我妻物語   作:スピリタス3世

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第六話 鬼狩りに与する鬼

  side 萌

 

 私と(にお)い男どちらも刀を抜き、戦いが始まった。まずは遠距離攻撃で先制だ。

 

「月の呼吸 漆の型 厄鏡・月映え」

「月の呼吸⁉︎」

 

 どうやら臭い男は私が呼吸を使えることに驚いているらしい。反応が遅れたその隙に、

 

「月の呼吸 捌の型 月龍輪尾」

「くっ………くそっ!」

 

 横薙ぎの長距離一閃、捌の型を叩き込む。どうやら臭い男に攻撃が当たったみたいだ。だがまだまだ叩き込む!

 

「月の呼吸 玖の型 降り月・連面」

「水の呼吸 参の型 流流舞い」

 

 水の呼吸⁉︎コイツは日の呼吸の使い手じゃないのか⁉︎でも耳飾りはつけている。まさか日の呼吸以外も使えるというのか⁉︎というか水の呼吸の参の型は回避と攻撃を兼ねた技!距離をのらりくらりと詰めてくるのなら………っ!

 

「月の呼吸 陸の型 常世孤月・無間」

 

 近距離範囲攻撃で対応‼︎一気に切り刻む‼︎

 

「水の呼吸 肆の型 打ち潮」

 

 ちょこまかと動きながらの攻撃か………水の呼吸自体は使い手が多い。回避と攻撃を兼ねた滑らかな動きが特徴だが、攻撃力そのものは欠るける。そして私はこの攻略法を知っている‼︎だからそっちを使ってくれる分には、まだやりやすい‼︎

 

「月の呼吸 陸の型 常世孤月・無間」

「くっ………‼︎」

 

 水の呼吸の使い手には範囲攻撃がいい。特に陸の型は近距離範囲攻撃としては最高だ。そして相手が攻撃を食らったら一旦距離を取って、

 

「まさか逃げるのか………っ⁉︎」

「逃げるわけないだろう?私がやるのは………」

「何を………する気だっ⁉︎」

「月の呼吸 拾陸の型 月虹・片割れ月」

「なっ⁉︎」

 

 遠距離攻撃を連発する‼︎水の呼吸は相手との距離を一気に詰める居合技が無いから、これがかなり有効だ。唯一拾の型だけが相手との距離をかなり詰めながら攻撃してくる技だが、あれは防御面を捨てているため、先に攻撃を当てまくれば途中で怯んでしまい攻撃力が落ちることが多い。だから水の呼吸の使い手には、この戦法で!

 

「月の呼吸 拾肆の型 兇変・天満繊月」

「水の呼吸 陸の型 ねじれ渦」

 

 陸の型で攻撃を防ぐか………だが私の攻撃の連続に耐え切れるかな?

 

「月の呼吸 拾肆の型 兇変・天満繊月」

 

 拾肆の型は陸の型と似ていて前方を縦横無尽に斬りまくる技だが、こちらは攻撃範囲を広めることに重点をおいている。水の呼吸相手にはこれが丁度いいだろう。

 

「水の呼吸 陸の型 ねじれ渦・流流」

 

 ん⁉︎なんだ今のは⁉︎陸の型のねじるような動きに参の型の足運びを足したものか⁉︎独自で型同士を組み合わせて新技を作るとは……………やはり一筋縄ではいかないか。

 

「水の呼吸 捌の型 滝壺」

 

 そして今度は上に飛びあがってからの下への叩きつけをする捌の型。ここは避けてもいいが、むしろ相手が避けられない今こそいい機会だ‼︎

 

「月の呼吸 肆の型 年災月殃」

「うおわぁぁぁぁぁぁぁ‼︎」

 

 下から上へと斬撃を放つ‼︎相手が突っ込んでこようが関係ない‼︎その身体を粉微塵にしてやる‼︎

 

 

 

  side 炭治郎

 

