side 魘夢
確かさっきのは…………我妻萌だよな⁉︎死んだはずじゃなかったのか⁉︎というか何故鬼狩りと談笑している⁉︎何があったかは知らないが、これは明白な裏切りだ!
そして俺の手の内をあの女は割と知っている。これはこれから行う作戦にかなりの悪影響を及ぼす可能性が高い。ならば作戦変更!気を張る間も無く眠らせてやる!
「よくお聞き。今から作戦を変更する。お前はあの4人組が入る入り口で待ち伏せして、あの4人が入ってきたら切符を切って。」
「分かりました。」
「そしてこっちの4人はあの4人が眠ったのを確認したら、当初の予定通り夢の中に入って。鬼狩りの4人の身体が重なってやりづらいと思うけど、頑張ってね〜。」
「「了解。」」
とりあえずこれで大丈夫………だといいな?
side 無惨
魘夢の瞳に映るは…………萌じゃないか⁉︎何故生きている⁉︎何故鬼狩り共の仲間になっている⁉︎さてはあの両親共の仕業か⁉︎くそっ、余計なことをしやがって………っ‼︎必ず貴様らの娘を私が吸収してやるからな‼︎そして余計なことをさせなくしてやる‼︎
side 萌
私はさっきまで汽車に乗ってたはずなのに、
「萌ちゃん、おかえり!」
「ご飯できてるぞ〜。」
「お母さん、お父さん‼︎」
何故か長年住んでた家の前に居た。なんで?
「なんともなかったの⁉︎というかここは⁉︎」
「何を言ってるんだ萌ちゃん?ここは家の前だろう?」
「お父さん、お母さん、地獄への入り口で私を待ってたはずじゃ………?」
「地獄?そんなとこ行くわけないだろ!ははっ、萌ちゃんもおかしなことをいうもんだなぁ〜。」
「ここはいつもの商店街にある、いつもの私たちの家だよ。だから安心して。」
「そ、そう…………」
「まあ疲れてそうだな。それなら仕方ないなぁ。さあ、一緒にご飯を食べようか!」
笑いながら私の質問に答えてくれる両親。いくら私が変なことを言っても、全く怒らずに宥めてくれる両親。この幸せな感じ、懐かしいなぁ。ずっとここに居たいなぁ。
でも人を殺した私が、今更こんな幸せを求めちゃいけない。こんな風に幸せになっていいはずがない。私によって生きるべき沢山の善人が死に、その屍の上に私は立って生きている。そんな奴にはきちんと天罰が下らなければならない。
だからこれは夢。あってはいけない虚構の世界。というかさっきまでは汽車に居たんだ。なら魘夢の血鬼術!このままここに居続けると、精神を壊される‼︎精神を壊されれば…………生きるだけの屍になりかね……………
あれ、それって良いのでは?確かに私は現状死なない。だが精神の核を破壊された場合、廃人状態になる。永遠に何も出来なくなる。それもある種の罰なのでは?悪人に相応しい末路の一つでは?
「萌ちゃん、どうしたの?」
「何かあったのか?」
「ううん、何でもない!それよりご飯が楽しみだな〜。お母さん、今日は何?」
「今日は萌ちゃんの大好きな
「わぁ〜、楽しみ〜♪」
「良かったな、萌!」
「うん!」
お父さんとお母さんはいつだって優しくて素敵だ。でもこの2人は、魘夢によって作り出された虚構。最後には牙を剥く。なんせアイツは幸せな夢を見せた後で辛い夢を見せるという性格の悪い奴だから。それでも、ここに居ていいかな?最期の幸せを、味わっていいかな?
「………萌ちゃん、早く起きて!………」
「………お母さんの言う通りだぞ、萌ちゃん!………」
えっ?お父さんとお母さんの声が、どこか遠くから聞こえる?
「あなた、何か聞こえない?」
「気のせいだろ。それよりさっさと食おうぜ。」
「う、うん!」
「「………萌ちゃん、起きて!………」」
私を起こそうとしている?それなら………遠くから聞こえているのは本物のお父さんとお母さんの声!なんでか知らないけど聞こえる‼︎でも何故、私を起こそうとするの?廃人になるより、地獄で罰を受けるべき、とかかな?それとも、また会いたいのかな?
「………このまま死んで無惨に食われたら、どうするんだ⁉︎………」
「………あの鬼に食べられても大変でしょ⁉︎………」
無惨に………食われる⁉︎それはまずい‼︎確かに私は首を斬られても死なないし、藤の花の毒も効かない。そして太陽は出てこない。だから精神の核を壊され廃人にさせられても、殺す事は出来ない。だが吸収されたらどうなる?無惨の一部になってしまうのではないか?
「………それに、人間を守るんじゃなかったの⁉︎………」
「………萌ちゃんがここで死んだら、善逸君はどうなるんだ⁉︎………」
そうだ…………それだよ…………。私は贖罪をしてから死ぬと誓った。私のことを優しいと言ってくれた人のために頑張るんだった。ここで私が死んだら煉獄さんや宇髄さんも死ぬ。列車に乗ってる人たちも死ぬ。そしてなにより、私を庇ってくれた善逸が死んでしまう‼︎後できちんと死ぬためにも、今は死ねない‼︎
「ありがとう、お父さん、お母さん‼︎」
「…………こっちこそありがとう、萌ちゃん………」
「………あとは頑張れよ………」
ありがとう、お父さん、お母さん!私、やるべきことをきちんとやってから帰ってくるよ!
「ん、どうしたんだ、萌?」
「あっちの方に何か居たの?」
「ごめんね、2人とも。用事を思い出しちゃった。それじゃあまた‼︎」
「「ちょっと‼︎」」
こうして私は魘夢作の両親の元を離れ、家を飛び出した。さて、ここで太陽が出てたら話が早いんだが…………空は夜。まあそう上手くはいかないか。幸い月が綺麗に見えている。どうやら影人の霧はこの世界では発生してないようだ。
さて、魘夢の夢から抜けるにはここで死ぬ必要があるが…………今の私は人間と鬼のどっちだ?とりあえず試してみるか…………
「血鬼術 人間擬態」
こうして私は試しに爪を鬼のものに変えようとして…………成功した。それなら私は今鬼。だとすると日輪刀を探さなければ‼︎
そうしてしばらく走っていると、森の中に日輪刀が落ちていた。お父さんとお母さんが用意してくれたのかな?そうして私はそれを手に取り、首を斬った……………のに死ななかった。
「嘘…………でしょ?」
これってもしや現在の状態を完璧に反映してるのか?もう一度っ…………駄目だ、死なない!どうしても首を再生してしまう‼︎本当に今の状態を再現してるじゃないか‼︎
それに、このままだと恐らく藤の花の毒も効かない‼︎それじゃあどうすればいい⁉︎私は死ねない、それはつまりこの夢を抜け出せない。そして私は廃人状態になり、大切な人が死んでしまう。このままじゃダメだ‼︎
「げっ…………!」
私と目が合った緑の浴衣の女の子。恐らく魘夢に騙されて私の精神の核を破壊しに来たのだろう。これはマズい‼︎あの子に壊される前に、なんとか死ぬ方法を見つけないと‼︎
ということで、萌が魘夢の夢の中で死に時を決める話でした。本物の両親からの声は萌に無事届いたようです。鬼滅って割と死者の声届きがちですよね。萌も無惨の支配が切れてようやく届くようになりました。
しかし、現実は非常。首の弱点を克服して強くなったかと思えば、魘夢戦でそれが仇となってしまいます。萌は今後どうするのか、それは次回からのお楽しみに!
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