我妻物語   作:スピリタス3世

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第三十二話 首の在処

  side 萌

 

 私と宇髄さんと煉獄さんが夢から目覚めた。善逸はまだ寝てるみたい。なんとか起こさないと!

 

「善逸、起きて!夢の中で自分の首を斬るの!」

 

 私がそう言うと、

 

「………このままでも動ける………zzz」

 

 まさかの善逸は寝言を言いながら動き始めた。なんだコイツ⁉︎

 

「はぁ⁉︎」

「おお、派手にすげえ奴だな‼︎」

「寝ながら動けるとは、よもやよもやだ‼︎‼︎」

「いやいやいや、どう考えてもおかしいですよね⁉︎」

「何これ…………」

 

 音で感情が分かるといい、コイツは本当にただの人間なのだろうか?臭いで感情が分かると豪語する奴もいるし。喋る鴉といい、鬼なんかより摩訶不思議な生き物が多すぎるでしょ。そばにいる緑の女の子も困惑してるよ?

 

「おかしいことは派手に認めて、とっとと鬼を殺そうぜ。」

「そうだな‼︎‼︎」

「はっ、はい………」

 

 まあ気を取り直して、さっさと奴の位置を暴かないとな。そんな事を思ってると、

 

「やあやあ皆、起きるの早いね〜。」

 

 ご丁寧に魘夢本人がやってきた。

 

「アンタ、よくもアタシらを騙したわね‼︎」

「「なっ⁉︎」」

「そりゃひでぇな。派手に死ね‼︎」

「月の呼吸 壱の型 闇月・宵の宮」

「うわぁっ!」ザクッ

 

 なのであっという間に刀を一閃して首を斬り落とした。緑の女の子は怒り狂い、柱たちの夢の中に入ってた2人も困惑している。そりゃそうだろう。自分たちを助けると言った人が自分たちを騙してたのだから。この人たちのためにも、私はコイツを殺さなければならない。

 

 ただ、コイツは血鬼術さえ解けてしまえばそんなに難敵じゃな…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ってざんね〜ん♪」ニョキッ

 

 って別のとこから頭が生えてきた⁉︎

 

「「「「「「なっ⁉︎」」」」」」

「おおっ、その絶望に満ち溢れた顔、イイね〜♪」

 

 何故死なない⁉︎何故首が復活している⁉︎さっきのは幻覚か⁉︎それともこれもまた夢⁉︎どういうことだ⁉︎

 

「首を斬ったのに死なないって〜?そりゃあさっきのが首じゃないからだよ♪もちろんこれもね♪」

 

 くそっ、身体の一部を変形させて首っぽくしてたのか‼︎

 

「そして俺は今最高に気分がいいから教えてやるよ〜!俺は今この列車と合体したのさ‼︎」

「列車と………合体?」

 

 どういうことだ?コイツの血鬼術にそんなのは無かったはず………

 

「この列車全体が俺の身体、つまりこの列車の乗客は全て俺の人質さ〜♪」

 

 くそっ、そういうことかよ‼︎壁から出てくる紫の気持ち悪い物体たち。これら全てが魘夢の身体。私たちが寝ている間に、想像以上に列車は大変な状況になっていたのか‼︎相手の手の内を知っておきながら、ここまで失敗するとか、あり得ないだろ‼︎

 

「それじゃあまたね〜♪」

「待て、このクソ野郎‼︎」

 

 そして魘夢の首らしきものは消えてしまった。

 

「とにかくこりゃ地味にまずいぞ。なんとか早く殺さねえと。」

「鬼はどんな形状にしろ、首が必ずあります!」

「ならそれを斬れば………いいんだね………zzzz」

 

 ただどこかに本物の首はある。魘夢は倒せる。逆に言えばそれを斬らない限り、乗客が助かることはない。

 

「それならまずは俺と煉獄で8両ある列車を守って、我妻2人に首を探してもらうとするか。」

「ならば俺が後ろ4両を担当する‼︎‼︎」

「なら俺は派手に前4両と運転席だな。」

「あの、私たちは………」

「一般人のお前らは大人しくしてな。必ず俺たちが派手に守るから!」

「「「………はい!」」」

 

 そして柱は凄いな。列車4両分をたった1人で守るとか、尋常じゃない実力だ。更には一般人には何もさせずに、彼らを守り抜こうとする姿勢。居るだけで安心感が違う。鬼は基本強いが、誰かを守るのには特化してない。その意識があるのはせいぜい上陸兄妹くらいだろう。

 

 そして私がすべきことはもう与えられている。車両の全範囲に渡る柱の目を借りながら*1

 

「それでは首探しに行ってきます!」

「zzzzzzzz」

「うむ、任せた‼︎‼︎」

「派手に頼んだ!」

 

