我妻物語   作:スピリタス3世

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第三話 サイコロステーキ

  side 萌

 

 私は鬼狩りを狩るために、他の鬼がいる、人間が住む街へとやってきた。さてと、今日殺すのは…………

 

「今日の鬼は雑魚だといいなぁ。」

 

 あの男か…………

 

「すいません!もしかして同じ任務に当たってる方ですか?」

「あぁ?共同任務の話は聞いてねえが………たまたま同じ場所に集まったのか。」

「どうやらそうみたいですね!今日はよろしくお願いします‼︎」

「よろしくな。」

 

 さて、まずはこの男と会話しながらコイツの呼吸と弱点を探しつつ、隙を見つけるとするか。そんな事を思ってると、

 

「ではまず、鬼の偵察から始めるぞ。」

「鬼の偵察………ですか?」

 

 私はある提案をされた。コイツは用心深いタイプなのか?だとすると隙をつくのは大変だな…………

 

「ああ。戦いにはまず相手の実力を知る事が大事だからな。」

「確かにそうですね。強い相手には弱点を見つける必要がありますから。」

「いや、強い鬼だと分かったら逃げる。ただそれだけだ。」

 

 これはこれは………かなり慎重な奴だな。倒すのには一工夫必要だ。まあ、一応逃げる理由を聞いておくか………

 

「なんで逃げるんです?」

 

 どうせこの間の善逸みたいに怖いから、だろう?

 

「鬼狩りは雑魚だけ倒しててもかなりの金がたまるし出世もできる。俺は安全に出世したいからな。そして出世すれば上からもらえる金も増える‼︎」

「なるほど………」

 

 なんだ、ただの金目当てか………。鬼狩りには珍しいものの、鬼狩り以外では割とよくいる類の人間か。

 

「ってそうだ‼︎」

 

 ん?コイツは何を思いついたんだ…………?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なぁお前、今回の報酬金で俺と遊ばないか⁉︎」

「はい⁉︎」

 

 何を言ってるんだ、この男は⁉︎昨日殺した善逸も出会いざまに私を勝手に妻にしてきたし、最近は本当に意味の分からない男が多いな‼︎

 

「いい提案だろう?」

「遊ぶって、何をするんです⁉︎」

「そりゃあ、色んなことだよ‼︎店で買い物したり、旨いもん食ったり、遊戯*1で遊んだり、とかな‼︎」

「は、はぁ………」

「お前、さては俺では不満か?」

「えっ、えっと………」

 

 正直不満だ。正直コイツのこの感じなら善逸の方が遥かにいい。そんな事を思っていると、

 

「ちなみに俺は自作の呼吸を編み出したんだぜ‼︎どうだ、凄いだろ⁉︎」

 

 男はとんでもない事を言った。自作の呼吸?確かに自分で独自の呼吸を編み出す事は珍しくない、と黒死牟様も言っていたが………。ここは殺すためにも、その話を聞いておいた方が良さそうだな。

 

「それは凄いですね‼︎」

「だろぉ?」

「私、その呼吸の話を詳しく聞きたいです‼︎」

「分かった。ならお前に特別に話してやるよ‼︎」

 

 ということで、私は自作の呼吸について聞く事にした。

 

「俺の呼吸は賽の呼吸と言ってな、全部で六つの型があるんだ。」

「ふむふむ………」

「まずは『壱の目 賽子(さいころ)』。これは1から6回のうち無作為*2選ばれた数だけ斬撃を放つ‼︎」

「無作為に⁉︎」

「そうだ、無作為だ‼︎」

 

 つまり同じ型でも攻撃回数が毎回異なるのか⁉︎これはかなり厄介だな………。それに賽の呼吸の賽って、賽子からとってるんじゃ………

 

「それは本当に凄いですね………」

「だろ?そして次は『弐の目 双六(すごろく)』。これは一直線に居合斬りする攻撃だが、その進む長さは6段階あり、これも無作為に選ばれる。」

「ふむふむ………」

 

 雷の呼吸 壱の型 霹靂一閃みたいなやつか………。ただ進む長さも無作為だと、かなり厄介だな………

 

