我妻物語   作:スピリタス3世

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第八話 もしも

  side 萌

 

 ヒノカミ神楽だと⁉︎どう考えても日の呼吸じゃないか‼︎継國縁壱め、無惨様にバレないように名前を変えて呼吸を教えやがって………ってそんな事を考えてる場合じゃない‼︎まずは禰豆子の首を斬る‼︎私の首が斬られる前に‼︎さあ届け、私の刃よ‼︎

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「むっ⁉︎」

 

 良かった…………っ‼︎無事私の刃は禰豆子の首を一閃した。そして私は禰豆子の身体が少しずつ崩れていくのを目視した。これでよし。後は後ろの、

 

「あぁぁぁぁぁぁぁ‼︎」

 

 臭い男の対処だ‼︎まずは奴のヒノカミ神楽とやらを刀で受ける………って力強っ‼︎

 

「おぉぉぉぉぉぉぉ‼︎」

「あぁぁぁぁぁぁぁ‼︎」

 

 だがここで鍔迫り合いに持ち込み、一気に決めるんだ‼︎相手の不意をつくこの型で…………っ‼︎

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「月の呼吸 伍の型 月魄災禍」

 

 鍔迫り合いから瞬時に放たれる技。これを食らった臭い男は、

 

「ぐふぁっ…………」

 

 流石に耐えられずに地面に倒れた。まああれだけ攻撃を食らってれば当然だろう。むしろよく持ち堪えた方だ。本当にコイツの精神の強さには苦戦を強いられたな…………

 

 後は一応の確認。禰豆子の状態だ。先程身体が崩れていくのを見たが、もしかしたら無惨様同様、首の弱点を克服しているかもしれない。なんせ無惨様の支配を逃れた特別な鬼なのだから。だから私は禰豆子が首を斬っても死なない可能性があると思ったが…………それは余計な心配だった。振り向くとそこには塵になって消える禰豆子がいた。そしてそれを見た、

 

「あぁぁぁぁぁぁぁぁ‼︎」

 

 兄である臭い男が地面に倒れながら慟哭をあげている。まあ当然か。彼にしてみれば身内が目の前で死んでるのだから。私もそれをやられたらああなるわ。

 

 

 

 そんな事を思いながら彼にトドメを刺そうとすると、

 

「どうして………お前ら鬼は………俺から………大切な家族を………奪うんだ………っ⁉︎」

 

 彼が私を睨みながら自分の事を話してくれた。そうか、この男は鬼に家族を殺されたのか。だから鬼狩りになって、家族の仇を討っていたのか。なんていうか似ているな、私と。

 

「他の鬼はともかく、私はお前と同じだよ。」

「同じ…………?」

「私は人間に家族を殺された。だからこうして鬼狩りを狩ってる。お前も私とは立場が違うだけで、やってる事は私と大差ないだろう?」

「そ………そうか………」

 

 厳密には違うところもあるのだが、私はこの男に似たようなものを感じた。今までの戦いは、鬼に家族を殺された人間と、人間に家族を殺された鬼の、それぞれの仇打ちが交錯していたのだな。そしてお互いに自分の家族が好きという。だとしたらやることは、

 

「長々と話してすまんな。今すぐお前を家族の元に送ってやるから。」

「そ………そう………か………」

 

 トドメを刺すことだ。そうすれば天国にいる家族に会えるだろう。それこそ、さっき旅立った禰豆子にも。だから私は、

 

「月の呼吸 壱の型 闇月・宵の宮」

 

 臭い男にトドメの一撃を加えた。

 

 

 

 

 それにしても、鬼に家族を殺された、か…………もし私も鬼に家族を殺されていたのなら、きっと鬼狩りになっていただろう。そうしたら同い年くらいの人たちと、一緒に鬼を狩ってたのかな?そしたらこんな感じに…………

 

「萌ちゃん、あの鬼怖いよぉぉぉぉぉ、だから一緒に逃げよぉぉぉぉ!」

「善逸君、私たち鬼狩りはちゃんと鬼を退治しないとダメでしょ!」

「善逸、萌の言う通りだぞ‼︎俺たちが逃げてどうするんだ‼︎」

「怖いよ○○○*1〜。ねえ、禰豆子ちゃんはどう思う?」

「むー!」

「そうか………やっぱりダメか…………」

「もんいつが行かないならオレが仕留めに行くぜ‼︎猪突猛進猪突猛進‼︎」

「ここは後輩に任せて、俺は安全に後方支援に徹するか。」

「とか言いつつなんだかんだ戦うんでしょ、先輩?俺には分かっちゃいますよぉ〜♪」

「お前も同じだろw」

「とにかく皆、○○○*2に続くぞ‼︎」

「むー‼︎」

「おー‼︎」

「ほ〜い。」

「え〜‼︎」

 

