我妻物語   作:スピリタス3世

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 あまね様が隊士を呼ぶときの呼び方を忘れました。間違ってたら言ってください。


第九章 表参道事変
第四十六話 前へ進め


  side 善逸

 

 萌ちゃんたちのところに向かってる途中、上弦の肆の討伐報告が入った。しかも冨岡さんが駆けつける前に悲鳴嶼さんが単騎討伐したという。しかも本人も無事。この時は有利になってく戦況に心躍らせていた。

 

 だがしばらくして、悲しい報せが入った。上弦の弐の討伐成功と引き換えに蜜璃さんの死亡。明るい彼女の喪失は、それだけで鬼殺隊の雰囲気を一気に暗くした。

 

「甘露寺さんが………そんな………」

「あの人が死ぬなんて…………」

「……………俺は信じない。」

 

 特に甘露寺さんのことが好きだった伊黒さんは、一言だけ喋ったあと、口を開かず泣き続けた。

 

 

 

 そして萌ちゃんと蜜璃さんが戦ってた場所に駆けつけると、

 

「嫌…………嫌…………」

 

 萌ちゃんが蜜璃さんにずっと泣き縋ってた。2人で任務するうちに、仲良くなったのだろう。今の萌ちゃんからは、深い悲しみに包まれたような音がしていた。

 

 ただしのぶさんと伊黒さんは萌ちゃんに殺意を抱いていた。この2人はどう出るのか?少し心配したが、

 

「あっ、善逸、しのぶさん、伊黒さん…………」

「そんな申し訳なさそうな顔をするな。甘露寺が死んだのはお前のせいじゃない。甘露寺ならお前を助けるしお前を庇う。甘露寺はそういう奴だ。」

「正直今回ばかりは………仕方ないと思う………」

 

 無用の心配だった。流石にこの2人も、蜜璃さんに泣き縋る萌ちゃんを見たら気が変わったのだろう。2人からは彼女を責める音が一切しなかった。

 

 

 

 

 そのまま、俺たちはお館様に呼び出された。

 

「代理人のあまねです。」

 

 やってきたのは奥さんの方だが。どうやらお館様も先が短いらしい。

 

「あの2人ののおかげで、上弦の弐が討伐できました。本当に感謝しています。」

「いえ、私は何もしてません………全て甘露寺さんのおかげです………むしろ私が足を引っ張って………」

 

 萌ちゃんが思い詰めながら言葉を返す。流石にあまりにも辛そうだったので、

 

「萌ちゃんも頑張ったから倒せたんだって!それに相手は強かったんだからさ!」

「善逸…………」

 

 そう力なく返す萌ちゃんからは、ちょっと嬉しそうな、でもかなり申し訳なさそうな音がしていた。

 

 その会話の後、

 

「ここに蜜璃さんが(のこ)した手紙があります。それを読み上げます。」

 

 あまねさんの手によって、蜜璃さんの手紙が読み上げられた。

 

「鬼殺隊は強いままの私を受け入れてくれる、とても温かい場所でした!私はここの皆が大好きです!本当に本当に大好きです!私が死んだ後も、皆が幸せになれることを祈ってます!………とのことです。」

 

 蜜璃さんらしい、可愛らしい文章だった。それと同時に、俺は目から涙が溢れ出るのを抑えられなかった。もちろん他の3人もそうだった。

 

「あと、小芭内さんには別で手紙があります。」

「俺に…………か。」

「はい。これをどうぞ。」

「はい…………」

「あと、小芭内さんはこれを持って退席して大丈夫です。1人でゆっくり読んでください。」

「はい…………」

 

 また、伊黒さんには別で手紙が渡された。恐らく恋文だろう。

 

 

 

 

  side 伊黒

 

 甘露寺から俺に宛てられた手紙…………。一体なんだろう………?

 

 

 

「 伊黒さんへ

 

 これを読んでる時には、私は死んじゃってるわね。

 本当はもっと早く伝えたかったけど、ダメだったからここに書くね。

 優しい目をしている貴方がずっと好きでした!

 来世では私をお嫁さんにして下さい!

