我妻物語   作:スピリタス3世

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第五十話 心の闇

  side 萌

 

 善逸?なんで私に向かって突撃してくるの?

 

「ちょっと善逸!私よ、私⁉︎」

「善逸君、どうしたの⁉︎」

「雷の呼吸………」

 

 ダメだ、刀で受けたのに攻撃をやめない‼︎まさか操られたのか、善逸が⁉︎あまり心の闇を抱えている印象はなかったが、チュン太郎の死で変わったのか⁉︎

 

「くっ………ごめん、善逸!」プスッ

 

 とりあえず日輪刀をちょっと刺す。操られてるのならこれで…………

 

「雷の呼吸…………」

 

 って治んない⁉︎嘘でしょ⁉︎

 

 

 

 

  side 影人

 

 彼の心の闇は………そう簡単に取り払えるものじゃあないよ。確かに雀が死んでから増大したのだが、それ以前にもものすごい闇が感じられた。その時に操っても良かったけど、やはり突然豹変される方が相手の動揺を誘えるからな!

 

 さて、次は他の人の闇を増やす為に………こうするかっ♪

 

 

 

 

  side 萌

 

 善逸は恐らくチュン太郎の死で闇が深くなってる。だったらここは………

 

「善逸、味方に斬りかかってどうするの⁉︎チュン太郎もそんな姿は、見たく無いと思うよ!」

 

 彼の名前を出す。これで目覚めてくれるはず…………

 

「雷の呼吸 壱の型………」

 

 って嘘だろ⁉︎そっちは一般人の方向だ!マズい、止めなきゃ‼︎

 

「嘘だろ…………」

「アイツ敵かよ⁉︎」

「もう何も信じられない………っ!」

 

 しかも一般人が不安になってしまった!これはマズい‼︎

 

「「「「「あっ………あぁぁぁぁ‼︎殺してやるぅぅ‼︎」」」」」

 

 くそっ、一般人まで操られてしまった‼︎どうする、どうする⁉︎

 

「皆さん、落ち着いてください!彼は私たちがなんとかしますから!」

「「「「信じられるかぁぁぁぁぁぁ‼︎」」」」

 

 しのぶさんの宥めにも耳を貸さない‼︎

 

「萌は善逸をなんとかして!私はこの人たちを止めるから!」

「分かりました!」

 

 一般人とはいえ、何人もを1人で相手にするのは厳しい。それをしのぶさんが担ってくれた。

 

「これは一体………?」

「また酷くなってんな。」

「珠世さん、愈史郎さん、ちょうどよかった!この人たちを止めるのを手伝ってください‼︎」

「わ、分かりました!」

「珠世様、なんなりとご命令を‼︎」

 

 さらには駆けつけた珠世さんと愈史郎さんにも助けを要請する。この人数ならなんとかなるか!

 

「皆さん、ありがとうございます!」

「萌、任せたわよ。」

 

 だから私は、善逸を止めるんだ…………っ!

 

「雷の呼吸………」

 

 とりあえず私が押さえつけてる間も、善逸は一般人に斬りかかろうとする。

 

「善逸、だめっ!」

 

 それを私が無理矢理押さえてる。とりあえず、このまま離れないと!

 

「あぁぁぁぁぁぁ‼︎」

「落ち着いて、善逸!チュン太郎にみっともない姿を見せるの⁉︎」

「うるせぇ‼︎俺を離せ‼︎」

 

 今の善逸の言葉はただ言わされてるだけ。彼の本心じゃない‼︎

 

「離さない‼︎とりあえずこっちに来る‼︎」

「嫌だぁぁぁぁ‼︎俺に人を殺させろぉぉぉぉ‼︎」

 

 くそっ、善逸はそんなこと言わない‼︎善逸は人なんか殺さない‼︎悪人になんか、私がさせない‼︎悪人は私だけで充分だ‼︎

 

「善逸、目を覚まして!」

「目は覚めてるだろ‼︎だから殺させろぉぉぉぉ‼︎」

「チュン太郎の気持ちはどうなるの⁉︎」

「知ったことか‼︎俺は俺だ‼︎人を殺してカッコつけさせてくれよ‼︎」

「そんなの善逸じゃない‼︎」

「うるせえ‼︎」

 

 くそっ、何度チュン太郎の名を出しても、彼の闇は解消されない‼︎どうする、どうする…………?

