ロウリア王国 王都 ジン・ハーク ハーク城 御前会議
薄暗い部屋の中、王の御前でこの国の行く末を決める会議が行われていた。
「ロウリア王、準備はすべて整いました」
白銀の鎧に身を包み、黒髭を生やした30代くらいの男が王に跪き、報告する。
彼の名は、将軍、パタジン
「2国を同時に敵に回して、勝てるか?」
34代ロウリア王国、大王、ハーク・ロウリア34世はその男に尋ねる。
「一国は、農民の集まりであり、もう一国は不毛の地に住まう者、どちらも亜人比率が多い国などに、負けることはありませぬ。」
「宰相よ、1ヶ月ほど前接触してきたアディウム帝国の情報はあるか」
アディウム帝国はロウリア王国にも接触してきたが、事前にクワ・トイネ公国と、クイラ王国と国交を結んでいたため、敵性勢力と判断され、ロウリアには門前払いを受けていた。
「奴らは我が部隊のワイバーンを見て、初めて見たと驚いていました。竜騎士の存在しない蛮族の国と思われます。情報はあまりありませんが」
ワイバーンの無い軍隊は、ワイバーンの火力支援が受けられない分、弱い。
空爆だけで、騎士団は壊滅しないが、常に火炎弾の驚異にさらされ続けるため、精神力が持たない。
「そうか・・・。しかし、ついにこのロデニウス大陸が統一され、忌々しい亜人どもが、根絶やしにされると思うと、私は嬉しいぞ」
「大王様、統一の暁には、あの約束も、お忘れ無く、 クックック」
真っ黒のローブをかぶった男が王に向かってささやく。気持ちの悪い声だ。
「解っておるわ!!」
王は、怒気をはらんだ声で、言い返す。
(ちっ、3大文明圏外の蛮地と思ってバカにしおって。ロデニウスを統一したら、フィルアデス大陸にも攻め込んでやるわ)
アディウム帝国、首都ーーーーアディトゥム。
「ロウリア王国と戦闘が始まった様ですね......」
クラヴァガル・サァルンは自らの主に説明する。
彼女率いる偵察隊ーーーーもとい暗殺部隊はクワトイネとロウリア国境にて、ロウリア王国の兵力が集結しており、戦闘が近いと判断した。
「確か、クワトイネ公国から援軍を送る様に要請が来ていたな」
崇高なるカルキスト・イオンはそう呟いた。
黒衣の衣装に身を包み、長杖を持った彼は中性的な顔立ちの人物だった。
「結局のところ援軍は送られるのですか?」
「勿論そのつもりだ、この世界で私たちの力が何処まで通用するか試したいしな」
「忌まわしきメカニト共がいないこの世界では私達は無敵でしょう」
しかし、サァルンの発言に対してイオンはそうでもない、と言い返す。
「私達は鉄を精製する技術すら無いのだ......この世界では鉄は一般的だ、前の世界ならメカニトとヒッタイト王国のみの技術だったが」
「おっしゃる通り、油断はできませんね」
「兎も角、クワ・トイネに援軍を送ることは決定だ、宜しく頼む」
「はっ、今すぐ軍の招集を......」
サァルンはそう言うと、イオンの前から立ち去った。