side 萌
数多の人間を操りながら襲ってくる鬼。早くあの人たちを解放してあげないと…………
「…………」ボトッ
ん?何かが落ちてきたぞ…………?
「ちゅ………チュン太郎?」
それは、見慣れた雀、善逸の相棒であったチュン太郎だった。白目を剥いており、はっきりと死んでるのが見て分かった。
「嘘………だろ………?」
そしてそれを見て絶望する善逸。彼にとっては大切な存在だったチュン太郎。そもそも鎹鴉が殺されることなんてなかった。それも相まって、彼にとっては受け入れ難い事実だろう。私が甘露寺さんを亡くしたように………
「鎹鴉も狙うとか、卑怯な鬼ね。」
「ですね。腹が立ちます。」
「さっさと殺さないと。」
「はい。」
幸いしのぶさんの鴉は死んでない。ただいつ死ぬかも分からない。早くしないと………
side ??
くそっ、鴉の方は殺しそこねた‼︎宵闇に黒は見えにくいんだよ‼︎まあ雀の方を殺せただけマシか…………
side 善逸
チュン太郎…………いつも俺のそばにいて、俺を支えてきてくれた相棒だった………。よく一緒に泣いたり笑ったりもした。俺が変な言動をすると、怒られたりもした。あと、よく俺のおにぎりパクってたよなぁ。俺気づいてたぞ。なぁ、もっかいおにぎりあげるからさ。だからなんとか言ってくれよ…………
side 萌
正直、チュン太郎は私の鴉でもあった。あんまり懐いてくれなかったけど。もう少し時間があったら、仲良く出来たかなぁ。ありもしない想像をしては胸が苦しくなる。
ただ善逸の苦しみ、悲しみはそれ以上だ。彼にはチュン太郎を労わる時間が必要だろう。だから私としのぶさんでなんとかしないと!
「遺体を見て気づいたことがあるわ。」
しのぶさんが声をかけてくる。流石は医者。死因をもう特定できたのか。
「この子は一切の外傷がない。そして口だけが不自然に開いてる。」
「つまり………?」
「恐らくは窒息。口の中に何か入ったんだと思う。」
窒息………か。それなら鬼の仕業ではないのか?
「チュン太郎の中から鬼の音が少しだけする。」
ただ、善逸は鬼の仕業だという。となるとあの鬼に操られて自殺させられた?
「…………」スッ
そして善逸がチュン太郎の口の中に日輪刀を入れると、
「………鬼の音が消えた?何も刺してないのに?」
不思議な現象が発生した。
「どういうこと?」
「分からない。」
一体何がチュン太郎を殺したのか?私たちが考えていると、
「「「「「あぁぁぁぁぁぁ‼︎」」」」」
操られた人間の群れが、すぐそこまで迫ってきていた。
「とりあえずこの人たちを撒きながら、鬼を探すわよ!」
「はいっ!」
流石にこの数の人間を殺さずに扱うのは無理がある。そう判断したしのぶさんはあえて尾行させることを選んだ。私としのぶさんなら大丈夫だろう。
「………俺もやるよ。チュン太郎の仇を討ってやる。」
そして善逸の顔は悲しみから怒りに変わった。普段はあまり見ない表情。彼は本気だ。
「それじゃあ行くよ。」
「「はいっ!」」
ということで、私たちは迫り来る人間の攻撃を避けながら、敢えて追尾させ、鬼を探すことにした。
side ??
大量の人間の上を飛んだ………か。そして敢えて尾行させる、と。確かに自分たちの方が身体能力が上だから、それも可能だろう。
だったらとりあえず囲んでみるか。あそこに丁度いい人がいるから、そいつを起点に………っと。
side 萌
私たちが操られてる人たちの上を飛び越えると、
「「「「「あぁぁぁぁぁ‼︎」」」」」
今度は斜め右前の路地裏から5人ばかり飛び出してきた。おそらくアレも操られた人間だろう。となると、
「このままだと囲まれます!」
「左に寄るよ!」
「「はいっ!」」
こうするしか………
「「「「あぁぁぁぁぁぁ‼︎」」」」
ってこっちからも出てきた⁉︎
「くそっ、完全に読まれます‼︎このままだと囲まれます‼︎」
「囲まれても上を越えればいいだけ!それよりこれはいいかもしれない。」
えっ?この状況がむしろいい、ってどういうこと?
