我妻物語   作:スピリタス3世

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第四十三話 緊急事態

  side 萌

 

 童磨、何故ここに⁉︎奴は万世極楽教の総本山にいるんじゃなかったのか⁉︎

 

「もしも〜し、聞いてる〜?」

「聞いて………ますよ………」

「そんな虫を踏み潰したような苦い顔しないでくれよ!俺と萌ちゃんの仲じゃないか!」

「貴方と仲良かった記憶はありません………」

 

 あっちが無駄にウザ絡みしてきただけだ。

 

「そんなぁ〜!酷いよ、萌ちゃん!せっかくこうして偶然会ったのに!まあ分かっての通り、君を殺さなきゃいけないんだけどね〜。くそぉ、こんなこと、俺はつらい、耐えられない………ってこれ猗窩座殿が言ってたら面白いなぁ!」

 

 猗窩座は多分そんな事言わないだろう*1………ってそれはさておき、とにかくこの状況はマズい。妓夫太郎とほぼ互角だった私と、柱は甘露寺さんただ1人。2人とも痣が出てるとはいえ、ハッキリ言って勝ち目はほぼない。だったら………

 

「甘露寺さん、しばらくは2人で頑張りましょう!」

「もちろん!」

「とにかく、援軍が来るまで持たせるのです!」

「そうだねっ!」

 

 そんな事を言いながら、天高く飛ぶ甘露寺さんの鴉に視線を向ける。鎹鴉を使った援軍要請だ。総本山に向かった善逸やしのぶさんたち、あるいは他の柱たちに伝えてくれるだろう。

 

「それじゃあ申し訳ないけど、殺すね!」

「こちらこそ‼︎」

 

 ということで、ひとまずは私と甘露寺さんによる時間稼ぎが始まった。

 

「血鬼術 粉凍り」

 

 童磨が扇で氷の粉を振り撒く。この粉は吸うと肺胞が壊死するから、とても危険だ。なんとか透き通る世界を見ながら避けないと!

 

「甘露寺さん、この氷吸っちゃダメです!」

「分かったわ!」

「俺の情報が筒抜けかぁ。ならちょっと本気出そうかな?」

 

 ここで童磨に本気なんか出させると困る。とりあえずは氷を甘露寺さんから遠ざかる方に飛ばすよう、斬撃を出そう。

 

「血鬼術 蓮葉氷」

 

 氷で出来た蓮の花。まるまるぶっ壊してしまえ‼︎

 

「月の呼吸 壱の型 闇月・宵の宮」

「恋の呼吸 壱の型 初恋のわななき」

 

 私の斬撃の後に、甘露寺さんのしなやかな斬撃が加わり蓮を壊す。初めての連携でここまで出来るとは、流石は柱だ。

 

「おおっ、何その呼吸⁉︎俺初めて見たよ!なんか刀も変だし!」

「私だけの呼吸よ!」

「なるほどなるほど〜‼︎こりゃもうちょっと見てみたいねぇ‼︎」

 

 童磨は情報を大切にする。私の月の呼吸はともかく、甘露寺さんの恋の呼吸を見たのならば、様子見で手を抜いてくれるはずだ!ちょうど良く甘露寺さんが居てくれたのが助かった!

 

「血鬼術 枯園垂り」

「月の呼吸 弐の型 珠華ノ弄月」

 

 2つの扇子から放たれる湾曲した氷柱には、2つの斬撃をぶつけて打ち消させる。なるべく私も氷の粉を吸わないように。そしてその隙に、

 

「恋の呼吸 弐の型 懊悩巡る恋」

 

 甘露寺さんの螺旋状の連撃が童磨に当たる。

 

「血鬼術 凍て曇」

 

 続いて童磨が氷の雲を散布してきた。

 

「恋の呼吸 参の型 恋猫しぐれ」

 

 それには甘露寺さんが対応してくれた。飛び上がりながら三日月状の斬撃を出して打ち消す。だったら私はその隙に、

 

「月の呼吸 拾壱の型 宵の上弦」

 

 奴の左側に回り込んで右側に斬撃を放つ。

 

「恋の呼吸 陸の型 猫足恋風」

「月の呼吸 拾弐の型 明けの下弦」

「うおっ、いい連携だなぁ。」

 

 そして甘露寺さんが自身の周囲に螺旋状の奇襲を仕掛けると、私はすぐに右側に回り込んで左側に斬撃を放った。どうやら攻撃は上手く当たってくれたようだ。

 

 ただ、攻撃を受けた童磨は相変わらず飄々としている。そりゃそうだろう。私たちの攻撃なんて、コイツにしてみたら蚊に刺されたくらいの威力でしかないんだから。それに、その気になれば簡単に私たちを殺せるだけの力が、コイツにはある。

 

「血鬼術 寒烈の白姫」

「月の呼吸 拾陸の型 月虹・片割れ月」

 

 美しい、氷を吐く2体の巫女には上から斬撃を浴びせる。これで無理矢理打ち消す。

 

