アディウム帝国召喚   作:汁だく茶釜

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ギムの悲劇

中央歴1639年4月12日早朝―――――――――

国境から20kmの町、ギム

 

 

 

そこでは、大量のワイバーンの対地支援により、クワトイネの騎士団は大打撃を受けていた。

 すでに戦力の3分の1が失われている。そこへ、ロウリア先遣隊歩兵、重装歩兵合わせて2万5千がなだれ込む。

 30分で、クワトイネ騎士団は壊滅、動く者はいなくなった。ギムは、すでにロウリア先遣隊により包囲されている。

 

 

「ふっ、弱い。所詮はこんなものか......これより、ギムへと攻め入る、住民は好きに殺せ」

 

 

ロウリア先遣隊副将アデムは、嘲笑を浮かべた。アデムは軍を進軍される様に部下に命令した。

しかし動き出した軍勢は直ぐに止まる事になった。

 

 

「アデム様、大変です‼︎アディウム帝国軍がギムを飲み込んで正面から向かってきています‼︎」

 

 

一人の部下が、顔を青ざめながらアデムに必死に伝えてきた。

 

 

「アディウム帝国はワイバーンすら無い蛮族の国だろう? それにギムを飲み込んだとはどう言う意味だ?」

 

「そのままの意味です‼︎ ギムの町全体が異形の化け物に群れに飲み込まれたんです‼︎ しかも、明らかにその数が増えていて......」

 

 

アデムは彼の言っている事は理解できなかったが、彼の必死さからして嘘では無いのだろう。

 

「わかった、ならば魔獣を投下しよう」

 

「魔獣でどうにかなる相手ではありません、今すぐ撤退を‼︎」

 

 

アデムは暫くして彼の言っていたことを完全に理解することになった。

 

 

 

 

その頃、ロウリア先遣隊の先頭では地獄が形成されていた。

 

 

「こ、こっちに来るな、化け物‼︎」

「逃げろ‼︎」

「た、助けてくれ‼︎」

 

 

体長4.5mの目のない巨人がまたひとり、ロウリア兵を持ち上げ食い殺す。

身体全身をキチン質の鎧に覆われた人型の怪物にロウリア兵は切り刻まれていく。

ゼリー状の肉の塊が、ロウリア兵を飲み込んで、限度無く大きくなっていく。

地面から無数の触手が飛び出し、ロウリア兵を地下深くに引き摺り込んでいく。

 

 

ロウリア兵を襲っていた化け物達の、大半は元ギムの住民達だ。

このギムの住民だけの犠牲があれば、ロウリア王国は赤子の手を捻る様に滅ぼせるだろう。

 

 

少なくとも、この光景を後方で見ていたカルキスト・ザァラはそう思った。

 

彼女は自分の耳をふと触ってみる。

人の耳と比べて細長い耳は、自分にあの憎むべきダエーワの血が流れているのだと思った。

オジルモークとクラヴィガルを両親に持つ彼女の実力は他のカルキストとは一線を隔てている。それどころかクラヴィガルに匹敵しているまであるくらいだ。

 

 

カルキスト・ザァラは、ロウリア兵に群がるハルコストの群れを見ていると、段々と戦列が崩れ、敗走を始めた。

彼女が片腕を宙に掲げると、肉の壁がロウリア軍の周辺を囲み、ロウリア兵は退路を絶たれる。

 

 

そこからは一方的な虐殺だった。

本来、虐殺する予定だったギムの住民の成れの果て達に食い殺されていく。ワイバーンも対地攻撃を行うが焼け石に水でしかない。その光景はこの地獄を創り出したカルキスト・ザァラですら嫌悪感を覚える程だ。

 

 

 

アディウム帝国ーーーーーーーー。

 

 

その国の軍勢は、攻めるところ必ず勝てるから戦術は要らない。更には死体を戦力にできるので補給すら要らない。

 つまるところ人間の軍ではなし得ない無敵の軍勢。異形の神と契約を交わし、手に入れた反逆の力。世界の全てを敵に回してまで、抑え込めなかった忌み嫌われし帝国が異世界で初めて牙を向いた瞬間だった。




ダエーワの個人的イメージはエルフっぽい感じです。

祖国と家族と白き山
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