第四十話 桜餅色の髪の毛 再び
side 萌
上弦の伍と陸の同時撃破。これはかなりの功績になった。なんせ110年もの間上弦を倒せなかったのだもの。お館様や他の隊士たちが大喜びしたのも当然だった。非常にありがたいことに私も段々と信用されることになり、お館様と2人きりで話す機会が出てき始めた。
ただ私に対して厳しい反応を続ける人だって当然居た。それはそうだ。したことがしたことだから仕方ない。むしろ一生許されないのが当然だから。
そしてそんな私に、お館様からある任務が降ってきた。
「萌、明日浅草に行ってくれるかな?巡回をして欲しいんだ。」
浅草………確か前禰豆子たちと戦ったところだな。巡回事体はよくある任務だ。ただ私1人だけで大丈夫なのだろうか?私に気が無いとはいえ、私は一応鬼。人間の皆さんにとって害なのは間違いない。
「かしこまりました。ですが、私1人で大丈夫なのでしょうか?」
「それについてだけど、今回は蜜璃を同伴させることにするよ。」
甘露寺さん…………か。いくら優しそうな人だとはいえ、一度殺し合いをしている。それに、善逸みたく私の心を読んで過去に同情してくれるわけでもない。いい顔をされないのは当然だろう。
よくよく考えたら、自分を殺そうとしてきた相手と2人きりの任務となる。甘露寺さんが本当に可哀想で可哀想で仕方ない。まあ任務は任務だから仕方ないので、精一杯の罪悪感と忠誠心を持って行くことにしよう。
「かしこまりました。」
「頼んだよ。」
「はいっ!」
ということで、その日はお館様の元を去って終わった。
翌日、私は蝶屋敷で甘露寺さんを待っていた。
「萌ちゃぁぁぁぁぁん‼︎俺も一緒に行きたいよぉぉぉぉぉぉ‼︎」
善逸が何故か私に泣きついている。理由は大体わかるが。
「…………甘露寺さん目当て?」
「なんで分かったの、萌ちゃん⁉︎」
やっぱり。女好きの貴方なら、きっとそうだろうと思ったよ。
「もしかして俺と同じで心の音聞こえる系⁉︎」
「なわけないでしょ。善逸は割と分かりやすいから。」
「マジかぁぁぁぁぁぁ‼︎」
そこにしのぶさんがやってきた。
「萌、毒。」グサッ
「はい。」
いつもの毒実験。もはや慣れたもんだ。そしてまたも死ななかったみたい。
「怖いわ〜、しのぶさん怖いわ〜‼︎」
「私は元々こうよ。それより善逸君、甘露寺さんに手を出すと怖い蛇がやってくるわよ。」
「嘘つけ‼︎そうやって俺の恋路を邪魔したいだけなんですよね⁉︎」
「いや、違うから。後ろを見てごらん。」
そうしてしのぶさんが指差した先には……………
「これから任務だというのに、何をする気なんだ、我妻善逸?甘露寺に手を出すだと?少しでもそんな事をしてみろ。お前の首と胴は泣き別れだ。」
怖い蛇こと伊黒さんが居た。
「ほら、言ったでしょ?」
「嘘でしょ⁉︎なんでいるんです⁉︎というかやる事怖⁉︎」
「お前は今日胡蝶、冨岡と任務だろ。」
「まあそうですけど…………」
「俺も同じだからだ。」
「嫌ぁぁぁぁぁぁぁぁ‼︎」
善逸が絶叫している。確かあの4人は童磨の討伐任務で万世極楽教の拠点に行く予定だった気がする。上弦のうち彼と陸兄妹だけが固有の拠点を持ってるからね。そして戦力。童磨と戦うために柱3人と痣者の善逸を割いている。確かいざとなれば悲鳴嶼さんも駆けつけられるくらい近くで任務するんだっけ。
「それと我妻萌。俺はお前を認めてないからな。」
「私もです。」
「はい…………」
それと確か伊黒さんは甘露寺さんのことが好きなはず。それを抜きにしても、鬼狩りの柱としてこの反応は当然だろう。
そんな事を思っていると、
「萌ちゃ〜ん、遅くなってごめ〜ん‼︎」
甘露寺さんがやってきた…………とても破廉恥な隊服を着て。*1
「甘露寺さん、なんで格好をしてるんですか⁉︎」
「えっ、なんか変かな?」
「あ、あの、胸元はだけ過ぎです‼︎男性陣だって居るのですよ⁉︎」
とりあえず善逸には見せないようにしないと………