「恋の呼吸 肆の型 想い綴し恋文」

 

 そして甘露寺さんが縄跳びの片側を持つように、日輪刀を持って上下に振った。上下にしなりながら飛ぶ斬撃が童磨に…………

 

「おっと、そろそろ避けないと!」

 

 当たらなかった。避けようと思えば避けられるほど余裕を持つこの鬼。私はこの鬼から浅草の人たちを守りきれるのか?かなり不安になる…………

 

「は〜い、じゃあ次は俺の番ね〜。」

 

 とりあえず番など与えてる余裕なんて、こっちにはない‼︎

 

「月の呼吸 拾肆の型 兇変・天満繊月」

「ちょっと⁉︎萌ちゃん酷いよ〜!」

 

 大量の斬撃を急に浴びせる。

 

「わたしも!恋の呼吸 伍の型 揺らめく恋情・乱れ爪」

「ちょっと2人とも⁉︎」

 

 甘露寺さんも宙返りしながら、大量の斬撃を浴びせる。流石の童磨も避けきれなかったみたいだ。

 

「さっきまで余裕そうにしてたのに、意外と弱いんですね。」

「萌ちゃんも言うようになったね〜。でも俺は優しいから怒らないぜ‼︎それに、上に立つ者は下の者にそうめくじらを立てず、ゆとりを持って行動すべきだしね〜。」

 

 さらっと自分が上だという発言。ムカつくにはムカつくが、事実だから仕方あるまい。さてと、引き続き時間稼ぎをするか………

 

 

 

 

  side お館様

 

 蜜璃と萌が浅草で上弦の弐に遭遇。そして先程鴉からの情報によれば、行冥が新宿で上弦の肆に遭遇。さて、上弦の弐のところに向かわせたはずの義勇、小芭内、しのぶ、善逸をどう配置し直すべきか…………

 

「ごほっ、ごほっ………」

「お館様、しっかり!」

「すまないね、あまね………」

 

 私も恐らくもうすぐ死ぬだろう。その前に最大限考えねば。4人は行冥の位置にかなり近い。蜜璃と萌のいる浅草までは距離がある。ただし状況が悪いのは圧倒的に浅草の方。他の柱は巡回中で、全員浅草からはしのぶたち以上に距離がある。それに、上弦の壱がいつ出てくるか分からない。柱以外を送ったところで、足止めにもならないだろう。辛うじて玄弥が役立つくらいか。となると…………

 

「義勇を行冥のところへ。しのぶ、小芭内、善逸を蜜璃と萌のところへ。他の柱はそのままで………ごほっ………」

 

 とりあえずはこうしよう。

 

 

 

 

  side 萌

 

 童磨は相変わらず私たちを舐め腐ってる。癪に触るが、都合はいい!

 

「血鬼術 冬ざれ氷柱」

 

 上から大量の氷柱が落ちてくる。

 

「恋の呼吸 参の型 恋猫しぐれ」

 

 それに対して、甘露寺さんが飛び上がって対応してくれてる間に、

 

「月の呼吸 肆の型 年災月殃」

 

 私が下から潜り込んで攻撃する。

 

「おっとぉ‼︎」

 

 そして童磨が飛び上がって避けたのを、

 

「恋の呼吸 壱の型 初恋のわななき」

 

 甘露寺さんが追撃する‼︎

 

「うぉっ、2人とも思ったより強いなぁ‼︎」

 

 童磨も私たちの連携技についていけなくなってる。どんどんと攻撃に当たり始めている。それは普通なら喜ぶべき状況だが、コイツなら一概には喜べまい。

 

「これは俺も作戦を変えねば!」

「変えるほどあるんです?」

「あるよあるよ!萌ちゃんが知らないだけで!」

 

 不安を隠すように煽るが、全く意味をなさない。童磨よ、頼むから本気を出さないでくれ…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「血鬼術 結晶ノ御子」

 

 くそっ、そう来たか…………っ‼︎しかも2体も出すとか、ふざけてんのか⁉︎

 

「君たちの相手はこの子たちにしてもらうよ!本当はもっと出せるかけど、これくらいでいいよね!」

「萌ちゃん、もしかしてこれが前言ってた………」

「そうです、例の分身です………」

「なるほど‼︎」

 

 この分身は小さいくせに本体と同じ威力を持っている。つまり童磨が3体になったみたいなもんだ。しかも本体は逃げようとしている。くそっ、マズいぞ、この状況は………っ‼︎

*1
2人ともテンション低い猗窩座しか見てない。ノリノリで勧誘してるとこは全く見てない。




 ということで、童磨戦が始まりました。蜜璃ちゃんの攻撃が独特なので、童磨がいつも以上に舐めプするところから始まってます。彼的にも情報は得たいでしょうし。

 ただ、結晶ノ御子の登場で話が変わりました。更にピンチです。ここからどうなるのかは、次回のお楽しみに!

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