「次は『参の目 丁半(ちょうはん)』。これは相手の攻撃を受けるときに守りの技として使う。半分の確率で相手に攻撃を跳ね返すのだ。」

「残った半分は?」

「相手の攻撃を止めるだけで終わる。」

「ふむふむ………」

 

 なるほど。となると、いたずらに攻撃を仕掛けても防御されてしまい、下手をすれば跳ね返されるわけか………

 

「続いて『肆の目 ちんちろ』。これは相手の攻撃と相打ちにするときに使う。そしてどのくらいの威力になるかは、これもまた無作為に選ばれるんだ!自分が相手の攻撃を受ける時もあれば………相手に10倍返しする時もある。」

「ふむふむ………」

 

 ちんちろって………賽子を使ったそういう名前の遊戯はあるが、まさにそれみたいだな。親が賭け金10倍貰う時もあれば、2倍払う時もある。呼吸にこういう名前を付けるとは、コイツは本当に遊び好きなのだな。

 

「次は『伍の目 乾坤一擲(けんこんいってき)』。これはかなりの大技だ。一か八かの勝負を相手に仕掛ける。勝ったら相手にかなり大きな攻撃を食らわせる事ができる。*3負けたら逆に自分がかなりな攻撃を食らうが。」

「ふむふむ………」

 

 さっきよりも博打的な技だな。大きな攻撃というのがどのくらいかは分からんが、負けた時の不利益を考えるとかなりのものだろう。私程度ならば即死するのではないだろうか?

 

「そして最後に『陸の目 賽子厚焼肉(サイコロステーキ)』。これは相手を細かく刻む攻撃だ。」

「ふむふむ………」

 

 おい。賽子が六の目まであるから無理矢理数合わせしただけだろ。明らかに今までのよりしょぼいじゃんか。どう考えても伍の目が必殺技っぽいし。さてはコイツ、意外と適当だな?

 

「以上が、俺独自の呼吸だ‼︎」

「おお〜、凄いですね‼︎私は今まで何回か自作の呼吸を作った人を見てきましたが、貴方より凄い人はいませんでした‼︎」

「だろう?これで、鬼を倒したら俺と遊ぶ気になったか?」

「はい‼︎」

 

 まあその鬼は私なのだがな。他にもいるかもしれんが。

 

「だからもし偵察に行った鬼が弱い鬼だと判明したら、俺に倒させろ。分かったな?」

「分かりました‼︎」

 

 とにかく、この賽子男は慎重なタイプの人間じゃなくてよかったよ。この前の善逸とかはまさにそうだったからな。最終的に変わってくれたが。さてと、ここは一芝居うって、さっさと殺しますか。

 

「あっ、それなら私が偵察に行ってきますよ!」

「マジか。いいのか?」

「はいっ!」

「それなら頼んだ‼︎」

 

 そして私は一旦賽子男から離れ、街の中を散策した。私たちは今街の中にいる。街の中には一般人もおり、そこで乱闘騒ぎを起こすもんならかなり目立ってしまうだろう。それに、罪のない人たちを巻き込みかねない。私の役割はあくまで鬼狩りの討伐。無惨様の邪魔をしない一般人を狩るのは趣味じゃないし必要ない。だからここは人気のない街外れに誘導するのがいいだろう。

 

 

 

 

 しばらくして、私は賽子男の元へと戻り、

 

「どうだった?」

「あっちにいましたよ!私が足と手を切り落としといておきました‼︎」

「なんだと?」

「だから再生に手間取ってる今がチャンスです!今のうちに先輩が首を斬って下さい‼︎」

「そうか‼︎それならいい‼︎」

 

 現状報告をした。それにしてもこの態度の変わりよう、どうもこの男は自分のことしか頭にないようだな。人のために頑張る私があの男よりも偉いというわけじゃないが、そりが合わないことだけは確かだ。

 

 

 

 私たちはしばらく走り、街外れにやってきた。

 

「どこだ⁉︎鬼はどこにいる⁉︎」

 

 賽子男は血眼になって鬼を探している。そんなに焦らなくても、私が弱体化させたと言ったのに。よほど金が欲しいのだろう。

 

「えっ?見えませんか?」

「もしや逃げられたのか⁉︎」

「いや、そんなはずはありません!あっちを見てください‼︎」

「本当か⁉︎」

 

