我妻物語   作:スピリタス3世

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第三十一話 如何にして死ぬか

  side 萌

 

 私が夢の中で死ぬ方法を探していると、

 

「げっ…………!」

 

 私の精神の核を破壊しに来たであろう、緑の浴衣の女の子と出会った。

 

「精神の核でも壊しに来たんですか?」

「そ、そんなの知らないわ‼︎」

 

 目を泳がせながら答える緑の女の子。知らないのは嘘だ。絶対知ってる。現に手に針を持ってるし。

 

「嘘ついても無駄です…………よっ!」

「なっ⁉︎」

 

 そして私は一気に彼女のところに近づき、取り押さえた。彼女は私の速さに反応できなかったようで、私は彼女を簡単にねじ伏せることが出来た。まあ痣と透き通る世界を出した鬼に一般人が対抗できるわけないか。

 

「なによアンタ⁉︎速すぎ‼︎」

「褒めてくださり、ありがとうございます。」

「私よりかなり小さいくせに………っ!」

「元から背が低いので………」

 

 身長に関しては12歳の時に鬼になって以降伸びてない。鬼は身長を変えられるため、元の体格が成長しないのは普通のことである。

 

「それより離しなさいよ‼︎」

「嫌です。」

「くそっ……………‼︎今すぐアンタを殺したいのに………っ!」

「殺すと私が夢から醒めて意味ありませんからね。」

 

 必死にもがいてる緑の女の子。でも鬼の力の前には一般人の足掻きなど無意味だ。そして私はもがく彼女に問いかけた。

 

「そんなにいい夢を見たいんですか?」

「当たり前でしょ‼︎今まで散々辛い思いをしてきたんだし‼︎」

「その後に死ぬと分かっても?」

「…………はぁ?」

 

 やっぱり。恐らく魘夢はこの子達を食うことを言ってない。まあそうしないと味方になってくれないから当然だが。

 

「アンタ、今なんて…………?」

「貴女はいい夢を見た後、彼に食われて死にます。」

「そ、そんなの…………っ!」

「ちなみに食われる前には必ず悪夢に変わります。そして貴女は絶望することになるでしょう。」

「嘘…………でしょ………?」

「彼は人を絶望させたり、人の苦しんでる顔を見たりするのが好きなのですから。」

 

 だから私は全部正直に言う。悪人を善人だと思わせないために。

 

「しょ、証拠あるの⁉︎そんな証拠‼︎」

「私は人喰い鬼です。彼と同じ。この爪と眼と牙はその証拠。」

「じゃ、じゃあアイツからアタシを奪って食うつもりなの⁉︎」

「いいえ、そんなつもりはありません。」

「ならなんで取り押さえてるのよ⁉︎」

 

 それは私の精神の核を破壊されないため………だが彼女の信頼を得るためにも、ここは離すべきだろう。

 

「分かりました。それでは離します。」

「ありがとう…………」

「ちなみに核を壊しに向かったらすぐにまた取り押さえますからね?」

「………分かってるわよ。」

 

 こうして私は彼女から腕を離し、少し距離を取った。彼女はなんとか核を壊しに動こうとしていたが、私に見られているのを見てやめた。そしてその後、彼女は私に質問を投げかけた。

 

「なんで人喰い鬼なのに私を食わないのよ?」

「鬼になってからずっと食欲が無いからです。」

「食欲が無いって………それ生きられるの?」

「生きられます。鬼は基本的に食欲が強いだけで、何も食べなくても生きていけます。」

「ふ〜ん、あっそ。」

 

 質問を投げかけながらも、私から隙を見て逃げようとする。もちろんそんな隙など与えない。

 

「ちっ…………!」

 

 そんな私を見て舌打ちする彼女。よっぽどいい夢を見たいのだろう。

 

「行かせませんよ?」

「あぁん、もう‼︎」

「私だってやるべきことがあるので。」

 

 貴女がいい夢を見たいように、私は大切な人を守りたい。そんなことを思っていると、

 