 くそっ!相手に少しだけ攻撃を当てるだけで、こっちはかなり攻撃を食らってしまった…………。この鬼、今まで俺が戦ってきた鬼*1とは比べ物にならないくらい強い‼︎しかも呼吸まで使ってくる‼︎こんな相手に、俺は禰豆子を守り切れるのか………?いや、相手が誰であれ、守るしかないだろう‼︎なにせ俺は長男なのだから‼︎

 

 

 

  side 萌

 

 日の呼吸の使い手の末裔と聞いて身構えたが、どうやらあまり強くないようだ。正直猪男の方が何倍も強かった。善逸も直接は戦ってないが、恐らくはコイツより強いだろう。賽子男は………まあいいか。

 

「小柄の女だからって油断でもしたのか?」

「俺は………油断なんか………していないっ‼︎」

「なら何故使わないんだ、日の呼吸を?」

「な、なんだそれは………っ⁉︎」

「はぁ⁉︎」

 

 日の呼吸を知らない⁉︎もしや耳飾りだけ受け継いで、呼吸は受け継がなかったのか⁉︎まあそれなら丁度いいか………

 

「俺は………そんなの………知らない……っ!」

「そうか。それならとっとと死ね。」

「死んで………たまるかっ‼︎」

「月の呼吸 捌の型 月龍輪尾」

 

 さてと、これで倒れてくれるかな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「むっ‼︎」

「禰豆子⁉︎」

 

 な、なんだと⁉︎どこから湧いたんだ、アイツ⁉︎桃色の着物を着て口に竹の口枷をはめている…………というかあの目、鬼じゃないか⁉︎なんで人間を庇ったんだ⁉︎しかもよりにもよって天敵である鬼狩りを‼︎

 

「おい、そいつ………」

「ああ………こいつは………妹の………禰豆子………だ……」

「むー‼︎」

 

 後ろの木箱が開いている⁉︎あの中にずっと隠れていたのか‼︎まあ身内ならば庇う事があってもおかしくはないが………。それよりも鬼狩りに味方する鬼というのが異常事態だ!無惨様もその存在を知らないはず。ここはなんとしてもそうなった理由を暴いて、倒す他あるまい‼︎

 

「竹枷を外してやったらどうだ?何も喋れなくて苦しいはずだろう?」

 

 とりあえずここは鬼の妹の方から事情を聞くか。

 

「禰豆子は…………今は………喋れ………ない………」バタン

「むー‼︎」

 

 喋れないのかよ‼︎しかも喋る兄の方が倒れたし‼︎なら仕方あるまい。今ちょうど持ってる日輪刀で妹の首を斬るとするか………

 

「月の呼吸 壱の型 闇月・宵の宮」

「むー‼︎」

 

 思いっきり飛び上がって回避した。でも回避しきれず足に少し攻撃が当たったか………人間ならこれでいいが、相手は鬼。首を斬らなければ、意味が無い‼︎

 

「月の呼吸 弐の型 珠華ノ弄月」

「むー‼︎」

 

 正面に三連撃を打ち込む。でも相手も無理矢理突っ込んでくる………ってマズい‼︎

 

「むっ‼︎」

「きゃあっ⁉︎」

 

 思いっきり脇腹に蹴りを叩き込まれた‼︎しかも強い‼︎身体が吹っ飛ぶ‼︎マズい、体勢を立て直さないと‼︎

 

「むーーーー‼︎」

「くっ…………そっ‼︎」

 

 素手での勝負に持ち込まれると部が悪い‼︎現に今も吹っ飛ばされてる私を追ってくる‼︎だから早く迎撃しないと‼︎

 

「むーーー‼︎」

「月の呼吸 陸の型 常世孤月・無間」

 

 くそっ、何発当てても何発当てても怯まず突っ込んでくる‼︎そして私より若干だが回復が早い‼︎

 

「むー‼︎」

「ぎゃあっ‼︎」

 

 そして私より力が強い‼︎また殴られて吹っ飛ばされる‼︎ここはなんとか………ってそうだ‼︎むしろ吹っ飛ばされた方が、私にとって都合がいいじゃないか‼︎

 