 なってたかも…………。正義感あふれる臭い男に、可愛さと強さを兼ね備えている妹の禰豆子…………猪突猛進な猪男に、怠惰なフリしてキッチリ鬼を仕留める賽子男…………そして普段は怖がりながらも、なんだかんだ逃げずに私を守ろうとしてくれる、私と同じ苗字を持つ善逸……………もちろん今まで殺してきた他の鬼狩りとだって仲良くなれたかもしれない。うどん屋の店主が作ったうどんをありがたくいただいてたのかもしれない。こんな未来もあったのかな?鬼を全滅させて、皆で仲良く一緒に暮らす未来もあったのかな?

 

 って無くなった未来について考えても仕方ないか。私は人間に家族を殺された。そして無惨様に救われた。だから無惨様に恩返しをするために、こうして鬼狩りを狩る。無惨様の快適な生活のため、この世から鬼狩りが居なくなるまで…………

 

 

 

 

 

  side 無惨

 

 萌、ついにあの忌々しい耳飾りの鬼狩りを殺したか‼︎でかしたぞ‼︎

 

「黒死牟、黒死牟‼︎ついに日の呼吸の使い手が滅びたぞ‼︎」

「左様でございますか………無惨様………」

「ああ‼︎」

「それはまた…………喜ばしきこと………」

 

 これで私は奴の恐怖に怯えなくて済む‼︎ざまあみやがれ‼︎

 

 

 

 

 

  side 黒死牟

 

 縁壱の耳飾り、今の今まで代々受け継がれてきたのか………。それに対してこの笛は…………

 

 

 

 

 

  side 萌

 

 私は無惨様に献上するために臭い男の首を斬り取った後、残った彼の首から下を食べる事にした。日の呼吸の使い手を食べると身体に悪影響があったりは…………しないようで良かった。普通に食べられる。味は相変わらず美味しくないが、自分が強くなってるのを感じることが出来るようになった。本当は鬼だが禰豆子の方も食べて強くなりたかった。だが塵となって消えてしまったので仕方あるまい。とりあえずこの臭い男を食べて強くなるか…………

 

 それと、今回ばかりはかなり苦戦してしまったな。まず臭い男の精神的な強さがかなり厄介だった。なんど傷ついても立ち上がる精神力。あの強さを持ったまま今よりも強かったら、死んでいたのは私の方だったかもしれない。次に禰豆子。初となる鬼相手だったが、これがなかなか思うようにいかなかった。何度吹き飛ばされた事か。鬼相手は滅多に無いが、ゼロとは言い切れない。なにせ裏切り者の珠世がいるからだ。禰豆子もそうだったが、奴もかなり強力な血鬼術を使う。無惨様に敵対する者を全滅させる以上、奴と戦う事は避けられない。だからもっと強くなって、鬼相手にも上手く立ち回れるようにしないとな。

 

 そういえば、黒死牟様が更に強くなるための方法があるとか言ってたな。確か痣、とか透き通る世界、とか言ってたっけ。修行してた頃の私には弱過ぎて教えられなかったそうだが、今なら多少は大丈夫だろう。今よりも更に強くなるために、帰ったら教えてもらう事にするか。

 

 

 

 

 あれこれと考えているうちに、私は臭い男を食べ終わった。

 

「ごちそうさまでした。」

「おいおい、なんだか面白いことになってるなァ?」

 

 さてと、コイツの首を持ち帰………って今の男の声は誰のだ⁉︎びっくりして後ろを振り向くと………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「鬼殺隊に化けた馬鹿鬼ってのはアンタかィ?」

 

 そこには目が血走った全身傷だらけの、緑色の刀を持った白髪男が胸元をはだけて立っていた。この男から感じる、今まで戦ってきた鬼狩りとは比べ物にならないほどの威圧感………………まさか柱か⁉︎

*1
本来なら炭治郎の名前が入るべきですが、これは萌の妄想で、萌が炭治郎の名前を知らないためこう書いてます。

*2
本来なら伊之助が入る。けどこう書いてる理由は炭治郎の時と同様。




 ということで、竈門兄妹戦は終了です。共に家族を殺され者同士の戦いは如何だったでしょうか?ちょっと何かが違ったら、萌もかまぼこ隊の一員になってたでしょう。まあそのかまぼこ隊は出会う前に解散しましたが。

 そして疲れ果てた萌の前に現れたのは、なんと風柱の不死川実弥!絶体絶命のピンチを萌はどう乗り切るでしょうか?それは次回のお楽しみに!

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