「………裏切り者のお気楽なアンタに、アタシの辛い想いなんて分かるはずないでしょ‼︎」

 

 緑の女の子にそう言われてしまった。お気楽な裏切り者…………確かにそうだ。騙されたとはいえ、一定期間無惨に仕えた。それを裏切って今鬼狩りにいる。それは言ってしまえば自分にとって都合のいい方へ流れている証拠。そもそも無惨に騙されて仕えたのも自分の判断能力の欠如。そして、自分に両親を守る力があれば、あの2人を失わずに済んだのに。全部自分のせい。自分のせいでこんなことになっている。だから両親の死を辛いと思ってたなんて、そんなの彼女みたいな本当に辛い想いをしていた人に…………失礼じゃないか!

 

「そ、そうです……よね………私は………辛い想いなんて……したことありませんから………辛いという貴女の気持ちは………わかりま……せん……」

 

 

 

 

  side 緑の女の子

 

 アタシがイライラして感情を露わにすると、彼女は震える声で謝った。それを見た時すぐに分かった。彼女だってどう見ても辛い想いをしてきた。それを態度だけで頭ごなしに否定するのは、良くないな。

 

「ごめん、言いすぎたわ。」

「そんなこと…………ないです………」

「だ、だから謝らないで!」

「………ありがとう………ございます………」

 

 震える小さな身体で絞り出すように話す彼女。こんな小さい子なのに、きっと色々あったのだろうな。人によって苦しみの度合いってものは違うし、私が辛いのは否定しないけど、私だけが被害者だと思うのはやめることにしよう。

 

 

 

 

  side 萌

 

 この人も優しい人だな。さっきまで警戒していた相手を宥めてくれるなんて…………。よし、決めた!私はこの人も絶対に守るんだ‼︎そして必ず魘夢を倒す‼︎

 

「だから………私が貴女を守ります……っ!」

「えっ?えっと…………」

 

 困惑する彼女。別にこの人が私を信じてくれなくたって構わない。ただ私はやるべきことをやる!だから‼︎

 

「ですので、しばらくここで待機しましょう‼︎」

「…………はい?」

 

 夢の中では独自の時間体系が構築されている。ただそれは地上の時間体系と同じで、並行してずれているだけ。*1現に空に浮かぶ星や月は少しずつ動いている。だからこのまま待てばいい‼︎

 

 

 

 そして待つこと数時間。空が段々と明るくなってゆき…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ちょ、なんか消えてってるよ⁉︎」

「これで………いいんです………」

 

 太陽が出たことにより、私は塵になった。

 

 

 

 

 目を覚ますと、そこは汽車の中だった。

 

「地味に地味に、それも超地味にやらかした‼︎萌の話を聞いておきながら‼︎」

「俺もだ‼︎‼︎柱として不甲斐なし‼︎‼︎穴があったら、入りたい‼︎‼︎」

「zzzzzzzzzz」

 

 煉獄さんと宇髄さんが既に目を覚ましていた。善逸はまだ寝てる。でもこれでよし。私は彼女も、善逸も守れる機会を手に入れた。

 

「おはようございます。では早速鬼を倒しましょう。」

「ああ!」

「うむ‼︎‼︎」

 

 そして私は死ぬ方法を知ることが出来た。それは太陽を浴びること。大切な人を守り抜く。そして無惨を殺し、自分も太陽に焼かれて死ぬ。それが私のすべきことだ‼︎

*1
時差




 ということで、萌の死ぬ方法が分かりました。太陽に焼かれて死ねることは、萌にとっての救いになりますね。

 ちなみに太陽の克服について、次のように推測することもできました。

・日光を克服するための青い彼岸花は竈門家しか知らないうたさんの墓に咲いてた→うたさんの家は人里離れた竈門家と同じ→墓までの距離もそんなに離れてない………はず
・萌の両親を殺した無惨はすぐに第三者を調達できた→萌の家は街中にある→山奥の竈門家とは近くない→萌は青い彼岸花を知らない



 さて、次回からはいよいよ魘夢戦が始まります。お楽しみに!

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