「月の呼吸 拾の型 穿面斬・羅月」

「むー‼︎」

 

 斬撃を横に並べたものを複数放つ遠距離攻撃‼︎これなら相手の攻撃は当たらないはず。これで距離を取りながら、確実に仕留める‼︎

 

「むー‼︎」

「月の呼吸 拾陸の型 月虹・片割れ月」

「むー‼︎」

「月の呼吸 捌の型 月龍輪尾」

 

 立て続けに斬撃を浴びせる。もちろん禰豆子とやらは避けきれずに当たりまくる。もし人間ならばこれでだいたいは死ぬのだが、相手は鬼。首以外が全部かすり傷になる。そして気づいたのだが……………ある程度距離を詰めないと首が斬りにくいのだ。身体の中でも首に狙いを定めて斬るのは至難の技。となると…………遠距離攻撃で牽制しながら、隙を見て近づく他あるまい。

 

「むー‼︎」

「月の呼吸 玖の型 降り月・連面」

「むっ⁉︎」

 

 相手はどうやら真正面から攻撃を食らったようだ。これで少しは怯むかな?ただどうやって近づけば良いか。隙を見つけるにしても、怪我が回復する相手にはそれが難しい。人間は痛みで動けなくなったりするのに対し、鬼はそんなのお構いなしに動ける。相手を拘束する何らかの手段でもあればいいのだが……………

 

「むー‼︎」

 

 相変わらず防御なんてお構いなしに近づいてくる。ここでまた吹っ飛ばされたら更に時間がかかってしまう。そうして夜明けを迎えた場合、アイツも死ぬが私も死ぬ。それに、臭い男が死んだという確証は得られてない。だから禰豆子とやらを拘束したいのだが…………

 

「むー‼︎」

「月の呼吸 陸の型 常世孤月・無間」

 

 くそっ、私よりも足が速い‼︎無策のまま追い付かれるのもそれはそれでマズい‼︎だからなんとかしないと…………って足?足さえなければ…………ってそうだ、善逸の時みたく足を斬ってしまえばいいんだ‼︎いくら私より回復が早いとはいえ、十二鬼月程じゃない。だから足を斬れば、少しは動けなくなるはず‼︎そしてその隙に、首を斬る‼︎

 

「むー‼︎」

 

 近づいてくる相手に対し、ここはまず背を縮める‼︎

 

「むっ⁉︎」

 

 そしてここから斬撃を…………

 

「むっ‼︎」

 

 って相手も縮めてきたぁぁぁぁぁ⁉︎確かに鬼なら出来るけどさ⁉︎そんなに早く私に対応するなし‼︎全く、なんだよコイツは⁉︎戦闘の才能まで私より上なのか⁉︎

 

「むー‼︎」

「月の呼吸 参の型 厭忌月・銷り」

「むー‼︎」

「くそっ‼︎」

 

 切っても斬っても突っ込んできやがって‼︎いや、私が言うなって感じだけどさ‼︎鬼ってこんなに倒すのめんどくさいんだな‼︎全くもう‼︎それに、早くしないと面倒なことになる‼︎だからここは……………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺の禰豆子を………はぁっ………傷つける奴は………はぁっ………誰であろうと………絶対に許さない‼︎」

 

 くそっ、本当に面倒な事になってしまった‼︎臭い男の奴、そのまま倒れてたら良かったのに‼︎

*1
浅草で無惨と遭遇した直後なので沼鬼まで………と言いたいが沼鬼は第一話で善逸が既に倒したため、手鬼まで




 ということで炭治郎戦からの禰豆子戦でした。炭治郎は浅草時点では善逸や伊之助と比べて弱いため、萌に終始押されていました。逆に萌は鬼狩りばかりを相手にしてきたので、初の鬼退治となる禰 豆子相手にはかなり苦戦しています。

 そして次回は竈門兄妹が共闘します。果たして戦いの結末は如何に⁉︎

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