第三十四話 大正吉原花魁道中
side 萌
今日から遊郭任務。初の上弦との戦いだ。
「こんばんわ、萌。
「ありがとうございます………」
蝶屋敷内での出会い頭、しのぶさんが新しい毒を注入してきた。でも効かないようだ。
「まだまだ研究が必要ね………」
「はい…………」
「あんたのせいなの分かってる?」
「申し訳ありません………」
しのぶさんは昼夜(昼ないけど)研究と鬼退治で忙しい中頑張ってくださってる。その努力に応えられず死ねない自分が本当に申し訳ない。
「まあとにかく、そろそろ時間だから行くよ。」
「はい。」
ただ死ねないことには変わりないので、今はやるべきことをやるしかない。
「お待ちしておりました、しのぶさん‼︎さあ、色とりどりな女の都へ行きましょう‼︎そして女の子たちを救いましょう‼︎」
「善逸君、貴方はホント元気ね。」
「はい!それだけが俺の取り柄なんで‼︎」
蝶屋敷入り口で待ってた善逸と合流して、私たちは遊郭へと向かった。しのぶさんの会話が少しズレてると思うけど気にしないでおこう。あと善逸、貴方は元気意外にも取り柄があるよ。
遊郭への道中で、私たちはしのぶさんから作戦を聞かされた。
「萌、鬼は遊郭で花魁に紛れてるんでしょ?」
「はい、その通りです。ただどの店かは分かりません。」
「だから私と萌が遊郭の従業員になって、善逸君と冨岡さんは客や街の人となって鬼を探す。これが作戦よ。何かあったら鴉で知らせて。」
「はい!」
男女比がちょうど同じくらい。だからこの便利な作戦が取れる。ちなみに私は鴉を持ってないが、善逸のチュン太郎という名の雀が兼任することになってる。
「しのぶさんに質問です‼︎従業員ってことは、遊女になるってことですか⁉︎」
「そうだけど、何か?」
「萌ちゃんが遊女ってのは、その、あまりにも犯罪的過ぎます‼︎見て下さいよあの小さい身体‼︎まだ子供じゃないですか⁉︎そんな幼児にあんなことやこんなことをさせるのは、いくら任務の為とはいえ、その、店の人が許すでしょうか⁉︎」
なんだ、そのことか………
「私、一応善逸と同じ16歳なんだけど………」
「確かに、それは困るかも。この子私より一回り小さいし………」
「しのぶさんまで悩まないで下さい‼︎」
貴方だって私とあんまり変わらないでしょう⁉︎*1ただ2人の言うことも一理あるからこうするか。多分大丈夫だと思うけど、一応ね。一応。
「でしたらこれで!血鬼術 人間擬態・擬態変化」
こうして私は身長を伸ばして*2、ついでに髪の色を青に変えた。
「萌ちゃんの身体が変わる瞬間初めて見たよ。」
「これでいいですか?」
「まあこれならいいか。」
正直変えなくても良かった気がするが、念には念を入れることは非常に大切だ。
それにしても、あと1人足りない気がする。
「そういえば、冨岡さんはどこですか?」
「現地で合流する予定よ。」
「なるほど…………」
冨岡さんは現地合流だったのか。だからここに居ないんだね。それなら納得だ。
それと、私は柱の中で正直冨岡さんだけはよく分からない存在になっている。不死川さん、伊黒さん、しのぶさん、悲鳴嶼さんみたいに私に怒りを示すわけでもなく、煉獄さんや宇髄さんみたく中立な立場から意見を言うわけでもなく、甘露寺さんみたいにおてんばで可愛らしいわけでもない。柱たちの集まりでも隅の方に1人で居て全く喋らないから、時々存在を忘れてしまうのだ。個人的な予想だと、寡黙で仕事の出来る男って感じかな?