 私は善逸と首を探すことにした。

 

 

 

 

 ただこの列車の中からどうやって首を探せば良いか。一応鬼は首を中心に再生するという特徴があるため、真っ二つに斬れば首の方角が分かる。判別方法としては、一度両断してみるとよい。すると両断されたうちの消えずに再生した方に首がある。再生せず塵になった砲には首が無い。この判別方法を使いたいのだが、ここは列車のため、真っ二つにするのがそもそも難しい。さて、どうすればよいか…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………先頭の方だ。鬼の音が強い………zzzz」

「えっ⁉︎」

 

 いや、お前、そんな事も分かるのかよ‼︎しかも寝ながら‼︎本当にインチキだな‼︎

 

「………早く行くよ、萌ちゃん………zzz」

「わ、分かった!」

 

 ということで、私と善逸は先頭車両へ向かい、更にそこを通り抜け、石炭が積まれていて車掌さんがいる運転席へとやってきた。

 

「…………あの下から強い音がする…………zzz」

 

 善逸が鼻ちょうちんを垂らしながら首の在処を示してくれた。それは石炭投入部分の手前。恐らくあの床の下に、魘夢の首があるのだろう…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「邪魔を…………するなぁ‼︎」

 

 って危ない‼︎車掌さんが針を持って襲ってきた‼︎しかも善逸に向かって!私は当たってもいいが、善逸だけはダメだ‼︎

 

「善逸、危ない!」ドン!

「……………zzz」

「オラァ‼︎」グサッ

 

 そして私は善逸を突き飛ばし、車掌さんの針を自分の胸に受けた。善逸は寝ながらもなんとか着地してくれたみたい。よかった、なんとか庇えた!

 

「よしっ、あとは………って何故離れない⁉︎何故死なない⁉︎」

「私も鬼なんで。貴方を騙した彼と同じ。」

 

 そして当然針が刺さってもびくともしない私に車掌さんは驚く。そしてその隙に、

 

「これ、もらいますね!」ガシッ、グイッ

「なっ⁉︎」

「そして捨てますね!」ポイッ

 

 私は彼から針を力ずくで奪い、それを車両の外に投げ捨てた。

 

「お、お前………なんて事してくれてんだ………っ!幸せな夢を見たかったのに………っ!」

 

 そしてそれを見た車掌さんは緑の女の子がした反応をした。必死に良い夢を見たいこの感じ、きっとこの人も魘夢に騙されたのだろう。でないと人間である善逸に襲いかからないはずだ。鬼狩りを散々騙して殺してきた私が言える事じゃないが、魘夢も大概酷い奴だな。

 

 

 

 ちなみに横では、

 

「雷の呼吸 壱の型 霹靂一閃・八連」

 

 善逸が寝ながらなんとか魘夢の首を斬ろうとしていたが、魘夢の再生速度に負けて上手く斬れていなかった。斬ろうとしてもすぐに再生してくる魘夢。ここは私のあの技で対処するしか無いだろう。

 

「善逸、交代‼︎この人を安全な列車の外へ送って‼︎」

「…………分かった…………zzz」ヒュン

「ちょっと⁉︎俺をどこへ連れてく気だ⁉︎」

 

 私が善逸に指示を出すや否や、彼はすぐに車掌さんの元に近寄り、抱えて車両外へと飛んでった。指示を聞いてくれてありがとう、善逸!

 

 そしてやることはもう一つ。

 

「宇髄さん、今から運転席には入らないで下さい!あと乗客も先頭車両から前に出さないように!」

「萌、まさか派手に何かするつもりだな?」

「はい‼︎宇髄さん、見ててくださいよ‼︎」

「派手に承知‼︎‼︎」

 

 宇髄さんを含む他の乗客が運転席に入らないようにする手筈だ。これによりここには私と魘夢だけとなる。

 

「お眠りィ♪」

「ません‼︎」グサッ!

「はぁ⁉︎鬼とはいえ、自分で自分の目を潰したぁ⁉︎正気じゃないよ、お前‼︎」

「裏切り者の私が正気に思えます⁉︎」

 

 魘夢の攻撃だってこうすれば問題ない。そして透き通る世界さえ有れば目を潰しても余裕!さあ放つぞ、あの技を‼︎

*1
一応萌の監視も兼ねて、柱2人で列車全体を担当する配置になっている。




 ということで魘夢の首探しでした。柱2人もいれば首探しが出来ちゃいそうですが、彼らには乗客を守ることに専念してもらってます。代わりに善逸の音センサーで探してもらいました。

 さて、萌が他人を巻き込まないように排除して行う技とは一体なんでしょう?答えは次回のお楽しみに!

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