「鬼の音が大きくなってる………」
「そういうこと。敵は私たちの挙動を目で直接見ながら動いてるはずよ。」
「なるほど!」
そういうことか‼︎となると段々近づいてるはず…………
「「「おっと!」」」ひょいっ!
「「「「「あぁぁぁぁぁ‼︎」」」」」
私たちは囲まれそうになる寸前で、なんとか彼らを飛び越え、前に進むことが出来た。
「近づいてます、萌ちゃん、しのぶさん!」
「ほら、私の言う通りでしょ?」
「流石です、しのぶさん!」
しのぶさんの経験により活路が見出せていく。早く探さないと………ってあそこに落ちてるのは…………?
「無惨の………写真?」
どういうことだ?まさかここに無惨がいるのか?でもアイツが前線に出てくるとは思えない。ならなんで…………ってまさか!
「私、敵の正体が分かったかもしれません。」
「「本当に⁉︎」」
「ええ。」
私の予想が正しければ、敵は多分………アイツだ。
side ??
くそっ、思ったより人間の動きがトロい‼︎これ以上速度を上げたら、身体が壊れるだろう‼︎これだから人間は………っ!
さてと、こういう時は一旦無惨様の写真を見て心を落ち着けるんだ。いや、興奮しちゃうけど♡えっと、確かズボンの中に…………って無い⁉︎くそっ、どこに落としてきたんだ⁉︎俺としたことが⁉︎まさか今鬼殺隊が通ってる道か⁉︎流石に遠目じゃ写真が落ちてるかは分からない‼︎くそっ、くそっ‼︎
「影人………萌たちの討伐はまだか?」
ってこの天の声は………っ‼︎
「すいません、まだですぅ♡」
無惨様!無惨様の声だ‼︎
「そうか。早くしろ。お前には死なれると困るからな。」
「はひぃぃぃぃ♡///」
あぁ^〜生き返る〜♪よしっ、さっさと役目を終えて戻るぞ!なんせこれは俺が自分から引き受けた仕事なのだから‼︎
俺の血鬼術は闇を操る。それは相手の視界を奪えるくらいしか役に立たないが、上手く使えば雀程度なら窒息させられる。
じゃあ人間はどうするか、って?人間、特に鬼殺隊は闇に慣れている。そして身体能力も高い。視界を奪ったくらいじゃ上手く対処されるし、窒息のために口に闇を届けるのも正直自信が無い。物理的な闇だけじゃ、どうにもならない。
だが、俺が操るのは物理的な闇だけじゃない。心の闇、つまりは負の感情を持つ人をも操ることができる。心の闇が大きければ大きいほど操れるため、うつ病の患者なんかは特に最高だ!その人を起点に暴れさせれば、人々に不安は伝播し、より多くの人を操れるようになる。まあ相手の身体能力に反比例する、という縛りもあるけどね〜。
そしてなんと、よくよく見たら、鬼殺隊にめちゃくちゃでかい闇を抱えてる奴がいるじゃないか‼︎これはいいぞ〜♪
「俺のお人形に、なあれ♪」
これでイケるはずだ‼︎
side 萌
この人間を操ってるのは、恐らく影人だ。なんで前線に出てるのかは知らないけど。アイツは物理的な闇と心の闇を操れる。今人間を操ってるのは心の闇で、だ。だから人々を安心させれば、彼らは解放される!
「皆さん、聞いてください!貴方達はある鬼に操られてます!現に自分の意思で身体を動かせないでしょう?」
「「「「「あぁぁぁぁぁぁ‼︎」」」」」
「でも安心してください!私たちがその鬼を今から退治します!何故なら私たちは鬼殺隊ですから!」
「「「「「………おっ!」」」」」
「か、解放された………っ!」
「やったぁ、やったぁぁぁぁ‼︎」
私の演説により、人々が操りから解放された。これで大丈夫!タネが分かってしまえば、楽勝よ!
「萌、ありがとう!」
「いえいえ!」
さあ待ってろ影人!必ずお前を殺して、太陽を復活させてみせる‼︎
「雷の呼吸 壱の型 霹靂一閃」
えっ、善逸?なんで私に向かって、突撃してくるの?
ということで、敵の正体は影人でした。久しぶりですね。あと、チュン太郎はお亡くなりに………
そして、善逸が操られてしまいました。果たしてどうなるのか。それは次回以降のお楽しみに!
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