side しのぶ
私は今冨岡さんと玉壺を探しているが…………
「なかなか見つかりませんね………」
「だな。」
遊郭の店の中を探せども探せども居ないのだ。もちろん道にも居ない。一体どこに行ったんだ?上弦の陸たちの方には合流してないらしいからまだいいけど、もしそっちに向かわれた場合、萌はともかく善逸君が危ない。
「おかしいな、くまなく探したはずなのに………」
「もしや入れ違いか?」
「可能性はありますね。ひとまず来た道を戻りましょう。」
そして最悪の場合、逃げ遅れた民間人が襲われる可能性もある。早めに探さねば……………
「ヒョヒョ。これで完了しました!」
ん?今の声は…………絶対アイツだ‼︎右前の店の中から聞こえる‼︎果たして、一体何をしてるのか…………
とりあえず私たちは店の中に入ると、
「ヒョヒョ、思ったより来るのが早い!でも上手く隠れて脱皮した甲斐がありました!貴様らには私の真の姿を見せてやりましょう!」
壺から玉壺の声が聞こえていた。そしていよいよ奴は、
「どうでしょう、この姿は⁉︎」
壺から姿を現した。その姿は、顔こそ大して変わってないが、首から下はゴツい筋肉を持つ人魚のようだった。その人魚は
「この透き通るような鱗は金剛石よりも尚硬く強い。私が壺の中で練り上げた、この完全なる美しき姿に平伏するがいい。」
「嫌だ。」
「なんだよその感想は⁉︎もっとマシなのは無いのか、この半々羽織‼︎」
「無い。」
そして相変わらず冨岡さんの会話はどこかおかしい。でもそれ以上に、アイツの方がおかしい‼︎
「おい、毒娘‼︎お前からもなんか言ってやれ‼︎」
「キモっ。話しかけないで下さい。」
「このクソアマがぁぁぁぁ‼︎本当に人の神経を逆撫でする女だな‼︎」
相変わらず短気なこと。まあ私も人のこと言えないけど。とりあえず奴の冷静さは欠かせた。後は倒すだけだ。
「血鬼術 神の手」ドゴッ
ただ、それが難しい。萌の話が本当なら、この拳は喰らうと………
「…………」ピチャ、ピチャ
魚になる‼︎玉壺が殴った地面が魚に変化するのを、私たちはこの目で確認した。
「あのガキから聞いているのでしょう、私の拳の恐ろしさを!」
「ええ。」
でもこっちには切り札がある!
「冨岡さん、とりあえず凪で玉壺の攻撃を防いで下さい。」
冨岡さんの凪。全ての攻撃を打ち消す威力。きっとこれならアイツの攻撃だって問題ないはずだ…………
「すまない、胡蝶。それは無理だ。」
って嘘でしょ⁉︎
「冨岡さん、なんでです⁉︎」
「凪は刀を何度も速く振って対応してるだけ。つまりは………」
「凪をやると刀が魚になる………?」
「正解だ。」
そういうことか。それなら玉壺と相性が悪い。というかあれ全部手動で止めてたんだ。改めて思うけど本当にすごい人だな。
「ヒョヒョ、相性最悪のようだな‼︎それじゃあ死ね‼︎」
「くっそ…………っ‼︎」
玉壺の拳を避けながら策を練る。なんとか機会は無いか?アイツを倒せる機会が。
「血鬼術 陣殺魚鱗」
「水の呼吸 参の型 流流舞い」
「蟲の呼吸 蜈蚣の舞 百足蛇腹」
避けながらなんとか探る。ついでに毒を入れる。
「ぬおっ、毒⁉︎まさかこの鱗を貫くとは⁉︎でも全然良し‼︎何故なら毒耐性も上がっている‼︎それに痺れが心地良い‼︎ヒョヒョ‼︎」
くそっ、なんで毒が効かなくなりつつあるんだよ‼︎というか痺れて快感を得るな、気持ち悪い‼︎あぁ、もう!どっととくたばれ、糞野郎‼︎
side 萌
意識が朦朧とする………妓夫太郎がまさか自爆特攻を仕掛けてくるなんて………しかも私の知らない技を隠し持ってたなんて………
ああ、このまま死ぬのかな………やっと死ねるのかな………こうして私は地獄に、善逸は天国に…………ってこのままじゃダメだ、私が守るんだ、善逸を!私は死ぬべきだけど、善逸は違う………っ!彼はもっと幸せになるべき………っ‼︎塵よりも価値のない私なんかとは違って、多くの人に大切にされる価値のある人なんだから‼︎
そして私は震える脚で立ち上がった。
「お、お前、マジかぁ⁉︎まだ生きてんのかぁ⁉︎」
正直全身に毒が回っている。どこを切断しても回復出来るもんじゃない。だからここは、強引に全部抜く‼︎
「月の呼吸 拾漆の型 絶技・日喰」
自分の血をふんだんに使うこの技で‼︎
「くそぉ、血鬼術 跋扈跳梁」
妓夫太郎も斬撃で自分を守る。でも奴だって全身が回復してるわけじゃない!不充分な条件なのは同じ‼︎だからここは押し切る、絶対に押し切るんだ‼︎
そうして私と妓夫太郎との攻防は………………
「なっ⁉︎」ザクッ
私に………軍配が………上がり………妓夫太郎の………首が………落ち………た………
side 善逸
萌ちゃんが妓夫太郎の首を斬ったのが遠くに見えた。そして萌ちゃんが気絶したのも。そして上弦の陸は短時間でもう片方の首を落とさないと倒せない。だからここは俺が堕姫を殺さないと‼︎まずはこの帯を避け………
「ぐぁぁぁぁ‼︎」
「ざぁこ♡」
られなかった‼︎くそっ、神速で脚を消耗したせいだ‼︎だから体勢を崩してしまった‼︎
「血鬼術 荒波帯」
荒波のようにうねりながら攻撃してくる帯。くそっ、このままじゃ避けることしか出来ない‼︎というかそれも出来てない‼︎早く首を斬らなきゃいけないのに‼︎何で俺はいつもこうなんだ⁉︎
俺はいつも臆病で、弱くて、泣き虫で、不器用で、そして頼りない。そんな自分が誰よりも嫌いだ。誰よりも自分に対して怒りが湧いてくる‼︎もっと強くなれないのか、俺は‼︎強くなる理由は沢山あるのに‼︎何故こうもこうも出来ないんだ‼︎
「うわっ、なんかおでこに雷の刺青が出てきたんだけど⁉︎意味分かんない⁉︎」
怒りで上がる心拍数と体温。なんだか今なら、いつもよりも動けそうな気がする!今なら堕姫を倒せそうな気がする‼︎
ということで、玉壺があのキモい形態になり、萌が死にかけ、善逸が痣を出しました。なんか最近萌は気絶してばっかですが、暖かく見守ってやって下さい。
そして次回はいよいよ第七章・遊郭編のラストです。お楽しみに!
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