我妻物語   作:スピリタス3世

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第四十九話 人間無殺の縛り

  side 萌

 

 数多の人間を操りながら襲ってくる鬼。早くあの人たちを解放してあげないと…………

 

「…………」ボトッ

 

 ん?何かが落ちてきたぞ…………?

 

「ちゅ………チュン太郎?」

 

 それは、見慣れた雀、善逸の相棒であったチュン太郎だった。白目を剥いており、はっきりと死んでるのが見て分かった。

 

「嘘………だろ………?」

 

 そしてそれを見て絶望する善逸。彼にとっては大切な存在だったチュン太郎。そもそも鎹鴉が殺されることなんてなかった。それも相まって、彼にとっては受け入れ難い事実だろう。私が甘露寺さんを亡くしたように………

 

「鎹鴉も狙うとか、卑怯な鬼ね。」

「ですね。腹が立ちます。」

「さっさと殺さないと。」

「はい。」

 

 幸いしのぶさんの鴉は死んでない。ただいつ死ぬかも分からない。早くしないと………

 

 

 

 

  side ??

 

 くそっ、鴉の方は殺しそこねた‼︎宵闇に黒は見えにくいんだよ‼︎まあ雀の方を殺せただけマシか…………

 

 

 

 

  side 善逸

 

 チュン太郎…………いつも俺のそばにいて、俺を支えてきてくれた相棒だった………。よく一緒に泣いたり笑ったりもした。俺が変な言動をすると、怒られたりもした。あと、よく俺のおにぎりパクってたよなぁ。俺気づいてたぞ。なぁ、もっかいおにぎりあげるからさ。だからなんとか言ってくれよ…………

 

 

 

 

  side 萌

 

 正直、チュン太郎は私の鴉でもあった。あんまり懐いてくれなかったけど。もう少し時間があったら、仲良く出来たかなぁ。ありもしない想像をしては胸が苦しくなる。

 

 ただ善逸の苦しみ、悲しみはそれ以上だ。彼にはチュン太郎を労わる時間が必要だろう。だから私としのぶさんでなんとかしないと!

 

「遺体を見て気づいたことがあるわ。」

 

 しのぶさんが声をかけてくる。流石は医者。死因をもう特定できたのか。

 

「この子は一切の外傷がない。そして口だけが不自然に開いてる。」

「つまり………?」

「恐らくは窒息。口の中に何か入ったんだと思う。」

 

 窒息………か。それなら鬼の仕業ではないのか?

 

「チュン太郎の中から鬼の音が少しだけする。」

 

 ただ、善逸は鬼の仕業だという。となるとあの鬼に操られて自殺させられた?

 

「…………」スッ

 

 そして善逸がチュン太郎の口の中に日輪刀を入れると、

 

「………鬼の音が消えた?何も刺してないのに?」

 

 不思議な現象が発生した。

 

「どういうこと?」

「分からない。」

 

 一体何がチュン太郎を殺したのか?私たちが考えていると、

 

「「「「「あぁぁぁぁぁぁ‼︎」」」」」

 

 操られた人間の群れが、すぐそこまで迫ってきていた。

 

「とりあえずこの人たちを撒きながら、鬼を探すわよ!」

「はいっ!」

 

 流石にこの数の人間を殺さずに扱うのは無理がある。そう判断したしのぶさんはあえて尾行させることを選んだ。私としのぶさんなら大丈夫だろう。

 

「………俺もやるよ。チュン太郎の仇を討ってやる。」

 

 そして善逸の顔は悲しみから怒りに変わった。普段はあまり見ない表情。彼は本気だ。

 

「それじゃあ行くよ。」

「「はいっ!」」

 

 ということで、私たちは迫り来る人間の攻撃を避けながら、敢えて追尾させ、鬼を探すことにした。

 

 

 

 

  side ??

 

 大量の人間の上を飛んだ………か。そして敢えて尾行させる、と。確かに自分たちの方が身体能力が上だから、それも可能だろう。

 

 だったらとりあえず囲んでみるか。あそこに丁度いい人がいるから、そいつを起点に………っと。

 

 

 

 

  side 萌

 

 私たちが操られてる人たちの上を飛び越えると、

 

「「「「「あぁぁぁぁぁ‼︎」」」」」

 

 今度は斜め右前の路地裏から5人ばかり飛び出してきた。おそらくアレも操られた人間だろう。となると、

 

「このままだと囲まれます!」

「左に寄るよ!」

「「はいっ!」」

 

 こうするしか………

 

「「「「あぁぁぁぁぁぁ‼︎」」」」

 

 ってこっちからも出てきた⁉︎

 

「くそっ、完全に読まれます‼︎このままだと囲まれます‼︎」

「囲まれても上を越えればいいだけ!それよりこれはいいかもしれない。」

 

 えっ?この状況がむしろいい、ってどういうこと?