 

           甘露寺蜜璃 」

 

 

 

 そうだったのか………分かったよ………来世ではお前と絶対結婚するからな…………

 

 涙で濡れた手紙を握りしめながら、俺は家に帰った。

 

 

 

 

 

  side 萌

 

 未だに甘露寺さんが亡くなったのが信じられない。

 

「そして、残ってもらった3人には酷ですが、これから次の任務の話をします。」

「「「はい………」」」

 

 だがずっと立ち止まりそうになるところを、無理矢理足を進めさせられた。立ち止まってる場合じゃないと、あたかも甘露寺さんが言ってるかのように。とにかく任務は任務。やらねばなるまい。

 

「皆さんには、3日後に表参道である人に会ってもらいます。」

 

 ある人?誰だろう?とりあえずは、会う人を聞かないと。

 

「それで、今回は誰と会うのですか?」

「えっと………珠世さん*1………って、ご存知でしょうか?」

 

 珠世さん⁉︎確か400年くらい前に無惨の呪いを解いて裏切った人じゃないか⁉︎まだ生きてたんだ…………

 

「はい、もちろん。」

「今回はその人に会って、鬼殺隊への協力を仰いで欲しいです。試しに私の屋敷に来るように言って欲しいです。」

 

 ただ、彼女がその後何をしてるのかは分からない。鬼でも鬼狩りでもない、第三勢力になっててもおかしくはない。お館様に危険が及ぶようなことは避けた方がいいな。だから慎重に行くべきだろう。

 

 というか、しのぶさんと善逸は珠世さんのことを知らないよね?絶対に言った方がいいだろう。

 

「善逸としのぶさんに伝えますが………」

「珠世さん、って人のこと?」

「はい。彼女は私と同じ、無惨を裏切った鬼です。」

「「はい⁉︎」」

 

 まあいきなりこんなこと言われても、信じられないだろうな。特にしのぶさんは怒るだろう。

 

「ちょ、ちょっと⁉︎お館様はまた鬼を仲間に………⁉︎」

 

 やっぱり。

 

「そう………なんですよね、あまね様?」

「はい。」

「そう………ですか………」

 

 あれ、意外と大人しい。やっぱり甘露寺さんを亡くして落ち込んでるようだ。

 

「ということで、3人には先ほど言った通りの任務を頼みます。よろしくお願いします。事前に手紙はこちらから送っておくので。」

「「「御意………」」」

 

 ということで、私たちは表参道へと向かうことになった。

 

 

 

 

 3日後、私たちは蝶屋敷に集合してから出発した。

 

「萌、新しい毒(朝ごはん)………」ブスッ

「はい…………」

 

 やっぱり甘露寺さんが亡くなってからのしのぶさんはどこか落ち込んでる。毒を刺すときのやる気も感じられない。

 

「しのぶさん、こんなこと言うのもなんですが……」

「どうしたの、萌?」

「なんか最近元気ないですよね?理由は分かりますが。」

「そうね………」

 

 やっぱりそうだったか。というか、わざわざこんなこと聞く必要なかったか………

 

「というか、貴方をどう思えばいいか分からなくなってて………」

 

 ん?どういうことだろう?

 

「えっと、それは………」

「私の継子は貴方に殺された。だから私は貴方を嫌ってたの。」

「それはそうですね………」

「でも、私の姉の仇だった上弦の弐、童磨を殺してくれた。アイツを地獄に落としてくれた。その時から、貴方はある種の恩人にもなったの。」

「なるほど…………」

「だから、私は貴方にどんな感情を抱けばいいか混乱してて………」

 

 そんなことを思ってたのか………。確かに憎き人を地獄に落としてくれたのなら、感謝もするかもしれない。でも、この私だけは、恩人と呼べるものじゃあないだろう。それに、童磨を倒した功労者は甘露寺さんだ。

 

「なら、その恩人は甘露寺さんにしてください。私のことは、貴方のしたかった復讐の機会を奪った泥棒猫だと思ってもらって結構です。」

 

 こうすれば、しのぶさんも余計なことを考えずに済むだろう。

 

「ふふっ、貴方って優しいのね。」

 

 はい?

 

「えっ?」

「善逸君の言ってたことが分かった気がするよ。」

「やっと分かってくれましたか!ならば俺と結婚しましょう!」

「それは嫌。」

「そんなぁぁぁぁぁぁぁ⁉︎」

 

 よりによってしのぶさんがそう言うとは、なんだか信じられないな………

 

 

 

 

 そんなことを思ってると、表参道に着いたみたいだ。そしてそこ入り口では、

 

「珠世様に会いたいと言う鬼狩りがいるんで来てみたら、年増に幼女に蒲公英(たんぽぽ)とは…………これは一体どういうことだ⁉︎」

 

 1人の男が冷たく迎えてくれた。

*1
浅草に居ない事情は後ほど




 ということで、第九章ではようやく珠世様に会います。この人が浅草に居れば、童磨戦はちょっとマシになったんですけどね。あと、3人が駆けつけるところ以降をこの話にしたのは、前回を萌が泣き縋るところで締めたかったからです。

 さて、次回は裏切り者同士の会談です。お楽しみに!

 それと、評価・感想をお願いします。


 最後に、来週から仕事の都合で、休日が変なタイミングに入ります。なので、変なタイミングで更新されます。よろしくお願いします。
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