我妻物語   作:スピリタス3世

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第五十八話 荒くれ者の優しい願い

  side 萌

 

 マズい………猗窩座が首斬り克服で煉獄さんと冨岡さんが来れない………宇髄さんと悲鳴嶼さんが気絶中………しのぶさんは死に、残るは私と不死川さんだけ………早く無惨を殺さないと…………そのためには………まず………両手両脚を回復しないと………

 

「とても醜悪な姿だな、萌………っ‼︎」

 

 顔を上げると、そこには触手を8本に増やした無惨がいた。さっきの変な音は、触手を急に出した際に出る音だったのか………

 

「この私を………騙しおって………っ!貴様を殺してから………人を喰ってやる………っ‼︎」

 

 ただコイツも苦しんでる。しのぶさんの捨て身の特攻が効いてるみたい。ならば今が好機‼︎私の両手両脚は無いけれど‼︎

 

「それはこっちの………言うことですよっ‼︎」

「知るかっ‼︎」

 

 無惨が触手を振るう。その瞬間、

 

「月の呼吸 伍の型 月魄災禍」

 

 私は刀を口に咥え、苦し紛れに伍の型を打ち出す。

 

「くっ…………‼︎」

 

 ただ攻撃は打ち消しきれなかった。というか斬った瞬間に再生するのだもの、打ち消すのは難しかった。私の身体を無惨の血が蝕む。そしてそれがもの凄く痛む。

 

「月の呼吸 拾漆の型 絶技・日喰」

 

 だから自分の血を飛ばしつつ、死に物狂いの必殺技で時間を稼ぎにいく。口に咥えて顔を動かすことにより、なんとか刀を動かす。そこに刃物にした自分の血を付着させ、更に飛ばす。

 

「意味無いんだよ、屑め‼︎」

 

 無惨は更に触手で追い討ちをかけてくる。でも段々とそれが遅くなってきている。珠世さんの薬*1としのぶさんの毒の効果だろうか…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「屑はテメェだァ‼︎風の呼吸 伍の型 木枯らし颪」

 

 そんなことを思っていると、不死川さんが無惨の上から突っ込んできた。助かった…………

 

「くそっ、新手か………っ‼︎」

「その通りだ………って痛っえなァ‼︎」

 

 ただ不死川さんは無惨の攻撃を喰らってしまった。今はまだ攻撃に混ぜる毒を私用、というか鬼用にしてるが、人間用に変えられたらまずい………

 

「しかも稀血…………っ‼︎」

「あァ‼︎風の呼吸 弐の型 爪々・科戸風」

 

 ってそうか、稀血か………無惨が酔ったことにより、少しではあるが攻撃の精度が落ちている*2。私も頭がグラグラしてしまうのは問題だが、この機は逃せないだろう。

 

「月の呼吸 肆の型 年災月殃」

 

 なんとか復活した手に刀を持ち替え、渾身の力で赫刀にし、それを無惨に振るう。

 

「赫刀………っ‼︎」

 

 弱体化のおかげもあり、無惨もなんとか痛みを感じてくれてるようだ。

 

 

 

 

 その様子を見てた時、

 

「よぉクソチビ鬼ィ。まさかテメェと共闘するとはなァ。」

 

 私は不死川さんに話しかけられた。そういえば一番最初に会った柱がこの人だったな………あの時は片方が鬼の兄妹を狩り終わって一休みしてた時だったっけ………いきなり現れて絶望してたなぁ………

 

 でも今は違う。今度は絶望してたところに、いきなり現れて救ってくれた。だからその恩を、返すまでよ‼︎

 

「私も貴方と共に闘うとは、思ってませんでした………」

「それじゃあ殺すぞォ。」

「はいっ‼︎」

 

 そういえばあの時は別人に化けて騙し、不死川さんから逃げたんだっけ………ならば今回は、それを使って……………

 

「風の呼吸 参の型 晴嵐風樹」

 

 まずは不死川さんが無惨に近づき、回転するようにして斬りつける。

 

「邪魔を………するなぁ‼︎」

 

 そして無惨が不死川さんへの反撃に夢中になってる隙に………

 

「血鬼術 人間擬態・擬態変化」

 

 これで化けてる人間の形を変える。最近はあまり使ってなかったが、今こそ使い時だろう。そして私は元の姿から…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何が楽しい?何が面白い?人の命を何だと思ってやがる?」

 

 黒死牟の弟に化けた。無惨の支配下だった頃に何回か見た記憶を元に再現してみた。もちろん刀も頑張って赫刀にしてるし、声も再現している。

 

「う、嘘だろ………っ⁉︎」

「隙ありィ‼︎風の呼吸 玖の型 韋駄天台風」

「くそっ…………‼︎」

 

 そして作戦成功。無惨がびびる事により、僅かに生まれた隙を不死川さんが斬り刻む。

 

「日の呼吸…………」

「…………爆発出来ない………っ⁉︎」

「何言ってんだテメェ?」

 

 無惨は爆発して逃げようとするも、何故か出来なかった。恐らく珠世さんの薬のおかげだろう。

 

「まあ死ねェ‼︎風の呼吸………」

「く、くそぉぉぉぉ‼︎」

「逃げるなァ‼︎」

 

 ただ無惨が逃げ始めた。くそっ、今逃げられたら困る‼︎だから一気に追いつく‼︎

 

「月の呼吸 拾伍の型 月槍・陰牙突」

「き、貴様は萌か‼︎また私を騙しやがって‼︎」

「血鬼術 人間擬態・擬態変化………その通りですよ。」

 

 こうして無惨に突き技で追いつく。ついでに元の姿に戻しておく。こうすることで、

 

