我妻物語   作:スピリタス3世

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第四十二話 優しいお姉さん

  side 萌

 

 なんで……どうして………?拒絶反応が起きてるの………?

 

「「大丈夫⁉︎」」

「は、はい………ごほっ………」

 

 と、とりあえずは団子を食べよう!

 

「もぐもぐ………ぐふぁっ⁉︎」

 

 ってなんで⁉︎なんで身体が受け付けないの………?

 

「本当に大丈夫か⁉︎」

「萌ちゃん、む、無理しないで!」

「はぁっ………はぁっ………はい………」

 

 と、とりあえず団子は一個だけだから何とか飲み込めた………っ!でもなんか気持ち悪い…………。小さい時は大好きだったのに………っ‼︎

 

 くそっ、意味分かんない‼︎つ、次はまたうどんだ‼︎

 

「はむっ…………がわぁっ!」

 

 ってなんで⁉︎なんで吐き出しちゃうの……っ‼︎うどん屋さんがせっかく作ってくれたのに………っ!これじゃあうどん屋さんが悪いみたいになっちゃう……っ!

 

「無理すんな、って!」

「と、とりあえず休もうよ!」

「ごめんなさい、ごめんなさい‼︎うどん屋さんは悪く無いです‼︎団子屋さんも‼︎ぐわはっ………‼︎」

「謝らなくてええって!」

「と、とりあえず一旦食べるのやめよっ!」

「ごめんなさい、ごめんなさい………」

 

 この2人が優しくしてくれてるのに、身体が受け付けない。なんでなの………っ⁉︎小さい頃は好きだったものが、なんで食べられないの……っ⁉︎

 

 

 

 うどんと団子に拒絶反応を起こした私は、うどん屋さんとは別れて、とりあえず街外れの木陰で甘露寺さんに膝枕される事になった。私の分のうどんは伸びちゃうから、って事で甘露寺さんが自分の分と合わせて食べてくれた。

 

「あの…………本当にすいません…………」

「いいのよ〜。」

 

 甘露寺さんが優しく頭を撫でてくれる。それによって少しずつ落ち着いてきた。そしてそんな私に、甘露寺さんが衝撃的な事を言った。

 

「うどん屋さんが言ってたんだけどね、人喰い鬼だから多分人以外は食えないんじゃないか、って。もしかしたらそうじゃない?」

 

 そう………なのか…………。確かに鬼が人間以外を食べているところは全く見なかった。それがここまでの生理的拒否反応を示すからだったなんて…………

 

「かも………しれないです………。自分も知りませんでしたが………」

「本当に大変なのね………。萌ちゃん、可哀想………」

 

 私が…………可哀想…………そんなことはない………っ!

 

「ち、違います!あれもこれも全部私が鬼になったからです‼︎私が鬼になったから色んな人が死んだ‼︎私が鬼になったから多くの人が悲しんだ‼︎私が鬼になったから、お父さんの団子も、お母さんのうどんも食べられなくなった‼︎私がお父さんとお母さんを拒絶したも同然‼︎そもそも私がお父さんとお母さんを守れなかったからこんな事になったんだ‼︎全部、全部、全部…………っ‼︎」

「そんなことないよ!」

 

 えっ…………?なんで甘露寺さんは私の罪を否定するの………?こんな自業自得の塊みたいな生き物を………?

 

「萌ちゃんのお父さんとお母さんが死んだのは、鬼舞辻さんが来たからなんでしょ?」

「でも、私があそこで騙されてなければ………っ!」

 

 全てはあの時、無惨の戯言に私が乗ったせいで…………

 

「そんなの、騙す大人が悪いじゃん?」

「で、でも…………」

 

 判断力が無かった私が悪いんだし………

 

「あの時の萌ちゃんって、今よりちっちゃかったんでしょ?」

「ま、まあ…………」

 

 確かあの時は12歳だったはず……………

 

「ちっちゃい子がお父さんとお母さんを殺されて………その………普通でいられるかな〜?」

 

 たしかに普通じゃなかったかもしれない。それでも………

 

「それでも、私が悪いことには………っ!」

「違うよ。」

 

 違う………?何が、どう………?

 

「しのぶちゃんに聞いたんだけど、ちっちゃい子って悪いことがあると何でも自分のせいにしちゃうんだって。もし鬼舞辻さんが居なかったら、萌ちゃんはどうなってたかな?」

「そ、それは…………」

 

 お父さんとお母さんは生きていて、今でも私と一緒に楽しく暮らしていたかもしれない。今みたいに自業自得で苦しむことは無かったかもしれない。

 

「萌ちゃんが全部悪いわけじゃないの。だから必要以上に抱え込まないで。何かあったら私が守ってあげるから!」

 

 でも私にだって悪い部分はある。そんな私を優しく守ってくれる甘露寺さん…………

 

「なんで、そんなに優しいんですか………?」

「えっ?」

「私は貴方を殺そうとしたんですよ?現に貴方は一度私のせいで大怪我をしました。それなのに、なんで………?」

「なんかね、最初に会った時から、萌ちゃん苦しそうな気がして………なんか助けたくなっちゃうの!」

 

