我妻物語   作:スピリタス3世

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第九話 荒れ狂う暴風

  side 萌

 

 今までの鬼狩りとは比べ物にならないくらいの威圧感………まさか柱か⁉︎

 

 どっちにしろ、恐らく今の状態でまともに戦っても勝ち目はないだろう。だからここは誤魔化す!

 

「違います。」

「じゃあそこにある隊服は何だァ⁉︎」

「亡くなった隊士のものです。先程まで弔っておりました。」

「ごちそうさまでした、って聞こえたんだがァ⁉︎」

「彼の作ったご飯を食べながら弔っておりました。」

「そうかァ。それは俺の知らない弔い方だなァ‼︎」

 

 そう言いながらその男は…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

自分の腕を自分の剣で斬っただと⁉︎何してんのコイツ⁉︎鬼の目の前で自傷行為をするとか、頭がおかしい…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「く……………っ‼︎」

 

 ってなんだこの臭いは⁉︎頭がクラクラする‼︎この臭いは…………まさか稀血か⁉︎しかもとびきり濃い部類の‼︎稀血は特殊な血を持つ人間であり、通常他の人間よりも美味しく食べられる、ある種のお酒のようなものである。強くなるためには欠かせないのだが、人間の味が苦手な私にとっては麻痺作用を伴う毒物に他ならない*1‼︎胸元を広げて稀血で誘惑とか、とんだ助兵衛男じゃないか‼︎

 

「俺の稀血に反応するとは、やっぱテメェ鬼じゃねえかァ‼︎」

 

 くそっ、バレてしまったのなら仕方ない‼︎ここは一気に勝負をつける‼︎

 

「そうですよ………月の呼吸 壱の型 闇月・宵の宮」

「ほう、呼吸も使うのかァ‼︎こいつは面白れェ‼︎」

 

 なっ⁉︎不意打ちしたつもりだったのに、あっという間に避けられ…………

 

「風の呼吸 壱の型 塵旋風・削ぎ」

「きゃあぁぁぁぁ‼︎」

 

 ってものすごい風‼︎というか剣に斬られる以前に吹き飛ばされてるんだけど⁉︎

 

「グファ………」

 

 くそっ、思いっきり壁に打ちつけられた…………壁まで私の身長の100倍*2はあったというのに、たった一瞬………

 

「風の呼吸 伍の型 木枯らし颪」

 

 ってまた来る‼︎今度は上から‼︎ならこれで‼︎

 

「月の呼吸 肆の…………ぎゃぁぁぁぁ‼︎」

「おせえんだよォ‼︎」

 

 早すぎる‼︎反応できない‼︎身体を押さえつけられてしまった‼︎まずい、一気に首を持ってかれる‼︎ならここはこれで‼︎

 

「月の呼吸 伍の型 月魄災禍」

「おらよっとォ‼︎」

 

 くそっ‼︎すぐに飛び上がって避けるとは…………なんでこの型を見切れるんだよ‼︎でも避けて体勢を微妙に崩している今がいい機会だ‼︎

 

「月の呼吸 漆の型 厄鏡・月映え」

 

 遠距離攻撃を放ちながら、距離を取る‼︎

 

「風の呼吸 弐の型 爪々・科戸風」

「ぐわぁぁぁぁぁ‼︎」

 

 くそっ、早すぎて何やってるのかよく分からない‼︎だが風の呼吸により巻き起こされる風で吹き飛ばされる‼︎体勢を安定させる事が出来ない‼︎確か弐の型って前に四連撃打つ技のはず。そんなに威力はないはずなのに…………これが柱の力というやつか‼︎

 

「風の呼吸 壱の型 塵旋風・削ぎ」

「月の呼吸 拾肆の型 兇変・天満繊月」

 

 くそっ‼︎圧倒的な風圧で攻撃が通らない‼︎そしてすぐに距離を詰めてくる‼︎そして稀血と風のせいで体勢を保てない‼︎

 

「死ねェ‼︎」

「くそ………っ‼︎」

 

 力が強すぎる‼︎鍔迫り合いに持ち込んでもすぐに力負けして吹っ飛ばされる‼︎何か別の方法を取らないと…………ってここに臭い男の首と日輪刀がある。二刀流は出来ないけど、あの男がやってたように投擲なら隙をつけるかもしれない‼︎

 

「たあっ‼︎」

 

 当たったか?