 そして私は賽子男に背を向けさせると、

 

「月の呼吸 壱の型 闇月・宵の宮」

 

 私はその男に向けて横薙ぎの一撃を放った。

 

「ぐふぁ⁉︎テ、テメェ………何………しやがる………っ⁉︎」

「鬼がいたって言ったじゃないですか?あれって私の事だったのですよ。」

「はぁ………っ⁉︎嘘………だろ………?」

「ほら、鬼の眼と歯をしてるでしょう?」

「で………でも………さっきまで………は………」バタン

「月の呼吸 参の型 厭忌月・銷り」

 

 私は念のために追加の横薙ぎ二連を放った。これで確実に死んだだろう。

 

 

 

 男の死亡を確認すると、私は早速隠れて食べ始めた。その味は………あまり美味しくはなかった。他の鬼は人間が美味しいと言うが、どうにも私の舌には合わない。むしろ人間時代の食事の方が美味しいくらいだ。だが強くなるためには人を食う必要がある。だから私は無心で賽子男を食った。

 

 

 

 

 私はその男を食べ終わると、空を見た。今の時刻は………だいたい真夜中くらいか。弱い鬼狩りならまだ一体倒せるな。ただ鬼狩りの場所が分からない。だから鬼がいる場所に向かうとするか…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「猪突猛進、猪突猛進‼︎伊之助様のお通りじゃぁ‼︎」

 

 ってなんだ、あの化け物は⁉︎猪か⁉︎でも下半身は人間の身体をしてるぞ⁉︎しかも何故か刃こぼれた刀を持ってるし‼︎人間の言葉も話すし‼︎なんともまあ、摩訶不思議な生物だ…………。とりあえず眼と歯を人間のものに戻さないと‼︎

 

 私は人間の姿に戻り、建物に隠れてしばらくあの猪を観察する事にした。

 

「クソ‼︎どこにもいねえじゃねえか‼︎」

 

 どこにもいない?奴は何を探しているんだ?

 

「獣の呼吸 漆の型 空間色覚」

 

 呼吸?人間以外にも呼吸を使える奴が居るのか?まあ私や黒死牟様は鬼でも使ってるが。それにしても、アイツはしゃがみこんで両手を広げているだけなのが気になる。呼吸なんだよな、アレ?猪男という生き物はああいった呼吸を使うのか…………

 

「む?そこの物陰に女が1人‼︎他は………居ないようだな。」

 

 しかも私の場所まで当てやがった⁉︎マジかよ⁉︎猪男って凄いんだね‼︎まあバレたからには仕方あるまい。とりあえずあの猪男に近づくか…………

 

「よく分かりましたね、私がいる事を。」

「当たり前だ‼︎なんたってオレは山育ちだからな‼︎」

 

 山育ちだからといってそんな能力が身につくとは思えないが………野生動物の勘なのか?

 

「そ、それは凄いですね………」

「それよりお前、刀を持ってるな‼︎もしかして、鬼殺隊………というヤツか⁉︎」

 

 ん?鬼狩りを知っている?何故だかは知らないけど、ここは肯定しておくか。

 

「はい、そうですが………」

「そうか‼︎ならオレも同じだな‼︎」

 

 俺も同じ…………か。という事はコイツは鬼狩りだな。そうなると今までの話は全て辻褄が合う。人間以外の鬼狩りは初めて見たが、無惨様の敵である事に変わりはない。となると、さっきの賽子男と同様に隙を見て殺すとするか……………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「殺気を感じる、オマエから‼︎」 ヒュン

「はぁ⁉︎」

 

 っていきなり私に向かって猪男に刀を振られたんだが⁉︎なんなんだコイツ‼︎さては人の心が読めるのか⁉︎

*1
ゲーム、の意味

*2
ランダム、の意味

*3
上弦クラスにも大ダメージを与えられる。




 ということで、サイコロステーキ先輩からの伊之助登場でした。賽の呼吸を考えた当初は萌vsサイコロステーキのちゃんとした戦闘シーンも書こうと思ってたのですが、先輩は呆気なく殺された方が似合うと思ってこうしました。

 さて、次回は伊之助戦です。お楽しみに‼︎

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