 

 

 

 

  side 善逸

 

 くそっ、心にも思ってないことを勝手に喋らされる…………。ごめんよ、萌ちゃん。でももう俺、ダメみたいだ。このまま心の闇を利用されて、ダメな奴になっちゃうんだ。

 

 いや、俺は元からダメだったな。弱気でビビリで意気地なしで………それだから色んな人たちが離れていくんだ。守れなかったチュン太郎、鬼になった兄貴、それを知って首を落としたじいちゃん。名前も書かずに俺を捨てた親に、借金を背負わせた女ども。その理由も、自分が恵まれてないんじゃなくて、自分がダメだからだ。萌ちゃんだってそうだろう。こんなダメな俺を見て、愛想を尽かすのも時間の問題だろう………

 

「善逸、お願い!」

「うるせえ、まずはお前から斬ってやる‼︎」

 

 ごめん、そんなこと思ってないよ。傷つく萌ちゃんなんて見たくないよ。でも口が勝手に動くんだ。俺が弱いから………

 

 

 

 

  side 萌

 

 善逸の心の闇を晴らすにはどうしたらいい?善逸はどんな不安を抱えている?

 

「善逸、安心して!私がついてるから!」

「知るか!とにかく人を殺させろ‼︎」

「そんなこと言っちゃダメ!貴方はそんな酷い人じゃあないでしょう⁉︎」

「だったら金をたくさん奪ってだな‼︎」

「貴方はそんな人じゃない‼︎」

「だったらあそこの美人さんといいことしてえなぁ‼︎」

「貴方はそんな…………人だね。」

「そこは否定しろや。」

 

 善逸を介して突っ込んだ影人。早くアイツを倒したい。先に殺せば善逸を解放できるが、いかんせん善逸が人を殺すまでにアイツを倒すのは困難だ。そもそも場所が分からないし。

 

 だから善逸の不安を取り除かなきゃ………っ!

 

「とにかく善逸、私がずっとついてるから!」

「嫌だね!アンタら鬼殺隊はクソ‼︎無惨様は最高‼︎いぇぇぇぇい‼︎」

 

 取り除かなきゃ………

 

「お願い善逸、戻って!」

「戻る?あっ、無限城にか‼︎」

 

 取り除かなきゃ………

 

「じゃ、じゃあ私が戻すから‼︎」

「戻すって⁉︎萌ちゃんゲロでも吐くの⁉︎ウケるぅぅぅぅぅぅw‼︎」

 

 取り除かなきゃ………

 

「善逸、私は貴方の味方‼︎」

「え〜、俺はもっと発育のいい子と一緒にいたいな〜‼︎」

 

 取り除……………私の中で何かが切れた。

 

「…………」

「あれ、どうしたの〜?何か反論は〜?」

「ないよ。それより弱すぎない?いつまで身体乗っ取られてんの?」

「あれっ、なんか怒ってない?どうした〜?」

「善逸ってさ、弱いよね。ビビリだし。それに加えて変態だし。」

「おやっ、もしや諦めたのかな〜?」

 

 挙げたらキリのない欠点。善逸はそういう奴だ。

 

「でも貴方は優しい。そして強い。」

「あれっ、弱いのに強いって、さっきと矛盾してな〜い?」

 

 そしてそれを打ち消して余るだけの美点。善逸はそういう奴だ。

 

「私は貴方のそこに惚れたの。」

「おいおい、恋バナってw。俺が惚れたのは無惨様なのにい〜♪」

「だから私は貴方を見捨てない。貴方の欠点だろうがなんだろうが、そんなの全部受け入れる。いくら貴方が恥を晒そうが、罪を犯そうが、そんなの知ったこっちゃない。私は貴方から離れないし、貴方が離れようとも着いてくから。それに私鬼だから死に時を操れるし。」

 

 だからこそこれを言う。まあ私が悪人であるが故の、傲慢極まりない発言だけど。

 

「言ったね、萌ちゃん。俺との約束だよ?」

 

 そして私は、久しぶりに彼の声を聞けた。

 

 

 

 

 

  side 善逸

 

 俺からずっと離れないって…………どんだけ恥を晒してもいいのかよ………そして萌ちゃんは太陽さえ浴びなければ死なない。逆に言えば、俺が死ぬ時には太陽を浴びて死んでくれる。つまり俺とずっと居てくれるってことで………そんなの嬉しすぎるよ!そう思った途端、なんだか身体が自由になるのを感じた。

 

 今まで萌ちゃんは、優しい子だとは思ってた。でも正直俺を殺そうとしてきた経緯から、複雑な感情を抱いていた。だから女の子たちの中でも、萌ちゃんだけそんなに好意を抱いてなかった。

 

 でも今は違う。

 

「萌ちゃん、俺も好き♪」

「へっ⁉︎あっ、えっと………///」

「だからさっさと、邪魔者は倒しちゃおうぜ‼︎」

「うっ、うん!」

 

 むしろ逆だ‼︎




 ということで、善逸が救われる話でした。原作の無限列車の無意識闇領域から、この話を思いつきました。ちなみに本作の無限列車編を見返すと、善逸の夢に萌が出てないのが分かります。

 ちなみにこのままだと、萌が善逸を地獄に巻き込むって言ってることになりますが、それについては後で触れます。

 さて次回は影人との戦いです!お楽しみに!
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