 

「わざわざ武器をよこしてくれるとは、本当に馬鹿な奴だなァ‼︎」

 

 はぁっ⁉︎空中で投げた刀を自分の刀で防いだ⁉︎結構速く投げた自信があったのに‼︎しかもすぐに私が投げた方の刀を自分の刀で上に弾き、そしてその鞘を持って自分のものにしただと⁉︎なんなんだよこの助兵衛男は…………ってマズイ‼︎すぐに攻撃しないとまた攻撃される‼︎

 

「月の呼吸 玖の型 降り月・連面」

「風の呼吸 捌の型 初烈風斬り」

 

 くそっ‼︎さっきから私の攻撃は当たらず、逆に相手の攻撃しか食らってない‼︎なんとか首への致命傷は避けてるけど、これ以上はまずい‼︎手足を切り落とされたら、間違いなく回復する前にやられる‼︎だからまず距離を取って攻撃…………ってあそこは浅草の端の廃屋?ここは一旦隠れるしかない‼︎

 

「月の呼吸 陸の型 常世孤月・無間」

「風の呼吸 肆の型 昇上砂塵嵐」

 

 攻撃に伴い砂埃が舞い上がる‼︎今が姿を撒くいい機会だ‼︎

 

 

 

 

 こうしてなんとか私は廃屋に身を潜めることにした。

 

「くそっ、どこ行きやがったァ⁉︎」

 

 助兵衛男が外を探し回る。バレるのは時間の問題だろう。ならば一か八か、アレを使うしかない‼︎

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「血鬼術 人間擬態・擬態変化」

 

 これで化けてる人間の形を変える。今は元々の私の姿からさっき会ったうどん屋の店主の姿に変わった。この血鬼術は声も変える事が出来る。そして服も自分の身体を変化させて作る事が出来る‼︎後は日輪刀をバレないように隠す‼︎そして助兵衛男がいなくなるまでやり過ごすしかない‼︎

 

「まさかこん中かァ………って鬼じゃなくて爺さんがいやがる………」

 

 助兵衛男が入ってきた。ここは演技で誤魔化すか………

 

「人の蔵に無断で入ってくるとは、お主は何を考えとんのじゃ‼︎」

 

 さあ、騙されてくれるかな…………………?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………す、すまねえ…………」

 

 良かった、騙されてくれた‼︎賭けは成功‼︎これでなんとかなりそうだ‼︎

 

「分かったら早よ帰り‼︎」

「お、おう………………」

 

 それにしても見た目のわりに礼儀正しい男だったな。今度からは助兵衛男じゃなくて風柱と呼ぶ事にしよう。

 

 

 

 ふぅ、なんとか助かった……………。それにしてもあれが柱の力か…………。兄妹戦で疲れていたとはいえ、私の攻撃が全く通らないとは………。それに剣で斬り刻まれるだけでなく、剣技の風圧でまともに立っていることすらままならない。正直下弦の人たちでは相手にならないだろう。こんなのが9人もいるのか……………。無惨様のためにも、もっともっとこれから強くならないとな…………

 

 

 

 

 

 

 私はしばらくすると、無限城に召喚された。そしてそこには無惨様がいた。ちなみに臭い男の首は外に放置したまま日が上ってしまったため、回収することは叶わなかった。

 

「ご苦労、萌。」

「…………ありがとうございます。」

「耳飾りの男を倒した褒美をやろう。」

 

 褒美⁉︎私が柱相手に何も出来なかったことを、咎めもしないどころか褒美を下さるとは………なんと寛容なお方なのだろうか………

 

「なんだ、柱には負けたのか。」

 

 知らなかっただけか…………

 

「はい。申し訳ありません…………。私の力が及んでいませんでした………これからもっと人を喰らい、黒死牟様の元で修行をし、もっと強くなりたいと思います。」

「そうか。なら私の血をやろう。」

 

 な、なんだと………っ⁉︎

 

「ありがとうございます‼︎」

 

 私の無様を承知の上で、それでも褒美を下さるとは…………なんて優しいお方なのだろうか………っ‼︎私は感激のあまり、鬼になったことにより出なくなったはずの涙が溢れ出したかのように感じた。これから先もこの人のために頑張ろう。そう思えた日だった。

 

 

 

 

  side 無惨

 

 それにしても萌は本当に役に立つな。耳飾りの男を殺すだけでなく、柱からも逃げ切るとは……………。もうそろそろ十二鬼月にしてもいい頃合いだろう。次誰か鬼狩りを殺したら、そうしようか。

*1
酒が苦手な人にとっての度数の高い酒のようなもの

*2
150m




 節分記念=鬼退治ということで投稿しました!2/2に節分って珍しいですよね。

 そして、助兵衛男こと実弥戦は萌の大敗北に終わりました。まあ禰豆子と炭治郎2人相手に苦戦するんじゃ仕方ないですよね。なんとか血鬼術で誤魔化し、生き延びた萌はここから更に強くなっていきます。

 さて、次回は軽く黒死牟との修行パートを挟んだ後、新しい鬼狩りと戦います。誰と戦うかは次回のお楽しみに!

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