ある日の昼下がり、教会の中庭でブランとクリストが戦闘訓練をしていた。ブランはホワイトハートに変身し、クリストは氷晶覚醒状態。つまり本気のぶつかり合い。
「はあぁぁぁ!」
「せえぇぇぇい!」
戦斧と刀が激しくぶつかり合い、競り合う。お互い飛び引き、クリストはホワイトハート目掛けて連撃をしかける。激しく武器がぶつかる音が辺りに響いた。
「お前、強くなったよな」
「主に遅れをとるまいと頑張った結果です」
「なら私も全力で応えなくちゃな!」
二人の全力の戦闘訓練はしばらく続いた。最終的には、ホワイトハートのエグゼドライブを受けきれなかったクリストが強化形態を維持できなくなり敗北、となった。
「お疲れ様……クリスト」
「お……お疲れ様……です…………ブラン様……」
クリストは肩で息をしながら応えた。
「悪いわね。せっかくの休日に」
「いえ……私の方も……良い経験になりました……」
二人は飲み物を飲みながら体を落ち着かせている。ふと、ブランが空を見上げながら「いい天気ね」と呟いた。
「珍しいですね。ブラン様が天気を気にするなんて」
「今日は流星群が見れるらしいからね。この天気が夜まで続けばいいのだけど……」
「流星群……ですか。生で見た事は無いですね……」
「なら丁度いいわ。今夜ロムとラムと一緒に見るのだけど、一緒にどう?」
「是非、ご一緒させてください」
「勿論よ。じゃあ、暗くなったら中庭に来てちょうだい」
「わかりました」
その後、二人は一旦各自の部屋に戻った。クリストは戦闘訓練の疲れもあったのか、シャワーを浴びてすぐにベッドで眠ってしまった。
❅
「クリスト……クリスト、起きて」
ブランは眠っているクリストの体を揺すりながら声をかけた。
「ん……?」
「おはようクリスト。と言っても、夜だけど」
「おはよぉございます……なにかごようですか……?」
「寝ぼけてるの? 今日は流星群を見るって言ってたじゃない。みんなもう中庭に出てるわよ」
「りゅうせい…………はっ! 申し訳ありません! すぐに向かいますので、先に行っててください!」
クリストは手早く身だしなみを整えると、急いで中庭へ向かった。
❅
「すみません! 遅くなりました!」
「側近さん、早く早く!」
「流星群、綺麗だよ……(きらきら)」
空を見上げると、無数の流れ星が空を舞っていた。寒冷地であるルウィーの空は澄みきっていて、流星群が良く見える。
「綺麗ですね……」
「そうね……」
ブランとクリストは並んで空を見上げた。
「流れ星に祈ると願いが叶うって言いますよね」
「クリストにもロマンチストな面があったのね」
「……失礼すぎでは?」
「冗談よ。それで、クリストなら何をお願いするの?」
「私は……」
クリストは視線を空に向け、微笑むと
「今の生活がずっと続けばいいなって……そう願います」
と答えた。
「そうなの?」
「はい。色々ありましたが、私はこの生活に満足しているので」
「初めはただの罪滅ぼしだったのにね」
「そうですね。当初は罪滅ぼしのため。ですが今はあなたの側近としてここに居ます」
ロムとラムがフィナンシェと雪遊びを始めた。流星群は飽きたのだろうか。
「……これからも、ずっと私を傍においてくれますか?」
「勿論よ」
「…………ありがとうございます」
クリストはそっぽを向いて俯いた。
「……泣いてる?」
「いいえ……」
言葉では誤魔化したが、声が少し震えている。
「泣いてるじゃない」
「だって……改めてそんなこと言われたら……」
「自分から聞いてきて……」
「そういうのは言わなくて良いですから!」
目元を力強く拭ってからブランの方を見る。ブランは優しく微笑んでいる。
「あなたを見限るなんてことはしないわよ。だって、私が選んだ側近なんだから」
「ブラン様……」
「だからそんな事気にしなくて良いのよ。」
「……ありがとうございます」
クリストは小さく頭を下げた。
「……時間も遅いし、そろそろ寝る準備をしましょうか」
「そうですね……」
ロムとラムは遊び疲れて先に寝に行ったようだ。フィナンシェも二人の世話の為に先に中に戻っていた。
「ブラン様」
「何?」
「その……これからもよろしくお願いしますね」
「えぇ、こちらこそよろしくね」
二人は並んで教会に入り、そのまま各自の部屋へ戻った。
❅
次の日……
「……クリスト、ちょっとお願いがあるのだけど」
「はい、何でしょうか」
書類仕事中のブランが難しそうな顔をしながら一枚の紙をクリストに見せた。
「これは……」
そこには反女神を掲げる集団による教会襲撃の予告について書かれていた。
「もう拠点の位置もおさえているし、集団の規模も把握しているわ。できれば早めに対処して欲しいのだけど……」
「ブラン様直々に向かうのではダメなのですか?」
「反女神組織なんだから、女神に対抗する手段があるかもしれない。例えば……アンチクリスタルとか。そういうのもあるから、なるべく女神本人が向かいたくはないのだけど……」
「なるほど。わかりました。私に任せてください」
「ありがとう。あなたになら任せられる……昨日の戦闘訓練でそう確信が持てたわ」
「ありがとうございます。必ず良い報告を持って帰ってきますよ」
クリストはブランに一礼をすると、仕事部屋を出て、紙に記された場所へ向かった。
組織の拠点に着いてからは早かった。組織の構成員はまとめて峰打ちで無力化して縛り上げ、教会の襲撃に使う予定であろう武器などは全て一箇所にまとめた。
「よーし、あとは応援に来た職員さんに回収してもらえば終わりだ」
「クソっ……なんだってこんなガキに……。お前、何者なんだ」
幹部の男がクリストを睨みながら呟いた。クリストは刀を納刀すると、柄頭に手を乗せながら男の方へ振り向いた。
「私? 私の名前はクリスト……白の女神の、側近さ」
最終回でした。執筆を完走した感想ですが、結構日常系って難しいんだなぁというのが一つ。ネタが無くなると書けなくなるんですよね。でも、書きたい話は書いたかぁって感じです。日常系だからという理由で書けなかった話も実はあったり……。ですが、全体を通して楽しく書けたとは思ってます。オリキャラもめちゃめちゃ気に入ってますし。
で、この後なんですが、他の方とのオリキャラ交流という形でもう一話上がります。それでここは完結だと思います。あと一話だけ、お付き合い下さい。
最後に、この作品の次回作として日常系じゃないので書きたい気持ちもありますので、恐らくきっと次回作が出ます。多分。出たら出たでまた読んでくれると泣いて喜びます。
では、グダグダ更新でしたが、今まで白の女神の新たな従者を読んでいただきありがとうございました。