数日後――――――。
ロウリア王国軍は迫り来る肉の軍勢により、壊滅的な被害を受けていた。
更に各地で未知の伝染病が蔓延し、多くの人間が死んでいるらしい。その症状も様々で口から血を吐いたり、皮膚が黒ずんで死んでいったり多岐にわたる。
そう言った者たちへの差別も深刻であり、国内に大きな亀裂を産んでいた。
その頃、ロウリア王国首都 ジン・ハーク ハーク城。
6年もの歳月をかけ、ようやく実現したロデニウス大陸を統一するための軍隊、錬度も列強式兵隊教育により上げてきた。
資材も国力のギリギリまで投じ、数十年先まで借金をしてようやく作った軍、念には念を入れ、石橋を叩いて渡るかのごとく軍事力に差をつけた。
圧倒的勝利で勝つはずだった。
だが、アディウム帝国の宣戦布告により、保有している軍事力のほとんどを失った。
あのとき、アディウム帝国の使者を、丁重に扱えば良かった。もっとあの国を調べておくべきだった。
ワイバーンのいない蛮国?
ワイバーンの代わりに最も悍ましいものを使役する異能力者の集まりだ。
軍のほとんどは肉の怪物に飲まれた。船団も殆どが壊滅した。国民の5割は怪物と同化した。
こちらの軍は壊滅的被害を受けているのに、アディウム帝国はどんどん国力を高め、戦う度に軍勢は成長していると言う有り様だ。
もしかしたら列強国を相手にしても、アディウム帝国は勝利するかもしれない。
敵は、首都の近くまで来ている。
もう、どうしようもない・・・。
ハルコストと化した元国民の群れに首都の辺りは完全に包囲されている。
なんとか、水際でハルコストの進軍を止めることには成功しているが、それも長くは持たないだろう。
唯一の救いは火が有効的であると判明した事くらいだ。とは言っても焼き石に水でしか無い。
その時だった。
巨大な何が迫ってくる地鳴り、そして肉を貪り食う咀嚼音、それと同時に近衛兵の悲鳴が響き渡った。
それから、間も無くして王の謁見の間に、1人の女が入ってくる。両脇には全身をキチン質で覆われた人型の怪物が居た。その背後には無数の、尚且つ多種多様なハルコストが列を成していた。
女は武器らしい武器は持っていない。俗に言う
王の脳裏に、古の魔法帝国軍、魔帝軍のおとぎ話が浮かぶが、全く別のベクトルの悍ましい存在であると認識する。
「ま、まさか魔帝軍か......⁉︎ いや、なんだ、なんなんだ‼︎」
ハーク・ロウリアは恐怖に慄き、尋ねる。
女は王に迫る。
「魔帝軍というのは、よく解りませんが・・・。私はカルキスト・ハリーナ・イエヴァ......降伏勧告に来たものです」
「降伏勧告だと...?」
「はい、もう勝ち目がない事は分かった筈です。ならばこれ以上被害が広がるのは嫌でしょう?」
それは願ってもない事だが、何を要求されるのか、それがひたすらに怖かった。
「その降伏の対価は?」
「温存している全てのワイバーンの引き渡しと、国土の7割の割譲です、それ以外には特には求めません。まぁ本国としては求めるものは大半は手に入りましたし......」
カルキスト・ハリーナ・イエヴァは自身のハルコストに目を向ける。
やはり、自分のハルコストに、魂が加わっていく様は気分がいいものだ。
ハリーナ・イエヴァは邪悪な笑みが一瞬、浮かぶがこれは行かないと即座に思い、表情を引き締める。
「それでどうしますか? これを受け入れるか、滅ぶか」
「分かった......条件を飲もう、これ以上の虐殺を辞めてくれるなら構わない」
こうして、ロウリア王国はアディウム帝国に降伏した。
ハリーナ・イエヴァちゃんは絶対可愛い(確信)
"ハルコストに、また一つの魂が" : http://scp-jp.wikidot.com/another-soul-joins-the-halkost. Licensed under CC-BY-SA.
カルキスト・ハリーナ=イエヴァ、またの名を”爪先を求む母”
http://scp-wiki.wikidot.com/mother-who-demands-ones-toes