我妻物語   作:スピリタス3世

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第五十五話 赫い稲妻

  side 萌

 

 伊黒さんと悲鳴嶼さん、そして私の赫刀。これならいける………

 

 

 

 

 

 って身体が重い‼︎動かない‼︎力を込めて握り過ぎた‼︎呼吸すら全て持ってかれる‼︎

 

「岩の呼吸 伍の型 瓦輪刑部」

「月の呼吸 拾の型 繊面斬・羅月」

 

 動けてないのは伊黒さんも同じ。でも悲鳴嶼さんは動けている。赫刀の出し方が違うとはいえ‼︎

 

「岩の呼吸 陸の型 角礫岩・凝灰」

「月の呼吸 拾参の型 闇夜ノ円舞・月輪」

 

 悲鳴嶼さんが黒死牟の両側からそれぞれ鉄球と斧を、黒死牟の位置で手を合わせるようにぶつける。それを一回転して一蹴する黒死牟。悲鳴嶼さんはやはり強い。でもそれ以上に黒死牟が強い。きっと無惨の野郎はもっと強い。だからこので私がなんとかしないと!鬼だろ、お前は‼︎力がなくてどうする⁉︎

 

「月の呼吸 拾伍の型 月槍・陰牙突」

「我妻萌、助かる!」

 

 こうして私は伊黒さんを抱きかかえて、そのまま黒死牟に突っ込んでいく。

 

「なんと………強引な………っ‼︎」

「岩の呼吸 肆の型 流紋岩・速征」

「月の呼吸 捌の型 月龍輪尾」

 

 そして悲鳴嶼さんが私たちに合わせてくれた。黒死牟の攻撃に対応しつつ、私たちを避けて攻撃を飛ばしてくれた。今のうちに、伊黒さんを黒死牟に投げつける‼︎

 

「蛇の呼吸 伍の型 蜿蜿長蛇」

 

 そして伊黒さんが赫刀のまま刺さる‼︎

 

「なっ……………⁉︎身体が…………強ばる………っ‼︎」

 

 そして黒死牟が悶える。分かるよ、その気持ち。私も無一郎の赫刀を食らったことがあるから‼︎

 

「月の呼吸 壱の型 闇月・宵の宮」

「うぅ……………‼︎」

 

 そして私の赫刀ももう一撃‼︎いける、いけるぞ‼︎

 

「岩の呼吸 弐の型 天面砕き」

「ぐわぁぁぁぁぁぁ‼︎」

 

 悲鳴嶼さんが黒死牟の首を落とそうと、上から鉄球を落としつける。

 

「蛇の呼吸………参の型……っ!塒締め………っ!」

 

 そして伊黒さんが黒死牟の身体に赫刀を突き刺しながら、ぐりぐりと動かす‼︎

 

「月の呼吸 玖の型 降り月・連面」

 

 そして私が悲鳴嶼さんに合わせて上から首を下ろすように攻撃し…………

 

「雷の呼吸 漆の型 火雷神」

 

 善逸が一気に…………って善逸‼︎復活したんだ‼︎よかった‼︎

 

「萌ちゃん………っ、皆さん…………っ、お待たせ………っ!」

 

 でも身体は痛そう。それはそうだ。傷だってすぐ癒えるわけじゃないし。これは早く休ませないと………っ‼︎

 

「蛇の呼吸………っ、陸の型‼︎鏑丸………っ‼︎」

「…………」ガブッ‼︎

「ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ‼︎」

 

 伊黒さんが赫刀を刺したまま暴れてくれてる。首に巻いてる蛇も黒死牟に噛み付く。

 

「このまま落とすぞ‼︎」

「「はいっ‼︎」」

 

 だから早く倒す‼︎昔の師匠、今の敵を‼︎

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「月の呼吸 拾漆の型 絶技・日喰」

 

 ってマズい‼︎黒死牟の絶技・日喰が来てしまった‼︎ここは私が打ち消さないと‼︎

 

「皆さん逃げて下さい‼︎月の呼吸 恋の型 月が綺麗ですね」

「甘露寺の…………太刀筋…………?」

 

 味方を避けるようにして、黒死牟の攻撃だけを打ち消す。この柔軟性は甘露寺さんから習ったものだ。伊黒さんは気づいたみたい。

 

 

 

 

  side 伊黒

 

 今でも思い出す。甘露寺との出会いを…………

 

「すいません、迷っちゃいまして………っ!」

 

 あの時の君があまりにも普通の女の子だったから、俺は惚れてしまった。今までに会ってきた女がろくでもなかったから。でも俺は、少なくとも今世では結ばれてはいけなかった。なんせあの汚らしい親族の一員なのだから。

 

 でも甘露寺は違う。あいつは普通の女の子だりそれなのに、何故俺なんかより早く死ななければならない?汚い血の俺なんかがのうのうと生きてていいはずがない!

 

 そういえば、確か我妻萌も似たようなことを言ってたな。ここしばらく嫌いだったが、それは同族嫌悪に過ぎなかった。あいつも無惨を倒して死のうとしてる*1だから俺も、ここで役目を果たして死ぬ‼︎そして来世で甘露寺と結ばれるんだ‼︎

 

「蛇の呼吸 漆の型 封豕長蛇(ほうしちょうだ)

 

 

 

 よしっ、これで上弦の壱の首は落とせた…………あとは………視界が暗くなってくだけ……………って明るくなった………?