 苦しそう?あの時は初めての休暇をどう扱えばいいか分からなくて、混乱してただけのような………

 

「そう、ですかね………?」

「おまんじゅう、食べたそうにしてたでしょ?」

 

 確かに、そんなこともあったな。あの時は食べられないことも知らずに、金が無くて諦めてたけど。

 

「あの時から、なんかあるのかな、って思っちゃって………」

「そう、だったんですね…………気を遣わせてしまってすいません………」

「いえいえ、大丈夫だよ!」

 

 そしてこんな私に優しくしてくれる甘露寺さん………きっとこの人も鬼に家族を殺されただろうに…………その優しさに、もし自分に姉が居たらこんな感じなのかな、と思ってしまう。

 

 

 

 そういえばこの人のこと全然分かんないな。過去のことを聞いてみようかな?

 

「そういえば、甘露寺さんはなんで鬼殺隊に入ったんです?」

「添い遂げる殿方を見つけるためよ‼︎」

 

 えっ…………?嘘でしょ…………?

 

「あれ、聞こえなかった?」

「いえいえ、バッチリ聞こえてます!えっとその、鬼に家族を殺されたとかじゃないんですか?」

「そんなことないよ!さっき言った通りだよ!」

 

 旦那さん探しのために、この組織に入ったの?なんか凄すぎるな、この人。

 

「そ、そんな理由だったんですね………」

「うん!それにしても、鬼殺隊には素敵な方がいっぱいいらっしゃるわ〜♪」

「伊黒さんとか?」

「そうそう‼︎私あの人のことが一番好きなの‼︎」

 

 そしてすごく嬉しそうに話す甘露寺さん。良かったですね、伊黒さん。貴方両想いですよ!

 

「おお!それなら告白しちゃったらどうですか⁉︎」

「こ、告白⁉︎ま、まだちょっと恥ずかしくて出来ないかな……///」

「大丈夫です、いけますって!」

「うぅ〜///」

 

 告白という言葉を聞いて顔を赤らめる甘露寺さん。なんだかこうしてると、鬼殺隊とか関係ない普通の女性みたい。なんならやっぱりお姉ちゃんみたい。私一人っ子だけど。

 

「そういえば、萌ちゃんは誰のことが好きなの?」

「へっ?」

 

 そんな事を考えてたら、いきなり私の話になった。

 

「い、いや、私にそういうのは無理なもんで………」

「そんなことないって!私萌ちゃんに好きな人がいたら応援するよ!」

「でも…………」

 

 恋愛…………正直罪人の私には無理な話だと思ってる。だから考えたこともなかった。

 

「善逸君とか、気になってたりしないの?」

 

 善逸か…………

 

「善逸は、その、大切な人ですね。私を庇ったりしてくれたんで。彼には是非とも幸せになってもらいたいです。」

 

 アイツはなんていうか特別な人だ。アイツを守るために妓夫太郎戦で生かされた、と言っても過言ではないかもしれない。

 

「そう、それ!それが恋愛よ‼︎」

「えっ?」

 

 そ、そうなの…………?そうなの………かもな………

 

「なるほど〜、やっぱりそうだったのか〜!よしっ、それなら私は柱として、2人の恋を応援します‼︎」

「ちょっと、それはいいですって‼︎」

「遠慮しないで‼︎私は恋柱、恋愛の柱なんだから‼︎」

「絶対違いますよね、それ⁉︎」

 

 なんていうか、本当に面白くて優しい人だなぁ、甘露寺さんは。彼女こそ、末永くお幸せにして欲しい。また心の底から守りたい人が増えた。いや、他の人たちも絶対守りたいけど、甘露寺さんと善逸はその中でも特に、って感じで!

 

「というか巡回しないと‼︎私が足を引っ張ってすいません!」

「いえいえ〜♪それじゃあ行きましょ〜♪」

「はいっ‼︎」

 

 ということで、私たちは街を再び巡回するために木陰から腰を上げた。

 

「えっと、さっきはこっちの通りを見たんで、次はあっちの通りに行きます?」

「そうしよっか!」

「はいっ‼︎」

「あっ、裏切り者の萌ちゃんじゃ〜ん‼︎童磨だよ〜。まさか覚えてるよね?」

「「えっ?」」

 

 はっ?えっ?童磨?嘘でしょ?なんで今、ここにいるの?




 ということで、団子とうどんに拒絶反応を示してしまい、落ち込んだ萌を蜜璃ちゃんが慰める話でした。姉属性を発揮した蜜璃ちゃんは如何だったでしょうか?ちなみに蜜璃ちゃんは萌の隠れた姉とかではないですよ。萌はれっきとした一人っ子なんで。

 そして最悪なタイミングで童磨の登場です。絶望的な状況ですが、それをどう乗り切るのか。それは次回からのお楽しみに!ちなみに私のGWは今日で終わりなので、少し間が空きます。

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