アディウム帝国召喚   作:汁だく茶釜

2 / 9
動乱

ロウリア王国 王都 ジン・ハーク ハーク城 御前会議

薄暗い部屋の中、王の御前でこの国の行く末を決める会議が行われていた。

 

 「ロウリア王、準備はすべて整いました」

 

 白銀の鎧に身を包み、黒髭を生やした30代くらいの男が王に跪き、報告する。

 彼の名は、将軍、パタジン

 

 「2国を同時に敵に回して、勝てるか?」

 

 34代ロウリア王国、大王、ハーク・ロウリア34世はその男に尋ねる。

 

 「一国は、農民の集まりであり、もう一国は不毛の地に住まう者、どちらも亜人比率が多い国などに、負けることはありませぬ。」

 

 「宰相よ、1ヶ月ほど前接触してきたアディウム帝国の情報はあるか」

 

  アディウム帝国はロウリア王国にも接触してきたが、事前にクワ・トイネ公国と、クイラ王国と国交を結んでいたため、敵性勢力と判断され、ロウリアには門前払いを受けていた。

 

 「奴らは我が部隊のワイバーンを見て、初めて見たと驚いていました。竜騎士の存在しない蛮族の国と思われます。情報はあまりありませんが」

 ワイバーンの無い軍隊は、ワイバーンの火力支援が受けられない分、弱い。

 空爆だけで、騎士団は壊滅しないが、常に火炎弾の驚異にさらされ続けるため、精神力が持たない。

 

 「そうか・・・。しかし、ついにこのロデニウス大陸が統一され、忌々しい亜人どもが、根絶やしにされると思うと、私は嬉しいぞ」

 

 「大王様、統一の暁には、あの約束も、お忘れ無く、 クックック」

 

 真っ黒のローブをかぶった男が王に向かってささやく。気持ちの悪い声だ。

 

 「解っておるわ!!」

 

 王は、怒気をはらんだ声で、言い返す。

 

(ちっ、3大文明圏外の蛮地と思ってバカにしおって。ロデニウスを統一したら、フィルアデス大陸にも攻め込んでやるわ)

 

 

 

 

 

 

 

 

アディウム帝国、首都ーーーーアディトゥム。

 

 「ロウリア王国と戦闘が始まった様ですね......」

 

クラヴァガル・サァルンは自らの主に説明する。

彼女率いる偵察隊ーーーーもとい暗殺部隊はクワトイネとロウリア国境にて、ロウリア王国の兵力が集結しており、戦闘が近いと判断した。

 

 

「確か、クワトイネ公国から援軍を送る様に要請が来ていたな」

 

 

崇高なるカルキスト・イオンはそう呟いた。

黒衣の衣装に身を包み、長杖を持った彼は中性的な顔立ちの人物だった。

 

 

「結局のところ援軍は送られるのですか?」

 

「勿論そのつもりだ、この世界で私たちの力が何処まで通用するか試したいしな」

 

「忌まわしきメカニト共がいないこの世界では私達は無敵でしょう」

 

 

しかし、サァルンの発言に対してイオンはそうでもない、と言い返す。

 

 

「私達は鉄を精製する技術すら無いのだ......この世界では鉄は一般的だ、前の世界ならメカニトとヒッタイト王国のみの技術だったが」

 

「おっしゃる通り、油断はできませんね」

 

「兎も角、クワ・トイネに援軍を送ることは決定だ、宜しく頼む」

 

「はっ、今すぐ軍の招集を......」

 

 

サァルンはそう言うと、イオンの前から立ち去った。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。