 

「鬼の音が大きくなってる………」

「そういうこと。敵は私たちの挙動を目で直接見ながら動いてるはずよ。」

「なるほど!」

 

 そういうことか‼︎となると段々近づいてるはず…………

 

「「「おっと!」」」ひょいっ!

「「「「「あぁぁぁぁぁ‼︎」」」」」

 

 私たちは囲まれそうになる寸前で、なんとか彼らを飛び越え、前に進むことが出来た。

 

「近づいてます、萌ちゃん、しのぶさん!」

「ほら、私の言う通りでしょ?」

「流石です、しのぶさん!」

 

 しのぶさんの経験により活路が見出せていく。早く探さないと………ってあそこに落ちてるのは…………?

 

「無惨の………写真?」

 

 どういうことだ?まさかここに無惨がいるのか?でもアイツが前線に出てくるとは思えない。ならなんで…………ってまさか!

 

「私、敵の正体が分かったかもしれません。」

「「本当に⁉︎」」

「ええ。」

 

 私の予想が正しければ、敵は多分………アイツだ。

 

 

 

 

  side ??

 

 くそっ、思ったより人間の動きがトロい‼︎これ以上速度を上げたら、身体が壊れるだろう‼︎これだから人間は………っ!

 

 さてと、こういう時は一旦無惨様の写真を見て心を落ち着けるんだ。いや、興奮しちゃうけど♡えっと、確かズボンの中に…………って無い⁉︎くそっ、どこに落としてきたんだ⁉︎俺としたことが⁉︎まさか今鬼殺隊が通ってる道か⁉︎流石に遠目じゃ写真が落ちてるかは分からない‼︎くそっ、くそっ‼︎

 

「影人………萌たちの討伐はまだか?」

 

 ってこの天の声は………っ‼︎

 

「すいません、まだですぅ♡」

 

 無惨様!無惨様の声だ‼︎

 

「そうか。早くしろ。お前には死なれると困るからな。」

「はひぃぃぃぃ♡///」

 

 あぁ^〜生き返る〜♪よしっ、さっさと役目を終えて戻るぞ!なんせこれは俺が自分から引き受けた仕事なのだから‼︎

 

 俺の血鬼術は闇を操る。それは相手の視界を奪えるくらいしか役に立たないが、上手く使えば雀程度なら窒息させられる。

 

 じゃあ人間はどうするか、って?人間、特に鬼殺隊は闇に慣れている。そして身体能力も高い。視界を奪ったくらいじゃ上手く対処されるし、窒息のために口に闇を届けるのも正直自信が無い。物理的な闇だけじゃ、どうにもならない。

 

 だが、俺が操るのは物理的な闇だけじゃない。心の闇、つまりは負の感情を持つ人をも操ることができる。心の闇が大きければ大きいほど操れるため、うつ病の患者なんかは特に最高だ!その人を起点に暴れさせれば、人々に不安は伝播し、より多くの人を操れるようになる。まあ相手の身体能力に反比例する、という縛りもあるけどね〜。

 

 そしてなんと、よくよく見たら、鬼殺隊にめちゃくちゃでかい闇を抱えてる奴がいるじゃないか‼︎これはいいぞ〜♪

 

「俺のお人形に、なあれ♪」

 

 これでイケるはずだ‼︎

 

 

 

 

  side 萌

 

 この人間を操ってるのは、恐らく影人だ。なんで前線に出てるのかは知らないけど。アイツは物理的な闇と心の闇を操れる。今人間を操ってるのは心の闇で、だ。だから人々を安心させれば、彼らは解放される!

 

「皆さん、聞いてください!貴方達はある鬼に操られてます!現に自分の意思で身体を動かせないでしょう?」

「「「「「あぁぁぁぁぁぁ‼︎」」」」」

「でも安心してください!私たちがその鬼を今から退治します!何故なら私たちは鬼殺隊ですから!」

「「「「「………おっ!」」」」」

「か、解放された………っ!」

「やったぁ、やったぁぁぁぁ‼︎」

 

 私の演説により、人々が操りから解放された。これで大丈夫!タネが分かってしまえば、楽勝よ!

 

「萌、ありがとう!」

「いえいえ!」

 

 さあ待ってろ影人!必ずお前を殺して、太陽を復活させてみせる‼︎

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「雷の呼吸 壱の型 霹靂一閃」

 

 えっ、善逸?なんで私に向かって、突撃してくるの?




 ということで、敵の正体は影人でした。久しぶりですね。あと、チュン太郎はお亡くなりに………

 そして、善逸が操られてしまいました。果たしてどうなるのか。それは次回以降のお楽しみに!

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