「風の呼吸 陸の型 黒風烟嵐」

「貴様もついでに死ねえ‼︎」

「血鬼術 人間擬態・擬態変化………日の呼吸………」

「こ、黒死牟の弟⁉︎」

「風の呼吸 捌の型 初烈風斬り」

「ってまた萌か………っ‼︎」

「血鬼術 人間擬態・擬態変化………当たり♪」

「小賢しい女め………っ‼︎」

 

 同じ手法をもう一度使える。少しでも動揺してくれさえすれば、それでいい。本当はもっと早く動いて、黒死牟の弟影分身とかやりたかったけど、流石に今はそれが出来るほど体力がない。主に無惨の毒入り血液のせいで。

 

「貴様らまとめて死ねぇぇぇぇぇ‼︎」

 

 無惨が死に物狂いで触手を振るう。やはり明らかに動きが遅くなってる。ただ私も遅くなってるから避けられないが。

 

「くそォ………テメェ、毒仕込んでやがるなァ………」ハァ、ハァ

 

 そしてまさかの不死川さんも同じ。段々と避けられなくなっている。というと今は人間を殺す毒の方か………。マズい、あと40分くらい持って欲しいが………それか悲鳴嶼と宇髄さんが来て欲しい………

 

「くそっ、日の出も近そうだ………私はこれで失礼する………」

「おい待てェ、失礼するんじゃねェ‼︎」

 

 ってマズい‼︎無惨が逃げる‼︎今日逃げられたら、私も柱も死んで二度と勝てなくなる‼︎だから早く追いかけないと……………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

パンッ、パンッ‼︎

 

 そう思っていると、突然銃声が鳴り響いた。何事かと思って、音が鳴った方を見ると、

 

「くそっ、なんでこの銃弾、私を追尾してくるんだ⁉︎」

「そういう銃だからなぁ‼︎」

 

 鬼殺隊の隊服を着て銃を持った男がそこにはいた。そして銃は無惨に見事命中した。アレは日輪銃か…………?そうでもないと効果は無いはず………

 

「げ、玄弥………なんでここに居るんだァ⁉︎」

 

 そしてそれを見た隣の不死川さんが動揺し始めた。そういえば顔似てるな、この2人。まさか兄弟とか?

 

 まあそれより、あの人が生み出してくれた隙を生かさないと‼︎動かぬ身体に鞭を打て‼︎

 

「くそっ、お前も死ね‼︎」

「がっ…………!」

「風の呼吸 壱の型 塵旋風・削ぎ」

「月の呼吸 拾伍の型 月槍・陰牙突」

 

 ただ、玄弥という男は無惨の触手を食らってしまった。どうやらあの速度に反応できていなかったみたい。そして玄弥さんはそのまま縦に真っ二つになってしまった。不死川さんも急いで無惨から玄弥さんを守ろうとしてたものの、あと一歩間に合わなかった。あと私はそのまま無惨に突っ込み、赫刀でエグった。

 

「私の邪魔をするなぁぁぁ‼︎」 

 

 吠える無惨。くそっ、また触手が飛んでくる。でももう避ける体力はない。刺さったまま、無惨を殺すことだけに専念するんだ…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「血鬼術………………っ。」

「しょ、触手が固定された…………っ⁉︎」

 

 そう思ってはいたものの、無惨の次の攻撃は出てこなかった。玄弥さんが何故か血鬼術と言った瞬間、無惨の身体に埋まってた銃弾から、木が生えて触手を固定したのだ。更に木は地面に足をつけ、無惨すらも固定してしまった。私も巻き込まれてるが、元より動ける自信はなかったから問題ない。今はただ、無惨を赫刀でえぐることにのみ専念するんだ‼︎

 

 

 

 

  side 実弥

 

 なんで………なんで玄弥がここに居るんだァ…………いくら言っても鬼殺隊を辞めなかったから、俺が嘘の鬼情報を毎回アイツの鴉に伝えて、鬼からずっと遠ざけてたのに………なんで、なんでなんだァ………

 

「お前、何でここに………」

「鬼舞辻出たって聞いて………お館様から………」

 

 くそォ、なんでここで玄弥が死ななきゃならねえんだァ………?

 

「兄ちゃんは………やっぱり………世界一優しいね………」

「嘘、嘘だァ…………」

「ありが………とう………」

 

 なんでここで、塵になって消える弟を見なきゃならねえんだァ………コイツには鬼とは無縁の世界で生きていて欲しかったのに…………

 

「くそっ、あの糞人間、血鬼術なんか使いやがって………っ‼︎許さない………って痛いんだよ、萌ぇ‼︎赫刀でえぐるなぁ‼︎」

「うるさいっ………死ね‼︎」

 

 くそがよォ………テメェさえいなけりゃ、俺の家族は死なずに済んだのにィ‼︎

 

「おいテメェ………ぶち殺してやる………」

「はぁ、貴様まさか、私に復讐するつもりか?」

「その通りだァ‼︎消えて無くなるまで刻んでやらァ‼︎」

 

 殺してやるぞォ、鬼舞辻ィ‼︎

*1
老化薬の効果、ただし中身を萌は知らない

*2
無惨がしのぶさんの毒とかで本編以上に弱体化している為、実弥の稀血も効いている




 ということで、柱の中で一番最初に会った実弥とは最後に共闘することになりました。そして玄弥も出しました。ただ玄弥が無惨の攻撃を避けられると思えなかったので、瞬殺されてます。

 さて、次回は無惨戦の続きです。そして予定では、あと2話(今回抜き)で完結します。お楽しみに!

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