「ありがとうございます‼︎ありがとうございます‼︎我妻善逸、写真を持って来てよろしいでしょうか⁉︎」
「言い訳ないだろ、馬鹿。甘露寺にそんな態度を取るなんて信じられない。殺すぞ。」
「へっん!アンタは目を逸らすからダメなんです‼︎それじゃあ嫌ってるように見えますよ‼︎ちゃんとまじまじと見てあげないと‼︎恋愛経験豊富な俺からの助言です‼︎」
「我妻善逸、お前を今から牢屋へ連れて行く。」
「やめてぇぇぇぇぇぇ‼︎」
手遅れだった。怒った伊黒さんが無理矢理遠くに連れてって事なきを得たが。
「甘露寺さん。」
「何、しのぶちゃん?」
「その隊服は前田まさおとかいうスケベ隠が作った駄作中の駄作です。私の方で変更するように指示しておきますね。甘露寺さんはそれが届いたら、その服は焼却処分しといて下さい。」
「わ、分かったわ…………」
どうやらかつてしのぶさんも似たような被害に遭ったようだ。とても怒ってるのが見るだけでわかる。
「そ、それじゃあ行こっか!」
「はっ、はい!」
「行ってらっしゃい、甘露寺さん!」
「そっちこそ気をつけてね、しのぶちゃん!」
「はい!それと逝ってらっしゃい、萌。」
「えっと………そちらこそ気をつけて下さい、しのぶさん。」
ということで、私は甘露寺さんと浅草へ向かった。
浅草に向かう途中、私は早速謝ることにした。
「甘露寺さん、申し訳ございません。私みたいな殺人鬼と2人きりで………」
「いえいえ!気にしてないから大丈夫だよ〜!」
「あ、ありがとうございます…………」
すぐにこう答えられるなんて、本当に優しい人なんだろう。というか私は貴方を襲った人なのに、それを気にしないって言えるなんて………
そんな事を思いながら浅草に着くと、早速巡回の目を光らせ………
「よしっ、萌ちゃん!浅草についた事だし、早速食べ歩きしよっか♪」
「へっ⁉︎」
ようと思ったが、甘露寺さんがいきなり変な事を言い始めた。
「どうしたの、萌ちゃん?」
ただよくよく考えたら、気にしないって言ってくれてるとはいえ、私と一緒にいるのは本当は嫌なはず。だったら甘露寺さんの負担を減らして自分が頑張るようにしなきゃ!
「えっと、な、なんでもありません!わ、私が巡回してるので、甘露寺さんはその間に楽しんで来てください!」
これなら甘露寺さんに楽させることが出来るはず………
「1人だけじゃ寂しいから、一緒に行きたいな〜?」
って一緒に⁉︎こんな私と⁉︎な、ならばこうすべきだろう‼︎
「わ、分かりました!それなら荷物持ちでも護衛でもなんでもやるんで、適当にこき使って下さい!」
あくまで私は甘露寺さんを楽しませるためだけの存在にならなきゃ‼︎
「そんな酷いことしないよ〜。それよりさ、一緒に楽しもうよ!」
一緒に…………楽しむ?私が?今まで散々人を殺して来た殺人鬼が、今更何かを楽しむ資格なんてあるのか?いや、無いはずだ。
「いえ、甘露寺さんはともかく、私だけは楽しんではいけないと思ってて………」
「大丈夫だって〜!鬼もちゃんと見張れるからさ!だから肩の力抜いて、楽しもうよ♪」
肩をぽんぽん、っと優しく叩いて笑顔で言ってくれる甘露寺さん。本当に、本当に、なんて優しい人なんだろう………今はもう出ない涙が出てきそうだ…………
「わ、分かりました…………」
「それじゃあしゅっぱ〜つ‼︎」
ということで、私と甘露寺さんの浅草食べ歩きが始まった。
ということで、第八章は刀鍛冶編だと思ったそこの貴方、残念でした〜!ガッツリオリジナルの話になります。萌と蜜璃ちゃんの2人のやりとりをお楽しみ下さい!
ちなみに浅草といえば原作で炭治郎が珠世さん&愈史郎や無惨様に会った場所ですが、本作では以下の通りとなってます。
・炭治郎は無惨様に遭遇済み
・炭治郎はうどん屋の豊さんと2回遭遇済み
・炭治郎はうどん屋に帰ってきた後萌に殺された(第二章)
・炭治郎は珠世さん&愈史郎とは遭遇してない
・鬼殺隊側は珠世さん&愈史郎の存在を知らない
最後に、評価・感想をお願いします。