第五十二話 無限城転移
side 萌
いきなり私たちは無限城に落とされてしまった。
「萌ちゃん、ヤバいってぇぇぇ‼︎落ちるぅぅぅぅ‼︎」
しかも足場無し。それがかなり長く続いている。ただ、いずれは地面にぶつかるだろう。仮に私が善逸を支えたとしても、この落下時間分の衝撃は緩和し切れない。つまりは善逸がかなりの衝撃を受けてしまう!脚が折れるのは間違いないだろう。だったら………
「善逸、私に掴まって!」
「わ、分かった!」
私にしがみつかせてから………
「月の呼吸 壱の型 闇月・宵の宮」
脇にある壁を壊す‼︎
「おおっ、壁に穴を開けたのか!」
「うんっ!さあ、あそこに入るよ!」
「分かった!」
こうして私がなんとか穴を開けた場所にしがみつき、
「よいしょっ!」
頑張って這いあがった。善逸の分の体重がかかって結構大変だったが、そこは鬼の力と痣の力でなんとかよじ登ることが出来た。そして、よじ登った場所にはしばらく一本道が続いていた。
よじ登った後、床の上で私たちは話し合いを始めた。
「ねえ萌ちゃん、これって無限城だよね?」
「うん。多分私たち、閉じ込められてる。」
「しのぶさんたちは?」
「私たちが消えたことしか分かんないと思う。影人に操られてた100人の一般人が、私たちが襖に落とされるとこを見てるとかじゃない限り。」
「そっか………」
現状、私と善逸はたった2人で無限城に閉じ込められてる。しかもそれを他の鬼殺隊員が知ってる可能性は低い。連絡手段だったチュン太郎も既に影人に殺されている。
「ちなみにこの中にいるのは無惨と上弦の壱、黒死牟。それに城の主、鳴女。」
無惨と黒死牟様には現状会うと詰み。この2人に会う前に、鳴女を倒すしかない。
「いや、それだけじゃない。鬼になった俺の兄弟子もいる。人間の頃の強さからして、多分下弦よりは強いはず。」
「それは面倒ね…………」
しかも下弦より強い奴もいるらしい。単体で来るならともかく、鳴女と戦ってる時に来られたら厄介だ。
「あれ、上弦の参は?まだ生きてるよね?」
「奴は女は襲わない。だから私がいる限り大丈夫なはず。」
猗窩座については彼の謎の縛りで助かっている。善逸単体で会うとキツイが。
「分かった。それで萌ちゃん、ここから出る方法は?」
「無惨と上弦の壱に会わずに、城の主・鳴女を倒す。」
「了解!」
だからこうするしかあるまい。まずは早く地上に出なければ‼︎
そんな私たちの願望を防ごうとするが如く、
「うわっ、壁に潰される‼︎」
両脇から壁が張り出してくる。鳴女の仕業か!とりあえずは善逸を逃そう!
「善逸、上へ!」
「了解!雷の呼吸 壱の型 霹靂一閃」
善逸が居合いをしながら上に突っ込むのを見て、
「月の呼吸 拾参の型 闇夜ノ円舞・月輪」
私が一回転して壁を壊す。
「萌ちゃん、上にも道がある!」
そして入った善逸の報告。これは今の道と上の道、どっちに行けばいいだろうか?
「………かすかに琵琶の音が聞こえる……」
答えは上の道だった。
「善逸、今からそっち行くよ!」
「わ、分かった!」
「よいしょっと!」ぴょん
私は精一杯の跳躍でなんとか上の道が見え、
「萌ちゃん、掴まって!」
「分かった!」
「ほらよっと!」
善逸が私の腕を掴んで引き上げてくれた。
「ありがとう、善逸。」
「いえいえ〜!」
正直私1人では厳しかったかもしれない。でも善逸が居てくれたおかげで、なんとかここまで生きている。鬼なら死ぬことはないかもしれないが、壁に押し潰されて閉じ込められることはあるからね。本当に善逸がいてくれてよかった!
side 無惨
影人、感謝する!これで厄介な萌の位置が分かり、無限城内に閉じ込めることが出来た!こいつらは鳴女や獪岳や猗窩座や黒死牟に殺させればいいだろう!猗窩座も、今回はちゃんと女殺してくれよな‼︎
そして鳴女、感謝する!貴様のおかげで産屋敷邸の場所が分かった!さあ見に行くぞ、産屋敷の醜悪な姿を‼︎
side しのぶ
萌と善逸君が帰ってこない………彼らは一体何をしてるの⁉︎
「すいません、金髪の男女を見てませんか?」
とりあえずそこら辺の人に聞いてみるか………
「あのっ………なんか襖が突然現れて………地面に消えました!」
「⁉︎」
襖が現れた⁉︎それって萌の言ってた無限城ってこと⁉︎それじゃああの2人は今無限城に閉じ込められてるのか‼︎
「カーッ、産屋敷邸、襲撃‼︎無惨、来襲‼︎」
はっ⁉︎しかもお館様の屋敷がバレた⁉︎更に無惨が来たって⁉︎どういうこと⁉︎と、とりあえず珠世さんを連れて、お館様のところに向かうか………
「すいません、ありがとうございました!」
「いえいえ…………」
くそっ、敵に後手を踏まされてる‼︎なんとかしないと………っ‼︎
side 萌
かすかに聞こえる琵琶の音。それを私たちは頼りに進んでいた。
「雷の呼吸 壱の………って壁出てきた!」
「月の呼吸 参の型 厭忌月・銷り」
「ありがとう!雷の呼吸 壱の型 霹靂一閃」
「また壁……っ!月の呼吸 捌の型 月龍輪尾」
道なき道を進む、というより壁をぶち壊して道を無理矢理作って進んでいく。時々鳴女の妨害に遭いながらも、それも壊して進んでいく。いささか脳筋な戦法だが、それが手っ取り早いからこうしてる。
「萌ちゃん、琵琶の音が近づいてきた!」
「ありがとう、善逸!あと少しだね!」
「うん!」
ひとまずこの状況を脱却出来る。いや、する。そのためにも、鳴女を倒す‼︎
べべん!
いつもより大きな琵琶の音が鳴り響く。本人の琵琶の音が近づいてきた証拠だろう。さて、次はどこから壁が出てくる?どこを壊せばいい?
「萌ちゃん、あれ見て…………」
「えっ?」
善逸が指をさす。どこかおかしい場所でもあったのか?気になったので指された方を見ると……………
「萌………最後の修行を………始めようか………」
「黒死牟様…………っ!」
かつての師匠がそこにはいた。
ということで、最終章が始まりました。無限城決戦………のはずが、鬼側は童磨が居ないのに対し、鬼殺隊側はそもそも善逸と萌の2人っきりです。
そしてたった2人で黒死牟戦が始まってしまいました。果たしてどうなるのか。それは次回のお楽しみに!
最後に、評価・感想をお願いします。