我妻物語   作:スピリタス3世

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第四十五話 月が綺麗ですね

  side 萌

 

 甘露寺さんが………私の代わりに………大仏の腕に………潰さ………れ……た………?

 

「か、甘露寺さん…………?」

「おやおや、なんか踏んじゃったみたいだね〜。」

「そ、そんな……………」

 

 嘘………あの甘露寺さんが…………

 

「まあ人間は遅かれ早かれ死ぬんだ。それがたまたま今になったことじゃないか!だから萌ちゃんが落ち込む必要はないよ!」

「うるさい、黙れ、黙れ‼︎」

 

 くそっ、なんでコイツはここにいるんだよ⁉︎大人しく総本山ですっこんでろよ‼︎コイツがいなければ、甘露寺さんは………甘露寺さんは………

 

 

 

 

 

  side 蜜璃

 

 ダメだ、このままじゃ死ぬ…………鬼殺隊は私の強さを認めてくれた場所なのに、私が強いままでいいと言ってくれた場所なのに、私が弱くて役に立ってない………せっかく萌ちゃんが頑張ってくれてるのに…………

 

 萌ちゃん、私と違って過去に大変なことがあったのに、今一生懸命頑張ってる。本当は辛くて泣き出したいだろうに、ずっと堪えて耐えている。私よりも随分小さいのに…………本当はこんなに優しい子なのに…………彼女はずっと自分の居場所が無いようで、あまりにも可哀想だった。かつて自分のことを抑えて暮らしていた私みたいに。

 

 萌ちゃん、本当はもっとはしゃぎたいんじゃないかな?遊びたいんじゃないかな?好きな男の子と一緒に居たいんじゃないかな?それが自分のせいで出来ない、って諦めてそうだと思ったから、お節介を焼いたの。ごめんね、能天気で頼りない先輩で。でも私は信じてるから。きっといつか、貴方のことを心から愛してくれる素敵な殿方が現れるって!私の恋は終わったけど、貴女はまだ終わってない‼︎

 

「恋の呼吸 捌の型 運命の(あか)い糸」

 

 

 

 

  side 萌

 

 甘露寺さん、生きてた…………っ!蛇のようにしなる斬撃が、童磨と大仏を直撃した‼︎

 

「なんだこれ⁉︎身体が()ける‼︎再生できない‼︎動けない‼︎」

 

 しかも赫刀‼︎童磨は再生出来てない‼︎これならいける‼︎今のうち………

 

「ごほっ…………」

 

 くそっ、まだ私の肺も再生出来てない…………しかも童磨は大仏の手のひらの上にいるから、近距離攻撃は届かない。遠距離の型なら届くけど…………それだと甘露寺さんを巻き込んでしまう。

 

「だが萌ちゃんは攻撃出来ないだろう⁉︎仲間が死んじゃうからね‼︎全く、愚かだなぁ‼︎」

 

 童磨が悶えながら言う。流石にお見通しか…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「萌ちゃん、私のことは気にしないで‼︎」

 

 えっ………?今なんて…………?

 

「か、甘露寺さん………?」

「早く‼︎」

「で、でも、甘露寺さんが死んじゃう………っ‼︎」

 

 それだけは嫌だ!私のせいで誰かが死ぬのは、もうこりごりだ!それに、一度殺されかけた相手を庇って死ぬなんて、甘露寺さんがあまりにも可哀想だから…………

 

「グダグダしない‼︎」

「ひぃっ…………⁉︎」

 

 甘露寺さん………?いつにもなく荒い声、そして大仏の指の間から見える真剣な顔…………

 

「貴女は鬼殺隊でしょ⁉︎ならやるべきことをやって‼︎」

 

 こんな顔は初めて見た。こんな声は初めて見た。優しい貴女の今までにない感じ、それだけそうして欲しいのだろう。本当はやりたくないけど、貴女が言うならやるしかない…………か……………

 

 

 

 

 そうして私は刀を構えると、

 

「ありがとう!」

 

 甘露寺さんはそう言いながら、いつもみたく笑ってくれた。私はそれを見ながら、出ないのに出そうになる涙を感じつつ、思いっきり飛び上がって刀を振った。

 

「月の呼吸 恋の型 月が綺麗ですね」

 

 絶技・日喰に、恋の呼吸の柔軟さを無理矢理取り入れて放つ技。これでなるべく甘露寺さんには斬撃がいかないようにする。たった今思いついた技だから、正直上手くはいかない。それでも甘露寺さんは死なせたくない。だから私は出来るだけ童磨だけに当たるように、私は刀を振るった。

 

 

 

 

 

 

 技を出し終えた後、童磨が塵になって消えるのを確認した。どうやら甘露寺さんの赫刀で動けなくなったから、私の攻撃を避けられなかったみたいだ。さて、甘露寺さんは生きているか…………大量出血により震える足取りで、安らかな寝顔で地面に横たわる彼女の元に向かう。

 

「甘露寺………さん?」

 

 彼女のそばに近づいて問いかける。でも返事はない。

 

「萌……ですよ………」

 

 もう一度問いかける。でも返事はない。

 

 そこから頭を胸に当てて確認する。命の鼓動を。鬼狩りを狩ってた頃みたいに、鬼狩りが生きてるかを確認する。

 

 うん、間違いない。これは今までやってきたのと同じ反応…………今まで感じてきた答えと同じ…………

 

「そ、そんな……………」

 

 人間の死。鬼狩りの死。それには慣れていたはずなのに、

 

「い、嫌…………」

 

 今回ばかりは、どうしても受け入れたくなくて、

 

「嫌あぁぁぁぁぁぁぁぁ‼︎」

 

 私はずっと、甘露寺さんの亡骸に抱きついていた。




 ということで、第八章はこれで終わりです。童磨こそ倒せたものの、しのぶさん&善逸&伊黒さんは間に合わず、蜜璃ちゃんが死ぬ結果になりました。この章で彼女が出番の割にタグに入ってた理由が分かったのではないでしょうか?

 さて、次回からは第九章に突入します。ちなみに本作は十章構成なので、終わりも見えてきました。まあ最終章がまあまあ長いですが。何をやるかはお楽しみに!

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