 

「………さん!」

 

 ん?この声は…………?

 

「伊黒さん‼︎」

「甘露寺…………」

 

 甘露寺だ………生きてる………?いや、俺が死んだのか………?

 

「久しぶり‼︎会えてよかった‼︎」

「あ、ああ…………」

「あっ、いきなり来たから分かんないよね⁉︎えっとね、ここは天国でね、なんかすっごい楽しいとこなの‼︎」

 

 やはりそうだったか……………

 

「そうか………」

 

 そしてこの甘露寺の顔を見るだけで、心が穏やかになっていくのを感じる。

 

「伊黒さんのその優しい目………好き♪」

「ありがとう、甘露寺。」

「だから伊黒さん、私をお嫁さんにして下さい‼︎」

 

 ここは天国…………。一度死んだし、この汚い血も入れ替わったかな………?

 

「ああ。必ず幸せにする。」

「……………」シャー

 

 こうして俺は甘露寺と天国で結婚した。鏑丸もそれを祝福してくれた。やっとやっと、結ばれることができた。俺は本当に幸せだ。だから今度は、甘露寺を幸せにしてやらないとな。

 

 

 

 

  side 萌

 

 伊黒さんの最後の足掻き。私が黒死牟の攻撃を打ち消してる最中に、身体から刀を抜いてそのまま首を赫刀で斬り落としてくれた。正直黒死牟の攻撃は全く打ち消せきれなかったから、本当に助かった。しかもいつもの半分の出血で済んだ。おかげで貧血にもならずに済んでいる。

 

 ただ、伊黒さんはその代償としてボロボロの身体になってしまった。もう死んでしまっただろう。でもそのおかげで、なんとか黒死牟を倒すことが出来た。ありがとうございます、伊黒さん‼︎安らかに眠って下さい………

 

 そして、早く善逸の治療に行かないと‼︎黒死牟の日喰を食らって瀕死かもしれない‼︎だから早くしないと…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「首の弱点…………克服した………これで縁壱になれる………っ‼︎」

 

 う、嘘でしょ…………?なんで黒死牟も克服してるの?あんだけ必死になって倒したのに?全部無駄だったわけ?

 

「我妻萌、攻撃の手を止めるな‼︎首を落とされた直後で、まだ身体が脆いはずだ‼︎」

 

 いや、そんなことはない………はず。だって私が経験してるもの。あの時は罪の意識で抵抗する気は無かったけど、やろうと思えばいくらでも動けた。というか克服してから、動きが更に速くなった。ただでさえこの4人でも押されるのに、首の弱点すら無くなったんだ。もうどうしようもないじゃないか……………

 

「月の呼吸 壱の型………」

 

 しかも刀を持ってないのに、呼吸を使ってくる。姿も明らかに異形だし。どうすればいいんだよ……………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「雷の呼吸 漆の型 火雷神・(あか)

 

 善逸?そんなボロボロの身体で、その技を………?しかも赫刀………っ!

 

「蛇の呼吸使いに………赫刀で刺された場所…………くそっ…………身体が………再生………出来ない………」

 

 そしてまさかの事態。黒死牟の身体が崩れていき、ついには消えてなくなった。なるほど、赫刀で身体が脆い時に集中攻撃すれば、首の弱点を克服した鬼でも倒せるのか‼︎

 

 そしてなんといっても善逸‼︎あのボロボロの身体で黒死牟を倒してくれた‼︎そして生きている‼︎早い段階で日喰を避けれたのが助かったのか‼︎

 

 

 

 

 そして私は善逸のところへ駆け寄り、

 

「善逸、善逸‼︎凄いじゃん‼︎上弦の壱を倒したんだよ‼︎」

 

 声をかけた。早く治療しないと‼︎

 

「あっ、待っててね‼︎今から傷の手当てをするから‼︎」

 

 そして傷の手当てをしようとした時、

 

「あのね、萌ちゃん………」

「善逸…………」

 

 善逸が弱々しく返事をした。そして脈が段々と無くなっていくのを感じた。身体が徐々に冷たくなってるのも。善逸、死んじゃうのかな………?いや、絶対に死なせない………善逸を幸せにすると決めたんだから…………

 

「ごめん、さようなら…………今までありがとね………」

 

 そんな私の願いは全く叶わず、善逸は空の上へと旅立ってしまった。

*1
善逸の為に、善逸と一緒に生きることに変えたのを、伊黒さんは知らない。




 ということで、黒死牟は討伐できましたが、善逸と伊黒さんが犠牲となりました。伊黒さんはともかく、善逸ならパートナー補正で最後まで生き残ると思った方が多いのではないでしょうか?

 ちなみに伊黒さんの漆の型「封豕長蛇」は「非常に欲深く、残酷なもの」を表す四字熟語です。伊黒さんが自分の家を(自虐を込めて)言い表した、という設定です。

 さて、残るはみんな大好き無惨様戦です。多分お盆は仕事がなくて暇なので、その辺で一気に完結すると思います。お楽しみに!
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