ギムでロウリア先遣隊が、殲滅されたと同時刻頃。
ついに、ロウリア王国が、4000隻以上の大艦隊を出向させたという情報が伝えられ、マイハーク港に基地を置く、クワトイネ公国海軍は艦船を集結させていた。
各艦は、帆をたたみ、港に集結し、きたるべき決戦の準備をしていた。
艦船の数はおよそ50隻。
「壮観な風景だな」
提督パンカーレは、海を眺めながら、ささやく。
「提督、海軍本部から、魔伝が届いています」
側近であり、若き幹部、ブルーアイが報告する。
「読め」
「アディウム帝国の軍船8隻と巨像が援軍として、マイハーク沖合いに到着する。彼らは、我が軍より先にロウリア艦隊に攻撃を行うため、観戦武官1名を彼らの旗艦に搭乗させるように指令する
・・・との事です」
「何!?たったの8隻だと!!??800隻か80隻の間違いではないのか? それに巨像とはなんだ⁈」
「間違いではありません、巨像は恐らく何らかの兵器かと」
「やる気はあるのか、彼らは・・・。しかも観戦武官だと?8隻しか来ないなら、観戦武官に死ねと言っているようなものではないか!」
「・・・私が行きます」
ブルーアイが発言する。
「しかし・・・。」
「私は剣術ではNo1です。一番生存率が高いのは私です。それに、あの化け物達を操るアディウム帝国の事です。もしかしたら勝算があるのかもしれません」
「すまない・・・。たのんだ」
「はっっっ!」
その日の夕刻。
ブルーアイは、目を疑っていた。
その船は、彼の常識からすればとてつもなく大きかった。アディウム帝国との接触の際に、100mクラスの船を臨検したという話を聞いていたが、嘘をついていると思っていた。
彼が見ている船は、肉と骨に覆われており、遠くの沖合いに停泊しているにも関わらず、かなり大きかった。
それ以上に驚く事に、真鍮らしき材質の巨大な鎧が肉造船の後について来ていた。海面から身体の半分以上が出ており、推測するに、これも100m近い大きさがあるのだろう
(いったいなんだ!この大きさは。それに肉で出来ているのか? 兎も角、これだけ大きければ乗組員が多いのだろう、ならば移乗攻撃は有利なのだろうな......それにあの馬鹿でかい鎧の様なものはなんだ? あれが巨像と言うやつなのだろうか)
ブルーアイは唖然としながらも、船の中に入っていった。
彼はやがて艦長と思わしき人物に出会う。
「この隊を率いている、カルキスト・トゥンダスです」
「クワトイネ公国第二海軍観戦武官のブルーアイです。このたびは、援軍感謝いたします」
「さっそくですが我々は、明日の朝出航し、巨像により攻撃を行います」
トゥンダスは巨像を使う事に疑問を感じていた。
この真鍮の悪魔は、アディトゥムの大部分を焼き払ったメカニト共の醜悪な機械のうちの一体だ。しかし、アディウム帝国がこの世界に転移した事により、孤立した巨像群は瞬く間に制圧・鹵獲したが、クラヴィガル・ナドックスの命令により、戦力として再利用する事になった。
上が決めたとは言え、多くの同胞を焼き払ってきたこれを使うのは嫌悪感があった。
「とりあえず、それまではゆっくりしていてください」
トゥンダスはひとまず、心を落ち着かせると驚愕していたブルーアイに話しかけた。