そんなことを思いながらしばらく歩くと、私たちは遊郭に到着した。
「おほ^〜、可愛い可愛い女の子がい〜っぱ〜い♪よぉ〜っし、この善逸様が、悪い鬼から君たちを守ってあげまちゅよ〜♪」
「上弦相手に余裕だね、善逸………」
「あっ、そっか上弦か!怖‼︎超怖‼︎それなら俺帰ろっかな‼︎」
「善逸君、ふざけるのはやめて。」
「ごめんなさい、しのぶさん。ちゃんと狩ります。」
ふざける善逸はさておき、早く冨岡さんと合流しなければ。さて、どこにいるのやら…………
「「お前、大人しくしてろ‼︎」」
「俺は鬼を狩りに来た。だから離せ。」
冨岡さん、居たは居たが、何故か警察2人に捕まってた。
「何してるんですか、冨岡さん⁉︎また捕まったんですか⁉︎」
「胡蝶か。すまないがこの2人を説得してくれ。」
「わ、分かりました…………」
「なんだね、君たちは?まさかこの異常者の仲間か⁉︎」
「もしも〜し、冨岡さ〜ん、一体何をしたんですか………?」
警官がああ言うってことは、よっぽど何かやらかしたのか?というかこの人前科持ちなの⁉︎
「俺は人喰い鬼を殺している鬼狩りだ。政府からの許可も貰ってる。」
「さっきからこんな訳わかんねえこと言ってるんだよ、コイツが‼︎」
なるほど、末端の警察にはまだ話が伝わってなかったのか。まあつい最近お館様の方から政府に話が言ったばかりだから、そうであっても仕方はないが。まあそれなら話をすれば大丈夫か………
「あの、すいません…………、一応その人の言ってることは合ってるんです。お手数ですが上の方に確認してもらえば分かるかと………」
「本当か⁉︎」
「本当なんだな⁉︎」
「はい…………」
「だからさっきからそう言ってただろ?」
正直冨岡さんの言い方も少し悪かったと思うが…………まあこればかりは仕方あるまい。
「それなら、解放するか………」
「なんかすまないな……………」
「いえいえ、この人いつもこんな感じなんで〜。」
あと心なしか冨岡さんといる時のしのぶさんが楽しそう。冨岡さんも心外って顔しながらいつもより楽しそうだし?もしかしてこの2人ってそういう関係なのかな?*3
「全く、口下手だから皆に嫌われるんですよ、冨岡さん♪」
「俺は嫌われてない。」
「あの〜、自覚が無かったんですかぁ〜?」
「イチャイチャしてないで先行きますよ、2人とも。俺は恋人同士の絡みを見に来たんじゃないんで。」
「「恋人なんかじゃない‼︎」」
ということで、冨岡さんとも無事に合流出来たので、上弦探しが始まった。
探し始めてすぐに、私たちは善逸の耳に頼ろうとしたが…………
「善逸、鬼の音は聞こえる?」
「広すぎて分かんない。地下からも周りからも聞こえる。」
「そっか。」
無理だった。恐らくは堕姫の帯が色んなところを通ってるんだろう。確かあの人は帯に人間を格納出来たはず。となると探すのはかなり大変だろう。
「それなら従来の作戦通りやるわ。私がときと屋で萌が京極屋ね。」
「はい!」
「そして俺と冨岡さんがそれぞれ荻本屋と夕霧屋から客として入る、って感じでしたっけ?」
「そうね。頼んだよ。」
「はい‼︎」
「御意。」
ということで、私は予定通り京極屋に潜入することになった。
京極屋に入ると、私は早速旦那さんらしき人に挨拶をした。
「初めまして!吉川
「よろしくね、千夏。」
その旦那さんはやけにやつれた表情をしていた。夜が終わらないから遊郭も大変なのだろう。早く人々に太陽を取り戻してあげなければ。
そんなことを思ってると、
「最初に言っておく。この店には蕨姫花魁という花魁がいるが、彼女の気に障る事はしないように。」
旦那さんから変なことを言われた。蕨姫花魁は余程気難しい人なのか、それとも乱暴な人なのか…………堕姫の性格に似てるな。もしかしたらいきなり当たりを引いたかもしれない。
「かしこまりました。それではよろしくお願いします!」
「よろしく頼むよ。」
ということで、私は挨拶を済ませると、早速蕨姫花魁を探しに行った。
そして2階に上がると、
「ふざけんじゃないわよ‼︎」
「す、すいません‼︎」
早速他の遊女に怒っている蕨姫花魁に遭遇した。間違いない。機嫌が悪い時の首を傾けて下から睨みつけてる癖、完全に堕姫と同じだ。大当たりだ!
「チュン太郎、上弦の陸発見。他の人を呼んでくれる?」
「チュンチュン‼︎」
私は早速チュン太郎に頼んで援軍を要請し、
「すいませ〜ん‼︎初めまして〜‼︎」
堕姫と彼女に叱られてる遊女の元に出た。
「えっ、えっと…………」
「何よアンタ⁉︎もしかして邪魔する気⁉︎」
「はいっ!この人の代わりに私を叩いて下さい‼︎」
「キッショ‼︎なんで叩かれるのに楽しそうなのよ⁉︎」
「そういう人だからです‼︎」
適当な事を言いながら遊女に目配せし、逃げるよう促す。
「………あ、ありがとうございます………」
「………どうも!………」
どうやら彼女に通じたようだ。良かった。さてと、後は戦うだけだ!
「さあ、見せてくださいよ、
「分かった…………ってなんでアンタがその名前知ってんのよ⁉︎」
「血鬼術 人間擬態・擬態変化」
こうして私は元の姿に戻した。
「なっ、その姿は…………まさか我妻萌⁉︎」
「そういうことです。それでは勝負しましょうか!」
「ふんっ、上等よ‼︎」
そしていよいよ堕姫との戦いが始まった。
ということで堕姫登場まで一気に駆け抜けました。事情がある程度把握されてる分、進むのは早いですね。
ちなみに萌の容姿で一番近いのは、「無能なナナ」に登場する「真壁モエ」というキャラです。多分分からない方が大半なので、検索してみて下さいください。参考になったでしょうか?
さて、次回から堕姫戦が始まります。お楽しみに!