃん………この鬼ですが、彼女の言ってることに嘘偽りはありません。彼女からはずっと後悔と自殺願望の音が聞こえてきます。それに、無惨に仕えてた時代に聞こえてた鬼特有の禍々しい音は、今は聞こえていません。そして最後に、彼女がまだ敵だった頃からずっとある音が聞こえてました。」
「それは何かね?」
「優しい音です。彼女の民間人を慮る気持ちも、恐らく彼女の優しさから来てるのでしょう。」
優しい音は紛れもない真実。それにさっきの事実が上乗せされたのなら、彼女の行動にも納得がいく。
「違う、違うの善逸!私は全部自分の意思で行動してきた!無惨に従おうと自分で判断した!人を食おうと自分の意思で決めた!鬼狩りを殺そうと自分の意思で決めた!貴方が崖から突き落とされて死にかけたのは、全部私のせいよ‼︎」
「…………」
「もう、自分が嫌なの…………お願い、私を殺して………っ‼︎」
泣きそうになりながら死乞いをする萌ちゃん。もし彼女が真の悪人ならば、自分が悪いなんて思わないだろう。私を誑かした無惨が悪い、と言うはずだ。
「おいテメェ、鬼を庇うってのかァ⁉︎どうやら死にてえみたいだなァ⁉︎」
「同じ苗字だが、まさか身内か?もしそうなら庇って当たり前。俺は信用しない。」
「鬼に取り憑かれたのか………可哀想に………」
「そもそも善逸君はコイツに殺されかけたんでしょ⁉︎なんで信じられるの⁉︎」
「確かに俺は萌ちゃんに殺されかけました。」
柱の反対を押し切る。そのための言葉も、自分の想いもある‼︎
「俺は萌ちゃんを信じてるんじゃない。自分の能力を信じてるのです。」
自分を殺した相手なんて信用しない。あくまで信じるのは自分自身だ。
side 萌
そんな………なんで………なんで善逸は私を庇ってくれるの………。というか感情が音になって聞こえるなんて………そんなの誰も信じないじゃない………
「まあもし萌ちゃんが人を食ったり襲ったりしたら、その時は俺を殺して下さい。」
しかも私を庇って死んでくれるなんて…………
「善逸、なんで私なんかを庇うの⁉︎私は悪人だよ⁉︎貴方を殺そうとしたのよ⁉︎何も善人の貴方が死ぬ必要ないじゃない⁉︎」
「萌ちゃん、さっき言った通りだよ。俺は自分自身を信じたいんだ。」
「そ、そんな…………」
ずるいよ………そんなの………
「死にたいなら勝手に死にくされよ‼︎何の保証にもなりはしません‼︎」
「人を殺しては取り返しがつきません‼︎お館様、どうかお考え直しを‼︎」
「だったらこういうのはどうだろうか?」
不死川さんとしのぶさんをお館様が説得しようとしてくれる。なんで皆、こんな私なんかに…………
「柱2人の監視の元で、十二鬼月を一体討伐する。担当は…………割と中立な杏寿郎と天元で。」
しかもそんな緩い条件で…………
「うむ、承知した‼︎‼︎」
「よし分かった。なら俺が派手に監視してやろう。ただし嫁3人は危険だから今回は出さない。それでいいな?」
「なるほど………それならその2人に任せよう………くれぐれも人間に被害が及ばぬよう、頼んだぞ。」
「ちっ‼︎」
「私からもお願いします!」
「………俺からもお願いする。」
「もし失敗したらどうなるかくらい、分かってんだろうな?」
「そんくらい派手に分かるぜ、伊黒!」
「うむ‼︎‼︎」
不死川さんと伊黒さんが納得いってないけど、他の柱は賛同している。そんな事を思っていると、
「それならお館様、私からも提案があります。」
しのぶさんがある提案を持ちかけようとしていた。
「何かね、しのぶ?」
「私の方ではコイツを殺す毒の開発を進めたいと思っています。それは他の鬼にも有効なので。だからもしそれでコイツを殺せるなら、殺しちゃっていいですよね?」
「俺も胡蝶に賛成です。殺さないからこうなってるのであって、殺せるなら殺した方がいいと思います。」
「俺も胡蝶や不死川と同意見だ。鬼は基本的に殺すべき。」
確かに、一口に毒といっても種類がある。毒というものはあくまで害をもたらす物質の総称でしかないからだ。だからしのぶさんが使う毒、玉壺が使う毒、妓夫太郎が使う毒は、皆それぞれ異なっている。それ故に、まだ見ぬ新たな毒が私を殺してくれるのかもしれない。
「分かった。それならしのぶの意見と私の意見を合わせることにしよう。皆、それでいいね?」
「「「「「御意。」」」」」
「しのぶさん、煉獄さん*1、宇髄さん、よろしくお願いします………」
「うむ‼︎‼︎」
「派手によろしく頼むぜえ‼︎」
「言われなくても殺す気だから。」
こうして私の処罰は決まった。
柱たちの会議が解散した後、磔にされてる私のところに、宇髄さんと煉獄さん、それに善逸が集まった。
「お2人とも、俺も同行してよろしいでしょうか?」
「う〜ん。もしお前がこの鬼と地味に組んでた場合は?」
「殺してもらって構いません。階級を示せ…………この通り、階級
「うむ‼︎‼︎それなら問題ないな‼︎‼︎」
「善逸………そこまでしなくていいのに………」
「さっき言ったでしょ、萌ちゃん。俺は自分自身を信じたいの。」
私に同行してくれる善逸。ここまでされたのなら、期待に応えるのが義務だろう。
「分かった。なら私は善逸を死なせない。そのためにも頑張るから!必ず鬼を倒すから!」
「ありがとう、萌ちゃん!」
「そうか‼︎‼︎それなら頑張るといい‼︎‼︎まあ俺は殺す時は殺すが‼︎‼︎」
「せいぜい俺たちに派手に殺されないようにしな!」
だから私はこの2人の前で成果を出す。絶対に‼︎
「それでは敵の場所を派手に教えてもらいたい………と思うのだが、それは既にこちらが掴んでいる。」
敵の場所?流石に無限城突入はこの人たちでも無理だし、もしや上陸兄妹の住む遊郭か?それとも累の住む那田蜘蛛山か?どちらもこの戦力なら充分だが。
「ある汽車で40人以上の人が亡くなったとの話が出た‼︎数名の隊士を送り込んだが、全て行方不明になった‼︎‼︎」
「鎹鴉の情報によると、そこにいた鬼は下弦の弐からつい先程壱に昇格した。これは派手に討伐対象となってる印だろう?」
なるほど、そうなると相手はアイツだな。
「分かりました。ではその鬼の特徴を教えましょう。」
「よろしくね、萌ちゃん‼︎」
こうして私の鬼狩り初任務の予定が決まった。待ってろよ、無惨!いつか必ずお前を殺してやるからな‼︎
ということで、第五章が終了しました!萌自身を信じるというより、自分自身を信じるという善逸の発言は如何だったでしょうか?そしてその想いに応えようと、萌も頑張るようになります。
さて、次回からは第六章突入、無限列車編です!W我妻に宇髄さん煉獄さんと、一見すると過剰戦力のように思えます。ですがこれからどうなるかは、次回からのお楽しみに!
それと、評価・感想をお願いします。
最後に、次回作のアンケートは4/1になるまで行います。